UNISON SQUARE GARDEN を誰かに勧めるとき、「曲すごくイイよね!でも、歌詞の意味がよくわからない」 とよく言われる。
確かに。ユニゾンの歌詞が大好きな私でも、初見じゃ全然わかんない。
「一聴ではわからないなら それこそが贅沢な暇潰しだって思いはしないかしら」 と本人が『mix juiceのいうとおり』で言っているように、そもそも一度聴いただけでわかるようには作られていない。
『プログラムcontinued』では 「一見に関係ないことを大声で歌ってきたんだ 沢山の人が首をかしげてきたけれど」 などとも言っている。
大切なことは、見つからないようにそっと隠しておく。わからない奴は一生わからないままでいい、見つけてくれた君にだけ届けばいい。そんなふうに考えているのだと思う、田淵さんは。
『流星のスコール』で 「難しい言葉じゃわからない伝わんない もう知ってる そんなこと だからこそ、ただ、君に届け」 と言っているように。
ところでご存知とは思いますが、ユニゾンの作詞作曲はあの爽やかなギターボーカルではなく、テレビ出演のたび 「怖いベースの人」 でトレンド入りする彼です。
日本一見切れるベーシストこと田淵智也さんが、ほぼ全ての楽曲を手がけています。
何も関係ないようで、実は大事なメッセージが秘められたユニゾンの歌詞を、解剖したいと思います。
「スリーピースバンドなのにカルテットにこだわる理由」 についてメスを入れていきましょう。
【スリーピースバンドなのに、カルテット】
田淵さんが書く歌詞には、何度も出てくるお気に入りのフレーズがある。「face to face」 「健忘症」 「友達」 あたり。好きだよね。
そのなかでも特に印象的なのが、「quartet (カルテット)」 という言葉。意味は 「四重奏」。
そう、これ、おかしいんですよ。ユニゾンって3人編成なのに。ボーカル&ギター斎藤宏介、ベース&コーラス田淵智也、ドラム鈴木貴雄のスリーピースバンドなのに。
なんでスリーピースバンドである彼らが 「quartet」 にこだわるのか、私なりの解釈を2通り述べたい。
まずひとつめ。
『桜のあと(all quartets lead to the?)』という曲にこんな歌詞がある。「キック、リズムを打て! ベース&ギター おまけに僕が歌えば四重奏」。
田淵さんはつまり、ギター、ベース、ドラムに加え、斎藤さんのボーカルをひとつの楽器 (?) にカウントしている。だからしきりに 「四重奏」 なんていうわけだ。
ゴリゴリ主張の強い演奏も、伸びやかなボーカルも、どれひとつとして欠けてはならない。4つの響きが揃って初めてUNISON SQUARE GARDENなのだ。
もうひとつは、「喜怒哀楽」。
「四つの感情が行き交って 次々に色を成して この街が幸せになって そんぐらいのコントラストを奏でているんだよ」。
この歌詞から、四つ、奏でる、というワードが出てくる。この曲のタイトルが『kid,I like quartet』だというところからしても、quartet=四重奏=喜怒哀楽、と田淵さんが捉えていることは間違いない。
同曲で 「あらゆる喜怒哀楽情景 散りばめ何処にもない造形を 重ねて連なっていく」 とも言っているし。前述した『桜のあと~』にも 「with 喜怒哀楽」 と出てくる。
田淵さんは、喜怒哀楽という4つの感情が奏でるハーモニーを大事にしているのだと思う。
『kid~』を聴けば、嬉しくなったりむかついたり悔しくなって恨んだりするのは当然のことで、取り繕うのは好きじゃないぜ的なことが歌われているとわかる。
「キレイにメッキ塗りたくって 汚いところ見せないで お涙頂戴彷彿って ふざけんなよ」。繕うことよりもむき出しの感情で正々堂々勝負したいんだろうな。
田淵さんがquartetにこだわる理由、
① UNISON SQUARE GARDENはボーカル、ギター、ベース、ドラムの4つの響きが揃って初めて成り立つから。
② 喜怒哀楽という4つの感情が奏でるハーモニー、つまり四重奏に重きを置いているから。
だと考察します。QED!
ユニゾンに関してはまだ 「田淵智也、東京大好き説」 「口が悪い歌詞多すぎ問題」 とかいろいろ語りたいテーマ山積みなので、またいつか書けたらと思います。
あおでした。