あおいろ濃縮還元

虎視眈々、日々のあれこれ

まちがえた正解

ジェルネイルをオフしてもらいに、いつもは降りない駅のネイルサロンへ。古びた駅の階段、ひとつしかないホーム。昭和の面影が残る個人商店が軒を連ねる、くたびれた田舎町。グーグルマップを頼りに歩くと、駅からたった5分で山道に迷い込む。本当にネイルサロンがあるのか不安になるが、いくつも田んぼを通り過ぎたところで真新しいサロンを見つけた。怪しい民家のようなところだったらどうしよう、という不安は解消された。ネイリストの方はあっという間にジェル部分を削り取り、伸びきった爪を美しく整えてくれた。ジェルネイルを1度したら、弱った爪が元通り回復するまで3ヶ月かかるらしい。すぐにでもセルフジェルネイルに挑んでみようと思っていたけれど、しばらく休ませることにする。

 

カフェに寄り、中煎りのコーヒーを飲みながら「サロメ」を読む。原田マハの小説はカフェと親和性が高い気がする。二枚重ねのぶ厚いホットケーキは、冷めると固くなるというので夢中で食べた。ホットコーヒーは中煎り、アイスなら酸味が強めの浅煎りが好きかもしれない、ということに最近気付いた。地元の北海道で主流の深煎りは、苦さが強くてあまり得意でない。本州に引っ越してからよりコーヒーを好きになった。カフェでコーヒー豆を買う、という密かに憧れていたミッションもこなした。初めて行ったこのお店をとても気に入り、2日後に今度は夫と来た。ふわふわの厚切りトースト、生クリームかと思うほどなめらかなヨーグルトのモーニングがたまらなく美味しかった。月に1度くらいはこうやって、文庫本片手にモーニングに来たい。

 

図書館へ行くと知識欲がぐんぐんと刺激される。古い本の、甘い香りも好き。山崎ナオコーラの「ベランダ園芸で考えたこと」というエッセイを読んでいると、親子連れが通りかかる。お母さんは「こんなに本がたくさんあって、楽しくて一日中いられちゃうね」と弾むような声で息子に語りかけている。振り返らなくても、目が輝いているのがわかる声色。当の息子は、声をひそめて「そんなにたのしくない」と素直に言っており、笑ってしまった。

 

行き先以外は未定であった、新婚旅行の詳細が決まってきた。スペインのバルセロナサン・セバスチャンをメインに、もしかするとビルバオにも行けるかもしれない。腹を括って個人手配を頑張るしかないと思っていたが、今のところツアー(飛行機とホテルだけ取ってくれる終日フリーのもの)になりそうで嬉しい。ガイドブックの比較検討をしようとして、特に買おうとしていなかった電子書籍を間違ってワンクリック購入してしまった。せっかくだし返金しないことにして読んだら、かなりマニアックなことまで細々と書いてあって、良かった。間違えなければ出会えなかった正解すぎる本。まちがえてよかった。