あおいろ濃縮還元

虎視眈々、日々のあれこれ

女ふたり限界京都

女ふたりで限界関西旅行をした。 

京都市京セラ美術館のアンディ・ウォーホル・キョウトという展示を見たい、と関東住みの友人が言ったので、じゃあ行こうぜと東海に住んでいる私は答えた。フッ軽ここに極まれり。ワーキングプアの私と休職中の友人は、休みの融通はきいても金はなく、それぞれ夜行バスに乗って京都駅で現地集合しようということになった。

 

ふたりとも夜行バスに乗ったことがなくて、乗ってみたいとずっと思っていたが、私たちはまったく体力も運動習慣もない25歳女性である。夜行バスで旅行ができるのはこれが最初で最後かもしれない。さらに両者とも修学旅行にまるでいい思い出がなかったので、修学旅行のやり直しの意味も込めてたくさんの寺社仏閣と、USJも回ろうとなった。

 

 

出発は24時、名古屋駅。化粧を落として集合場所に向かうと、メイクも服装もバッチリのJKやJDがわんさかいて、ラフ着のすっぴんアラサー女はひどく場違いだった。先ほどまでちょうどアイドルのライブがあり、遠征してきたドルオタたちが関西へ帰る便にぶち当たったらしい。初めて乗る4列シートは噂に違わず狭苦しかった。座席が狭いのは覚悟していたけれど、体を少し斜めにしないと歩きづらいくらいに通路が狭く、サービスエリアで降りるたびに座席からにょきっとはみ出したJDの生脚を避けるのに苦労した。

 

何を買うわけでもないけれど、深夜のサービスエリアは楽しい。秋と冬のあわいの夜風はきりっと涼しくて、むくんだ足も寝ぼけた頭も冴えわたるような気がする。深夜4時頃に降りた土山がどこなのかいまいちわかってなかったけど、不敵に首を傾げる信楽焼きのたぬきと目が合って滋賀だと気付いた。

 

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深夜に見るたぬきちょっと怖い

 

 

京都駅に着いたのは5時。細切れの睡眠と思ったより暑かったバスの暖房でぐったりしていて、とにかく休みたかった。友達と合流したあと、とりあえず開いていたマクドナルドに入った。朝マックって関西では朝マクドって言うのかな?

 

駅のトイレで同じく夜行バス勢と並んで化粧を済ませ、タクシーで清水寺へ向かった。途中で三条大橋を通り、修学旅行のバスで何回も通ったなあとしみじみ思う。私と友達とは中学の同級生で、修学旅行にも同じクラスで行ったのだけど、人数の兼ね合いで同じ班になれなくてその点においても後悔があるのだった。

 

7:20、坂に沿って並ぶ開店前の土産屋は、初めて見る店もあれば10年前と変わらない店もあって、初っ端からノスタルジーのツボをグッと押される。早朝の清水寺にまだ観光客はまばらで、私たちの他はほとんど外国人観光客ばかりだった。

 

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寺社仏閣って、特有の静謐な空気が流れていると思う。朝だからというのもあるかもしれないけど、立ち込める空気がやけに澄んで凪いでいて、自然と神聖な気持ちになる。


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ちょうど紅葉の見頃に当たったみたい

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飛び降りても生存率めっちゃ高いらしい清水の舞台

 

10年前はスケジュールの都合で行けなかった音羽の滝にも行った。感染症の対策で、滝の水を汲む柄杓は紫外線減菌装置に入れられていた。時代の流れを感じて面白い。3本に分かれた水流には、それぞれ延命長寿、恋愛成就、学業成就のご利益が込められており、欲張ってすべて飲むとひとつも叶わないとされている。消去法で延命長寿の水を飲んだけど、あちこちにガタがきながら100歳まで生きるより、健康に80歳で死ぬのが理想だな。

 

10分ほど歩いて、友達のリクエストで安井金比羅宮へ向かう。悪縁を切って良縁を結ぶことで有名な神社なのだが、悪縁の切り方に手段を選ばないとか、軽い気持ちで付き添うのはやめた方がいいとか、霊感があると体調崩したりするみたいな口コミを読んで怖くなった。特に切りたい縁もなく、霊感のある私は途中で別れてひとり喫茶店へ向かった。前田珈琲高台寺店)の「龍之介」というブレンドが飲みやすくておいしかった。時間があればモーニングも食べたかった。

 

ふたたび合流したのは9時前。10時きっかりに京セラ美術館へ着きたく、それまでは美術館に向かいながら適当に散策をすることに。景観保護のためにコンビニすらもシックな色合いで統一された京都の街並みは、10年前よりもずっと素敵に美しく見えた。何がある訳でもないのに歩いているだけで楽しい。インスタで有名な八坂庚申堂はこじんまりとしていた。着物女子で混む前のこの時間帯がゆったり見れていいかも。

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カラフルお手玉みたい、かわいい

 

八坂神社にも参拝した。浮世絵でよく見るので(江戸時代はまだ八坂神社に改称する前で、当時は祇園社や感神院と呼ばれていた)ここが、あの……!という感動もあった。清水寺もそうだったけど、寺社仏閣って屋根だとか、細部にわたるまで装飾が細かくて惚れ惚れと眺めてしまう。

 

お目当ての京セラ美術館に到着したところで、友達が京都駅のロッカーに紙チケットを忘れてきたことが発覚した。私のぶんは時間指定制の電子チケットで、10時に入場しなければならなかったので、私が先に入場しておいて間に合えば中で合流しようとなった。友達はかなり申し訳なさそうだったが、私は全然気にしていなかった。でも、どっちかが別行動イヤ派だったり、私がイラついて不機嫌を押し付けるタイプの人間だったら破綻してたんだろう。私たちが修学旅行に未練を抱いていたのって、そういう合わない子と回って我慢を強いられたからなんだけど、本当に旅の相性って大事だと思う。

 

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エルメス展もいいな~。ボテロ展もサンリオ展もぜんぶ見たかった


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新館で開催するアンディ・ウォーホル・キョウトに至るまでの道のりもすごく素敵だった!


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全編写真OKだったので、


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特に有名なキャンベルスープを載せます

 

アンディ・ウォーホルのことあんまり知らずに行った私にでもわかる、ものすごく良い展示でした。キャンベルスープマリリン・モンローだけじゃなく、全然タッチの違う初期のゆめかわ作品(パステルっぽい色合いにゆめかわを感じた)もあれば、バッキバキのビビッドカラーで殴りかかってくる作品もあり、ダイヤモンドの粉を貼り付けた作品なんかもあり。このダイヤモンドの作品はキャプションを読んでやっと理解できて痺れたし、角度を変えてダイヤの煌めきを眺められるところもすごく良かったから現地で本物を見てほしい。神奈川沖浪裏のアンディ・ウォーホル版もあって、そういえばウォーホルの得意としたシルクスクリーンって版画だな……としみじみ思った。

 

様々な色をレイヤーのように刷って重ねていく浮世絵版画は、1ミリの版ズレもなくピシッと1枚絵として刷られるほど優れているのだけど、アンディ・ウォーホルシルクスクリーンはむしろ版ズレもアートと捉えて伸び伸び楽しんでいるように見えて、大衝撃を受けた。

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わかります?この「ズレ」……すごいよ……

 

ゆっくり時間を稼いでも友達とは合流できなかったけれど、2周もできて大満足。ショップでキャンベル缶の絵を買った、のだが、大小ある小サイズの方でもむっちゃデカくて美術館のロッカーにはもちろん入らなかった。それどころか、絵を入れてホテルから郵送しようと思って持ってきたスーツケースにもギリギリ入らないサイズだった。郵送サービスやってないならせめて公式サイトに寸法書いておいてください、マジで。本当に。頼むから。小サイズでこんなデカいと思わなかったから。

 

昼食目がけて行った店は1時間半待ちとのことだったので、近辺を散策することに。蹴上クランクインを横目に見つつ南禅寺の石庭を目指したものの、迷ってたどり着けず引き返した。平安神宮を参拝したあたりでちょうどよい頃合いになる。

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最終的に2時間待ちで入れた、念願の喫茶me。銀座にある喫茶YOUのプルプルのオムライスが大好物で、それが京都でも食べられるなんて。プルプルの卵がクリーミーで、飲むように食べられる。気付いたら飲み終えていた。
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ケチャップが「me」!

 

電車に乗り、烏丸御池で降りる。喫茶マドラグで卵サンドを前もって予約しており、その受け取りへ。卵はなんぼ食べてもいい。

 

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歩いていたら通りがかったここ、夜ダンお好きな方ならわかりますよね?

 

近くにあったお金の神社みたいなところも参拝して、ほかほかの卵サンド(ぶ厚いだし巻き玉子が入ってるやつ)を受け取る。京都駅に戻っておみやげを買い、ロッカーに預けた荷物を回収してユニバーサルシティ駅を目指す。買った絵がスーツケースに入らず、スーツケースとリュックと額に入った絵と暑くて脱いだ上着を持ってヒィヒィ言いながら乗り継いだ。キツい。

 

夜行バスで休めず、重たい荷物を持って歩き通し、「既に足痛すぎてやばい」「明日ユニバ本当に行ける?」とメソこいてた女ふたりも、煌びやかなユニバーサルシティ駅に降り立った瞬間に今日イチのハイテンションになった。明日行けるかな……とか暗い目をしてボソボソ言ってた奴が、スキップせん勢いで「明日ここに行けるの?!ほんと?!!」なんて言えるんだからテーマパークの力ってすごい。

 

ユニバから5分ほどのところにある、ロビーがミニオンまみれのホテルへチェックイン。

 

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クリスマス仕様でかわいい!!

 

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エレベーターもかわいい~!!!


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天井が鏡になってて、そこにもミニオンがぎっしり映っていてかわいかった!!!!

 

 

ホテル内のお土産屋さんやユニバーサルシティウォークでグッズを見たり、フードコートでたこ焼きを買ったり、551を買ったりした。豚まん2個買うのに1時間くらい並んだの、体力的にいちばんキツかったかも。

 

この日の夕飯はテイクアウトした卵サンド、たこ焼き3種類、551、京都駅で買った生八つ橋。ホテルのフロントで絵を郵送する用のデカい段ボールを買う。まさかとは思ったがスーツケースがすっぽり入った。せっかくだから一緒に段ボールに詰めて自宅へ送る。段ボールと送料で2000円ぐらい。こんなに身軽で帰れるなら全然アリ。

 

その日は湯船に浸かって気を失うように寝た。

 

 

(後編→女ふたり限界ユニバ - あおいろ濃縮還元