エリートコースまっしぐらだったかつての同級生は死の淵を彷徨い、現在は夜の仕事をしていると風の噂に聞いた。ずば抜けて美人だったあの子はシングルマザー、教室の隅で生きづらそうにしていたあの子は上京してバリバリ働いており、あの子は教育実習に、あの子は遠い国のホテルマンに。同い年なのに人生はこうも枝分かれしていくものなのかと不思議な気持ちになる。
私はといえば、いつでも勉強に追われながら、余暇をライブに注ぎ込む日々である。大学生ってもっと遊べるもんだと思ってたな。ずっと助走に次ぐ助走で、特に大きなことは成し遂げられていない。まだ。
わかりやすい波乱はないが、細々した試練はどっさりあった。傍からは順調に見えるのかもしれないけれど、要領が悪いから命がけで登りつめてきたわけで。小中高と12年間に及ぶ低迷期を乗り越えたおかげで強靭なメンタルも身についた。もう並大抵のことじゃめげない。
大人びて見える同級生たちを羨ましく思うことはあれど、だからといって焦らない。いままでの人生はまだ助走なのであって、ほんの序章に過ぎない。いつか出し抜く日を虎視眈々と狙うのだ。爪を研ぎ澄まして、チャンスを迎え撃つ日を待ってる。負けないよだれにも。