あおいろ濃縮還元

虎視眈々、日々のあれこれ

多肉

なんとホテル生活が伸びに伸び、現在8日目である。9泊10日でチェックアウトをする予定。

(4日目の様子→釣り銭切れ - あおいろ濃縮還元

 

前半は楽しんで過ごしていたものの、長いホテルステイも後半に突入すると不安が押し寄せてきた。夜中の3時、遅いと4時まで眠れない日が続いて、寝不足と気圧のダブルパンチで微熱も出た。そういえば夫と暮らすまでの数年間、不眠症だった。診断を受けていないからどの程度のものかは今でもわからないけれど、毎晩きっちり希死念慮が止めどなく溢れだして、胸がつぶれそうな思いで枯れるまで泣き、3時頃まで眠れなかった。毎日。そのときのことを思い出す。

これではだめだと思い、地元のフリーマーケットのような催しへ足を伸ばす。最も賑わう時間帯を避けたために、お目当てのスコーンやコールドブリューコーヒーはもう売り切れている。店員さんと目が合ったお店でチーズマフィンを買った。ポケモンバトルのスピード感で。

農業高校が出店するブースでサボテンを眺めていたら、制服姿の女の子に「植物お好きですか?」とやさしく声を掛けられた。好きで欲しいけど育てるハードルが高くてなかなか買えないと言うと「初めてなら多肉植物が育てやすいですよ」と、ちいさな鉢に植わった多肉植物のコーナーを紹介してくれた。小ぶりでスペースも取らず、300円ぐらいのお手頃なものが多い。ここ最近ずっと多肉植物への憧れはあって、かなり惹き込まれた。水もおよそ1ヶ月に1度あげればいいらしく、ズボラ女にうってつけでもある。

女の子はふわふわしたサボテンの棘を触らせてくれたり、面白い名前の植物を見せてくれたり、セールストークというよりは植物が好きで話したくて仕方ないといった感じで接してくれた。悩む私に「むりに買わなくて大丈夫ですからね」と言ってくれたが、その感じがまた心地よくて、初めて多肉植物を買うならこの子からがいいなと思った。

小さな丸っこい葉がいくつもぷりぷりと茂っている多肉植物を、最終的には買った。300円でこんなにもいい買い物ができて、深い癒しめいたものを感じる。

ホテルにこもり、冷凍食品を食べたりコインランドリーに通うあいまに、川上未映子の「夏物語」を読んだ。主人公の独身女性はどうしても子どもがほしいが、パートナーもおらず、また性行為に苦手意識があるためパートナーができたところで自然妊娠は望めない。日本でおこなわれている精子提供は、主に男性不妊で子どもが望めない夫婦のためのものであり、未婚女性はそもそも受けることができない。

登場人物たちがそれぞれ子どもを持ちたい理由、子どもを持ちたくない理由を述べるシーン、結構ぐさりとくるものがあった。私は現在26歳の新婚で、子どもを考え出す年齢に差し掛かっている。あまりにタイムリーというか、クリティカルヒットというか、この年齢で読めてよかったと思う。深く深く突き刺さった。

ドールのオレンジジュースを買ったつもりが、味が違う気がしてよくよく見たらサンキストだった。サンキストも好きだけれど、すごく久々に見た気がする。母が昔からよく「疲れるとコーラが飲みたくなる。もっと疲れるとオレンジジュースが飲みたくなる。飲みたくなったもので疲れ具合がわかる」と言っていた。そういえば数日前にコーラを飲んだな。疲れているのか。それはそうか。

楽しみにしていた入浴剤はかなりなんともいえない匂いだった。ホテルステイが終わったら、帰り際、クナイプのグーテナハトの入浴剤を買って帰ろう。そう決めた。