あおいろ濃縮還元

虎視眈々、日々のあれこれ

致死量の甘さ

なんかやるせなくて普段飲まない甘ったるい缶コーヒーを買った。参っちゃうね、滅入っちゃうよな、なんて尾崎世界観あたりが言いそうな言葉が頭をめぐる。夏休みとは思えない忙殺ぶりで心身ともにやられてる。なんか疲れてる、致死量ほどの甘いものを摂取したい。このごろ思うのは、勉強するのは嫌いだけど、学ぶこと自体は大好きだということ。知識欲が満たされるとゾクゾクしちゃうな。それでも勉強するのは嫌なんだけど。ところで昨日行った美術館の特別展がすごくよかった。東海道中五十三次がぜんぶあった。歌川広重の色づかいと雨を黒い線で描くところに惚れ惚れしちゃってポストカードまで買った。葛飾北斎富嶽三十六景(左のやつ)は波じゃなくて奥にある富士山をメインに描いてるって知ってた?ここまでの荒波が立っても微動だにしない富士の強さを強調してるらしい。教授が言ってた。受け売り。

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午後もがんばります。あおでした。

 

ライジングサン2018 ④

20:00~、def garageにてパノパナことパノラマパナマタウンを観た。

 

パノラマパナマタウン

リハ1. SHINKAICHI

リハ2. マジカルケミカル

  1. 世界最後になる歌は
  2. リバティーリバティー
  3. マジカルケミカル
  4. ラプチャー
  5. ‪$UJI‬
  6. フカンショウ

 

 

自分で豪語してるだけあって、ボーカル岩渕さんはやたら男前だった。私がパノラマパナマタウンにハマったのはごく最近で、楽曲やスタンスのかっこよさはもちろん、岩渕さんのナルシスト具合にも惹かれたのだった。自分に自信のあるひと大好き。顔がかっこいいとかさらっと言えちゃうあたり最高。

 

 

ここまで見た目のことしか書いていないが、パノパナはライブがばちばちにかっこいい。なんせ彼らの掲げるテーマは 「熱狂」 である。

1曲目『世界最後になる歌は』から客席に突っ込み、「世界最後になる歌はこんなもんでは伝わらないかもしれない 世界最後になる歌はこんなもんでは伝わらない」 とシンガロングを煽る。最高のスタートダッシュ

 

 

‪「人生にこんな日があるなんて思ってもなかった。ライジングサンのステージに立てる日が来るなんて」 と笑う岩渕さん。高校生のころ、福岡からひとりでライジングを観に来て朝まで過ごしたという。かつて憧れた舞台に自分の足で立つ。そんな夜。「伝説のステージにします‬」 と岩渕さんは言った。

 

 

次いで『リバティーリバティー』。パノパナの魅力のひとつは型に嵌らないジャンルレスな音楽性だと思う。ヒップホップ調の強いこの曲、歌詞のかっこよさも相まってどんどん観客の熱を上げていく。「鳴らせ yeah 自由なビート 教科書なんていらないでしょ」。まだ2曲目とは思えない盛り上がりっぷり。

 

 

なんとリハでやった『マジカルケミカル』をもう1度。2回目なだけあって、手を挙げるタイミングがばっちり揃う気持ちよさ。真夏とはいえ、雨の降りしきる夜ともなれば外はかなり冷え込む。でもテントの中は暑かった。パノラマパナマタウンの生み出す熱狂の渦にどんどん巻きこまれていく。

 

 

熱々のフロアを程よくクールダウンさせる『ラプチャー』。ジャンルレスな歌が多いためこの曲もなんと表現すればいいかわからないけど、重たくて堅い荘厳な感じ、と私は思ってる。バラードなのかな。

 

十二大戦を見ていないので(『ラプチャー』は十二大戦というアニメの主題歌)推測だけれど、アニメの世界観に合わせた曲なのだろうかと思っている。ラプチャー、と歌うときの巻き舌具合と 「生きたまんま 死ぬんじゃねえぞ」 ってところが好き。

 

 

『フカンショウ』でふたたび沸点に達する。私が最初に彼らを知ったのがこの曲だった。「ほっといてくれ!」 「知らねえよ!」 と吼える姿にノックアウトされた。歌詞まるごと引用したいぐらい大好き。ちなみにフカンショウとは、「俯瞰」 「不感症」 「不干渉」 のトリプルミーニングである。

 

髪が長えとか服がだせえとか それが地味とか逆に派手? 知らねえよ! 塾に行けとか恋をしろとか 真面目がいいとかよく遊べ 知らねえよ!

痛快すぎる。好きすぎる。なんでもかんでもカテゴライズしたがったり、根掘り葉掘り暴きたがる現代社会。そんな窮屈さを蹴飛ばしてくれるパノラマパナマタウンに心底ついていきたいと思った。

 

誰々っぽいとか何々っぽいとか どの界隈とかノンジャンル 知らねえよ!」 何にも縛られずフリースタイルでやってきた岩渕さんが歌うからこそガツンとくる。

 

 

ところで、パノパナを初めて生で観て気づいたことがある。ギターの浪越さん、完全に私の好みどストライクだった。色白華奢で寡黙なひとがタイプの私、一目惚れ。

 

サングラスを掛けて登場した浪越さんはいつの間にかサングラスを外していて、さらにいつの間にかシャツすら脱いでおり、気づけば靴すら履いていなかった。目の前でずっと見ていたのに、目を離した一瞬の隙にまんまと半裸になっていた。脱ぐのうますぎ。

 

 

ラストは『$UJI』。なんでも数字で測っては囚われる風潮に切り込むナンバー。「測らせてたまるかい 俺たちの本領を」 と吼える。

最後、みんなでドラムの方に向き合って最後の一音を奏できるまで、そりゃもうかっこよかった。たった30分でも、伝説のステージを作り上げるには充分だった。いつか EARTH TENTで場外の客までも熱狂に巻き込む彼らを観たいと思った。深夜のRED STAR FIELDでもいいな。はーー、かっこよかった。顔じゃなくてライブがね!

 

 

パノラマパナマタウン「フカンショウ」Music Video - YouTube

パノラマパナマタウン / リバティーリバティー(MV) - YouTube

 

次回からはようやくライジング2日目に突入します。⑤はフォーリミこと04 Limited Sazabysについて。

あおでした。

 

ライジングサン2018 ③ - あおいろ濃縮還元

ライジングサン2018 ⑤ - あおいろ濃縮還元

 

夏のこと

この夏、手持ち花火を二度した。いちどめは『わたがし』、にどめは『打上花火』をBGMに流しながら。スーパーで買った徳用の花火は少し湿気ていて、百円ライターで火を灯すとばちばちと安っぽい火花を散らしてはすぐに消えた。「これってなんか『ムーンソング』の歌詞みたいだね」 とつぶやくと 「わたしもそう思ってた」 と友達が笑って、花火よりも暗がりで見たその微笑をなぜだか忘れられない。

 

こないだ分けてもらって初めて飲んだ日本酒は消毒液の味がした。もっときちんとした日本酒だったら美味しいのかもしれないけど、私はとうぶん洋酒でいいやと思った。同時に勧められた煙草は、特に惹かれない銘柄だったので断った。アメスピのメンソールだったら試してみたかもしれない。

 

海へも行った。始発の電車で待ち合わせをして、まだ仄暗い田舎街をサンダルつっかけて歩いた。早朝の海には私たちのほか誰もいなかった。波打ち際を歩いては素足をひたす。飽きると砂の上に座って、潮風にうたれながらちょっと真面目な話をした。誰もいない海では普段言えないこともなんでも話せた。海水浴客が増えはじめたころに入れ替わりで帰った。

 

ばかげたサングラスとお揃いのサコッシュでフェスに行った。こういうアホみたいなことは学生のうちに済ませておくべきだと思って。そもそも曇天だったのでサングラスは全然使わなかった。安いペラペラのサコッシュは意外と使い勝手がよくて、今はバイトに行く際の通勤鞄として重宝している。

 

この夏は、大好きな人たちと大好きなことだけをしようと決めていた。来年は遊ぶ余裕ないし、再来年は地元を離れている可能性が高い。生き急いでると言われてもいい、だって実際生き急いでいる。常に全力で突っ走っているから長生きできなさそうだと思っている。みんなが平成最後だからとせっせと思い出作りをしているように、私は昔から、これが人生最後になるかもしれないといつも心に留めて生きている。

 

こんなときに浮かんでくる言葉にできない気持ちを、「エモいね」 と笑ってごまかすことしか出来ないのは歯がゆい。日常と非日常の狭間で揺れるかけがえのないワンシーンを、そのときに沸き起こる感動を、この儚い瞬間を失いたくない、と思う気持ちをなんと表せばいいんだろう。わからない。

 

わからないから、ここに残しておきたいと思う。百円ライター、腕時計のかたちに残った日焼けのあと、ポカリスエット、空調の効いた図書館、サングラス、夜中コンビニに買いに行ったスイカバー、帰り道に聴くindigo la End、ぬるい風、空き瓶に生けたドライフラワー、おぼろ月、甘ったるい缶チューハイ、数回しか出番のなかった扇風機、サンダルを履くために塗った赤いペディキュア。そういったことを。陳腐でばかばかしくて大切だった21の夏のこと。

 

いかがお過ごし

北海道の夏は短いというけれど想像以上だった。どこかの地域では8月にして初雪が降ったらしい。秋服なんてまだ用意していないから、タートルネックに春物のアウターを羽織って出掛けた。帰り道、バスを降りた瞬間ひんやりと吹いた風はもう秋のそれで、生ぬるい夏の夜が好きな私はちょっと切なくなった。こんなに寒くなるならもっとスイカバー食べたのにな。

 

「量産型」を叩いてる人をよく見るけれど、量産型自体は別にいいと思う。流行りモノってやっぱかっこいいし。ただ、流行りの服を 「好きだから着る」 のか 「みんなが着てるから着る」 のか、それだけが問題なんじゃない?頭ごなしに叩くのは違くない?と思ってモヤモヤするけど声高に言う度胸もないからここで供養いたします。

 

何も言われないのをいいことに、くすんだピンクのネイルを塗ったままバイトに行っている。いつか注意されるまではやめないつもり。たぶんネイル禁止じゃないから何も言われないだろうけど。いかにもな可愛らしいピンクは嫌いだけど、くすんだのと濃いピンクは好き。爪がピンクだと、ちゃんと女子してる気がする。ネイルは、骨ばった男みたいな自分の手を少しだけ好きになれる魔法。男ウケも女ウケもどうでもいい。全部自分のためにやってんだ。

 

今さらクリープハイプsumikaを聴きはじめた。ライジングサンで初めて観てからというもの、ステージングが頭から離れない。でも自分で言うのもアレだけど、何かを好きになるのに早いも遅いもないと思う。本格的にクリープハイプが気になり出したのは 「苦渋100%」 や『栞』をリリースしてからだし、sumikaがものすごく気になりはじめたのも『ペルソナ・プロムナード』がドンピシャに好きだったから。出会うべきタイミングというものがあって、たまたまそれがライジングサンで噛み合っただけ。

 

夏にしたいことたくさんあったのに、なんだかもう秋みたいで拍子抜けする。海とフェスと素敵な喫茶店には行けたので、あとは、そうだな。科学館ではしゃぎたい。アップルパイを生地からつくりたい。ドライフラワーもつくりたい。模様替えしたい。顔よりでかいナンを食べたい。エンタメとしてじゃなく、教養としての読書をしたい。ポップコーンをつくって1日中映画を観たい。勉強もしなくちゃ。

 

他人の、めちゃくちゃ取り留めのないツイートやブログを読むのがすごく好きなので(それこそ 「苦渋100%」 のような)そのようなブログになりました。取り留めがなくて生活感があって平坦だけどきちんと色のある文章が好き。なれてるかな。

 

あおでした。

 

ライジングサン2018 ③

18:00~ RED STAR FIELD にてアジカンを観た。

 

ASIAN KUNG-FU GENERATION

  1. センスレス
  2. ブルートレイン
  3. サイレン
  4. 無限グライダー
  5. ノーネーム
  6. マーチングバンド
  7. Re: Re:
  8. リライト
  9. 今を生きて
  10. banging the drum (bloodthirsty butchersカバー)

 

サウシーが演っていた def garage からここ RED STAR FIELD までは、歩いて30分弱かかる。雨脚が強まっていたのでレインコートをまとい、会場に到着したころには2曲目に差し掛かっていた。

 

屋根のある EARTH TENT や def garage と違い、この雨だと屋外ステージを避ける人も多いのではないか。なんて思ってたのに、あまりの人の多さに言葉を失った。近くで見られないどころか、正面に回り込むことすら困難なほどの人だかり。なんとかすり抜け、遥か遠くに建さんの姿が見えるところまで来た。

 

大好きな建さんの表情もギタープレイも見えず、黒っぽい服を着ていることしかわからなかったけど、レインコートと帽子で武装しても顔や手はびしょびしょに濡れたけど、ステージはとにかく最高だった。フェスとは思えないセットリスト。2番目に好きな『無限グライダー』が聴けてぶっ倒れるかと思った。(ちなみに1番好きなのはリライト)

 

骨芋ツアーのダイジェスト版みたいな贅沢すぎるラインナップに、イントロが鳴るたび心躍る。『ノーネーム』あたり、フェスどころかワンマンでもそんなにやらないのでは……?「消えない愛を頂戴」 ってフレーズ好き。

 

怒涛の初見殺しセトリで畳み掛けたあとの『Re: Re:』で一気にボルテージが上がる。さらにトドメの『リライト』。

芽生えてた感情切って泣いて」 の部分でコールアンドレスポンスを促される。「芽生えてた感情 切って~泣いて……」 と回を重ねるごとに声を小さくしていくゴッチ。真似る観客。最終的に 「メバエテタカンジョウキッテナイテェ…」 って囁き声で言い出したのにも、お客さんも完璧に囁き声で返したのにも笑った。「最高」 とこれまた囁き声で言う。

 

『今を生きて』をフェスで聴けるとも思ってなかった。「駆け出そう世界へ Say yeah!!!」 という箇所で、シモリョーの合図に合わせて手を突き上げる。楽しい。

夢のようなこの日々よ 消えるまで」 「永遠を このフィーリングをずっと忘れないでいよう」。夢みたいなこの時間がずっと続くように、ずっと覚えていようと思った。

 

冷たい雨に混じって、頬をあたたかい雫が伝う。前髪に溜まっていた雨粒が滴ったのだろうか。それとも知らぬ間に泣いていたのだろうか。わからなかった。どっちでもよかった。

 

ラストは、bloodthirsty butchers の『banging the drum』をカバー。タイムテーブルの関係か、カバーには興味がないのか、客足がどんどん遠のいていく。エンドロールの途中で帰っていく映画館の客を見ているような気持ちになる。原曲は全然知らなかったし、どんな感じだったかあんまり覚えていないけど、しっかり自分たちのものにしていてかっこよかった。

 

演奏が終わると、メンバーの4人とキーボードのシモリョーがステージの前方に出てきて、隣同士で繋いだ手を掲げた。ライブの最後によく見るやつ。

攻めたセットリストといい、最後にきちんと挨拶するところといい、アジカンはこの50分を単なるフェスのいちステージとしてではなく、ライブというひとつの作品として捉えているのだと思った。どっしりとベテランの風格を漂わせながらも、決して手を抜かず丁寧にやりきる。だからこそ、何度観てもアジカンのライブはかっこいい。

 

 

次回 ④は 私のなかで人気急上昇中の若手バンド、パノラマパナマタウンについて。

あおでした。

 

ライジングサン2018 ② - あおいろ濃縮還元

ライジングサン2018 ④ - あおいろ濃縮還元

 

ライジングサン2018 ②

17:00~ def garage にて Saucy Dog。

 

列伝2018で初めて観たサウシーに、完全に虜になった。切ない歌詞、歌唱力、すべてに心打たれた。

(そのときの様子はこちら→ スペースシャワー列伝2018 札幌 - あおいろ濃縮還元

 

 

【Saucy Dog】

リハ1.  Wake‬
リハ2.  バンドワゴンに乗って‬
リハ3.  ナイトクロージング‬

  1. メトロノウム
  2. 真昼の月
  3. いつか
  4. グッバイ

 

(セトリ完全にうろ覚えなので間違ってたらすみません)

 

 

30分前にリハーサルが始まった。最後の部分だけやった『ナイトクロージング』は歌詞をド忘れしたらしく 「歌詞わかんな!」 と笑っていた。

 

本日の舞台である def garage は、若手の登竜門ともいえる屋根つきのハコである。

「def の意味って知ってます?調べてみたら、"素晴らしい"とか"カッコイイ"とか"イカした"って意味があるみたいです。イカしたステージにします!」

「メインステージはSUN STAGE だけど…ここが(僕らにとっての)メインステージってことでいいですか?」 との言葉にしびれた。

 

再登場する3人。慎也さんがアコギを鳴らす。それだけでわっと歓声が上がった。

もういちど、鳴らす。ふたたび沸き起こった歓声をのみこむように 「私達ね、もう大人だからね 好きなだけじゃ一緒にいられないのは もう分かってるよね?」 と歌いはじめた。『煙』。

 

音源で聴くよりも透明感と迫力のある歌声が、歌詞の切なさに磨きをかける。「うだうだ過ごしたあの日々が無駄になる気がした やだやだこのまま知らぬふりで通せば君と笑えたかな」 「強がって言った 「じゃあねバイバイ」 」、熱がこもっていく声にじんとくる。全力でバラードを歌う人が好きなんだよな。

 

『メトロノウム』の詞を追いながらじっくり聴いていたら、「濃霧の中走った夜も無駄なんかじゃないよね」 という箇所で初めて 「ノウム」 が 「濃霧」 とかかっていたことに気づいた。今更。もっとちゃんと聴こう。

 

 

サウシーは特に失恋ソングが大好きなんだけど、『メトロノウム』『真昼の月』のような夢に向かっていく曲も大好き。

Saucy Dog はこんなところで留まっているようなバンドじゃない。back number や My Hair is Bad を初めて知った時と同じ感情が渦巻く。こんなにいい歌を唄うバンドが、もっと高みに行けないはずがないと。このまま、地に足をつけたまま突き進んでほしい。ずっと応援していたい。

 

 

「ここがメインステージとは言ったけど、いつかはSUN STAGEに立ちたい」 そう慎也さんは言う。

「1週間前、おじいちゃんがおばあちゃんの後を追うように逝ってしまって。悔しかった。もっと大きなステージに立って、ホールツアーが出来るようになったらおじいちゃんをライブに呼んであげられた。悔しかったんです」

「身内が亡くなっていくと、次はうちの両親かな……なんて不謹慎だけど思ったりする。孫を抱かせてやりたいけど、それはメインステージに立てるようになってからだなって」

「さっきから僕の周りをずっと虫が飛んでて。……でね、楽屋にも同じ虫いたよね?もしかしたらおじいちゃんが、亡くなったあと初めてやるライブを観にきてくれたのかなって。アブなんですけどね。アゲハとかじゃなくて、よりによってアブかよって (笑) 」

無理に笑うでも泣くでもなく、ただ穏やかに、時折メンバーとアイコンタクトを取りながらそう話してくれた。心と目頭がじんわり熱くなった。

 

『いつか』を熱唱する気迫に圧倒され、『グッバイ』で有終の美を飾る粋さに感服し、30分ほどのステージはあっという間に終わった。リハを含めても1時間足らずのステージで、こんなにも心を揺さぶられるものだろうか。

ああ。また Saucy Dog に恋に落ちてしまった。

 

 

 

↓ 極上センチメンタルバラードはこちら ↓

Saucy Dog / いつか(Official Music Video) - YouTube

 

次回、③は大人見した ASIAN KUNG-FU GENERATION の様子をさらっと。

あおでした。

 

ライジングサン2018 ① - あおいろ濃縮還元

ライジングサン2018 ③ - あおいろ濃縮還元

 

ライジングサン2018 ①

8月10~12日にかけて行われたオールナイトフェス 「RISING SUN ROCK FESTIVAL 2018 in EZO」、2日間参加してきました。

 

雨が降ると田んぼのように道がぬかるむことで有名なライジングサン。今年もドロッドロで、長靴が重宝しました。そのかわり程よく涼しくて、熱中症の心配はなかった。涼しく過ごせる夏フェスなんて、日本ではライジングしかありえません。地元の誇り。

 

 

 

初日一発目は EARTH TENT というステージにて、15:40~ 岡崎体育

 

 

岡崎体育】 

リハ 弱者

  1. Stamp
  2. R.S.P
  3. Call on
  4. FRIENDS
  5. 感情のピクセル
  6. Instant Brade
  7. XXL
  8. The Abyss

 

 

リハでやった『弱者』、最初は安定の口パクだったのだけど後半は普通に歌っていたし、最後はアカペラだった。レアなものを見れた。音のチェックを終え、歓声を受けながら袖に引っ込んでいく体育氏。

 

再び現れたときには、お馴染みの盆地テクノパーカーを着ていた。いくら涼しいとはいえさすがに暑そう。

 

1曲目がはじまると観客のボルテージが一気に爆発した。北海道のお客さんは熱気がすごい、とどのアーティストも言う。県民性(道民性?)もあるのだろうが、そもそも全国ツアーから除外されがちである北海道は、好きなアーティストを観られる機会がせいぜい年に1回しかない。

ずっと心待ちにしていたステージを目の当たりにして嬉しくてたまらない、動かずにいられない、みたいな人ばかりで、私もそのひとりで、もう幸せでたまんなかった。

 

「その場で足踏みしようか」 とのことで、曲に合わせて足踏みをする。まだ照れが残っているのか反応はまばらである。

そんな空気を払拭するように、「足踏みしろって言ったけど、足踏みだけじゃ終われませんよね?」 といったふうに煽ってみせる体育氏。ヒートアップしていく会場。

 

「踊れ~!」 との声に応え、思い思いに体を揺らしたり飛び跳ねたり手を突き上げる。

「次はジャンケンで僕に勝った人だけ踊ってください。あいこと負けた人は棒立ちで見てて。最初はグー、ジャンケンポン!パーの人は踊れ~!!」 そして本当にパーの人だけ踊る。まんまと負けた私はその様子をにやにやしながら眺めた。なんたるシュール。

「もう1回ジャンケンで僕に勝った人は踊ってください。僕はグーを出しますよ。いいですか、グー出すからね?」 八百長試合に乗せられ、最後はフロア全員で踊る。初っ端から既にめちゃめちゃ楽しい。

 

 

「北海道の人~!」 と聞かれ、見たところほとんどの人が手を上げていた。そりゃそうだろ……と思っていたら 「地元の人が多いフェスはいいフェスです」 と言ってくれてなんだか誇らしかった。確かに、ここまで地元民に愛されて根付いてるフェスは珍しいのかもしれない。

 

バンドに対して敵対心があるといった前フリをはじめる体育氏。そんな僕も今日は友達を呼んできました!とおもむろにDJ卓の後ろにしゃがむ。なにやらゴソゴソした末、相棒のてっくん(※てっくんが何者であるか知らない人はMVを見よう)を引き連れてくる。黄色い声ともつかない歓声が上がる。完全にアイドル扱い。

 

和やかな序盤とは裏腹に、「バンドざまあみろ」 と激しく中指を立てる『FRIENDS』。普通に生きててあんなに全力で勢いよく中指立てることないので楽しかった(※何を言ってるかわからない人はMVを見よう)。

 

 

物販の売れ行きをマネージャーが視察しに行ったところ、とあるカップルの会話が耳に止まったと話す体育氏。

彼氏 「岡崎体育のグッズ買おうかな~」

彼女 「え?いいよ、1曲しか知らないし」

そんなエピソードを受け、「今日は1曲以上知って帰ってください!」 とのことだった。面白おかしい感じで話していたし、大爆笑も起きていたけれど、悔しかっただろうな。

 

『感情のピクセル』の盛り上がり、ものすごかった。ハードな曲調に合わせて強く拳を突き上げる観客。バッキバキにキメ倒すAメロ・Bメロを終え、「どうぶつさんたちだいしゅうごうだわいわい」 と歌うサビではみんなきちんと振り付けをこなしていた。なにこのシュールの極み。好き……。

 

 

有名な曲で会場をあたためたあとは、怒涛の畳み掛けをみせる。誰も真似できない激ムズなコールアンドレスポンスで爆笑の渦を起こしたり。

 

岡崎体育のライブにおいて 「お客さんを笑わせる」 ことは、会話における 「掴み」 と同じ役割を果たしていると思った。笑わせてグッと心を掴むことで自然と手が上がったり、跳んだり踊ったりすることにも抵抗がなくなる。気づかないうちに自然とアツくなれるライブを、岡崎体育は全てわかったうえで作り上げている。舞台構成ハンパない。

 

 

あっという間に最後の曲。残り45秒しかないからいちばんシンプルな方法で盛り上がろうと、残された時間でめいっぱい跳んだ。

 

 

「最後に、言霊置いていきます」

すべての曲をやり終えたあと、真剣な顔つきでそう言った。

 

「2020年までにさいたまスーパーアリーナでワンマンライブをします。これは昔から言ってきてるんですけど、スタッフにも笑われた。お客さんにも笑われた。当時お客さん3、4人しかいなかったけど」

泣きそうになった。誰も本気にしてくれなかったんだろう。そりゃそうですよね~って自虐するように笑ってきたんだろう。それでも言い続けてきた大切な夢なんだろう。

 

「言霊置いていきます。僕は、2020年までに、さいたまスーパーアリーナでワンマンライブをします。ありがとうございました」

そうきっぱり言い残して袖に消えた。

体育氏の去ったステージに向けてものすごく大きな拍手が起こって、また泣きそうになってしまった。こんなんずるい。それまで散々笑いの渦起こしまくってたのに、急にかっこよすぎる。なんなんだ、かっこよすぎる、岡崎体育

 

 

一発屋芸人みたいに捉えられることが多いと本人も言っていたし、私も最初はそう思っていた。でも岡崎体育の生み出す "笑い" はあくまでもお客さんの心を掴むためのいち手段であって。YouTubeからフェスへ、フェスからワンマンへ、そしてそうやって魅了して獲得したリスナーを、いつかはさいたまスーパーアリーナへ。岡崎体育が着実に踏みしめてきた夢物語の行き着く先を見たいと思った。

 

素晴らしいステージでした。一発目からヘドバンまでしてしまった。楽しかった~!!

 

 

 

↓相棒の "てっくん" が登場するMVはこちら↓

岡崎体育「FRIENDS」Music Video - YouTube

 

↓どうぶつさんたちがわいわいするMVはこちら↓

岡崎体育 『感情のピクセル』Music Video - YouTube

 

ちなみに岡崎体育のMVを監督しているのは "寿司くん" ことヤバイTシャツ屋さんのこやまたくや氏です。才能がすごい。

 

次回は Saucy Dog の感想をお届けします。あおでした。

→(ライジングサン2018 ② - あおいろ濃縮還元