あおいろ濃縮還元

虎視眈々、日々のあれこれ

まどろみと覚醒

テキストに青いマーカーを引きながら『重要と書かれた文字を写してく なぜ重要かわからないまま』という加藤千恵の短歌を思い出していた。夕飯に食べた餃子とビールの味は、歯を磨いても牛乳をのんでも口蓋に張り付いているような気がしてならない。ゴールデンウィークはもう終わるけれど、バイト先が依然として営業自粛を余儀なくされているフリーターにとっては今月いっぱいゴールデンマンスのようなものなので、とびっきり濃い色に爪を塗った。就活がなければ金髪にでもしているところだったし、惰弱な耳の持ち主でなければピアスのひとつもばちこんと開けていたところだけど、仕事のために短くしていた爪を伸ばす、ぐらいのささやかな反抗に留めておく。

 

眠気のバロメーターが1から10まであって、10に達したとき寝落ちてしまうとするならば、生理前は常に8から10という異様な眠気に襲われる。今日も3時間ほど昼寝と覚醒を繰り返した。なんど目を覚ましても、沼の底に引きずり込まれるような睡眠欲に首根っこを掴まれ、気絶するようにまた眠りに落ちた。つよい雨の音でなんどめかの覚醒をする。電気を点けていない部屋はすっかり暗くなっていた。まどろんでいると一瞬だけ何かが光って、雷だ、と思う。音は遅れてやってきたからかなり遠い。彼氏の所は大丈夫だろうかと寝ぼけた頭で思ったあとに、向こうはそもそも雨すら降っていないかもしれないのかと気付く。遠距離ってそういうことだった。だから寂しいとかではなくて、ああそっか文字通り手の届かない所にいるのだと実感を伴って確信に至った。

 

何もかも落ち着いたらめいっぱいめかしこんで、ひとりで美術館とカフェとカラオケと大型書店を1日中くるくると回って遊ぶのだ。