あおいろ濃縮還元

虎視眈々、日々のあれこれ

雑記

生還

先月ワクチンを打って、冗談じゃなく死ぬかと思った。脅しとかじゃなくて自分の記録のために書いておく。 県の実施する集団接種を受けた。会場まで車で1時間ほど。一緒に接種する彼氏に送ってもらったのが今思うと運命の分かれ道だったかもしれない。生理中…

湯水

大学受験ぶりに英語の文法を勉強している。文法の勉強、大嫌いなのに他のどれより気持ちよくて困る。英語の勉強において、単語の暗記は、知識がこつこつ積み重なっていく実感があってしんどいけど楽しい。スポーツをし終えた時みたいな心地いい疲労と充足感…

夕立

職場が臨時で閉まることになった。デルタ株の猛威がこんな田舎にまで潜り込んできたら本当に大変なことになる。行政として適切な英断であるとは思うけれど、それはそれとして悲しくてやるせない。私は芸術を不要不急だと思わない人たちのためにこの仕事を頑…

まぼろしゆれる

憧れのライブハウスは幕を閉じてついに憧れのまま終わる。告白せず閉じた片想いみたいに、散ることなくただ小さくなって消えた線香花火みたいに、きっと未練は消えないまま胸に残り続ける。不在として在り続ける。終わらないままなくなったものはいつまでも…

ネイビーレイニー

昨日の朝早く、祖父が亡くなった。葬儀には出ないことにして仕事へ行った。形だけでも喪に服そうと思って黒い服を探したけれど、仕事着にできるいい感じのものがなくって全身ネイビーになった。ネイビーのシャツとズボンとで果たして喪に服せるのだろうかと…

ピンスポットに照らされて

愛するロックバンドが近場に来るというのでチケットを応募した。なんともあっけなく外れたが、リセールで行けることになった。3階席、前のほう。 最初に観た彼らのワンマンも上階の前列だった。初めて目撃したライジングサンでのアクトが非常にかっこよかっ…

なんとなくわかった気がしてきて

暮らし向きを整えている、最近は。 生まれてこのかた自堕落な実家暮らしを送ってきたものだから、いちから自分の手でつくりあげていく生活が楽しくて仕方ない。水仕事で手が荒れてきたし、日曜日の「最近の幸せといえば美味しいものを食べる事で 確か前はも…

海沿いをあるく

ひとりで海をみにいった。砂浜で走るでもなく、膝までじゃぶじゃぶ浸かるでもなく、ただ潮風に髪をなびかせながら海をみるのが好きだ。海にちなんだ名前を与えられて生まれた私は、きっと海を好きになると初めから決まっていた。 もうマフラーのいらない季節…

グリッター

運転免許を取得した。通っていた自動車学校には卒業を間近に控えた高校生ばかりがいて、まだ染めていない黒髪や、あるいは染めたての明るい茶髪の群れのことをいつも眩しいと思っていたけれど、免許センターの年齢層の中では、大学をとっくに卒業した私はそ…

山椒のかおり

あと10日で生まれ育った街を出る実感がどうもない。はじめて実家を出て、親元を離れて生活をするということ。同棲をはじめるということ。はじめて正社員として社会に出るということ。「初めて」のビックバンが重なりに重なって、もう不安なんて通り越してど…

手繰る

運命を手繰り寄せるようにここへ来た。そう思った。すべての試練は縒り合わさってこの道へ繋がっていたと思える地を、あのとき、まだ履き慣れないパンプスの踵で確かに踏みしめた。 動き出した瞬間からすべてが奇跡だった。これから住む街に、僥倖のように転…

ノンフィクションをやきつけて

無駄に見えるものに宿る情熱を信じたい。 流行病が広まったことで私の愛した音楽は、ライブハウスという場所は、忌むべき不用品のように蹂躙された。愛してやまないライブハウスへ久々に足を運べることを、私は誰にも言えなかった。誰が悪いわけでもなかった…

ソルベ

親友と最後に会ったのはちょうど1年前、疫病が流行し始めた頃だった。元気にしてた?と待ち合わせ早々に腕を掴んではしゃぐ姿は、ブランクがあったと思えないほどいつも通りで、何だかすごくほっとした。乗り換えの方向を間違えたり、道を間違えて同じところ…

かぞえる

さっきから大粒の雪がこんこんと降っている。こんこんと、というのは泉などから水がたくさん湧き出すさまのことを指す言葉なので不適当かもしれないけど、「しんしんと」などと言うほど大人しい降り方ではないからやっぱり「こんこんと」が合っていると思う…

泡のような日々よさらば

大好きなバイト先が閉店することになり、今日が私の出勤する最後の日だった。 ほんとうに愛していた、この場所のこと。まだバイトを始める前、20歳を迎えてはじめてお酒を飲む場所に選んだのもここだった。店に漂う雰囲気のすべてが落ち着いていて大人っぽく…

惜冬キャラメリゼ

住む部屋を決めにはるばる飛んだ。ただ会うということが不要不急にあたってしまう私たちは、内見でもいう大義名分がないとゆうに半年は会えない。半年ぶりに会った彼氏の声は、いつも聞いていた電話の声とちょっと違って聞こえた。少し前までペーパードライ…

位置について

生きている、ただ最近は必死で生きている。PMSが酷くて漢方を処方してもらった。それでも熱だけが依然下がらず、無理にバイトを休ませてもらって心も体もズタボロになった。すべてがんばりたいのに、今はなにもうまくいかない。そういうターンなのだと言い聞…

編み重ねる

労働の予定がなかったからオフにしようかと思ったけれど、丸一日を教習所に費やした。眠気をこらえながらブルーのマーカーを引きに引いた。本の発送をするために街へ行き、目についたケンタッキーで昼食をとる。おばちゃんがたの井戸端会議を聞きながら、昔…

設計図

ひとりで生きていくものだと思っていたから公務員を目指していた。仕事とかバリバリできるタイプじゃないし、会社員を選んだら何度かの転職を経てややホワイトな企業に落ち着き、特に昇進することもないまま万年平社員として静かにキャリアを閉じていくのだ…

皮算用

つかの間の休みにマニキュアを塗る。青や黒や緑が好きだけど、最近スティーブ・ジョブズかというぐらい黒のタートルネックしか着ないから、暗い服装になるべく映えるように紫がかったピンクを塗る。休み、といっても接客バイトの休みであって、キッチンバイ…

列をなす灯

慣れるまでは8時から、といわれていたバイトが4回目の出勤にして7時からになった。6時台の外はまだ仄暗く、心なしか空気も湿っている。犬の散歩をさせているおばあさんも、工事のおじさんがたもまだいない。まちは半ば眠っていた。最近観た「パンとバスと2度…

穴熊

ほっといたら昼まで寝ているのがもったいないと思い、朝から昼にかけてのバイトを増やした。起きられるか不安だったものの、アラームが鳴る前に目覚めた。歯を磨き、顔を洗い、ごはんを食べてスクワットと腹筋までした。血行がよくなりそうだと思って白湯も…

いつだって移ろいのさなか

何度だってどん底から這い上がれるみたい。きっと人より打たれ弱いけど起き上がるのも人一倍はやいから、また見くびった神様がありったけの試練を私の行く末に積み重ねる。悪路上等、北に生まれたものだからハイヒールで雪道を歩くのは得意なの。ここには咲…

重ねる

いろんなことが日夜ぐるぐる、ぐるぐるまわっているけれどそれでも今日を生きるのだ。日が短くなりましたね。寒くもなった。最寄り駅前でいつも客引きをしているお兄さんはもこもこの白いマフラーをまとっていた。北海道の秋は東京の冬のはじまりぐらいの寒…

なのに

いま、敏感な人は本当にこれは読まないでほしいけど、 という前置きをしたうえでこれを読む人は同じように思っているかもしれないが、心底うんざりしてる。辟易してる。社会の情勢にじゃない。身の回りにこんなに馬鹿が大勢いると思わなかった。まだ若かった…

青々

遠距離大変だね私だったら寂しすぎて耐えられない~みたいなことを死ぬほど言われるけど、もちろん楽しいことも山ほどある。ビデオ通話をつないで同じ本を読んだり、手紙に紅茶のティーパックを忍ばせて送ったり、絵本が送られてきたり、通話しながら金曜ロ…

煙しみる風呂場で

温冷浴を繰り返すように洋書と和書を交互に読んでいる。英語に疲れたら、短編をひとつ読む。異なる国の言語が肌に浸透していくようだ。日本語は解像度の高い優れた言語であり、ゆえに生まれる複雑さを私は愛している。読んでいたのはハリーポッターなのに、…

結婚願望のはなし

結婚の話を最近よくする。結婚願望における価値観についての話、をバイト先でいろんな人とする。元同僚が長年付き合った彼女と同棲をはじめるけれど、彼女はともかく本人には結婚願望がない、というのが毎日のように話のネタに上がるから。私が元先輩と付き…

水面ひときれ

エアコンのない温室のような自室と、エアコンはあるけれど家族に無限に話しかけられてひとりの時間が持てない居間。そのどちらにも疲れて適当な装備で飛び出すこと、この夏は何回かあった。近所のパン屋でコーヒーだけを買うのは忍びないから、塩パンとアイ…

くろぐろ

あーあもう何もかもがめんどくせえな、と思ってなんとなくルナルナを開けば生理が近いことがわかって、からだに流れゆく女性ホルモンの恐ろしさに打ち震えた。全部めんどくさい、振り出しに戻った就活も、学生時代の友人にハブられていることも、男友達がと…