スペイン新婚旅行5日目。バルセロナのビーチを散策したのち、高速列車に6時間乗り、サン・セバスチャンというバスク地方の町へ移動する。
(前回→スペイン旅行記⑦4日目 カタルーニャ音楽堂、ピカソ美術館 - あおいろ濃縮還元)
昨日テイクアウトしたJonCakeのバスクチーズケーキを朝ごはんとする。インスタントコーヒーを淹れ、せっかくなので残っていたカヴァ(白ワイン)も朝からのんでしまう。なんたって新婚旅行だからね。
奥のClassicはスタンダードなもので、手前のCabrales DOPはブルーチーズの効いたケーキ。とろりと濃厚でおいしい!そりゃ行列もできるよねというお味。Classicにはコーヒーが、Cabrales DOPにはカヴァがよく合った。
便秘解消のために買った飲むヨーグルト。
スペインはヨーグルトの種類が豊富で、どこのスーパーにも尋常じゃない量が並んでいる。食べるタイプ、飲むタイプ、無脂肪やらフルーツ味やらチョコワみたいのが入ったものまで。選べなさすぎて喧嘩したほど。左の濃厚なミックスフルーツ味は、おいしくて滞在中リピートした。右のココナッツは好き嫌いが分かれるよう。飲まないほうがいいと夫に言われ、ビビってやめた。
この日は11時のチェックアウトから、サン・セバスチャン行きの列車に乗る15:30まで特に予定がない。バルセロナの旧市街・ゴシック地区を回るプランも考えていたが、そこまでの体力は残っていない。バルセロネータのビーチに繰り出して、のんびり過ごそうということに決まった。
4泊お世話になったホテルをチェックアウト。とっても快適だった!
FREENOWというアプリでタクシーを配車し、プラヤ・デ・ラ・バルセロネタへ向かう。11ユーロぐらい。海外タクシー呼ぶの初めてでドキドキしたけれども、到着地は事前に指定しているから会話の必要もないし、カード情報をあらかじめ登録しておけばアプリで簡単に決済もできる。チップを代金に上乗せして払うこともできた(※スペインはチップ必須ではない。気持ちいいサービスを受けたら払うぐらい)。
11:30ごろ到着。クロークのサービスみたいなものをアプリ(名前忘れた)で予約しておいたんだけど、事前決済したのに店が閉まっていて、スーツケースを持ったまま観光することになった。問い合わせフォームで抗議して返金はしてもらえたものの、身軽にのんびり散策する計画が……。
とはいえ、
海~~!うれし~~~~!!!!!
海だいすき夫婦、この旅でいちばんテンションぶち上がった。2月とは思えぬ暖かさで、薄手の長袖シャツ1枚でも暑いくらい。海辺のベンチに無防備に寝転がって、昼寝をしている人々もたくさんいる。これが本場のシエスタ(昼寝)というやつなのだろうか。
検索して見つけたレストランが開店するまですこし時間があり、海辺をゆったり散歩した。明らかに観光客風情のため、ブランケット売りのお兄さんに声を掛けられまくるが、覚えたての「No, Gracias(No thank you)」を使うとあっさり引き下がってくれた。海近くの公衆トイレはトイレットペーパーがなかったから注意。こんな事もあろうかと水に流せるティッシュを持っていてよかった。
12時、Xup Xupというレストランへ。目の前に海をのぞむテラス席が大人気。暑そうなので私たちは店内へ。
パンコントマテ、オリーブ、カラマリ(イカ)のフリット、クララ、白ワインのサングリア。うお~!!!海辺で食べるシーフード最高!!!!
超おいしかった。ビールをレモンジュースで割ったクララは、カクテルみたいにすいすい飲める。フリットについてきたバジル風味のマヨネーズ(バジル入りのアリオリソースなのかな?)が絶妙においしくて、マヨネーズ嫌いの夫が「何このマヨネーズ?!これなら食べれる」と目の色を変えてディップしていた。
食事中、店員さんにどこから来たのか尋ねられて日本だと答えると、会計のときに「すべて大丈夫ですか?(Is everything all right?の直訳と思われる)」と日本語で話しかけてくれた。お会計までの間に調べて覚えてくれたのかな!?と夫婦ともども心を鷲掴みにされた。夫は店員さんにメロメロになり、口直しにもらったキャンディーを「イケメンにもらった飴ちゃん」と言ってその後ずっと大事にしていた。よかったね。
スペインはスリが多い。めちゃくちゃ警戒していた私はなんとリュックごと盗られたので、注意喚起のために手口を書いておく。
パスポートと財布は服の中のボディバッグにしまい、盗まれても支障のない荷物も前掛けのボディバッグで厳重に管理していた。のだが、このときは荷物を預けることができず、リュック(なぜかボディバッグも一時的にこの中にしまっていた。マジでダメです)とスーツケースを持って歩いていた。まず、これがよくなかった。幸いだったのは、多額の現金とチケットなどの重要書類はダイヤルロックつきのスーツケースに保管してあったこと。
後ろから歩いてきた男性が私を追い抜きざまに、口笛を吹きながら何かを背中にかけてきた。見れば、リュックとシャツにケチャップがぶちまけられている。ケチャップをかけてくる人がいると聞いたことはあったので、やられたね……と言いながら "その場で" リュックを拭いた。これが最もよくなかった。
ベラベラと何かを喋りながら、別の男性が近づいてくる。男は夫のスーツケースの車輪を指さして、壊れてるから直そう!一緒にあっちに行こう!みたいなジェスチャーをし、どこかに誘導しようとしている。夫は動揺して英語で会話しようとしてしまっている。いやこれダメなやつだろ……と思ったら、通りがかった他の男が「やめろよ」と押しのけて(この人もグルな気がする)早口男はどこかへ行った。
怖かったね……とひと息ついたところで、ケチャップを拭くためにおろしていたリュックがなくなっていたことに気付く。ケチャップをかけてきただけの愉快犯かと思ったら、気を引いてそのうちに盗むスリグループの犯行だった。まんまとやられた!その場でリュックをおろさず、人通りの多いところに移動してから拭くのが正解だったな。異国でトラブルが起こったときって全然頭回んないんだな……。
バスでバルセロナ・サンツ駅へ向かおうとしていたのだけど、これ以上ここに留まるのはよくないと思い、FREENOWでタクシーを呼んだ。アプリ入れといてよかった。
14時頃、バルセロナ・サンツ駅に到着。盗まれたものを思い返してみる。幸い現金はろくになかったが、リュックの中にはボディバッグ、エコバッグ、スリッパ、折りたたみダウン、暑くて脱いだジャケット、文庫本、イヤホン、充電器とケーブル、どでかいプリングルスが入っていた。チャックを開けてスられないよう中身をエコバッグに入れてガードしていたのに、リュックごと盗られるとは。ショック通り越して吹っ切れて笑えてきた。
ALE-HOPという、スリーコインズとサンキューマートの中間のようなお店で一式を買い直す。リュック、ボディバッグ、イヤホン、充電ケーブル、スリッパ、防寒のためにマフラーも。ショップバッグとしてナップサックを売っており、ヤケクソでそれも買う。店員さんが「これから長旅?」と微笑んでくれてちょっと救われた。
15:30、高速列車のAVEに乗車。左右に2列ずつだった二等車とは違い、一等車は1列・2列の配置。ほかの方のブログを読んで一等車は軽食が出るかもと思っていたけれど、ほかの区間の話だったのかも。バルセロナ~サン・セバスチャン間は軽食はなく、車内販売のワゴンが時々来る。コーヒーを注文してみた夫は、値段のわりにおいしくはないとしょんぼりしていた。
サン・セバスチャンまでは約6時間。
バスク地方はスペインとフランスにまたがり、それぞれスペインバスク、フランスバスクと呼ばれる。スペインバスクにあるサン・セバスチャンは、世界屈指の美食の街として知られる。ミシュランの星付きレストランが数多くあったり、旧市街にたくさんのバルが建ち並んでいたり。移動含めて3日のみの滞在だけれども、食べ飲みだいすきな私たち夫婦はサン・セバスチャンをなによりも楽しみにしていた。ほんとに。
長いように思えた6時間も、14時間のフライトに比べればなんてことない。スリッパとネックピローで疲労も軽減できる。眠ったり、電子でダウンロードしていた漫画を読み返していたらあっという間に過ぎた。車内のモニターで日本の映画(「メ~テレ」のクレジットが見えた)を放映しており、スペインで日本の映画が……?と嬉しくなったりした。
9:20過ぎ、サン・セバスチャン(バスク語でドノスティア)到着!!!
このみどり色すらかわいい
昼間の陽気とは打って変わって肌寒い。新市街にあるホテルまで、風情のある橋を渡って15分ほど歩く。
Axel Hotelはおしゃれで真新しく、イケてる若者向けという感じ。チェックインの際、おすすめのお店を記したリストをくれた。
予約の際にハネムーンだと伝えたからか、ハートの風船を置いていてくれた
枕元にスキンが置いてあり、間違ってラブホ予約した?!と焦る。調べてみるとAxel Hotelはゲイ御用達ホテルだそう。LGBTQ+に焦点を当てたチェーンで、ゲイフレンドリーと定義したくないため、ヘテロフレンドリーという新しい用語を導入した、という。ヘテロフレンドリー、いい概念だな。
そういえば夕飯を食べていない。荷物を置いてバル探しに繰り出す。
ホテルのすぐ近く、La Bella Easoという地元向けっぽいバルに思い切って入ってみる。片言の英語しか話せないアジア人にも店員さんはやさしくて、スリにあったばかりの身にすごく沁みる。常連の陽気なおじちゃんがスペイン語でベラベラ話しかけてきて、お互い何言ってるのか全くわからなかったけど(たぶん、彼女か~?って感じで夫を冷やかしてた)なんか楽しかった。
ピンチョスとビノ・ブランコ(白ワイン)。め~っちゃおいしかった!!!私のには魚の酢漬け、夫のはカニのタルタルみたいなのが載ってる。
ピンチョスはサン・セバスチャン発祥の、おつまみのようなもの。パンの上に料理を乗せ、上から串で留めることが多いと思う。ショーケースに並んだ中から好きなものを指差して「Esto, por favor(これください)」と言えば頼める。おいしすぎて、ここまでの苦労もあいまって、ふたりして早くも「サン・セバスチャン来てよかったね……」としみじみ噛みしめた。
ふわふわと酔って帰宅。シャワーを浴びてすぐバタンキューした私をよそに、夫は溜まっていた下着を洗濯してくれた(服は自分で洗えるように、洗濯パックと小分けの洗剤を持参した)。1時ごろ就寝。
翌日はいよいよ、念願のサン・セバスチャン飲み歩き。
(次回→スペイン旅行記⑨6日目 サンセバスチャン飲み歩き - あおいろ濃縮還元)