5/7（日）
早起きを試みたけれど敗北。10時過ぎに目覚めると小雨が降っており、気圧で体調のチューニングが狂っているのだろうなと思った。ゴールデンウイーク最終日の夫のためにバナナジュースをつくる。昨日つくったのよりも少しバナナの粒感が残るようにした。
連休中に読み終えようと意気込んでいた『死にがいを求めて生きているの』を一気に100ページ読む。あと200ページ。朝井リョウ特有の鋭さというか不穏さというか、核心を突きすぎていてもうこれ以上はやめてくれと顔を覆ってしまう、この感じ。私はこういう文章が書いてみたい。11時頃、夫がミニピザを大量に作ってくれた。昼飯にはやや満たない。お腹がすいたらあとは各自カップ麺を食べるように、とのことで、夫はゲーム、私は僕ヤバアニメ6話に没頭する。
いつの間にか昼寝をしており、起きると15時過ぎであった。遅めの昼飯として、ベランダで欧風チーズカレーヌードルを食べる。ベランダテーブルと椅子は各1個しかないので、言い出しっぺの夫は立ち食い。ひそやかに降る小雨で空気は心地よくつめたい。子どもの頃、家族で行ったキャンプの朝を思い出す。こんなふうに朝露でひんやりつめたい空気の中、鍋で沸かしたお湯で各々好きなカップ麺を食べるのが楽しみだった。ピカチュウのかまぼこが載ったポケモンヌードル、少し歳を重ねるとシーフードヌードルを好んだ。キャンプ、面倒だけどちょっと行きたいかも。足元では結婚記念に買った薔薇が白いつぼみをつけている。芽キャベツみたいなふくらみ。いつまでもいたかったが、低気圧を感じて引きあげた。
夢中になって『死にがい～』の続きを読む。引っかかっていた伏線が実を結んでゆき、どんどん気が滅入っていく。途中で熱いインスタントコーヒーを淹れ、ベランダで煙草を吸っていた夫にも差し入れた。元々喫煙者だった夫は年に2度ほど、決まってこういうひんやりとした日に煙草を吸う。気象病にはカフェインが効くと聞いてから酷いときはコーヒーを1杯飲んだりしているが、どうなんだろう。
ようやく読み終えると日が暮れていた。対立についての話ではあったが、主題よりも、人間には3種類いるという話がやけに心に残った。他者への貢献を生きがいとする人、自己実現を生きがいとする人、そして他者貢献も自己実現も生きがいにはならず特にやりたいことなどない人。多様性が叫ばれ、ナンバーワンよりもオンリーワンが主張されるこの現代で、最後のような人は何を軸にして生きていけばいいかわからないということを、自己実現タイプの私は考えたこともなかった。「趣味とかやりたいことがたくさんあっていいよね」と無趣味を嘆く友達に言われるこをふとと思い出す。だからといって別に何ということもないが。
溜まった皿を食洗機にぶち込み、玉ねぎとニラのかき玉汁を作る。夕飯はそれと、夫の焼いたほっけ、塩辛。日本酒映えのするメニュー。無職になり、今まで使っていた化粧下地は高すぎるので、半額くらいのものを買ってみた。気圧のつらさから逃れるため、エプソムソルトをいれた風呂に浸かる。飛行機の中にいるときの身体中が圧縮されるような気持ち悪さが、和らぐようなそうでないような。
『さあ、気ちがいになりなさい』読了。表題作はややこしく、これってもしかして信頼できない語り手？それとも転生もの？あるいはオリエント急行殺人事件のようなことか……？とページをめくるごとに考えたが、すごいオチだった。ブラボー！という意味のすごいじゃなくて、眉間に皺を寄せて「はあ、これは……すごいな……」とため息をつくような、すごさ。
連休が終わる。無職なので特に働きはしないけれど、明日からはきちんと家事や結婚式準備に本腰を入れる。このあとストレッチをし、白湯でものんで寝ることにする。おやすみなさい。
