あおいろ濃縮還元

虎視眈々、日々のあれこれ

エバーグリーン

日付が変わって今日から9月、私の愛してやまない夏がとうとう終わる。缶チューハイ片手に手持ち花火をした、お祭りやフェスに行った、海やビアガーデンにも行った、美術館や観覧車やバーにも行けた、炎天下のしたでスイカバーを食べて滴らせては笑い転げた、思いつく限りの楽しいことに7、8月を費やした。

 

といってもキラキラ充実していたかといえばそんなこともなく、バイトに明け暮れるか飲んだくれるような日々だった。ボウリングのピンが倒れないだとか、くだらないことを肴にいつまでも飲んで笑っていられた。ハイライトはないけど毎日が楽しかった。

 

特筆もできない最低で最高な夏は喉元を過ぎていく。学生最後、22の夏はラムネよりも発泡酒の味がして、そんな安っぽさがこのうえなく愛おしいと思う。私の愛してやまない夏という季節はもう過ぎ去ってしまうけど、来年になったらまた冷えたジョッキで乾杯しようね。

夜の手

いろんな、いろんなことがテトリスのように積み重なっては日々を編んでいくけれど、ゲームみたいに綺麗に消えてしまうことはないから私は人生を愛してる。

数日のあいだで、好かれるように立ち振る舞ったり、反対に嫌われるように仕向けて動いたりした。レモンサワーで赤くなった頬の裏側にめいっぱいの思惑を詰めこんで笑っていた、そんな自分をつい先ほど湯船でふやかして排水溝に流した。好きな人にはより好かれたいし嫌いな人には嫌われたい。自分の身を切り取って差し出す愚かな私のことをわかってくれなんて言わないから、バカだねって笑ってくれたらそれでいい。

私の美学をわかってくれなんて思わない。人よりもいびつな私の軸を、理解なんかしてくれなくていいから、めいっぱいぶつかりたいと思う。青とオレンジという真逆の色が溶けあう夕焼けのグラデーションは、空の青色だけじゃ絞り出せない。昼と夜が手をつないだ結び目を、一辺倒の青だけじゃ打ち出せない美しさを、その向こうを見たくて夜の手を取る。

ライジングサン2019 ④

19:30、THE KEBABS、北の大地初襲来。

 

ケバブスとは何ぞやという人のために、メンバー紹介。

Vo&Gt 佐々木亮介(a flood of circle

Gt 新井弘毅(元 serial TV drama

Ba 田淵智也UNISON SQUARE GARDEN

Dr 鈴木浩之(元 ART-SCHOOL

 

意味わかんないぐらい豪華。神々の戯れ。ケバブスは主に東京あたりで細々とライブをやっており、北海道で観れることはないだろうなって思ってた矢先の襲来。初のフェス出演にライジングを選んでくれて嬉しい。うちの母なんてケバブス観るためにチケット買ってたからね。ずーっと楽しみにしてた!

 

 

 

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本番前のウォーミングアップ

 

 

 

【THE KEBABS】

  1. THE KEBABSのテーマ
  2. Cocktail Party Anthem
  3. THE KEBABSがやってくる
  4. すごいやばい
  5. ジャキジャキハート
  6. THE KEBABSは忙しい(w/LiSA)
  7. THE KEBABSのテーマ(w/LiSA)
  8. メリージェーン知らない
  9. 枕を変えたら眠れない
  10. 台風ブンブン
  11. ガソリン
  12. THE KEBABSのテーマ

 

 

 

用意されていたのはEARTH TENTという中堅バンド向きのステージ。若手はdef garageから始めるところをいきなりの飛び級スタート。ひとつ前の緑黄色社会(2曲しか聴けなかったけどすごく良かった)から入り、最前列をとることに成功。

 

ケバブスのライブは何から何まで未知で、リハーサルはどうするんだろうとワクワクした。ユニゾンはリハで曲をやらず、代わりに洒落たセッションのようなものを行う。ケバブスでは普通に曲リハをやる田淵智也が見れるんだろうか。

 

おもむろにメンバーが現れ、各楽器をチェックしていく。田淵さんは客席に尻を向けて長いこと足元の機材をいじっていた。最前でこんなにクリアに眺めてもいいものなんだろうか……とおののきながら、くるくる生い茂る後頭部を見ていた。

 

リハはユニゾンよろしくセッションめいたものを演ってくれた。「ケバブス ライブは6回目」 みたいな即興のフレーズを演奏に乗せる佐々木さんは、フラッドのシンボルである革ジャンではなく、私服らしき黒いブルゾンを羽織っていた。音合わせが終わると袖へ引っ込む。

 

 

開演時刻、佐々木さんは赤いロングシャツをはためかせて再び現れた。私のいた下手側からは幾度も 「田淵ー!!」 と歓声が起こり、こちらサイド一帯はどうやらユニゾンファンが固まっているとわかった。

 

1曲目は『THE KEBABSのテーマ』。「遊ぶときほどマジ いかしたやつら」 と歌うケバブスは、そもそも遊びの延長線上にある。結成自体が 「飲むよりもバンド組んだほうが早い」 というむちゃくちゃな理由だ。才能を持て余した彼らの盛大なお遊びなんだろう。

 

シリアルやアートスクールのことを私は知らないけど、革ジャンを脱いだ佐々木亮介はカッコつけることなく生き生きとメンバーに絡んでいたし、ベースストラップが虹色ではない田淵智也は目ん玉ひん剥いたりしながらもピック弾きに勤しんでいた。自然体で音楽と戯れる4人は、見ていて本当にほほえましかった。

 

デモCDやMV(THE KEBABS / Cocktail Party Anthem (Official Music Video) - YouTube)を観て、ラストの締めに合いそうだなあと勝手に思っていた『Cocktail Party Anthem』が2曲目で、さすが予定調和じゃいかないなってニヤッとした。愚直なほどストレートなロックンロールに熱く揺さぶられる。

 

音源化すらされていない『THE KEBABSがやってくる』『すごいやばい』だって、ものすごく盛り上がった。1度聴けば耳に残る馴染みのいいメロディーラインだというのもある。「お前ら曲知らないのにすごいな!」 と佐々木さんは沸き立つオーディエンスに笑いかけた。

 

田淵智也を入り口にケバブスへ足を踏み入れた私は、『ジャキジャキハート』のイントロで絶句した。佐々木&田淵ツインボーカルなのだ、この曲。いちばん聴きたかった。

先攻を歌った佐々木さんは、「3回やってやっぱりバカらしくなる だから4回目はむちゃくちゃにやってやったぜ」 と続く田淵さんに近寄って指差したり、MVでしていたようにサビを無理やり田淵さんのマイクで一緒に歌ったり、伸び伸びと絡みにきていた。当のTBC(佐々木は田淵をそう呼んでる)は知らん顔してたけど。

 

と、ここで 「ケバ友を呼んでいます!」 とのこと。現れたのは、先ほどSUN STAGEに出演していたLiSA。赤いミニスカートを履いた足をパワフルに振り上げながら、『THE KEBABSは忙しい』『THE KEBABSのテーマ』を一緒に歌ってくれる。

本日2度目になる『THE KEBABSのテーマ』。「出待ちに関わらない 気安く煽らない」 という箇所をLiSAは、田淵さんを指差しながら歌った。肩に手を回してみせるLiSAに気づいてか気づかずか、ツンとベースに徹する姿があまりにもらしくて笑った。

 

デモCDにも収録されている『メリージェーン知らない』。1度捌けたLiSAも、ステージと客席のあいだのところで楽しそうに観ていた。「I'm not メリージェーン」 と裏声で歌う新井さんに拍手が起こる。

でもなんかどうでも良くなってきたから ライブ終わったら盛大にビール飲む」 と歌い切ると、演奏どころかぴたりと動きすら止める4人。拍手を存分に浴びたところで、「いたいたいた メリージェーンだ間違いない」 と再度素早く戻る。そして 「でも恥ずかしいから声はかけない」 で今度こそフィニッシュ。痺れる。

(ねえこれ『instant EGOIST』のストップモーションのやつ~~!と私の心のなかのユニゾンファンが騒いだのはまた別の話)

 

the pillows 30周年に際して作られた映画 「王様になれ」。劇中歌として書き下ろされた『枕を変えたら眠れない』が初披露された。

ピロウズ先輩の映画に我々ケバブスも出演します。なんでここで映画の宣伝してんだって話だけど、本当に面白かったから!顔は怖いけど優しい先輩です」 と佐々木さん。作曲田淵、作詞佐々木らしかった。

タイトルからは想像がつかない、格好よく盛り上がるロックナンバーだった。「枕を変えたら眠れない 欲しいのはお前だけ」 みたいなニュアンスのサビだったはず。まさかのラブソング。2番Aメロを寝転んで歌う佐々木さんに、田淵さんは嬉しそうに近寄って頭上でベースを弾いていた。

 

不謹慎だけどやったら最高だなと思っていた『台風ブンブン』の、あのベースイントロが唸った瞬間、ザワッと客席が沸いた気がした。みんな考えてることは同じだったのかもしれない。「台風が来てる おっかないぜ ブン 台風が来てる おっかないぜ ブンブン」「本日の予定も立たない」 というフレーズ、笑えないけど、今日やってくれてありがとう。

 

初めて聴いた『ガソリン』はツインボーカル曲。これまたタイトルからは想像がつかないほど良い曲。

 

田淵さんは何度も、腰を低くかがめて忍者のごとく新井さんににじり寄っていた。新井さんもにこにこ笑って迎え撃つ。そのたびにコードが絡まりまくるので、最終的にスタッフさんたちが普通にコードを直しにスタスタ出てくるほどだった。

そして2人がじゃれてるのを見て羨ましくなってしまうのか、佐々木さんもすぐ混ぜてほしそうに絡みにきていた。生粋のロックンローラーみたいな顔しといて構ってちゃんの素質がすごい、このひと。

 

ラスト、「おまけっ!」 と叫んで始まったのは、本日3度目になる『THE KEBABSのテーマ』。割れんばかりの歓声が火を噴く。さっきのLiSA同様 「出待ちに関わらない」 のところで今度は佐々木さんが田淵さんに絡みにきていたけど、ここでもまたツンと跳ね返す。出待ちに関わらない、に一切関わらないスタイル。

ネコはかわいがる 新井もかわいがる」 と歌い替えて新井さんの頭をくしゃくしゃと撫でていた。似たくだり、フラッドのときも見た。ギタリストの頭をわしゃっとするのが好きなんだろうか。

 

最後のほう、田淵さんがステージ横の骨組みからベースの切っ先だけを出して、射撃のように客席へ無差別銃撃をおこなっていた。バーン!って狙い撃つ感じじゃなくて、ズダダダダ!って感じのエグい絨毯爆撃。ユニゾンファンが集っていた下手一帯は軒並みやられていた。

 

死ぬ覚悟で陣取った最前列は、押されることもなく、とはいえ盛り上がりは凄まじく、とても快適に過ごせた。フェスとは思えないほどのお客さんの質の良さ。

 

客層すらわからずに来たけれど、蓋を開けてみれば純粋にロックンロールが好きなひとたちばかりが集まったように思えた。ただただ楽しかった。それだけ。ロックはすべての垣根を越えると、ケバブスに教えてもらえた気がした。

 

 

あと最後、やりきってステージに寝転んだ田淵さんが、跳ね起きをしようとして失敗していた。2回目でなんとか成功してしれっと起きてたけど、下手サイドの人間はたぶん全員見逃してなかった。最高に楽しかったです。北の大地再襲来を早いとこお願い。

 

 

 

次回 ⑤は、ふたたび動き始めた伝説、ELLEGARDENのレポート。

 

 

THE KEBABS / THE KEBABSのテーマ (Official Music Video) - YouTube

THE KEBABS / ジャキジャキハート (Official Music Video) - YouTube

 

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ライジングサン2019 ③

17:10、a flood of circle。フラッドを観るのは初めて。きっと知らなくても格好いいだろうと踏んでろくに予習せず行ったので(結論からいうとめちゃくちゃ格好よかった)詳しいレポはできないけど大目に見て。

 

 

 

a flood of circle

  1. 美しい悪夢
  2. Blood Red Shoes
  3. Vampire Kila
  4. The Beautiful Monkeys
  5. Sweet Home Battle Field
  6. フルカラープログラムUNISON SQUARE GARDENカバー)
  7. Dancing Zombies
  8. ハイテンションソング
  9. シーガル

 

 

「おはようございます、a flood of circleです」。a、にアクセントを置いて、礼儀正しい言葉とは裏腹に挑発するような表情を見せる。

 

出会い頭の『美しい悪夢』。もはや一種の楽器みたいなボーカル・佐々木亮介のひずんだ歌声と、圧倒的なサウンドが妖しく溶け合って、ショータイムは火蓋を切る。「ビューティフル・ナイトメア まるで逆転満塁ホームラン みたいな不敵な笑顔でお前を襲う Bad Bad Horror Show」。あ、やばい、格好いい、とすでに煮立ちはじめた頭で思った。

 

続く『Blood Red Shoes』に、フツフツと血液が沸いていくのがわかった。真夏でも革ジャンを貫くところだとか、ロックンロール街道ど真ん中を突き進むような曲だってそうだけど、こんなにも "ロックンローラー" という言葉が似合う人たちっていない。

 

缶ビールのようなものを傾けながら登場したり、観客の上に立って歌ってみせる佐々木さんは、破天荒なようでいてチャーミングな人だなと思った。「ギター!アオキテツ!」 と肩に手を掛けながら紹介したあと、犬でも愛でるように髪をくしゃっとしたり、下手(しもて)に遊びにきたかと思えば革ジャンをつまんで中に着た黒いタンクトップを見せびらかしたり。キュートだ。

 

「世界一のロックンロールオーディエンスはここか?」 みたいに煽る。「好きな振り付けでダンスして好きに見てくれ。だから俺らも、好きにやりま~す」。

 

そうして始まったのは『フルカラープログラム』。先日発売されたトリビュートアルバムに収録されている、UNISON SQUARE GARDENのカバー曲。原曲の大ファンでもある私は、フラッド流の色に染められたフルカラープログラムを生で聴けてそれはもう感無量だった。ユニゾンの本家が原色であるならば、フラッドカバーはそれよりも彩度とコントラストを上げたビビッドな虹色だ。

そうだ 涙キラキラ西の空に光る モノクロでは説明できない完全無欠のロックンロールを」 と、原曲にはないアカペラアレンジで歌い切る。鳥肌が立った。このフレーズがこんなにも似合うことある?

 

 

時間の都合上、ここで中抜けしてしまったのだけど、本当に格好よかった。フラッドの掻き鳴らす音にもっと痺れていたかった。

 

 

 

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夕日がきれい

 

 

余談。『フルカラープログラム』終わりで抜けて、すごい良かったね~!とキャッキャしていたら、ちょうどSUN STAGEでLiSAが『Catch the Moment』を歌っていて度肝抜いた。どっちの曲も、ユニゾンのベーシスト・田淵智也が作ったやつ(Catch~はLiSA作詞)。計らずも田淵智也の大渋滞が起きてて笑ってしまった。ユニゾン来ないのに!

 

 

 

次回 ④は、北の大地に初襲来した THE KEBABSのレポートを。ちなみにケバブスのボーカルは、フラッドの佐々木亮介。ベースはユニゾン田淵智也。お楽しみに。

 

Blood Red Shoes

Blood Red Shoes

美しい悪夢 - a flood of circle - YouTube

 

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ライジングサン2019 ②

15:40、クリープハイプ。真っ昼間から野外でいっちょ1発かますか、とカクテル片手にSUN STAGEへ向かう。酔って眠くなったら困るのでノンアルだけど。

 

 

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そこはクリープのラババン付けとけよ、という1枚。堂々たる浮気。

 

 

 

 

クリープハイプ

  1. HE IS MINE
  2. おばけでいいからはやくきて
  3. 火まつり
  4. ラブホテル
  5. イノチミジカシコイセヨオトメ
  6. 5%
  7. 二十九、三十
  8. イト

 

 

ステージに上がるなり、「やりますか。ライブじゃなくてセックスの話です」 と涼しい顔で言い放つ尾崎さん。昼間でもエンジン全開。SUN STAGEの後ろに広がるキャンプサイトを見て、「僕にはテントがアレに見えます」 とつぶやく。

 

有無も言わさずいきなりぶち込む『HE IS MINE』。「みっつ数えて彼氏になったよ」 と艶っぽく歌ったとき、歓声が少しだけ色めきたった気がした。肩を組むようにスタンドマイクに左手を気だるく預ける。例の 「今度会ったら《セックスしよう》」 というコールアンドレスポンスが野外に響きわたったの、最高に良かった。

 

『鬼』の歌詞を 「あぁもう疲れきって玄関開けたら 束の間の休息 北海道の広い土地で」 と歌い替えてくれて沸き立つ。あと偶然かもだけど、お盆真っ只中に『おばけでいいからはやくきて』をねじ込んでくるの面白いな。

 

続いては、ベースのカオナシさんのターン。「放った言葉の矢が見知らぬ誰かや自分に刺さることもあると思います」 と矢を放つ仕草をする。「気づかないうちに自分が、匿名の顔無しになることもある。『火まつり』という曲を」。

去年のライジングサンでも思ったけれど、クリープハイプはフェスでも出し惜しみをしない。「ベーシストがメインボーカルをとる曲」 なんていうとっておきの手札を惜しみなく切る。使えるものは全部使って気持ちよくしてやろう、というクリープなりのホスピタリティなのかもしれない。好きだ。

 

『ラブホテル』なしで夏は始まらない。「夏のせい 夏のせい 夏のせいにしたらいい」 というキラーフレーズは、きっとクリープを大して知らない人の耳にも根付いている。

一回位 減るもんでもないし」 と歌い終え、いざ大サビに差し掛かろうと溜めに溜め、たと見せかけて 「今日話したいことがあるんですけどいいですか?」 なんて普通に話し始める尾崎さん。演奏が止まって 「もう35なんで、人間ドックに行ったんですよ」 と話す。

「そしたら胆のうにポリープが見つかって。俺これ今日のステージで言おうと思って、出番前にメンバーに話したんですよ。そしたら小川くんが『ああ俺もあるよ!』って。しかも2年目。……これじゃポリープハイプだよ」

笑っていいものか計りかねるけれど、メンバーの半分がポリープ持ちのポリープハイプはさすがに面白すぎるだろうと思って爆笑してしまった。ほころんだ空気を 「夏のせいにしてもいいですか?」 と言ってそのまま大サビに引き戻す。客席数から上がる手に力強さが増した気がする。主導権を持っていくの、巧いなあ。

 

SUN STAGEは、ステージの両脇にそれぞれ特大のビジョンが設置されている。こういうのってボーカルの顔とか客席ばかりが多く映って興醒めしたりもするけど、今回のカメラワークは絶妙だった。

『5%』では、キーボードを弾くカオナシさんの手元をどアップで映し出していたり、引いて撮られがちなドラマーもアップで撮ったり。大写しになる、カオナシさんの骨ばった両手や、拓さんの胸元に光るネックレスにどきっとした。

 

あっという間に最後の曲。「俺らを例えるとしたら、教室の隅で数人で固まってマニアックな話をしてるようなモテないやつらで。そんな俺らが季節外れの花を咲かせて散らせようと思います」。『栞』。

FM802のキャンペーンソングとして作られたこの曲は、本当にただのキャンペーンソングとして消費されることもなく、クリープハイプの勝負曲としてしっかり根を張った。厳しい春を越えて咲く桜みたいなしたたかな強さ、一度咲いたそれを散らせるひねくれ具合はどれもクリープらしい。

バンドサウンドに乗せられた歌詞が驚くほどに沁みた。涼しい風に吹かれながら聴く 「「今ならまだやり直せるよ」が風に舞う 嘘だよ ごめんね 新しい街にいっても元気でね」 に涙腺をほどかれそうになった。

 

季節外れの満開の花は、みごとに桜吹雪を降らせて、大舞台のエンディングを彩った。惚れ惚れするような50分間だった。

 

 

次回 ③は、屈指のロックンローラー a flood of circle

 

 

ラブホテル

ラブホテル

クリープハイプ -「栞」(OFFICIAL VIDEO) - YouTube

 

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ライジングサン2019 ①

台風につき、初日が中止となったRISING SUN ROCK FESTIVAL 2019 。田植えフェスで有名なライジング20周年の歴史のなかでも、開催中止にまでなったのは今回が初めてらしい。確か。

 

演者、スタッフ、観客。この日を楽しみにしてきたたくさんの人たちのことを思うとやりきれない。ナンバガやハイエイタスが楽しみだってワクワクしていた何人もの友人の顔が浮かんで、悔しくなった。私だって台風しばけるもんならしばきたい。

 

だからというわけでもないけれど、私は私でずーっと楽しみにしていた17日を楽しみ尽くして、その熱量を来られなかった人たちに少しでも手渡そうと思った。ささやかながらどうか、ライブレポという形で受け取ってくれますか。

 

 

 

 

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迎えた8月17日。台風直撃が嘘のような天気。照りつける陽射しは熱いけれど、ひんやり涼しい風が吹いており、近年稀にみる過ごしやすい天候だった。

 

麻生発のシャトルバスには30分ほど並び、そこからまた30分で会場に着く。出発時間が遅すぎてフジファブリックに間に合わなかったため、グッズを買ったり、洒落たドリンクを飲むなどして過ごす。

 

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ブラッドオレンジのフローズンドリンク、イタリアの風を感じた

 

 

 

 

 

本日1発目は14:50、def garageにて、初めてのマカロニえんぴつ。

 

【マカロニえんぴつ】

  1. 洗濯機と君とラヂオ
  2. ワンルームデイト
  3. ヤングアダルト
  4. レモンパイ
  5. ブルーベリー・ナイツ
  6. 青春と一瞬

 

イタリアの風を感じていたせいで開始ギリギリに滑りこんだので、観客でぎゅうぎゅうの会場(defは屋根つきのステージ)に入る勇気もなく、場外でゆったり観ることに。

 

1曲目、『洗濯機と君とラヂオ』のイントロからわっと客席が沸く。待ち望んでいたマカロニえんぴつの音に触れて、いてもたってもいられない、といった沸き具合を遠くから眺めているだけで幸せでいっぱいになった。

ボーカルのはっとりさんが 「この恋が この声が この夜が ずっと前から僕らを待っていた、待っていたんだ」 と歌ったあと、「待ってたか~い!」 と呼びかけてくれて自然と口もとがほころんだ。

 

2曲目、「そのフィーリングをいつまでも 捨てないでおいてくれよな」 という出だしで息をのんだ。カップリングである『ワンルームデイト』をまさかフェスで聴けると思っていなかったので、なんて贅沢なんだろうって噛みしめながら肩を揺らした。じりじり肌を焦がす陽射しも気にならなかった。マカロニえんぴつの鳴らす心地いい音に浸かり、全身を多幸感でディップされてしまった私はもう無敵だった。

 

 

初日が中止となったことについて、死者が出ないようにとお客さんのことを考えて下した決断なんだと話してくれた。はっとりさんの落ち着いた口調に、やるせなかった気持ちが少しだけ飲み込めた気がした。

 

うろ覚えのニュアンスで悪いけど、「陽は昇って沈んでを繰り返す。つらいことも死にたいと思うこともあるかもしれない。それでも、自分で選んだ好きな場所にこうして帰ってこれるなら」 みたいなことを話してくれた。肝心なところはじんときすぎて忘れてしまったけど(なんで?)明日からも頑張って生きよう、そしてときどきは大好きなライブ会場に足を運んで、つらいこと全部洗い流そうって思った。

 

前日にMVが公開されたばかりのホヤホヤの新曲『ヤングアダルト』。「ハロー絶望 こんなはずじゃなかったかい」 というフレーズに時折どきりと刺されつつも、そっと手を取って霧の向こうまで連れ出してくれるような、押し付けがましくない優しさを感じる。

 

大好きな『レモンパイ』『ブルーベリー・ナイツ』を生で聴けてすごく嬉しかった。みんなも同じように思っていたのか、イントロで嬉しそうな歓声があがる。この2曲は個人的にそれぞれ、私がマカロニえんぴつを知った曲と沼に落ちたきっかけの曲。きっと同じひとたくさんいるんだろうな。毛並みこそ違えど、どっちも魅力しかない最強のキラーチューン。

 

あっという間に最後、マクドナルドのCMソングに書き下ろされた『青春と一瞬』。しれっと織り込まれている、ポテトが揚がるときの 「あの音」 にいつもにやりとする。

つまらない、くだらない退屈だけを愛し抜け 手放すなよ若者、我が物顔で」 というサビがやけに沁みた。青春ってなにも、放課後に恋人とチャリニケツとか制服ディズニーみたいなキラキラした時間のことだけを言うんじゃない。つまんなくてくだらない映画にもならないような時間こそが大切なんだって、そして青春って何歳になってもやってくるんだって思う。

 

初めて観たマカロニえんぴつ、30分間のステージはあっという間だったけれど、幸福感に満ち満ちていた。ワンマン行きたいなあ、チケット取れなさすぎるけど。これからもトリコにしてくれよな。

 

 

次回、②は真っ昼間から野外でクリープハイプ。お楽しみに。

 

 

洗濯機と君とラヂオ

洗濯機と君とラヂオ

  • マカロニえんぴつ
  • ロック
  • ¥200

 

マカロニえんぴつ「ブルーベリー・ナイツ」MV - YouTube

 

前回→(ライジングサン2019 準備編 - あおいろ濃縮還元

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ライジングサン2019 準備編

8/17に行われるRISING SUN ROCK FESTIVAL 2019。備忘録を兼ねて、服装や持ち物をまとめておきます。

(ちなみに8/16の公演は台風により中止となってしまいました。20周年を迎えるライジングサン史上初のことらしいです)

 

この持ち物リストは 「北海道」 でやる 「オールナイトフェス」 であるライジングサンに特化したものなので、本州の暑さ対策や都市型フェスにはまったく対応していません。どちらかといえば、サバイバル感の強い自然型フェスでいかに快適に過ごすか、雨対策はどうすべきか、といったほうによりフォーカスしています。

 

あとこれはマジで個人的な持ち物リストなので鵜呑みにはしないで。あくまでも参考程度でお願いしますね。

 

 

 

〇基本装備

帽子

キャップ。日除けアンド小雨よけ。

 

Tシャツ

言わずもがなバンドTシャツ。

 

ズボン

七分丈のゆるいやつが好き。前から愛用してるユニクロのリラコに加えて、無印の七分丈パンツが良さそうなので今回から取り入れます。

レーヨンコットン天竺七分丈パンツ婦人S・グレー 通販 | 無印良品

 

スニーカー

汚れてもいい履き慣れたやつ。

 

ボディバッグ

中身は コインケース、携帯、モバイルバッテリー、ティッシュ、ウエットティッシュ、制汗シート、日焼け止め、ジップロックカラビナ引っかけて飲み物吊るす。

 

ネズミくんヘアゴ

キュウソのグッズ。これでマフラータオル留めてる。

 

マフラータオル

首に。いつもネズミくんヘアゴムに留められてる。

 

ラバーバンド

汗で張りつくのうっとうしいから少なめ。

 

上着

ライジングは夜冷え込むので羽織り必須。ナイロンジャケット。

 

 

 

〇持ち物

リュック

 

コインケース

とは名ばかりのジップロックみたいなやつ。防水であればなんでもいいという個人的なポリシー。

 

レインコート

百均。

 

レインパンツ

これも百均。下半身完璧に守れてオススメ。

 

レジャーシート

暗くなっても見つけられる、明るい色の目立つやつ。

 

クージー

に入れた、

 

飲み物(ポカリやソルティライチ等)

を、

 

カラビナ

に付けてサコッシュにぶら下げる。

 

保冷バッグ

百均の小さいやつ。飲み物2本(開場待ちのあいだで飲むやつ1本と予備1本)、保冷剤(身体を冷やす用にも使える)なんかを入れる。あると快適だけど、荷物がかさむためオススメはしない。

 

ポケットティッシュ

なにかと入り用。

 

ウエットティッシュ

上に然り。ご飯のときに手拭いたり。トイレで紙がなかった場合なども考慮し、水に流せるタイプのやつ。

 

ジップロック

雨のときスマホ入れる用。

 

モバイルバッテリー

ツイ廃なので必須。

 

タオル

汗を拭くマフラータオルとは別で、朝露で濡れたレジャーシート拭いたりする用に。

 

替えのTシャツ、ズボン、靴下

汗や雨でびしょびしょになるため。

 

長靴

ライジングは田植えフェスで有名なので。

 

サンダル

帰りに履き替える用。

 

制汗シート

さっぱり。

 

日焼け止め

持ち運びやすそうなサイズのを。

 

ビニールナップザック

荷物増えたとき用。雨で濡れた衣類入れておく用にも使える。

 

 

〇その他

キレートレモン

フェスに限らずライブに行く日は必ず飲む。筋肉痛の残り方が全然違う。

 

 

 

 

ざっとこんな感じです。熱中症や日焼けよりも、雨がいまのところ最大の敵。マストなレインコートに加え、レインパンツの裾をさらに長靴に被せることで下半身を完全に守りたいと思います。濡れた靴ほど嫌なものはないので。

 

あと気をつけることがあるとすれば、女性は、髪を低い位置で結ぶこと。括らずにモッシュゾーン飛び込むと、後ろのひとの口に入り放題なので。自分の髪の毛が50分食べ放題ビュッフェになるの嫌なひとは括りましょうね。おろしっぱなしの髪が口に入ってくるせいでいつもタオルで口を覆わざるを得なくさせられている私との約束だよ。私はモッシュゾーンで髪を結ばない女を断じて許さない。断じて。

 

では、明日には台風が過ぎ去っていることを願って眠りにつきます。どうか無事に開催できますように。おやすみなさい。