台風につき、初日が中止となったRISING SUN ROCK FESTIVAL 2019 。田植えフェスで有名なライジング20周年の歴史のなかでも、開催中止にまでなったのは今回が初めてらしい。確か。
演者、スタッフ、観客。この日を楽しみにしてきたたくさんの人たちのことを思うとやりきれない。ナンバガやハイエイタスが楽しみだってワクワクしていた何人もの友人の顔が浮かんで、悔しくなった。私だって台風しばけるもんならしばきたい。
だからというわけでもないけれど、私は私でずーっと楽しみにしていた17日を楽しみ尽くして、その熱量を来られなかった人たちに少しでも手渡そうと思った。ささやかながらどうか、ライブレポという形で受け取ってくれますか。
迎えた8月17日。台風直撃が嘘のような天気。照りつける陽射しは熱いけれど、ひんやり涼しい風が吹いており、近年稀にみる過ごしやすい天候だった。
麻生発のシャトルバスには30分ほど並び、そこからまた30分で会場に着く。出発時間が遅すぎてフジファブリックに間に合わなかったため、グッズを買ったり、洒落たドリンクを飲むなどして過ごす。
ブラッドオレンジのフローズンドリンク、イタリアの風を感じた
本日1発目は14:50、def garageにて、初めてのマカロニえんぴつ。
【マカロニえんぴつ】
イタリアの風を感じていたせいで開始ギリギリに滑りこんだので、観客でぎゅうぎゅうの会場(defは屋根つきのステージ)に入る勇気もなく、場外でゆったり観ることに。
1曲目、『洗濯機と君とラヂオ』のイントロからわっと客席が沸く。待ち望んでいたマカロニえんぴつの音に触れて、いてもたってもいられない、といった沸き具合を遠くから眺めているだけで幸せでいっぱいになった。
ボーカルのはっとりさんが 「この恋が この声が この夜が ずっと前から僕らを待っていた、待っていたんだ」 と歌ったあと、「待ってたか~い!」 と呼びかけてくれて自然と口もとがほころんだ。
2曲目、「そのフィーリングをいつまでも 捨てないでおいてくれよな」 という出だしで息をのんだ。カップリングである『ワンルームデイト』をまさかフェスで聴けると思っていなかったので、なんて贅沢なんだろうって噛みしめながら肩を揺らした。じりじり肌を焦がす陽射しも気にならなかった。マカロニえんぴつの鳴らす心地いい音に浸かり、全身を多幸感でディップされてしまった私はもう無敵だった。
初日が中止となったことについて、死者が出ないようにとお客さんのことを考えて下した決断なんだと話してくれた。はっとりさんの落ち着いた口調に、やるせなかった気持ちが少しだけ飲み込めた気がした。
うろ覚えのニュアンスで悪いけど、「陽は昇って沈んでを繰り返す。つらいことも死にたいと思うこともあるかもしれない。それでも、自分で選んだ好きな場所にこうして帰ってこれるなら」 みたいなことを話してくれた。肝心なところはじんときすぎて忘れてしまったけど(なんで?)明日からも頑張って生きよう、そしてときどきは大好きなライブ会場に足を運んで、つらいこと全部洗い流そうって思った。
前日にMVが公開されたばかりのホヤホヤの新曲『ヤングアダルト』。「ハロー絶望 こんなはずじゃなかったかい」 というフレーズに時折どきりと刺されつつも、そっと手を取って霧の向こうまで連れ出してくれるような、押し付けがましくない優しさを感じる。
大好きな『レモンパイ』『ブルーベリー・ナイツ』を生で聴けてすごく嬉しかった。みんなも同じように思っていたのか、イントロで嬉しそうな歓声があがる。この2曲は個人的にそれぞれ、私がマカロニえんぴつを知った曲と沼に落ちたきっかけの曲。きっと同じひとたくさんいるんだろうな。毛並みこそ違えど、どっちも魅力しかない最強のキラーチューン。
あっという間に最後、マクドナルドのCMソングに書き下ろされた『青春と一瞬』。しれっと織り込まれている、ポテトが揚がるときの 「あの音」 にいつもにやりとする。
「つまらない、くだらない退屈だけを愛し抜け 手放すなよ若者、我が物顔で」 というサビがやけに沁みた。青春ってなにも、放課後に恋人とチャリニケツとか制服ディズニーみたいなキラキラした時間のことだけを言うんじゃない。つまんなくてくだらない映画にもならないような時間こそが大切なんだって、そして青春って何歳になってもやってくるんだって思う。
初めて観たマカロニえんぴつ、30分間のステージはあっという間だったけれど、幸福感に満ち満ちていた。ワンマン行きたいなあ、チケット取れなさすぎるけど。これからもトリコにしてくれよな。
次回、②は真っ昼間から野外でクリープハイプ。お楽しみに。
マカロニえんぴつ「ブルーベリー・ナイツ」MV - YouTube