あおいろ濃縮還元

虎視眈々、日々のあれこれ

ライジングサン2018 ②

17:00~ def garage にて Saucy Dog。

 

列伝2018で初めて観たサウシーに、完全に虜になった。切ない歌詞、歌唱力、すべてに心打たれた。

(そのときの様子はこちら→ スペースシャワー列伝2018 札幌 - あおいろ濃縮還元

 

 

【Saucy Dog】

リハ1.  Wake‬
リハ2.  バンドワゴンに乗って‬
リハ3.  ナイトクロージング‬

  1. メトロノウム
  2. 真昼の月
  3. いつか
  4. グッバイ

 

(セトリ完全にうろ覚えなので間違ってたらすみません)

 

 

30分前にリハーサルが始まった。最後の部分だけやった『ナイトクロージング』は歌詞をド忘れしたらしく 「歌詞わかんな!」 と笑っていた。

 

本日の舞台である def garage は、若手の登竜門ともいえる屋根つきのハコである。

「def の意味って知ってます?調べてみたら、"素晴らしい"とか"カッコイイ"とか"イカした"って意味があるみたいです。イカしたステージにします!」

「メインステージはSUN STAGE だけど…ここが(僕らにとっての)メインステージってことでいいですか?」 との言葉にしびれた。

 

再登場する3人。慎也さんがアコギを鳴らす。それだけでわっと歓声が上がった。

もういちど、鳴らす。ふたたび沸き起こった歓声をのみこむように 「私達ね、もう大人だからね 好きなだけじゃ一緒にいられないのは もう分かってるよね?」 と歌いはじめた。『煙』。

 

音源で聴くよりも透明感と迫力のある歌声が、歌詞の切なさに磨きをかける。「うだうだ過ごしたあの日々が無駄になる気がした やだやだこのまま知らぬふりで通せば君と笑えたかな」 「強がって言った 「じゃあねバイバイ」 」、熱がこもっていく声にじんとくる。全力でバラードを歌う人が好きなんだよな。

 

『メトロノウム』の詞を追いながらじっくり聴いていたら、「濃霧の中走った夜も無駄なんかじゃないよね」 という箇所で初めて 「ノウム」 が 「濃霧」 とかかっていたことに気づいた。今更。もっとちゃんと聴こう。

 

 

サウシーは特に失恋ソングが大好きなんだけど、『メトロノウム』『真昼の月』のような夢に向かっていく曲も大好き。

Saucy Dog はこんなところで留まっているようなバンドじゃない。back number や My Hair is Bad を初めて知った時と同じ感情が渦巻く。こんなにいい歌を唄うバンドが、もっと高みに行けないはずがないと。このまま、地に足をつけたまま突き進んでほしい。ずっと応援していたい。

 

 

「ここがメインステージとは言ったけど、いつかはSUN STAGEに立ちたい」 そう慎也さんは言う。

「1週間前、おじいちゃんがおばあちゃんの後を追うように逝ってしまって。悔しかった。もっと大きなステージに立って、ホールツアーが出来るようになったらおじいちゃんをライブに呼んであげられた。悔しかったんです」

「身内が亡くなっていくと、次はうちの両親かな……なんて不謹慎だけど思ったりする。孫を抱かせてやりたいけど、それはメインステージに立てるようになってからだなって」

「さっきから僕の周りをずっと虫が飛んでて。……でね、楽屋にも同じ虫いたよね?もしかしたらおじいちゃんが、亡くなったあと初めてやるライブを観にきてくれたのかなって。アブなんですけどね。アゲハとかじゃなくて、よりによってアブかよって (笑) 」

無理に笑うでも泣くでもなく、ただ穏やかに、時折メンバーとアイコンタクトを取りながらそう話してくれた。心と目頭がじんわり熱くなった。

 

『いつか』を熱唱する気迫に圧倒され、『グッバイ』で有終の美を飾る粋さに感服し、30分ほどのステージはあっという間に終わった。リハを含めても1時間足らずのステージで、こんなにも心を揺さぶられるものだろうか。

ああ。また Saucy Dog に恋に落ちてしまった。

 

 

 

↓ 極上センチメンタルバラードはこちら ↓

Saucy Dog / いつか(Official Music Video) - YouTube

 

次回、③は大人見した ASIAN KUNG-FU GENERATION の様子をさらっと。

あおでした。

 

ライジングサン2018 ① - あおいろ濃縮還元

ライジングサン2018 ③ - あおいろ濃縮還元

 

ライジングサン2018 ①

8月10~12日にかけて行われたオールナイトフェス 「RISING SUN ROCK FESTIVAL 2018 in EZO」、2日間参加してきました。

 

雨が降ると田んぼのように道がぬかるむことで有名なライジングサン。今年もドロッドロで、長靴が重宝しました。そのかわり程よく涼しくて、熱中症の心配はなかった。涼しく過ごせる夏フェスなんて、日本ではライジングしかありえません。地元の誇り。

 

 

 

初日一発目は EARTH TENT というステージにて、15:40~ 岡崎体育

 

 

岡崎体育】 

リハ 弱者

  1. Stamp
  2. R.S.P
  3. Call on
  4. FRIENDS
  5. 感情のピクセル
  6. Instant Brade
  7. XXL
  8. The Abyss

 

 

リハでやった『弱者』、最初は安定の口パクだったのだけど後半は普通に歌っていたし、最後はアカペラだった。レアなものを見れた。音のチェックを終え、歓声を受けながら袖に引っ込んでいく体育氏。

 

再び現れたときには、お馴染みの盆地テクノパーカーを着ていた。いくら涼しいとはいえさすがに暑そう。

 

1曲目がはじまると観客のボルテージが一気に爆発した。北海道のお客さんは熱気がすごい、とどのアーティストも言う。県民性(道民性?)もあるのだろうが、そもそも全国ツアーから除外されがちである北海道は、好きなアーティストを観られる機会がせいぜい年に1回しかない。

ずっと心待ちにしていたステージを目の当たりにして嬉しくてたまらない、動かずにいられない、みたいな人ばかりで、私もそのひとりで、もう幸せでたまんなかった。

 

「その場で足踏みしようか」 とのことで、曲に合わせて足踏みをする。まだ照れが残っているのか反応はまばらである。

そんな空気を払拭するように、「足踏みしろって言ったけど、足踏みだけじゃ終われませんよね?」 といったふうに煽ってみせる体育氏。ヒートアップしていく会場。

 

「踊れ~!」 との声に応え、思い思いに体を揺らしたり飛び跳ねたり手を突き上げる。

「次はジャンケンで僕に勝った人だけ踊ってください。あいこと負けた人は棒立ちで見てて。最初はグー、ジャンケンポン!パーの人は踊れ~!!」 そして本当にパーの人だけ踊る。まんまと負けた私はその様子をにやにやしながら眺めた。なんたるシュール。

「もう1回ジャンケンで僕に勝った人は踊ってください。僕はグーを出しますよ。いいですか、グー出すからね?」 八百長試合に乗せられ、最後はフロア全員で踊る。初っ端から既にめちゃめちゃ楽しい。

 

 

「北海道の人~!」 と聞かれ、見たところほとんどの人が手を上げていた。そりゃそうだろ……と思っていたら 「地元の人が多いフェスはいいフェスです」 と言ってくれてなんだか誇らしかった。確かに、ここまで地元民に愛されて根付いてるフェスは珍しいのかもしれない。

 

バンドに対して敵対心があるといった前フリをはじめる体育氏。そんな僕も今日は友達を呼んできました!とおもむろにDJ卓の後ろにしゃがむ。なにやらゴソゴソした末、相棒のてっくん(※てっくんが何者であるか知らない人はMVを見よう)を引き連れてくる。黄色い声ともつかない歓声が上がる。完全にアイドル扱い。

 

和やかな序盤とは裏腹に、「バンドざまあみろ」 と激しく中指を立てる『FRIENDS』。普通に生きててあんなに全力で勢いよく中指立てることないので楽しかった(※何を言ってるかわからない人はMVを見よう)。

 

 

物販の売れ行きをマネージャーが視察しに行ったところ、とあるカップルの会話が耳に止まったと話す体育氏。

彼氏 「岡崎体育のグッズ買おうかな~」

彼女 「え?いいよ、1曲しか知らないし」

そんなエピソードを受け、「今日は1曲以上知って帰ってください!」 とのことだった。面白おかしい感じで話していたし、大爆笑も起きていたけれど、悔しかっただろうな。

 

『感情のピクセル』の盛り上がり、ものすごかった。ハードな曲調に合わせて強く拳を突き上げる観客。バッキバキにキメ倒すAメロ・Bメロを終え、「どうぶつさんたちだいしゅうごうだわいわい」 と歌うサビではみんなきちんと振り付けをこなしていた。なにこのシュールの極み。好き……。

 

 

有名な曲で会場をあたためたあとは、怒涛の畳み掛けをみせる。誰も真似できない激ムズなコールアンドレスポンスで爆笑の渦を起こしたり。

 

岡崎体育のライブにおいて 「お客さんを笑わせる」 ことは、会話における 「掴み」 と同じ役割を果たしていると思った。笑わせてグッと心を掴むことで自然と手が上がったり、跳んだり踊ったりすることにも抵抗がなくなる。気づかないうちに自然とアツくなれるライブを、岡崎体育は全てわかったうえで作り上げている。舞台構成ハンパない。

 

 

あっという間に最後の曲。残り45秒しかないからいちばんシンプルな方法で盛り上がろうと、残された時間でめいっぱい跳んだ。

 

 

「最後に、言霊置いていきます」

すべての曲をやり終えたあと、真剣な顔つきでそう言った。

 

「2020年までにさいたまスーパーアリーナでワンマンライブをします。これは昔から言ってきてるんですけど、スタッフにも笑われた。お客さんにも笑われた。当時お客さん3、4人しかいなかったけど」

泣きそうになった。誰も本気にしてくれなかったんだろう。そりゃそうですよね~って自虐するように笑ってきたんだろう。それでも言い続けてきた大切な夢なんだろう。

 

「言霊置いていきます。僕は、2020年までに、さいたまスーパーアリーナでワンマンライブをします。ありがとうございました」

そうきっぱり言い残して袖に消えた。

体育氏の去ったステージに向けてものすごく大きな拍手が起こって、また泣きそうになってしまった。こんなんずるい。それまで散々笑いの渦起こしまくってたのに、急にかっこよすぎる。なんなんだ、かっこよすぎる、岡崎体育

 

 

一発屋芸人みたいに捉えられることが多いと本人も言っていたし、私も最初はそう思っていた。でも岡崎体育の生み出す "笑い" はあくまでもお客さんの心を掴むためのいち手段であって。YouTubeからフェスへ、フェスからワンマンへ、そしてそうやって魅了して獲得したリスナーを、いつかはさいたまスーパーアリーナへ。岡崎体育が着実に踏みしめてきた夢物語の行き着く先を見たいと思った。

 

素晴らしいステージでした。一発目からヘドバンまでしてしまった。楽しかった~!!

 

 

 

↓相棒の "てっくん" が登場するMVはこちら↓

岡崎体育「FRIENDS」Music Video - YouTube

 

↓どうぶつさんたちがわいわいするMVはこちら↓

岡崎体育 『感情のピクセル』Music Video - YouTube

 

ちなみに岡崎体育のMVを監督しているのは "寿司くん" ことヤバイTシャツ屋さんのこやまたくや氏です。才能がすごい。

 

次回は Saucy Dog の感想をお届けします。あおでした。

→(ライジングサン2018 ② - あおいろ濃縮還元

 

OTOツアー横浜記 3/3

コブクロOTOツアー、横アリ2日目。

 

(横浜観光のはなしはこちら。マジでひとり旅満喫してるだけの話なので、暇な人だけどうぞ。→http://bloomsky.hatenablog.com/entry/2018/06/07/002214

(横アリ1日目のレポはこちら。こっち先に読んだほうがいいと思います。→http://bloomsky.hatenablog.com/entry/2018/06/20/202802

 

 

 

昨日も参加して今日は2日目。だからちょっとは平常心で臨める、かと思ったのだけど。


トレードで競り落とした席は、アリーナのめちゃくちゃ前方。目の前には花道の先端。

「日替わりで好きな曲やったらみなとみらいに遺骨撒いてくれ」 なんてほざいてたけど、これ好きな曲が来ようが来るまいが死ぬやつだ……。心臓ばっくばく。

 

トドメを刺すように、小渕さんによる場内アナウンスが入る。

「バンドメンバーがいない寂しさからコブクロが楽屋から出てこない場合がございます」 

「たった今、黒田がサングラスを外しました!」 「おっと、小渕が黒田にサングラスを掛けました!気合十分です!」

 

拍手が起こり、スクリーンの映像が切り替わる。数秒ずつ繋ぎ合わされたストリートライブ。坂道やらBye Bye Oh! Dear My Loverやら日本列島観察日記やら、ため息が出るほどのレア曲ばかり。

 

 

映像が止み、目の前の花道に黒田さんが現れる。あまりの近さに絶句する。私のまわりの人たちは黄色い声とも悲鳴ともつかない声をあげていた。

 

え、近くない?大丈夫なのこれ?追加料金は払わなくてもいい?ご祝儀とか必要だった……?

 

ゆるっと着た襟つきシャツ(のちのMCで 「チェ・ホンマンの彼シャツみたい」 と言っていたやつ)の皺まで数えられそうな近さである。生きられるのだろうか、私。

 

 



ふたりが拳をクロスさせて『YELL』を歌い始める。「今 君は門出に立ってるんだ」。コブクロ20周年の門出を祝っているようにも、自分に言われているようにも聞こえて。

 

昨日は1曲1曲をふたりのこれまでの軌跡やこれからの未来に重ねて聴いた。この日は自分自身にも重ねて聴くようになっていた。

 

私が横浜まで遠征しにきた理由は、ただ地元でツアーをやらないから、だけじゃない。横浜公演の翌週から就職が決まるまでの1年は、遠征も旅行も難しくなるから。就職前最後の贅沢にする心づもりだった。これから1年頑張るために。

 

だから、力強く後押ししてくれるような『YELL』が沁みて仕方なかった。合図にあわせて灯っていく白いライトが綺麗だった。

 

 

 

静寂のなか、黒田さんの 「カモンッ」 という低い声が響いた『One Song From Two Hearts』。


この曲はも~~ほんとだめ。泣いちゃう。19年ものあいだ酸いも甘いも共に越えてきたふたりが、ふたりだけで歌うワンソン。まだ2曲目なのにクライマックスみたいな泣き方をしてしまった。

 

 

 

横浜公演ということで、昨日に引き続き 「横浜の2人組」 の話になる。コブクロのふたりとマネージャーさん、レコード会社の人とでゆずのライブを観に行った話をしてくれた。
黒 「こいつな、間にレコード会社の人おんのに、その人挟んで『この演出ええね!』とか言ってくるねん。そんなん後でええやん」

小 「思ったときにすぐ言いたいやん」
黒 「俺も同じもん観てるっちゅーねん」
小 「頷いてくれてたやんか~」
痴話喧嘩にしか見えない。並んで座れよ。

その流れで 「今日は横浜ってことでお守り持ってきてん」 と、ゆずのグッズで売っている青いタンバリンをどこからか取り出す黒田さん。

 

オンタンバリン黒田俊介で送る『夏色』。タンバリンを叩くのと歌うのがどうしても同時にできず、自分の歌う箇所でいちいち叩く手を止めていた。歌ときどきタンバリン、といった感じ。

1番で終わるかと思ったらまさかのフルバージョン。めちゃくちゃ盛り上がった。
「もう1回!」ってコールするやつ最初はお客さんが自然と言い始めたんだけど、それに応えてやり終えたあと、小渕さんが 「もう1回!」 を催促するように指立ててみせてた。あざとい。

 

 


お客さんのリクエストで 「その日の気分」 1曲目は『向かい風』に。恥ずかしながらこの曲、ふんわりとしか聴いたことがなかったのだけど。なにこの名曲……。歌詞もメロディーもすっごいよくない?失恋ソング大好き人間だからたまらん……。

 


お次は 「俺のやりたいやつやっていい? ほんわかした曲にしよ」 と小渕さん。曲名を伏せたまま黒田さんに楽譜を見せる。
黒 「こいつ今、口笛吹ける?って言いよった!吹けるわけないやん!」

口笛?『Bell』かな?でも全くほんわかしてなくないあれ?なんて思ってたら、始まったのは『朝顔』。確かに曲調はほんわかしてる。

黒田さんの 「このままどこへも行かないで」 をいっぺん聴いてみたかったので嬉しかった。アレンジ効いてた(原曲うろ覚えなせい)けど。

 

アレンジ繋がりで、ストリート時代黒田さんがろくに原曲聞かないくせにカバーしてたからアレンジ加えてるみたいになってたって話。小渕さんが 「ちょっとぐらいの汚れ物ならば~」 って『名もなき詩』のワンフレーズ弾き語ってくれて死にかけた。小渕さんの歌うミスチル大好き……。

 

 

 


さて、「その日の気分」 枠も、もう最後。私にとっては今日がOTOツアー千秋楽だから、ほんとうにこれが最後。聴きたい曲は山ほどあるから何が来ても嬉しいなあ、なんて心の中で保険をかけていた。何が来ても全力で喜べるように。

でも、ほんとはどうしても1曲だけ、聴きたい曲があった。

 

思い思いの曲名を叫ぶ観客。黒田さんが 「全然何言ってるかわからへん!1人ずつ言ってーや!」 と、客席のお兄さんにマイクを向けた。
「なに聴きたい?」
「『どんな空でも』!」
「よし、それやろう」

 

 

 

 

…………………………え、

どんな空でもって言った、よね?

 

唯一、どうしても聴きたかった曲。

ほんっっっっっとに心臓止まるかと思った。

 

 

100も200もある楽曲のなかで最も好きな、いや好きなんて言葉じゃ言い尽くせないぐらい大事な曲なんですよ、『どんな空でも』は。思い入れしかない。小学生の頃からずっと好きで、この曲に支えられていまの私があるようなものだから。

 

しかも 「その日の気分」 コーナーでやった曲って他の公演で二度とやらないんでしょ。今日まで歌わないでいたことも、今日歌うことになったのも、なんか偶然とは思えなくて。

「ライトつけよっか!白にする?青?青がいい?青にしよっか」

あおって名前で良かった……と心底思った。本名じゃなくてただのペンネームなんだけど。本名に青色が入ってるところから付けた思い入れのある名前なので。なんか嬉しかった。

 

この先、新しいツアーに参加するたびに最高のライブが更新し続けられていくと思うけれど、私にとって人生最良のライブは今日この日でしかあり得ないな。

 

この日のこと、ずっと忘れたくない。会場を彩る青いライトもふたりの姿が終始涙でぼやけていたことも横アリに響いたシンガロングも大好きな曲を大好きな街で聴けたこともぜんぶ。多幸感に満ちてたあの数分のこと、きっと一生大事に持っていく。

 

 

 

「ツアーというよりは今日1日限りのイベントをしてる気分です」 と小渕さんも言っていたとおり、昨日と今日じゃまるで別の作品を観ているみたいだった。日替わり曲というスパイスがよく効いている。

『DOOR』の圧倒的歌唱力に沸いた横アリ1日目。ライトを振ったり合唱することで一体感を生んだ『どんな空でも』。ほんの数曲でこんなにも空気が違う。これだからコブクロのライブはやめられない。

 

 

 

 

日替わりはここで終わりかと思っていたら、まだあった。昨日は『風見鶏』『ここにしか咲かない花』だった箇所が、『風』『蕾』になっていた。

 

のちの曲説のとき、『風』で 「この道は誰とも歩けない」 と歌ったあとに『蕾』を歌うのは感慨深くもあった、みたいなニュアンスのことをさらっと言っていて涙腺ダム決壊した。

 

「今まででいちばんよかった」 と小渕さんも言ったように、この日の『蕾』は本当にすごかった。今まで聴いたどの『蕾』よりも心にくるものがあった。右隣のお姉さんはしきりに目を拭いていた。左隣の老夫婦はめがね外してハンカチで拭ってた。私も気づいたら泣いてた。なんか、すごかった。

 

 

 

アンコール1曲目は『赤い糸』。「赤つけて」 との言葉に呼応するように赤く灯っていくライト。ステージをスクリーン代わりに映し出された赤い糸を模した照明が、曲のラストにはリボンの形に結ばれていたのが印象的だった。

 

 

 

OTOツアーは 「歌」 がものすごく生きていた。編成を最小限まで削ることで、黒田さんのもつ歌のよさに磨きがかかっていた。小渕さんのギターもより際立っていた。

1と1がぶつかり合うことでどこまでも無限の可能性が生まれていく、奇跡みたいに最強の二人組。

 

20周年へ向かって走り出すふたりが、19周年から20周年へと繋ぐバトン。それがこの、ONE TIMES ONE、コブクロ史上最大規模のストリートライブだったのだと思う。

 

 

 

【2018 6/3 横浜アリーナ セットリスト】

  1. YELL
  2. One Song From Two Hearts
  3. Million Films
  4. ストリートのテーマ
  5. 君になれ
  6. 向かい風
  7. 朝顔
  8. どんな空でも
  9. Ring
  10. 潮騒ドライブ
  11. Moon Light Party
  12. ONE TIMES ONE

En1. 赤い糸

En2. バトン

 

その日の気分→ 青

日替わり曲→ 赤

 

 

 

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ずっと消化できずにいた人生最良のライブ、これにて供養完了いたしました。横浜2日目で聴いた『どんな空でも』を一生忘れない。横アリの空気染み込ませたリング嵌めて、またコブクロに会いに行けるまでがんばります。次はもっと成長した姿見せに行くから待ってて。

 

会ってくださったファミさん、銀テ分けてくれた隣の席のお姉さん、どんな空でもリクエストしてくださったお兄さん、約束したけど会えなかったフォロワーさん、ここまで読んでくださった方々も、ありがとうございました。

あおでした。

 

土曜、とりとめもなく

土曜も学校に行かねばならなくなったこの頃、下手すれば平日よりも早起きしなくちゃいけない土曜の朝が、ちょっとだけ嫌い。

 

学校に行く日は毎朝、円陣を組むような気持ちで、鎌倉で作ったリングを嵌める。なにもしたくない淀んだ朝に、横浜遠征のこと、横アリで聴いたあの曲のことを思い出す。あの曲を聴いたときにこれから1年間なにもかも乗り越えられると思った。こんなとこで折れてる場合じゃないのだ。やってやろうじゃん。毎朝、そうして気合いを入れ直す。

 

 

 

 

だけどやっぱり今日は特別に憂鬱で。

 

ほんとうは今日、学校なんかじゃなくジョインアライブに行きたかった。

岩見沢に染み渡る『starrrrrrr』が聴きたかった。小綺麗なカットソーとワイドパンツなんかじゃなくて、洗濯しすぎて襟ぐりの伸びたバンドTシャツとしわくちゃのリラコが着たかった。満員電車じゃなくてモッシュでぐちゃぐちゃになりたかったのだ。

 

 

内心メソメソしながら8時前に家を出る。アスファルトに照る日差しが眩しい。工事現場に作業服のおっちゃんたちが集まってラジオ体操をしていた。中学校のグラウンドでは野球部が準備体操をしている。この頃は早朝か昼過ぎか深夜しか出歩いていなかったので、まさに動きだす準備をしている街がなんか新鮮で愛おしかった。

 

バスに乗って再生するBase Ball Bear。今年のライジングサン、大トリをベボベスカパラのどちらにするかで盛大に迷っている。圧倒的にベボベの気分だけれど、『白と黒のモントゥーノ』が生で見れる機会なんてたぶんもう二度とないわけで。

悶々としながら『真夏の条件』を聴く。「ポロシャツ脱ぎ捨てて 迷える指を這わす」 という歌詞に差しかかったあたりで隣にポロシャツ姿の高校生が座ってきて、こんな漫画みたいなことがあっていいのかよ……と軽くどぎまぎした。

 

 

板書をとりながらも、いま私がこうしている間にも岩見沢は沸いているのだと歯がゆくなったりもした。だけど仕方ないし、ライジング行けるだけラッキーだし、明日はフレデリックのライブビューイングだし、じゅうぶん幸せなのに。欲張っちゃいけないな。ここで我慢したぶんライジングはもっと楽しめてありがたみを噛み締められるはずで。

 

嫌なことがあるからって不幸になるわけではない。朝の街が素敵だったこととか、エアコンのきいたバス、好きな音楽、代わりに小さな幸せはいくらでも転がっているわけで、いつもそこに目を向けられる人間でありたい。でもそれだけで満足したくはない。小さな幸せを噛みしめながら、より大きな幸せに向かって突き進むのだ。不幸なんて付け入る隙もないぐらい。

 

 

何を言いたいのか自分でもよくわからないけど、最近忙しいわりに心が豊かで平穏なのは、そういうスキルを磨けたからかな~と思う。

 

休憩時間にこれを書くことでいいリフレッシュになった。いっちょもうひと頑張りしてきます。そしてライブビューイングを楽しみ尽くす。やったる。

 

あおでした。

 

眠る街、ど真ん中で

大通~すすきのにて行われる 「四番街まつり」。

その野外ステージで、THE BOYS&GIRLS、通称ボイガルのライブを観た。

 

 

ボイガルは2度目。「桃白白ナイト」 というマイヘア主催のライブ以来2年ぶり。

歌詞に 「新川通り」 だとか道民に馴染みのある単語がばしばし出てくるのと、熱いライブパフォーマンスが印象的だった。こんな泥臭くてかっこいいバンドが北海道にいるんだ!と嬉しくなったのを覚えている。

 

そのボイガルが無料ライブをするということで、ろくに曲も知らないまま出向いた。連日降り続いていた雨はどこへやら、空は気持ちよくカラッと晴れている。薄いワンピース1枚で来たのに日差しが暑くて、出店で手に入れたビール片手に歩いている人が羨ましく見えた。飲めもしないくせに。

 

4プラ(4丁目プラザというファッションビル)前の交差点は歩行者天国になっていた。ふだん車の往来する道のど真ん中に現れる簡易ステージ。その前に置かれたいくつかのベンチには、ファンと思しき若者や、休憩している老人、親子連れまで、老若男女いろんな人たちがいた。

 

 

 

 

 

「普段はライブハウスっていう狭くてタバコの煙がぷんぷんもくもくしてるとこでライブしてます」 と話すボーカル・ワタナベシンゴ氏。

「ここは気持ちいいね!タバコくさくない!」 と嬉しそうに言い放ち、メンバーからツッコミを食らっていた。仲良さそう。

 

10分ほどで楽器のセッティング、音出しを終え、リハーサルで『錆びないダイヤ』を演ると一旦ステージを降りる。15:20、司会に呼ばれてふたたびステージに立ったときには、ドラマーがパンイチになっていた。初っ端からなかなかの破天荒っぷり。

 

「ここにいる人たち全部知らない曲だと思う。でも、それでいいのだ。それがいいのだ」

 

 

 

7/8 セットリスト

1. 歩く日々ソング

2. ノンフィクションの約束

3. せーので歌うバラード

4. パレードは続く

5. ライク・ア・ローリング・ソング

 

 

 

 

アルキタのCMに書き下ろされた『歩く日々ソング』。「丸まってたカナリヤの鳩もそれぞれの決意を胸に飛んだ」 という箇所で、前方に指を向けるシンゴさんに思わずニヤッとした。鳩をシンボルマークに掲げる 「カナリヤ」 という手芸品店は、ここ大通にある。

 

眠る街 ど真ん中で僕は 「その時」 が来るのを夢に見てる」。大通という栄えた街、その交差点のど真ん中でそう歌うシンゴさんを見ていたら、まだ1曲目なのに目頭が熱くなった。

 

風に煽られて機材が倒れたり、マイクスタンドが縮んで間奏のときに自ら手直ししたり、一時的にドラム以外の音がすべて出なくなったり、細々したハプニングはたくさんあった。でもそんなの全然気にならなかった。

 

時にステージを降りて、時に客席であるベンチの上に立って、アツく観客を巻き込んでいくボイガルはかっこよかった。楽しそうにリズムに合わせてうちわを降るおばあちゃん、食い入るようにステージを見つめる子ども。ライブハウスでは絶対に見られない光景が眩しかった。ロックは世代を越えられるのだと思った。

 

 

『せーので歌うバラード』の歌詞にも所々ニヤッとさせられた。「24時過ぎ丸山を追い越してった東西線」 「24時前一日の終わりを乗せた東豊線」 「ギターを持って逃げ出して雨に降られた南北線」、これらすべて札幌市営地下鉄のことだ。

 

あちこちに札幌を感じる歌詞がボイガルの魅力のひとつだと思う。東京やその他大都市のことを歌うバンドはあれど、札幌にフューチャリングした歌ばかり書くバンドは、私の知る限りボイガルくらい。道民としてはすごく嬉しい、こういうの。

 

 

 

「こんな嘘みたいに晴れた空の下」 と空を仰ぐシンゴさん。

「俺ら見るからに売れてなさそうでしょ?……『そうだね』じゃないよ!確かに売れてないけど!笑」

 

「俺らみたいな売れないバンドマン、俺らの仲間が西日本にたくさんいる。いま西日本がどういう状況かはみんなも知ってると思う」 と大雨災害のことを暗に示す。

「昨日は大阪でライブがあって。俺らは羽田から神戸に飛んでなんとか着けたけど、来れなかったバンドもいた。俺らの仲間もその中にいた」

「こんな晴れた空の下でライブができることを誇りにします。胸張ってやります」

言い回しなどだいぶ違うかもしれないけど、大体こんなニュアンスのことを話していた。自分たちに今やれることを全力で。そしてそれがボイガルにとっては音楽を鳴らし続けることだった。じんときた。

 

「THE BOYS&GIRLSという名前でやってるんだけど、覚えてなくてもいい。なんか変な奴らがよくわかんないこと歌ってたなって、帰ったとき、眠る前にベッドの中で思い出すだけでいい。変な奴らがいたなってそれだけでいい」

 

 

もうステージ降りないし暴れないから!ちゃんと歌うから!と言って始まった『パレードは続く』。今までも盛り上がっていたけれど、この曲でガラッと空気が変わったように思う。うまくいえないけどグッときた、この曲。

 

 

あっという間に最後の曲。シンゴさんが 「ライブハウスにしようぜ!……ここ空いてるけど、いいの?」 と、ステージとベンチの間にぽっかり空いたスペースを指すと、ライブハウス慣れしていそうな人たちがどっと押し寄せた。

 

『ライク・ア・ローリング・ソング』。曲に合わせて拳を突き上げて飛び跳ねる観客の様子は、もう完全にライブハウスそのもので。街中にライブハウスを作り上げてしまうボイガルすごいな。

シンゴさんはお客さんのうちわや腕をかじってみせたり、挙句ダイブして肩車された状態でしばらく歌ったり、好き放題やってた。お祭りのプログラムのなかのひとつ、というどアウェイなステージを完全にホームにしていた。

 

かっこよかった。がむしゃらで泥臭くてかっこよかった。たまたま通りがかったボイガルを全然知らなかった人のなかにも、なんかすごいことやってたなあって爪痕が残せたらいいなと思った。私もめちゃくちゃにわかだけど。

 

 

老若男女いろんな人たちがロックバンドの歌に触れて、魂に触れて、身も心も踊らされる風景はすごく美しかった。いい景色見せてもらったな~。

 

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(※これはボイガル全然関係なくて、ただのお祭りのうちわの写真)

 

いい加減コブクロ横アリ2日目やその他諸々のレポのほうも書き上げますね。あおでした。

 

序走

エリートコースまっしぐらだったかつての同級生は死の淵を彷徨い、現在は夜の仕事をしていると風の噂に聞いた。ずば抜けて美人だったあの子はシングルマザー、教室の隅で生きづらそうにしていたあの子は上京してバリバリ働いており、あの子は教育実習に、あの子は遠い国のホテルマンに。同い年なのに人生はこうも枝分かれしていくものなのかと不思議な気持ちになる。

 

私はといえば、いつでも勉強に追われながら、余暇をライブに注ぎ込む日々である。大学生ってもっと遊べるもんだと思ってたな。ずっと助走に次ぐ助走で、特に大きなことは成し遂げられていない。まだ。

 

わかりやすい波乱はないが、細々した試練はどっさりあった。傍からは順調に見えるのかもしれないけれど、要領が悪いから命がけで登りつめてきたわけで。小中高と12年間に及ぶ低迷期を乗り越えたおかげで強靭なメンタルも身についた。もう並大抵のことじゃめげない。

 

大人びて見える同級生たちを羨ましく思うことはあれど、だからといって焦らない。いままでの人生はまだ助走なのであって、ほんの序章に過ぎない。いつか出し抜く日を虎視眈々と狙うのだ。爪を研ぎ澄まして、チャンスを迎え撃つ日を待ってる。負けないよだれにも。

 

OTOツアー横浜記 2/3

コブクロOTOツアー、横浜アリーナ1日目。

 

の様子を綴る前に、ワンクッションとして、願望垂れ流しツイートをざっと載せておく。

(そのあとの文章からはがっつりネタバレかますので、嫌な人はここでブラウザバックお願いします)

 

 

 

 

 

 

 

 

「WELCOME TO THE STREET」 と銘打たれている通り、このツアーは、コブクロのふたりだけで行う "ストリートライブ" をコンセプトにしている。歌とギターのみのシンプルな構成でアリーナやドームを巡る。

 

 

会場に入り、目をみはった。

なんだこれ…………。

 

センターステージが中央に据えられ、そこからバツを描くように伸びる4本の花道。花道の上からはスクリーン代わりに白い布が吊るされ、ある映像が投影されている。

 

見覚えのあるグリコの看板。大阪は心斎橋、ひっかけ橋から見えるビル群を模したイラストが映しだされていた。ただしグリコ以外の看板には、もぎたての広告など、コブクロに馴染みのあるものが掲げられている。その下を行き交う人並み、がやがやとした効果音もあいまって、ある感覚に陥る。

 

私はいま、紛れもなく、ストリートライブに来ている。

 

路上から芽を出したふたり、その始まりの場所に、私たちは招かれたのだ。

 

 

 

 

 

 

開演時間を少し過ぎたころ、アナウンスが流れはじめる。アナウンスは本業のお姉さんではなく、明らかに小渕さんの声。

「LEDや手拍子などコブクロが喜びそうなことはどんどんやってください。もう我を忘れるぐらい、も~~こんな自分今まで見たことないってぐらいはっちゃけてください」

コブクロ以外のアーティストのライトを持ってきたり、まさかとは思いますが、懐中電灯にリボンを巻き付けて持ってくる人はいませんよね???」

「また、今回のツアーはふたりきりです。バンドメンバーがいない寂しさから、コブクロのふたりが楽屋から出てこない場合がございます」

などと会場を沸かせていく。

 

 

アナウンスが終わると、スクリーンに変化が訪れた。若かりしふたりがストリートライブをしている映像、それが矢継ぎ早に切り替わっていく。個人的には、「I will never forget loving you」 と『坂道』を歌うシーンでぶっ倒れそうになった。

 

映像が消える。歓声があがる。花道の両端にそれぞれコブクロのふたりが現れた。

 

中央に歩み寄り、拳をクロスする。はじまりの合図。

 

 

 

 

 

 

 

 

【2018 6/2 横浜アリーナ セットリスト】

  1. YELL
  2. One Song From Two Hearts
  3. Million Films
  4. ストリートのテーマ
  5. 君になれ
  6. 永遠にともに
  7. 2人
  8. DOOR
  9. Ring
  10. 風見鶏
  11. ここにしか咲かない花
  12. 潮騒ドライブ
  13. Moon Light Party
  14. ONE TIMES ONE

En1. YOU
En2. バトン

その日の気分→ 青
日替わり曲→ 赤

 

 

 

 

今年20周年を迎えるふたりのツアーは、メジャーデビュー1曲目で幕を開けた。「今 君は門出に立ってるんだ」、歌詞のひとつひとつがコブクロの姿と重なり、はやくも泣きそうになった。

 

次いで、『One Song From Two Hearts』。バスドラムのキックを踏む小渕さんの足元がビジョンに抜かれる。「外れた車輪 ボルト締め直したら Go way」 なんて歌われたら、もう駄目だった。大粒の涙が頬を伝っていくのがわかった。

ストリートから這い上がり、時代を席巻したふたりが1度立ち止まり、また進み出すために作った歌。ふたりきりで歌う 「二つの心重ね 歌うよ」 が、沁みる。

 

 

『Million Films』は、ギター1本だと聞こえ方がほんとうに違った。アコギの音のきらきら具合に、「ツマビクウタゴエ」 と通ずるものを感じる。

あとこれ純然たるラブソングなんだけども、 「100万枚撮りのフィルムでも撮りきれない程の想い出を 君と二人 未来へと焼き付けていけたら良いな」 という箇所を思わずふたりに重ねてしまった。尊い

 

 

 

 

 

「ギターコーラスの小渕健太郎です、今日は最後までよろしくお願いします」

「ボーカル担当の黒田俊介です」

「いつもならここでバンドメンバーを紹介するんですが、今日はふたりきりなので…」

「いや、小渕さん、メンバー紹介しましょう」

「?!」

「オンベース寛雄!」

突然の無茶ぶりにもかかわらず、アコギをベースに見立ててベンベン弾く小渕さん。動きも顔もだいぶ寄せてる。即興のくせに、弾き終えたあと手をヒラヒラさせる謎の動きまで完コピしている。

 

ベースやギターのみならずパーカッションやドラムまでも、アコギのホールを叩いて再現する。全体的に馬鹿にしてたけど(主に顔)クオリティは高い。

キーボードはどうするのかと思っていたら、ギターでキーボードみたいな音色を奏でたあと(すごい)ホールに顔突っ込む勢いでハミングし始めて笑った。よっしーさんの再現度高すぎる。

 

さすがにストリングスは……とだれもが思ったであろう矢先、小渕さんはなんのためらいもなくギターを肩に載せてあごで挟んだ。まじか。やる気かこの人。

「ファーストバイオリン漆原直美! 」

がんばって腕を伸ばし、バイオリンの真似をしてみせる。キツそうだったけど絵面はだいぶ面白かった。

黒田さんはこのくだりをひどく気に入って 「これ恒例にしよう!明日もやろう!」 と大ウケしていた。

 

 

 

 

WELCOME TO THE STREET、と銘打つからには外せない曲、『ストリートのテーマ』。確かこのとき、ふたりが突然ゴンドラに乗ってアリーナとスタンドの合間をそれぞれ半周しはじめた。

LEDといい握手会といいゴンドラといい、40代突入してからアイドル化著しくないですか。観客を、そしてなにより自分たち自身を飽きさせない努力が凄まじい。そういうとこ好き。

 

 

前回のツアーでは1曲目に歌った『君になれ』。アコギだとガラッと印象が変わることにびっくりした。演奏のシンプルさが、曲のもつメッセージ性をぐっと引き立たせる。

 

 

 

 

続いては 「その日の気分」 で曲を決めていくコーナー。

小 「何やる?なんでもいいよ!」 

黒 「『永遠にともに』は陣内さんと小渕さんの間でいろいろあったから、それ以外ならなんでもいいですよ」

小 「なんもないわ!話をややこしくすな!笑」 「じゃあ『永遠にともに』やる?」

 

なにが 「じゃあ」 なのか、と黒田さんも観客も思っていただろうけど、結局は『永遠にともに』をやることになった。黒田さんが楽譜を持って小渕さんのもとへあれこれ打ち合わせしにいく。

 

黒 「"共にする" こと多くない?覚えられへん。あとこの歌、ほんとは『永遠に智則』じゃないんですか?」 「智則歩き~♪ 智則探し~♪ 智則笑い~♪ 智則誓い~♪」

小 「曲中に思い出しちゃうからやめて!笑」

黒 「確かに歌い終わったあとに言うべきやったな」

ツッコむのも反省するのもそこなんだ???

ひとしきり永遠に智則のくだりで爆笑したあと披露した『永遠にともに』、直前まで智則智則言ってた人の歌とは思えないほどすごくよかった。「君はとても綺麗だよ」 のところめちゃくちゃ好きなんですよね、聞けてよかった。

 

 

 

「その日の気分」 2曲目は、お客さんのリクエストで『2人』をやることに。

黒 「『永遠にともに』と同じメロディーで歌っちゃだめ?2人探し~♪ 2人笑い~♪」

 

インディーズバージョンで披露してくれたこの曲、メジャー版ではカットされてる 「ほうら(ほうら) そうだ(そうだ) この場所に君が忘れてた傘届けずにいたら 今頃2人は出会ってないのかもね」 のとこも歌ってくれた。非常にレア。

 

 

 

次の曲も、何がいいかお客さんに意見を仰ぐ。小渕さんがどこからか 「DOOR!」 という声を拾い、「DOORって言ってる人おるよ!DOORやろっか」 と嬉しそうに提案する。やりたいっていうより、たぶん誰よりも小渕さんが聴きたいんだろうな、黒田さんの歌う『DOOR』。

前の2曲は楽譜を見ながらパートや歌の入り方をひそひそ打ち合わせていたのだけれど、この曲のときは何も確認しなかった。

 

わかってたけど、やっぱり、『DOOR』のエネルギー半端じゃなかった。「後悔は僕に何を教えてくれただろう?」 に被せる伸びやかな高音ハモリ、それを受けての 「行くしかないだろう」、鳥肌が立った。すごかった。こんな凄まじい歌が打ち合わせもなしに即興で歌えるのか。ストリートミュージシャンの底力を見せつけられた気がした。

 

 

 

 

 

次の曲、イントロで息が止まるかと思った。

最初に載せた私のツイートを覚えているだろうか。ホールツアーで初めて生で聴いたアコースティックアレンジの『Ring』が忘れられなくて。リクエストにも書いたこの曲が、まさかまた聴けるなんて。

 

指輪をイメージした円形の光がステージに落ちる。40代の色気漂う黒田さんのスタンドマイクさばき。指輪なんて硬いものを 「しずくの様に落ちてく恋の証」 と柔らかな水にたとえる感性がすごいな。

この手で壊して 粉々に忘れてしまおうと 鏡に投げつけたリングにこぼしたこの胸の痛みを 涙を」 と歌詞カードにない部分が終わると、小渕さんがブルースハープを吹き始める。なんであんなに激しさと切なさが同居するハープを吹けるんだ……。

息もつかせないほどの迫力でハープを吹ききり、アコギをさらに強く掻き鳴らす。こんなにもアコギをロックに弾き倒せるアーティスト、小渕健太郎しかいないと思う。

ハープ&ギターソロ、おそらく1~2分程度だったのだろうが、体感時間は果てしなく長かった。終わってほしくなかった。最高だった。

 

 

 

 

「リクエストでもランキング上位に挙がっていた曲をやります」 と始まった『風見鶏』。

何気なく交わした約束が 心の道を照らすよ」。ふたりにとっての約束とは、一緒に音楽やろうやと路上で交わした何気ない口約束のことで。20年間苦楽をともにして、こうしていまアリーナの大舞台にふたりきりで立っているコブクロに思いを馳せた。

 

 

 

4つの花道の上に降りるスクリーン代わりの白い布。そこに見覚えのある桜のイラストが投影される。原点であり頂点、コブクロのはじまりの歌、『桜』。

関係ないけど、この曲に一貫して出てくる花って、絶対に桜のことではないよね。名もない小さな花と桜ってどういう関係があるんだろう。いつか本気で歌詞解釈したい。

 

 

 

 

映像が切り替わる。暗い画面に目を凝らせば、静かに寄せて返す海と、しんと広がる夜空が見て取れた。夜の海岸。「何もない場所だけれど ここにしか咲かない花がある」 と小渕さんが歌いはじめて息をのんだ。『ここにしか咲かない花』。

歌のすばらしさは言うまでもなく、演出もすごかった。曲が進むにつれて徐々に明るくなり、オレンジに明けていく空。吊り下げられた布のみでなくセンターステージにも映像が投影されていた。砂浜が映しだされたステージはさながら小島のようになっており、一定のリズムで波が押し寄せる。目から入ってくるすべて、耳から入ってくるすべてがあまりに美しくて、棒立ちでぼけっと聴いていた。

 

 

 

ここにしか咲かない花』を作るために行った鳩間島の話もしてくれた。島までは4人ほどしか乗れない船に数時間乗る。黒田さんが座っているほうに船が傾いて、船長さんに注意されたという。ほんとかよ。

 

島には学校以外の公共機関がなく、もちろんレストランやコンビニもない。島民の方が振る舞ってくれた肉料理がなんであるか尋ねると、「これ?ヤギだよ、さっきそのへんにいたろ」 とのこと。

黒 「小渕なんてさっきまでヤギとツーショット撮ってたのに……笑」

小 「もう俺が『メェ~~!』言うて泣きたいくらいやったわ」

 

 

 

 

 

 

さてお待ちかね盛り上がりコーナー。一発目は『潮騒ドライブ』。ワイパーめちゃくちゃ気持ちいい~!あと毎回思うのは 「灼熱の海に氷点下の雨が降り注ぐようなキスをしよう」 ってどんなキスですか!!小渕さん!!ねえ!!!

 

『Moon Light Party』『轍』とアップチューンになだれ込む。「1 2 3 Hey! いけますか!」 って煽られたの最高に楽しかったけど、「みんなの Hey! も楽器です!」 ってのはよくわからん。好き。銀テ掴みながら手叩いて跳ねて、めちゃくちゃ楽しかったことだけ覚えてる。

 

 

 

本編ラスト、『ONE TIMES ONE』。

 

 

そう、これ。ひとりきりで雨に打たれてうなだれていた『One Song From Two Hearts』の時期を越え、実りの雨をふたりで浴びようと歌えるまで、どれほどの葛藤があったんだろう。

 

音源では荘厳なアレンジが施されていたこの曲を、小渕さんの吹くカズーと、ギター、そして歌声のみで紡いでいく。ふたりの歌声が重なり合えば無限の色が生まれる。1×1は無限大だ。

 

 

 

 

 

ふたりが袖にはけ(花道から下りるとき、わっ!!と後ろから押す素振りをみせるなど非常にイチャイチャしていた)アンコールを求める手拍子と『ストリートのテーマ』の合唱、「コブクロー!」 という掛け声が起きる。

 

 

 

アンコールどうもありがとう!と再びふたりが現れ、小渕さんが曲説を始める。アンコール1曲目は日替わり(※ほかの箇所ではもう歌わないのかな?)曲をするという。

 

メジャーデビュー前、インディーズ時代最後にできた曲を、と言って始まったのは『YOU』だった。

コブクロに数々のラブソングあれど、私が最も愛してやまないのが『YOU』なので、膝から崩れ落ちるかと思った。こんな終盤になにしてくれるんだ。もう語るまでもないほど最高ですよね『YOU』は。良すぎた……。いままでがんばって書いてたのにいきなり語彙喪失したオタクみたいになってごめん、ほんと~~に良すぎた………。

 

 

アンコールラスト。ふと推しが醸し出してくる父性に弱いので、感動的な曲説のさなかにも、「リレーを見る機会があって」 という言葉に過剰反応してしまう。

何もない所から生まれてきた人なんてひとりもいなくて、僕たちは命のバトンを受け継いで生まれてきたと。あと完全にニュアンスだけど、僕らの歌がだれかのエネルギーになったり、誰かにもらった言葉で明日も頑張ろうと思えたり、そういうのもバトンを繋いでるのと同じこと、みたいなことを話してくれた。

 

そうして始まった『バトン』。

 

命を繋ぐバトンのことを歌った曲としていままで聴いていたけれど、小渕さんの曲説を受けたあとだと、歌詞もなんだか違ったふうに心に響いた。

いつかは君も誰かに手渡す時が来る」 をいままでは命のこととして捉えていたけれど、言葉にだって命は宿っている。誰かからもらった優しさを、私だって誰かに手渡してあげたい。誰かの支えになれるようなバトンを繋ぎたい。


この曲そのものが、コブクロのふたりが未来へ手渡す、20周年へのバトンであるように思えた。20周年という節目を目の前に、はじまりのファンファーレをふたりきりで鳴らし、いまこうしてバトンを繋ごうとしている。そんなツアーなのだと思った。ONE TIMES ONE。

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、7000字超えという非常に気色悪い横アリ1日目のライブレポはこれにて終わりです。お疲れさまでした。

横アリ2日目のライブレポもゆったり書いていくので、お暇があれば是非。さすがにここまで長くはならないので。ただ熱量はこれの倍以上あるかもしれません。悪しからず。

 

ここまで読んでくださった方、ありがとうございます。目薬さしてね。あおでした。

 

 

(横浜記1/3はこちら→http://bloomsky.hatenablog.com/entry/2018/06/07/002214

 

(横浜記3/3はこちら→http://bloomsky.hatenablog.com/entry/2018/08/06/011603