スペイン新婚旅行7日目。サン・セバスチャンからバルセロナに戻り、キッチン付きのアパートメントホテルに滞在する。
(前回→スペイン旅行記⑨6日目 サンセバスチャン飲み歩き - あおいろ濃縮還元)
朝7:10の列車に乗るため、重たいまぶたをこじ開けて6時にチェックアウト。受付のかたにタクシーを呼ぶか聞かれ、一旦は断ったものの、外に出た瞬間ざばざばと雨が降っていて「すみませんが、タクシーを……」と腰も低く受付に舞い戻った。
タクシーは手配料含め駅まで6ユーロ。「ブスオアトレイン?」と聞かれた夫が「ブス……??」と戸惑う。bus or train、つまりバスターミナルに行くのか列車に乗るのかどっちだと聞いているのだろうと「トレイン!」と答える。レシートいる?という意味で「チケット?」とも言われ、列車の券を見せなきゃいけないのかとまた夫は戸惑っていた。
1時間前に着き、とりあえず改札入場しておくかと思ったら駅のかたに止められる。スペイン語でよくわからないが、入場可能時間がまだだからそれまで待っていてということらしい。
30分前になり、いちばん右の改札あたりに列ができていく。スーツケース持ってる人多いし多分これだよね……と適当に並んでいると、通りがかりの外国人に「バルセロナ行きってこの列で合ってる?」と聞かれた。適切な英語が出てこなくて、私もわからないんです!という顔で「I don't know」と肩をすくめてみたら、伝わったようで「OK!」と爆笑してくれて助かった(I don't knowはあまりよくないニュアンスにとられることもあるので失礼だと思われたらどうしようかとヒヤヒヤした……)。
7:10、レンフェに乗車。
さっきのお兄さんとホームで再会して「バルセロナ行きで合ってたね!」と笑いかけてくれた。やさしい。
バルセロナ・サンツ駅までは6時間ほど。
EROSKI(スーパー)で1.50ユーロだった生ハムのボカディージョ。バゲット1個分のデカさで、たちまちお腹いっぱいになる。安い。朝早いものだからすぐに寝つき、気づいたらもうバルセロナだった。
今日泊まるアパートメントホテルは、ホテルとは別の事務所のようなところで鍵を受けとる必要があり、鍵の受け取り時間は守ってねとのことだった。ただ、チェックイン可能時間は15時、バルセロナに着くのは13時。アーリーチェックインも承っているそうなので、Booking .comのチャット経由でアーリーチェックインできるか聞いたら快くOKしてくれた。追加料金もなし。
13:09、サンツ駅に到着。この周辺は治安がよくないと聞いて、人通りの多い大きな道を歩く。駅から徒歩8分ほどで事務所に着き、鍵をピックアップする。
鍵の受け取り場所からbarcelona hotel Cosmo Apartments Passeig de Gràciaまではそこそこ距離がある。残っていたT-Casual(10回券)を使い、バスで移動した。
ホテルはカサ・バトリョとカサ・ミラのちょうど中間ぐらいに位置する。最初に泊まったホテルとも近く、地理はすこしは頭に入っていて気が楽だ。鍵の開け方が複雑で全然わからず、通りがかった清掃のかたを呼び止めて教えてもらった。
めっちゃ広いリビングに
寝室は別でついている
そして!キッチン!!!!
現地のスーパーで食材を買って自炊する、というのをやりたくて、スペイン最後の2泊はキッチン付きの宿を選んだ。料理だいすきな夫は「これこれ、こういう旅がしたかったんだよ~」と大喜びであったが、備え付けのキッチン用品を検分して「これ自炊しないひとがイメージで用意したキッチン用品だ……」と顔を曇らせていた。エスプレッソマシンはあるのにまな板がなかったりする。
近くのメルカドーナ(スーパー)へ行き、でかいソーセージを買って部屋で焼いて食べた。歯ごたえのつよいサラミという感じ。疲れ果ててがっつりと昼寝した。
起きるともう夕方。寝たのにだるい。長旅の疲れがアラサー夫婦にのしかかっている。夕飯は自炊を諦めて、近くのレストランへ行くことに。
19:30、Vinitusへ。いくつか店舗があるうち、カサ・バトリョ近くの比較的空いているというところでも大盛況だった。それでも早い時間だからか(バルセロナの夕飯は21時頃)数分待って入れた。
メニューは英語表記あり、一部はスペイン語のみ、写真なし。Googleマップのクチコミと照らし合わせながら、それっぽいメニューを探して頼んだ。
シャンピニオン(マッシュルーム)とアスパラ。私はクララ(ビールのレモンジュース割)、夫はビノ・ブランコ(白ワイン)と。
レビューで見かけたタラのアリオリ。甘めの味つけでタラも柔らかく、おいしかった!
ナバッハ。マテ貝ってこんな見た目なんだ。めっちゃおいしかった。
フリット盛り合わせ。いろんな部位のカラマリ(イカ)にパドロン(ししとうみたいな唐辛子)、小魚、クロケッタ(スペイン風コロッケ)まで入っていてうれしい。コロッケも揚げ物だもんね。
牛ヒレの上にフォアグラみたいのが載ってた。贅沢すぎない……?と震えたものの、これは新婚旅行だから。いいのだ。
スパイシーなタコ。海外でタコ食べられるのうれしい!
硬めのチュロスとビターなチョコレートが絶品。旅行中に食べたチュロスのなかで、総合的にもっとも私たち好みだった。
食べたかった本場のカタラーナ。
ネスティーとパドロン炒めも頼んだ。缶で売ってるあのアイスティーでしょ……と思っていたけれど、よく冷やしてグラスに注いだネスティーは震えるほどうまかった。パドロンはししとうのようにたまに辛いものがあるようで、当てたくてもりもり食べていたが一度もかち合わなかった。金曜日だったのもあって、退店した21時半頃には行列ができていた。
帰りしな、ライトアップされたカサ・バトリョの外観を眺める。
ガウディの有名な建築のひとつ。海をモチーフとしている。
ディズニーシーのマーメイドラグーンはここを参考に作ったそう。たしかに。
明日はカサ・バトリョかカサ・ミラのどっちを観ようか迷っていたけど、カサ・バトリョにしよう!と決めた。だってわれわれ、海だいすきだからね。
バルセロナの観光も明日が最後。毎日たくさん美しいものを見て、おいしいものを食べて、幸せすぎて帰りたくなくて泣けてきた。行きのパリでは大喧嘩して「もう帰りたい」と泣いていたのに。
絆が深まるってこういうことなんだな、と素直に思った。スペイン語もわからない、比較的わかるはずの英語もまともに話せなくて、気をつけていたのにスリにもあって、疲労とストレスが祟って喧嘩もいっぱいした。だからこそ、こんなにたくさんの試練をいっしょに乗り越えられたなら、この先の人生もぶつかりながらなんとかうまくやっていける気がする。大変だけど海外に来てよかった。入籍と結婚式は私ばかりが大変だったけれど、新婚旅行でやっと、大変さをともに乗り越えられたと思う。
ノンアルのラドラー(レモンビール)をのんで就寝。
明日はラスト観光日。ガウディ建築、カサ・バトリョへ。