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虎視眈々、日々のあれこれ

スペイン旅行記⑤2日目 ダリ美術館

新婚旅行でスペインに行った記録、2日目。観光をしたのはこの日から。

(前回→スペイン旅行記④1日目 成田ーパリーバルセロナ - あおいろ濃縮還元

 

お目当ては「ダリ劇場美術館」。高速列車に1時間乗って、ダリの故郷、フィゲラスへ。

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サルバドール・ダリは、でろんと溶けたような時計の絵で有名な画家。シュルレアリスムの代表的な人物。ダリのことがめっちゃ好き!ってわけでもないけど、「シュール」を愛する人間として、シュルレアリスムについて知っておきたいな、ということで行くのを決めた。

 

 

7:30頃にホテルを出ると、まだほのかに薄暗い。暗いのに、空はもうしっかりと青い。これがスペインという国……。

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Verdaguer駅から地下鉄に乗る。乗り物の経路はGoogleマップで検索できるので便利。地下鉄・バスに安く乗れる「T-Casual」という10回券を買った。有効期限1年、他人との使い回しはNG。駅の券売機は英語を選択できた。

 

7:46、Beilen方面に乗車。駅のベンチに青いラムネのような、明らかにいけない薬が落ちていて気を引き締める。地下鉄はスリが多いという。ボディバッグを開けられないよう、カラビナでチャックをつないで封じておく。貴重品は服の下のウエストポーチに移し済み。(ホテルの荷物も盗まれる危険性があるため、お金とチケット類はセーフティボックスに、その他の荷物はすべてスーツケースにしまってダイヤル式のロックをかけてきた)

 

7:52、Sants Estacioで降車。地下道を3分ほど歩くと、そのまま目当てのBarcelona-Sants駅に着いた。まずは朝ごはんを食べることに。

 

「Mercat de l'Estació」という駅構内のカフェに入ってみる。パンと飲み物のセットの写真がでかでかと掲げられており、これをくださいと夫が注文する。スペイン語でなにか返ってきて、ふたりして「???」という顔をすると、英語も混ぜてくれた。やさしい……。

 

飲み物の種類を聞いていそうだと当たりをつけて「スーモ(ジュース)」と言ってみた。「アンド、カフェ(コーヒー)?」と返ってくる。パン1つにつき飲み物が2つついてくるらしく、覚えたての「Si(はい)」を使う。「アメリカーノ、オア、ウィズ ミルク?」ブラックコーヒーかカフェラテか。アメリカーノを選ぶと、パンを焼くかどうか、付け合わせはジャムかトマト(トマト!?)のどっちがいいかも聞かれる。英語とジェスチャーでなんとか意思疎通した。

 

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パンにトマト、オリーブオイル、塩を塗って食べる「パンコントマテ」はカタルーニャ地方の定番。バレンシアが近いからなのか、オレンジジュースがめちゃくちゃ美味しい。空腹と苦労もあいまって、深く身に染みる朝食だった。

 

 

 

 

 

フィゲラスへは、AVEという高速列車に乗って1時間弱。ちなみにBarcelona-Sants駅からAVEに乗るとFigueres Vilafant駅へ、2時間かかるMDという列車だとFigueres駅へ着く。前者のほうが美術館にちょっと近い。

 

まず係員にチケットを見せ、そのまま荷物検査(飛行機の保安検査と同じ感じ。ただしもっとゆるい)を受ける。電光掲示板でターミナルを確認し、待機列に並ぶ。乗車できる準備が整うと、係員にチケットのQRコードを読み込んでもらって、いざAVEに乗り込む。

 

9:10、列車が走り出す。二等車は2列シート×2の配置で、座席には新幹線についているようなテーブル、フットレストやゴミ箱まである。トイレもある。食堂車は日曜だからか閉まっていた。

 

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メニューはこんな感じ。コーラ3.30ユーロ(このとき1ユーロ160円)。

 

 

列車は全く揺れず、乗り物酔い常習犯の私でも酔わなかった。スマホの電波はほぼつながらず(帰りはつながった)WiFiも無いようだった。ガイドブックを読んで過ごす。

 

10時頃到着。駅にはダリの写真が。寝顔がキュート。

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Figueres Vilafant駅からダリ劇場美術館(Dali Theatre-Museum Figueres)までは徒歩20分。駅前からバスも出ているけれど、街の様子を味わいたくて歩いていく。

 

フィゲラスは、本当にのどかな田舎町だった。散歩している犬が多く、道のいたるところにフンが落ちまくっている。日差しがあたたかく気持ちいい。2月前半のこの日、ジャンパースカートと薄手のシャツのみでちょうどいい陽気であった。

 

 

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空、青~~~!!!


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牛たち

 

 

 


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田舎には異質な、ひときわ奇抜な建物。屋根には卵、壁にはパンのオブジェ。ダリ劇場美術館である。

 

10:45のチケットで入場。立体の展示品をみてまず思ったのは、ダリって悪趣味というか、冒涜的というか、全体的にシニカルだな……ということ。これがシュルレアリスムというものか、と言葉が分からなくても伝わる。

 

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「雨降りタクシー」という作品だそう。キャデラックの中には腐ったマネキン、ボンネットに女性像、頭上にあるのは船だろうか。

 


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中庭から見える巨大な絵

 


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リンカーンのモザイク画かと思いきや、よく見ると描いてあるのはダリの妻・ガラ。ダリのトレードマークであるぴんと立った髭は、彼女によるプロデュースだったらしい。ダリはガラのことが大好きだったようで、美しい女性の絵があると思ったら大体ガラがモデルだった。

 


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床にある四角いスペース。なんとこの地下にダリのお墓がある(別部屋に墓石の展示もある)。



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日本趣味な作品もいくつかあった

 


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キュビスムだ!ピカソの絵でよくみられる手法で、顔を正面から描いただけでは顔の側面も後頭部も描けていないから顔全体を描いたことにはならない→正面・横・後ろの要素を盛り込むことで "すべて" を描く、という表現技法。ダリはそれを平面の絵でなく立体像でやってる、というわけ。おもしろ。

 


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一見ただのソファや絵だが、階段をのぼって設置されたスコープ越しに見ると女優メイ・ウエストの顔が浮かび上がる「メイ・ウエストの部屋」。

 


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悪趣味なスケッチもたくさん。ダリって家族や妻や故郷の絵はすごく温かく美しいタッチで描くけど、皮肉っぽい絵は気持ち悪いタッチなの、わざとやってんのかな……

 


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階段の色合いすてき

 


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石の重なりで人間の姿を描いているのが左の絵で、それを本物の石で再現しているのが右。


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すご……

 


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天井画。イタリアのことおちょくってるのか?と思ったけど、天国/システィーナ礼拝堂へのぼっていくダリとガラを描いたらしい。

 


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「記憶の固執」!かの有名なでろんとした時計。

 


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「パンの籠」。


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ハリウッドのスタントマンをモデルにして描いた「十字架の聖ヨハネのキリスト」。十字架にかけられたキリストの絵は手足が釘で打たれた姿で描かれることが多いものの、あえてその描写はない。


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ダリ本人による展示プラン。違う部屋に飾られていたけれど、パンとキリストの絵をこうして隣に飾りたかったみたい。

 

 


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すごいボリュームで満足。明らかにピカソっぽい絵や、イタリアの彫像や天井画を揶揄するような作品が多くておちょくってんのかな?と思ったけど、キュビスムルネッサンスに興味があったらしい。好きな子のこといじめるタイプ?

 

ダリ宝飾美術館も横にあったけど、空腹の限界でスルーした。

 

 

 

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買ったおみやげ。上の細長いポストカードは、左が実際の風景、右がダリの描いたもの。左下のポストカードは「焼いたベーコンのある柔らかい自画像」。右下はヒトデを持っているおちゃめなダリ。天井画のブックマーク。


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「記憶の固執」のマグネット。ミニチュア絵画という感じでかわいい。

 

 

 

 

外は20度近く、暑いくらいの陽気。スペイン語メニューしかない地元民だらけのバルに飛び込む勇気はまだなく、ランチができる店を探してしばしうろついた。

 

ショーケースにパンの並ぶ「Obrador 58」を見つけ、指さし注文ができるかもと飛び込んでみる。「Est por favor(これください)」を駆使して、夫がピザとコーヒーを頼んでくれた。

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さすがスペイン、さりげなくのってるオリーブがうまい……

 

 

調子づいて向かいの「Cafe Paris」にも入る。このお店、超おすすめ。

 

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肉厚なオリーブが感動的においしかった!オリーブそこまで好きじゃないけど、これはいくらでも食べていたかった。アグアコンガス(炭酸水)が染み渡る。夫はサン・ミゲルというすっきりしたビールのノンアルを飲んでいた。

 

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タコのガリシア風、めっっっっちゃうまくて泣きそう

 

店員さんに言われた「Todo bien?」が「トレビアン?」にしか聞こえず困惑したけど、頼んだもの全部来てる?とかおいしい?って意味だろうなと思って「おいしいよ!オッケー!」的な返しをしたら奇跡的に合っていた。 

 

17時の列車まで、近くの公園を散歩したり、のんびりとフィゲラスを散策した。観光初日から色々と見て回るのではなく、ゆったりしたスケジュールにしてよかった。スペイン、すごく好きかもしれない。店員さんたちは、スペイン語が通じないとわかっても突き放すでもなく、簡単な英語でわかるまで話してくれる。外国においてそれがどんなに珍しく、有り難いことか。他の国では「は?何言ってるかわからん」と露骨に嫌な顔をされることが普通だったので……

 

 

 

ホテルへの帰り際、日曜でも開いていた「Condis Express」というスーパーに寄る。お酒安すぎてビビった。1ユーロもしなかった気がする。持ち歩き用の水と、部屋飲み用の生ハムも購入。
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夕飯はホテル近くの「Restaurante La Particcela」へ。食べ物メニューは写真つきで、指さし注文ができる。

 

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現地のビールが飲みたくて頼んだエストレージャガリシア、コクがあってうまい

 

サラダとラザニア、食べてみたかった生ハムのクロケッタとパドロンも頼む。クロケッタとはスペイン風コロッケで、小ぶりの生ハム入りクリームコロッケという感じ。胃もたれしなくていい。パドロンししとうにそっくりな青唐辛子で、これの素揚げがスペインのバルにはよくあるらしい。おいしかった。

 

 


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部屋に帰り、生ハムとともにノンアルのレモンビールを。確かすっきり甘くておいしかったと思う。セルベッサ=ビールなのも覚えた。

 

 

3日目はグエル公園サグラダ・ファミリアへ。

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