あおいろ濃縮還元

虎視眈々、日々のあれこれ

片栗粉は愛

値引きされていたからと夫が買ってきた黒豚を、襟を正す気持ちで調理する。薄く柔らかな肉をバットにひろげ、大量の片栗粉をそれはそれは丁寧にまぶす。こういうのって、愛情だと思う。自分のためだけの食事なら、私は絶対に片栗粉をこんなにしっかりまぶさない。片栗粉って愛かもね。

 

すてきな文房具屋さんで、それはもうじっくりと吟味して買い物をした。あらゆる商品を、ディスプレイの妙を、ねぶるように何周もみて回った。センスのいい品物と、その魅力を最大限に引き立てる飾り方がすばらしくて、ぐるぐると何周も。会計時、店員さんに「文房具お好きなんですか?」と尋ねられ、気付いたら口から「すごく好きです」と口から飛び出していた。すごく好きなのか。そうなのか、私。

 

いつも突拍子もなく物事をはじめる。私としては筋が通っているつもりでも、他人からすればなんの脈絡もなく映るようで、なぜなのかと毎度、本当に不思議そうに問われる。いつだって明確な理由はない。好きだから、それだけ。これだ!っていう稲妻のようなときめきがあったから。高尚な理由なんてない、ただ心が震えるから。それだけだ、いつも。「無我夢中に理由は毛頭無い」。