あおいろ濃縮還元

虎視眈々、日々のあれこれ

腹底の蛆

決まった時間に決まった場所へ行かなければならない、ということが本当に苦手である。アルバイトは平気だ。待ち合わせも平気。学校に行くことと、講座かなにかに通うことが本当に、本当にだめだった。高校時代、塾に通うという行為が嫌すぎて、猛然と自宅学…

背徳感無料

トートバッグはあるけど入り切らないので仕方なく、という顔をしながら買ったものを何かしら手に持って歩くのがたのしい。レジ袋が有料になって以来手に持って歩いたもの。砂ずりポン酢、胡瓜のおつまみ、半熟ゆで卵。コンビニで買ったものをビジホまで持ち…

飛行機の窓から

北海道の空はいまにも降り出しそうなアイスグレーに濁っている。「Bedroom Joule」を再生すると目を閉じた。滑走路を駆ける轟音は、物心つく前から聞き慣れているので何も気にならない。どころか眠くすらなる。離陸していく浮遊感とともに、眠りに落ちる。 …

梅雨未満

吹き込む風がつめたさを孕みはじめて窓を閉めた。夏至のころを過ぎても北海道はまだ涼しい。こないだ本を売ってから調子づいて、今度は真剣に本棚の整理をした。もう読み返すことはないだろう、というものを選んだら文庫とハードカバー含めて40冊ほどになり…

換気

ふと思い立ち、もう読まない本を紙袋に入るだけ詰め込んだ。11冊入った。私は元来コレクター気質であり、読み返さないとしても本は本棚に大切にしまっておきたいのだけど、そうも言ってられないほど蔵書が増えすぎた。本多孝好と乙一は私の青春だった。何年…

頭巾でヘブン

効かないイブに臍を噛みながら、睫毛も溶け落ちそうなほどグズグズに泣きながら、少しでも気持ちを和らげたくて星野源を延々流しながら、多大なる迷惑をかけながらもなんとか走り抜いた夜のこと、いつかハッピーエンドに変えてやるから忘れてなんかやるもん…

底抜け

恥の多い生涯を送ってきましたなんて言うつもりは毛頭ないが、大変長らく愛を知らない生涯を送ってきた。私自身は溢れんばかりの愛を叩きつけるように生きてはいるものの、愛され方がわからなかった。暗い話ではなく、ただ私の愛を受け入れる壺が底の抜けた…

ライウ

昨日の雷雨が嘘みたいに晴れ。襟ぐりのよれてきたラフな緑のワンピースは、お洒落な部屋着に降格させようか悩みながらも結局着ていくことにした。2ヶ月ぶりの電車にどことなく緊張する。昨夜発作のように泣いた瞼はすぐさま枕元にあったグリーンダカラで冷や…

不慮のターコイズブルー

なぜか引き出しから出てきたターコイズブルーのポスターカラーを捨てた。文字通り、ポスターの色を塗るのに適した鮮やかなテクスチャの絵の具。水彩絵の具と油絵の具のちょうど真ん中ぐらいの重さ。それからチャックの壊れた財布と金平糖の瓶と、引き換え損…

犬の模様のブランケット

おでんにからしを付けるとうまいという世の摂理に齢23にもなってようやく辿り着く。時折おじいちゃんが作ってくれる鍋いっぱいのおでんこそがおでんだと思っているから、コンビニのそれはいちども食べたことがない、そういえば。大根とさつま揚げとはんぺん…

なんでもない日

治安の悪い柄した柄シャツでスーパーへ行き乳酸菌を買う。最初は免疫力アップのために飲んでいたR-1が、免疫どうこうより便秘に効くためなんとなく手放せなくなった。昨日の夜はぶ厚いスウェットにブランケットに毛布の重装備でも震えていたのに、今日は嘘み…

しょうゆ味

適当に前髪を巻いて、ちゃちゃっと眉毛を描き、手と顔のマスクから出る部分に日焼け止めを塗るだけ、が近頃の外出スタイルになっている。マスクをしてしまえば万事なんとかなる。前も書いたけれど最近は彼氏に贈られたワンピースをこれでもかと着倒している…

御守

昔、吃音持ちの私は苛められるのがこわくて話すことができなかった。苛められることはなかったけど、誰とも話せなかったし笑うこともなかった。無愛想でかわいげのない自分のことが嫌いだった。五年生のころ、教育実習の先生がクラスひとりひとりに宛ててく…

まどろみと覚醒

テキストに青いマーカーを引きながら『重要と書かれた文字を写してく なぜ重要かわからないまま』という加藤千恵の短歌を思い出していた。夕飯に食べた餃子とビールの味は、歯を磨いても牛乳をのんでも口蓋に張り付いているような気がしてならない。ゴールデ…

チョコミント

外に出たのは1週間ぐらいぶりだろうか、日付の感覚すら麻痺してきたのでわからないけど。ここ最近は徒歩数分のスーパーにすら行っていなかった。誕生日にLINEギフトで貰ったプレミアムロールケーキをいい加減引き換えたかったのと、買い置きしていた2リット…

へらない紅

誕生日だからと妹がくれたブラウンのリップは貰ったそばから塗らなくなった。バイトから帰るバスの中で更新するのが常だったブログは、一時休業になってしまったから自然と書かなくなった。たまに必要に駆られてスーパーや郵便局へ出向くぐらいじゃメイクも…

春宵、一等星

時勢の煽りを受けて近所のパン屋はすべてのパンをビニールで覆っていた、少人数で回しているこの店にとってビニールを被せていく何気ない作業がどれだけの負担であるのだろうと思いながら、タイムセールで半額になったチーズフランスを買う。181円、端数を切…

振り返らない

別れ際、私は振り返らない。ポリシーとして。半年ぶりに会う友人と飲み会をした帰り道でも、初めて会う遠方のフォロワーと解散するときも、デートのあとでも、後ろは向かずスタスタ歩き出す。バイバイしたあと姿が見えなくなるまで手を振り続ける女の子が可…

まくらもとに筆

2週間ぶりのバイトは暇で暇で仕方なかったのに、久々に働いたから疲れてしまった。家にずっといたせいで、身体にガタがきていたことを思い知る。日頃ライブハウスでしか汗を流さない私はライブがないとすぐ不健康体になってしまうけど、きっと、そんなことじ…

井戸と刃

スカイツリーの展望台でも鳥取砂丘でもちょっと小高い山の上やだだっ広い草原の真ん中でもなんだっていいけどそういったスケールの大きな場所に行ったとき「地球の大きさに比べたら自分の悩みなんてちっぽけに思えた」ということが生まれてこの方一度もない…

冬と春の隙間に

路肩にはまだ雪が残っていても、食卓にはみずみずしいアスパラが出るし、スーパーの和菓子コーナーには桜餅が並ぶ。白いコンバースのハイカットを履きたいけれど、泥にまみれた雪解け水が染み込むのは嫌だなあと思って今日も黒いブーツを装着した。冬と春の…

眼差す

まなざし、という言葉はそういえば「眼差し」と書くのだったなと、ジャズの流れる喫茶店で思い知る。 向かいでコーヒーを啜る先輩の傍らに、湯気で曇るからと折り畳まれた眼鏡が置いてある。私たちは長いこと先輩と後輩の関係性をやってきたけれど、数十分前…

2月は耳元を過ぎる風

気付いたら2週間ほどもブログを更新していなかったことに今しがた気がついた。お元気ですか、とは言えない情勢だけど、これを読んでいるような物好きなあなたには元気でいてほしい。 2月は目まぐるしく、風のように私の耳元を掠めていった。こないだ投下した…

幻じゃなかった

赤、水色、また赤、すぐに水色。鮮やかな照明がステージを目まぐるしく駆けめぐった。飛び跳ねる観客の背中と、熱をもって高く上がった拳のむこうで、軽やかにベースをさばくマイケルさんの姿が妖しく明滅している。頭の丸いシルエット、降り注ぐ赤、水色、…

喫茶記

美術館にいこうと思ったが億劫になったのでずっと気になっていた喫茶店へ赴く。店内は満員で、そういえば三連休の初日だったかと気づいた。学校よりもバイトに行く日数のほうが多い大学四年生は曜日の感覚がどうもない。案内された窓際の席には、ランプや置…

おすすめ本/おすすめしない本10選

万人におすすめしたい本と、万人には絶対おすすめしないけど私の大好きな本を5冊ずつ集めました。厳しい冬を過ごすお供にどうぞ。 ◎おすすめ本5選 「容疑者Xの献身」東野圭吾 ミステリー/サスペンス好きなあなたにとにかく読んでほしい、私の人生の1冊。ガ…

生産性なく過ごす、が年末年始の目標である。年が明けてすぐ夜にロックを聴いてしまったら編のライブDVDを流して、明け方まで気が済むまで酒を飲んだ。クリスマスに買ったきり残っていた桃のワイン、やけに親しみのある味だと思ったら、チューペットのあの甘…

2019年総集編

2019年に読んだ本・観た映画・行ったライブをまとめました。毎年1月1日からブログの下書き欄にちまちま書き始めるこの総括、今年で3年目です。では。 2018年→(2018年総集編 - あおいろ濃縮還元) 2017年→(明けまして、2018 - あおいろ濃縮還元) 【本】→45…

2019年ベスト5トラック

私的・2019年リリースされた楽曲ベスト5を発表します。笑っちゃうぐらい偏りがすごいんだけど、一興ということで。 なんも関係ない写真 5位 イマジネーション/フレデリック 性感帯直撃イントロを聴いてくれ。いままでのフレデリックでは聴いたことがないひ…

はちみつゆずと納豆焼酎

バイト終わり、バスが来るまでのあいだ、キオスクはもう閉まっているので駅の自販機でホットはちみつゆずを買う。パッケージが和風だからしばらく気づかなかったけれど、ミニッツメイドらしい。道理で美味しい。タイムラインを眺めながら半分ほど大切に飲ん…