あおいろ濃縮還元

虎視眈々、日々のあれこれ

#フレデリックVISION

フレデリックのニューEP 「VISION」。

3曲に加え、アコースティックバージョンのライブ音源2曲(初回盤は+ライブ音源1曲)と、フレデリックの良さをこれでもかといろんな角度から魅せてくるCDの良さを、140字では語り尽くせないからこうして書こうと思う。

 

といっても、フォーマルに襟を正して書くつもりはない。これはただの熱烈なオタクによる有り余る愛の掃き溜めなので、いつもツイッターで語っていることの延長線上だと思ってもらってかまわない。

 

 

ジャケットや内装など、「VISION」のアートワークはベースの三原康司が手がけている。フレデリックのグッズはいつも三原康司デザインだけど、ジャケットを描くのは「うちゅうにむちゅう(2014年)」以来とのこと。ジャケットもだし中のデザインが本当に良いから、配信だけじゃなく手に取ってみてほしいな。

 

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初回盤の紙ジャケット、サイコ~~~じゃないですか?ちなみに康司さんはポスター右から2番目。この爆イケポスターカレンダーはタワレコ以外のCDショップで貰えるはず。

 

 

 

 

1曲目、EPのタイトルにもなっている『VISION』。私はフレデリックの耳に残るイントロが大好きで、このイントロは特にたまらない。最初の一音でフレデリックだとわかる感じ。名刺を振りかぶって突きつけてくるフレデリズム満点のイントロよ。

 

私は恥ずかしながら演奏についての知識が乏しく、あまりよくわからないんだけど、それでもフレデリックの音はめちゃくちゃ気持ちいいなと思う。"らしい" エッセンスをふんだんに詰め込んでいるのに、過剰ではない。気がする。足し引きのバランスが絶妙だから、こってりすることもなく程よく心地いいのかなと思う。

 

詳しく言うと、Bメロからサビに向けて一気に階段を駆け上がっていくような音の高まりと、サビ前ほんの一瞬だけすべて静止して光が見える感じ、が好き。

 

それと歌詞。このEP全体にも言えることなんだけど、これまでの抽象的だったり中毒性に満ちた歌詞とは異なり、わりとストレートな言葉選びが目立つ。視界良好、一点も曇ることなくただ未来へのビジョンだけを見つめているんだなってことがわかる。作詞作曲をしている康司さんが気に入ってる歌詞に「さよなら 古びたプライドは捨てて歩き続けよう」という箇所を挙げているところからしても。

 

 

 

 

『イマジネーション』のイントロ、ずるくないですか?夏フェスで初めて聴いた時は『まちがいさがしの国』に似ていたイメージが強かったから、あの最初の一音でぶっ飛んだ。なにあの音。首筋を下から上へフェザータッチで撫でられるようなゾクゾク具合を感じる。海より先に私の理性が燃えてしまう。

 

この曲、本当にとんでもない。今までのフレデリックの概念を良い意味でぶち壊す、爆風みたいな歌。後ろで支えるようなギターを弾く赤頭さんが珍しく歪ませまくったという音もさることながら、歌も凄まじい。

 

健司さんに関して "声量おばけ" みたいなイメージは今までなかったんだけど、こんなパワフルな声出るの?マジ?と背筋凍った。かと思えばあのフェイクとか、「映り込んできた喧騒 気にしなくたっていいよ」 と歌う声色だとか、織り交ぜてくる艶の緩急もすごい。パワフルさと艶を両立させられることってある?どこでそんな技覚えてきたの?

 

 

 

3曲目『終わらないMUSIC』。最初から最後までずっと気持ちいい曲にしたかったと康司さんが語ったように、最初の一音から最後までずっと気持ちよく高まったまま曲は続いていく。「波に揺られ揺れようよ MUSIC」 という歌詞がぴったりの、思わずゆらゆら肩が揺れるような。

 

個人的に、たまに康司さんのボーカルパートがある時って、作詞作曲者である康司さんが特に伝えたい箇所を自分で歌っているような気がしていて。だからこの箇所(自分でCD聴いて確かめてください)を歌っていたの、ああすごくわかるな、と思った。最初エフェクトにびっくりしたけど、声質にすごく合っていて良い。

 

横浜アリーナワンマンの副題にもなっているこの『終わらないMUSIC』という曲、きっと何年、何十年経っても歌い継いでいくんだろうな。それほどまでに色褪せない歌詞で、曲だと思う。使い込むほどに馴染んで味が出ていく一点モノの革製品みたいに、ずっと大事に聴いていきたい。

 

 

 

 

 

アコースティックバージョンの『シンセンス』『かなしいうれしい』、初回盤に付いてくる『夜にロックを聴いてしまったら』ライブ音源もすごく良いのであとは自分で聴いて。

 

あと私は歌詞カードをクレジットまで読み込むのが好きなんだけど、メンバー紹介のところ、「Koji Mihara : Bass, Vocal」 と書いてあるのにグッときた。ベースコーラス、じゃなくてベースボーカル表記なのすごく良い。

 

 

通常盤が1300円に対し、超ボリューミーなDVDを付けた初回盤が2200円なのは本当にバグなので全人類買ってほしい。新木場スタジオコーストでのライブ映像もとんでもないんだけど、リリリピート編のドキュメンタリーがそれを超える激レア具合。まさかあの曲のリハ風景を見れるとは。しかもこんな……。ね……。和気あいあいとじゃれ合うメンバーの姿も見られてこの値段はタダといっても過言ではない。

 

 

今ならラミネートパス(メンバー1人ずつのインタビュー映像各10分程度+全員でのインタビューが見られるほか特典多数)(オーラルでいうBKWカード的な)も付いてくる。買わない手はないです。

 

 

好きなところを書き連ねようとした結果ただのCD販促みたいになってしまったけど、本当に良い盤なのでよろしくお願いします。

 

VISION

VISION

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それと私がきっちり襟を正したフォーマルな文章はロキノン8月号の「フレデリズム2」ディスクレビューで読めるのでそちらもよろしくお願いします。

 

 

 

墨、無尽蔵

自分で書いておきながらこの文章は自分のものではないというかよそいきの顔をしているな、と思いながらそのまま提出したらまんまと見抜かれて、「使い古された言葉じゃなくて、もっと砕いたあなたの言葉で読みたい」 と言われたときの、目の覚めるような衝撃。そうだった、そうだったのに。擦り切れるほど使い込まれて他人の手垢にまみれた言葉なんていらないのに。泥まみれでも私しか書けないものじゃないといけなかったのに、手を抜いたというか油断してしまったことを深く恥じた。お行儀がいいだけの言葉なんていらない、透き通った白なんかじゃなくていい、どろどろに濁った黒でいいから私だけの言葉が欲しい。ペンをとるようになったときからその想いはずっと変わらない。私だけに創れる世界が欲しい、一生かかっても欲しいと思うし、この欲が尽きたらきっと終わるんだろうなとぼんやり感じている。虎視眈々、尽きることのない欲深さを、杖にしてすがって歩く私は滑稽にみえる?

 

 

スロースターター

スロースターター

 

温度

朝、寝ぼけまなこで止めたアラーム、枕元に外れて落ちたホットアイマスク、窓を開けると案外寒くて着ようと思っていたワンピースはベンチに降格、今季初めて袖を通した薄手のリブニット、引いた口紅からはバニラの香りがして、外の空気はすっかり秋だけれど北海道に生まれ育った私は金木犀の匂いを知らないからきっと本当の秋の匂いはまだ知らないわけだ、地下鉄、改札、私らしさをディスプレイした履歴書、偉そうに英文なんかタイピングしていたって頭のなかでは家にあるほうじ茶でどうにかほうじ茶タピオカティーラテが錬成できないかと馬鹿なことを考えているのだ、また地下鉄、音楽、駅のキオスクで買ったジャスミン茶、逃避行を1曲リピートしていたらいつの間にか眠っていて、気がついたら家路、落ち葉、ナナカマド、それらを湿らせていく夕立、まだ誰も帰ってきていない食卓には栗ごはんの素が置いてあって、すこし微笑みながらワインレッド色した靴下を洗濯機へ放り込んだ、そろそろペディキュアも深いオレンジに変えようか、なんてったって秋だから。

 

 

 

秋エモい

秋エモい

 

サバイブホームランツアー

10/4、Zepp SapporoにてMy Hair is Badを観た。

 

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※言い回しなどは私の記憶に基づくため、正確ではないのでご了承ください。

 

 

 

 

 

【セットリスト】

  1. 君が海
  2. グッバイ・マイマリー
  3. 浮気のとなりで
  4. ドラマみたいだ
  5. 彼氏として
  6. 観覧車
  7. 戦争を知らない大人たち
  8. 化粧
  9. 真赤
  10. アフターアワー
  11. 愛の毒
  12. クリサンセマム
  13. ディアウェンディ
  14. 元彼氏として
  15. lighter
  16. フロムナウオン
  17. ホームタウン
  18. 芝居
  19. いつか結婚しても
  20. 夏が過ぎてく
  21. 告白

En1. 惜春

En2. エゴイスト

 

 

新潟県上越市から来ました、My Hair is Bad始めます」。

 

ニューアルバム 「boys」 の1曲目、『君が海』で火蓋は落ちる。アルバムリリースツアーなどとは銘打っていないにしろ、そこから『青』へと曲順通り進んでいく構成ににやりとした。

 

椎木さんはぎょっとするほど声がガラガラで、最後まで持たないのではないかとよっぽど思った。だけど『グッバイ・マイマリー』、「俺はその人の最初じゃなくて 最後になりたい」 と始まった『虜』と歩を進めるにつれて、徐々に燃え盛っていくライブの熱に触れて、そんなことは問題じゃないと思った。私は100点のライブを観に来ているわけではない。60点だって200%で出し切るMy Hair is Badが観たいんだ。

 

 

新アルバム曲にヒットチューンを織り交ぜ、ゆるやかに高まりつづけた客席のテンションは『彼氏として』で弾けた。「三角形が割れた瞬間 僕は四角になって」。それまで小爆発を繰り返していた黄色い歓声が、突き上がる拳に紛れてまるで気にならなくなった。昔の曲やらないかな、聴きたいな、とまさに思っていたので嬉しかった。

 

 

「気付いてしまったら忘れない 着ぐるみの中には人がいること 気付いてしまったら忘れない」。しんと静まり返った会場に、波紋のように椎木さんの言葉が落ちては広がっていく。

 

「君と話しているときの俺は 着ぐるみなのか 中の人なのか ねえ 俺の嘘に 気づける?」 そう言って始まったのは『観覧車』だったろうか。

 

 

深海のような、深い青色の照明にステージが染まる。マイクに口を近づけたまま喋り出さない椎木さんの表情は、真ん中で分けられた金髪に隠れてよく見えない。静寂と、青色。ライブハウスの空気が息苦しくゆるやかに止まる。

 

「女々しい、という言葉が、悪い意味で使われなくなりますように 女々しさのなかにある、あたたかさに気づけますように もっと強くなれますように」。『化粧』。

 

飲めないお酒を飲んだのも 疲れていないフリしたのも 一秒でも隣にいたいだけだったの」。椎木さんの書く女性目線の曲は、ちぎれそうなほどに切なくて苦しい。3人を照らすライトは 「触れた唇 残した赤は あの子と会う前に落として」 という歌詞と同時に深い赤色に染まった。

 

 

ブラジャーのホックを外す時だけ心の中までわかった気がした」。曲名言わなくたって照明の色だけでわかるよね?とでも言うように、目の覚めるような真赤な光がステージに満ちた。

 

 

『アフターアワー』から流れが変わったように思う。しっとりした曲からアップテンポへ切り替わった、というだけでなく、主導権を完全にMy Hair is Badに握られた。曲中に放つ 「ドキドキしようぜ」 って声に、何度だって私はドキドキしてしまう。煮立った血液は煙を吹いて、生きてる、って感じがすごくする。マイヘアのライブを観ていると。

 

 

『クリサンセマム』に差しかかる前に、バヤさんは自分のマイクをスタンドごと客席のほうへ向けた。歌ってくれ、って無言で煽るような姿勢が嬉しくて、全力で飛び跳ねて 「いないいないばあ」 と叫んだ。30秒にも満たないラブソングは起爆剤となり、次曲『ディアウエンディ』に向けてボルテージを高めていく。

 

「かっこいい方に進め 仕事でも勉強でも恋愛でもかっこいいと思う方を選べ」 「周りはかっこ悪いって言っても自分にとってかっこいいと思えればそれでいい」。そんな熱い言葉とともに歌われたこの曲の、「いらない、知らない、それでいいの?あれでいいの?決めていいの?」 という歌詞は過去イチで沁みた。ガツンとみぞおちを殴られるようだった。

 

 

『元彼氏として』が聴けたのも嬉しかった。この曲の歌詞、ほんとに最低で好きなんだよね。「前の彼氏の僕はどうだ 煙草吸わないし背も高いし 幼馴染だしすぐさま休み取れるし どうなの?」 なんて椎木さんじゃないと書けない気がして好き。

 

 

『lighter』に出てくる 「相槌を繰り返す僕はアレクサだ」「人の願いをただパケにして売ってた」 みたいな現代感に溢れる歌詞だってマイヘアの強みだなと思う。バヤさんはヘドバンでもするように激しく動きながらベースを弾いてた。「朝食の後には 珈琲を淹れてよ 安いのでいいから」 のあとの 「君の手で淹れて欲しい」 を歌っていなくていやそこ大事なとこじゃんって笑った。

 

 

「時代は進んで なんでもボタンひとつで出来るようになって でもいまこうやって狭い場所、狭くもないけど、ひとつの場所に何千人も集まって みんなで汗かくっていうベーシックなことしてる どうかしてるよ」 Zeppを見渡しながら椎木さんは言った。

 

「すごくない?みんな友達じゃないし 俺はみんなのことを知らない ここでしか会うことのない人たちが集まってる どうかしてるよ なんでそんなことしてんの? ……My Hair is Badが札幌に来たからだろ?」

 

じん、ときてしまった。ライブビューイングも生配信だってできるこの時代に、それでも揉みくちゃになって汗にまみれていたいのは、My Hair is Badが生み出す熱に直に手をかざしていたいからだ。火傷したって触れていたい。目の前で巻き起こる魔法を、圧倒的なステージを見ていたい。

 

「140字のTwitter 250円の牛丼 1円にもならなかったなんて言わせない、『フロムナウオン』。札幌まで来たんだ、後悔はさせない」

 

リバイバルは続く 90年代のリバイバルも 2000年代のリバイバルだって始まってる 時代は流れていく 俺らも流れていく だから、消える前に遊ぼうぜ」 叫ぶように言う。歓声が弾ける。いつか消えてしまうからこそ今を全力で生きる、というずっと前から変わらないマイヘアの芯にグラグラきた。

 

「2020年 俺らで めちゃくちゃかっこいい年にしようぜ」。

 

今からどうやってきゃいいの 明日にはどうなってりゃいいの わからないままで時は過ぎ」。サビ以外の歌詞はほぼ即興で喋る、音源化不可能なこの曲はMy Hair is Badの真髄だ。熱い言葉に、歌に、演奏に両肩を揺さぶられて、なんだか泣きそうなほど感動していた。なんでかなんてうまく言えないけど、ライブハウスでだけかかる魔法がある。

 

 

「あの頃……あの頃っていま思い浮かべた自分にとってのあの頃でいいけど、こいつの言ってることよくわかんないけどこいつが本気なことだけはわかるときってあるじゃないですか。男の人に告白されて、この人のことは好きじゃないけど本気なんだってことだけは伝わるっていうのない?……あった?モテるね」

 

そのあとに言った 「俺はいつだって こいつ本気だなって思われる人でいたい」 というのは、ずっと椎木さんが大事にしてる核なんだろうなと思った。マイヘアが手を抜いているライブなんて1度たりとも見たことがない。声ガラガラでも気にならなくなるぐらい、いつも本気で全力で。そういうバンドだから好きなのだ。

 

生で聴く『ホームタウン』があまりにも良くて泣きそうだった。音に乗せて淡々と紡がれていく新潟の情景とMy Hair is Badの軌跡。「愛している 愛されてる たまに愛していない でも愛してくれる」。ホームタウン、故郷のことを言い表すのにこんなにも適切な言葉ってあるだろうか。

 

上越から全国 インディーズからメジャー 夢も現実になればただの現実だ あの頃の憧れがいまの途中経過」。マイヘアを組む前のシーンから丁寧に描かれてきたあとでこんなこと歌うの、本当にずるいんだ。「帰ってくる場所はもうここにあるから どこまででもいこう」。

 

椎木さんがマイクから口を離したって、バヤさんは 「愛している 愛されてる」 とコーラスを続ける。やまじゅんは同じフレーズをひたすらストイックに叩き続ける。新潟県上越市、この3人で育って、1年のうちほとんどをライブ行脚に費やせるのは帰るべきホームタウンがあるからだ。「上越 まだここで夢を見てる また旅に出る その荷物をまとめる ここから離れる 別れじゃなく出発だ」。思い返してもこの曲がいちばんグッときたなあ。上越のこの3人でMy Hair is Bad、っていうのをしっかり見せてくれた気がする。

 

 

「もし人生が1本の映画だったら、と考えて聴いてください」 とやさしく告げて始まった『芝居』。冒頭の不調が嘘みたいな、言葉のひとつひとつが染み入る歌声だった。すごくすごく良かった。

 

 

『いつか結婚しても』。これまで飢えたような目をしてバチバチにライブをする椎木さんばかり見てきたから、「大好きで大切で大事な君には 愛してるなんて言わないでいいね 毎日がなんだか退屈に思えても 毎朝、僕の横にいて」 のところを丸々お客さんに歌わせて嬉しそうにしてる姿を見て、なんだか自然と笑顔になってしまった。

 

 

生み出した一体感を『夏が過ぎてく』でさらにまとめあげ、本編ラストは『告白』。

 

北北西を過ぎる 高速バスに揺られた イヤホンはなかった すっと不安になるんだ きっと心配はないさ ぜったい終わりは来るんだ」 のところも丸々歌わせて笑ってた。この日は、ありがとうってしきりに言ったり歌わせたり、ここにいる人以外興味ないだとか言ったり、いつもの本気度合いのなかにも感謝が透けて見えてなんかすごく微笑ましかった。

 

最後の 「ぜったい終わりは来るんだ」 と歌ったあとに頭を抱えて 「終わりたくない!」 って叫んで、あ~こんな良いライブ終わってほしくないな~~って少し寂しくなったし、演者も客も同じ気持ちなんだなあと思った。

 

 

 

 

アンコールの拍手に応え、まずはやまじゅんとバヤさんが出てくる。最近タピオカにハマっているやまじゅんは、狸小路商店街のワゴン車で売っているタピオカを女子高生の列に並んで買ったという。

 

バ 「女子高生と女子高生のあいだに挟まれて、いかついサングラスして並んでたもんね」

や 「同じ商店街で抹茶系のタピオカも飲んで、そっちのほうが好みだった!」

バ 「そうなの?美味しいんだ?良かったねえ」

 

嬉しそうに札幌で飲んだタピオカの話をするやまじゅんと、子でもなだめるように優しく相槌を打つバヤさんに癒されていると、椎木さんが現れる。

 

椎 「あ~、(ライブが)最高だね」

バ 「なにが?タピオカが?」

椎 「ちがうよ」

や 「(オフマイクで)タピオカは最高だよ!!!!」

バ 「なにも会話噛み合ってないよ!三つ巴で違う方向にいってる(笑)」

 

椎木さんは、北海道が好きで今年中にまた来たいと話した。来てー!案内するー!!とあがった声に、「そう?案内してくれる?行く行く」 と棒読みで答えていて笑った。「さすがに今年中は難しいかもしれないけどまた来たい。旅行で来ようかな」 と期待を持たせないように言ってくれたのも含めて好きだなあ。

 

 

アンコールは『惜春』。ライジングサンではリハにやっていた曲を、ワンマンの大事なところに置いてくれるの嬉しかった。

 

 

「最後の曲!『エゴイスト』!」 と椎木さんが叫ぶように言って崩れ落ちそうになった。最新アルバム曲をメインに組んだこのセットリスト、良かったのは本当だけど、寂しくなかったといえば嘘になる。アルバムツアーの様相を出しといて最後の最後にこんなマイナー曲持ってくるの本当にずるいな。

 

40秒ちょっとで嵐のように終わるこの曲にポカンとしてた人もいたけど、最後の 「すべて終れば もう、ない、それだけ」 を観客に歌わせて笑っていた、この突拍子もない終わり方がらしくて好きだと思った。

 

 

サバイブホームランツアー、昔から揺るぎなく変わらない核の部分と、良い方向へ柔らかく変わっていってる今のマイヘアがどちらも垣間見えるようないいツアーだったな。

 

 

 

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会場限定盤 「tours」、2曲目で耳疑ったあとに笑ったの私だけじゃないですよね?好きです

 

 

 

 

 

 

やまじゅんが女子高生の列に並んで買ったという商店街内のワゴン車で販売しているタピオカ→(Pearl Lion TAPIOCA CAR (パールライオン) - 狸小路/スイーツ(その他) [食べログ]

 

同じく狸小路商店街、こっちのほうが好みだったという抹茶系のタピオカ→(抹茶カフェ リキュウ (抹茶cafe RIQ) - 資生館小学校前/カフェ [食べログ]

 

ブログにタピオカ情報貼ったの初めて。札幌のタピだと私はパルコのTEASIGNが好きです。なんの話?

 

 

ごく個人的な話をすると、ちょうどいま進路の壁にぶち当たっていて、この日のライブはドンピシャに刺さった。きっと芯があれば場所なんて関係ないし、周りの目も関係なく自分がかっこいいと思える方を選ぼうって、最後の最後で躊躇していた覚悟を完全に決められた気がする。私がこの先どこに行っても、My Hair is Badには全国どこかのライブハウスで会える気がしているし。

 

ホームタウン

ホームタウン

 

5

本日、フレデリックがメジャーデビュー5周年を迎えた。5年。生まれたばかりの子どもが歩くことを覚え、言葉を覚え、物心も淡い恋心をも覚えるようになるぐらいの月日である、5年というのは。

 

大好きでたまらない彼らのことを、5年なんて言わずこれからも愛していくのだという確信はある。単に音楽だけが好きならばきっとすぐに飽きてしまうけれど、音楽も人柄もバンドの根底を支えている哲学も、なにもかも好きなんだからもう一心に愛するほかない。私の一途具合をちょっと舐めないでほしい。

 

好き、は時に人を弱くするけれど、私は彼らの音楽で何度だって強くなれた。だって彼らの音楽はいつも強く凛としているから。長いこと消えそうに燻っていた夢にもう一度火をつけたのは紛れもなく彼らの音楽だから。彼らを好きでいなかったら出会えなかったひとたちがいて、行けなかった場所も見られなかった景色も数えきれないほどある。

 

「これからも愛してやってください」 なんて言われたからには、両腕ぶん回してあっためとくから覚悟しといてよ。この先も全方位から愛の銃口を向け続ける、迷惑なんて言わせない。

 

おめでとう、大好きです。

 

オドループ

オドループ

 

無敵

ライブのあとにラーメン屋へ行く、というのを、ずっとやってみたかったわりに初めて遂行した。ライブの感想を語り合うのもそこそこに啜った熱い味噌ラーメンと、ずしりとのしかかる満腹感がなんだか心地よかった。心も腹も満たされているとこんなにも無敵なんだな、と思った。マリオのあの音楽が、頭のなかをチカチカと駆け巡っていた。

 

ルールもわからないラグビーを、プラスチックカップに注がれたビール片手に観戦した。目まぐるしくて全然よくわからないし、痛そうだけど、体躯の立派なラグビー選手が猛スピードで動き回っている派手な絵面はなかなかおもしろかった。トリケラトプスの喧嘩みたい。トリケラトプス見たことないけど。

 

大人は案外楽しい、とまだまだひよっこなりに思う。年を重ねていったって 「やったことのないこと」 は山ほど立ちはだかっている。それをひとつずつジェンガのように崩していくのが、楽しい。

 

中学時代からの友人と、自分で稼いだバイト代でちょっと良いお寿司(といっても回るやつ)を食べたとき、私らも大人になったねなんてイヤリングを揺らしながら笑いあった。タイムマシンがあっても変えたい過去は特にないけど、つまんない大人になんか絶対ならないから安心しとけよ、って昔の私に言う。

 

 

弱者の為の騒音を

弱者の為の騒音を

  • ハンブレッダーズ
  • ロック
  • ¥250

 

歌詞で白飯が食える曲・5選

音楽を聴くとき、私はメロディーや声より、歌詞をなにより重視する。

 

個人的に 「この曲の歌詞カードを眺めるだけで白飯何杯でもいけちゃう」 という曲を5つ(厳密には6曲)集めました。

 

  1. 「ワンドリンク別」 マカロニえんぴつ
  2. 「エイプリル」 mol-74
  3. 「西藤公園」 back number
  4. 「煙」 Saucy Dog
  5. 「運命」 「幻」 My Hair is Bad

 

このような順でお送りします。

 

 

 

 

 

1. 「ワンドリンク別」 マカロニえんぴつ

タイトルの 「ワンドリンク別」 とは、ライブハウスにおいてチケット代とは別に徴収されるドリンク代のこと。この曲はなんと、ライブハウスを思わせる比喩を使ってセフレとの関係を歌っている。とんでもない発想。いや "ライブハウス" と "セフレ" でどうダブルミーニング踏めるの?って感じだけど、歌詞を読めばわかる。

 

まず冒頭の 「恋ではない 恋ではない 恋ではない 願ってない関係は」 という歌詞で、この曲に登場する男女は恋人ではない大人の関係なんだと推測できる。

 

のれればいい のれればいい 飲めればいい 酔えればいい 踊れればいい 思ってた通りのワンドリンク別」。ここだけ切り取るとただのライブハウスの歌にも思えるけれど、先ほどの状況を踏まえると、「のれればいい」 とは文字通り音楽に 「ノる」 ことと、もうひとつ 「乗る」 のダブルミーニングになっているとわかる。何に 「乗れればいい」 のかは察してください、大人のみなさん。

 

これを踏まえると、ここからの怒涛の暗喩に震えることになります。「暗がりでどうかごまかしてよ いつまで経っても埋まんないフロア」 では動員の少ないライブハウス/埋まらない心に対する空しさ、「繋がり合って転換で冷めて また会えたってなんもないのに」 では対バン相手/セフレとの馴れ合いの虚しさを感じる。

 

遊びじゃないよ本気でもないよ ノルマのある日は会いにゆくね」 と結ばれる2分にも満たないこの曲は、売れないバンドや愛のないセフレに感じるむなしさを同時に歌っている。そんな鮮やかなことある?はっとりさんが君が好きと言ってた映画を16回みるならば、私は『ワンドリンク別』の歌詞だけで白飯16杯食べられます。

 

ワンドリンク別

ワンドリンク別

  • マカロニえんぴつ
  • ロック
  • ¥200

 

 

 

 

 

2. 「エイプリル」 mol-74

大人の関係を歌った曲のお口直しに、春風が頬を撫でる切なくやわらかい失恋バラードを。

 

綺麗な映画を観たあとにふと君を思い出した」 という一節から曲は始まる。いつか別れた恋人のことを思い出す引き金は、「悲しい映画」 でも 「切ない映画」 でもなく 「綺麗な映画」 であることから、"君" との想い出は痛みを伴うような生々しいものではなく、すでに綺麗な想い出として風化し始めているのだとわかる。

 

うじうじと失恋の傷をこねくり回すようなことはしない。言わない。だけど、だからこそ 「いつもいつまでも続いていくような気がしていた午後」 「奇跡のように出会って 必然のように別れて 映画みたいにいかない結末に僕は」 と端的に語られるフレーズが沁みる。深くは語られないその情景に、想像の余地はひろがる。

 

ひとつの無駄もないシンプルでいて詩的な歌詞と、美しい歌声やメロディーが相まった、聴くタイプの短編フィルムのようなこの曲。イチオシです。吹き込んでくるぬるい春風に吹かれながらベランダで白飯食べます。

 

エイプリル

エイプリル

 

 

 

 

 

3. 「西藤公園」 back number

春風のつぎは、つめたい冬の空気が鼻の頭を掠めていく片想いソング。

 

前に出てきた2曲にも通じることだけど、名曲は冒頭の一節からしてもうぐっと惹き込まれる。「「私は冬が好き 言葉が白く目に見えるから」」。主人公が想いを寄せる "君" がなにげなく零した言葉は、この曲の全編を通して白く尾を引いていく。

 

今君を抱き寄せて大丈夫って言えたら何かが変わるだろうか」。隣にいることはできても、抱き寄せることもかなわない、もどかしい関係性がサビで浮き彫りになる。「伸ばしかけた腕に君は気付いてるかな」。個人的には、気付いてて知らないふりしてるんだと思うなあ。どうでもいい男と夜の公園でふたり星を見上げるだろうか。頑張れ。

 

少し遠回しに なるべく素直に言うよ 次の春にでも」 と歌いきったあと、「私は冬が好き 僕は君が」 と余白を残してこの曲はしずかに終わる。"僕は君が" なんなのか、次の春と言わず今抱き寄せて言っちゃえばいいのになあ。もどかしさに白飯10杯。

 

西藤公園

西藤公園

  • back number
  • J-Pop
  • ¥250

 

 

 

 

4. 「煙」 Saucy Dog

サウシーの切ないラブソングといえば『いつか』『コンタクトケース』が挙がると思うけれど、その2つも機会があればじっくり紹介したいほど珠玉だけれど、私の推しメンは『煙』一択だ。

 

語りかけるように 「「私達ね、もう大人だからね 好きなだけじゃ一緒にいられないのはもうわかってるよね?それじゃあまたね?」」 と "君" に別れを告げられるシーンで幕を開ける。

 

使われなくなった白いハイヒールも 日に日に減った休みの日の外出も」。よそいきの白いハイヒールでデートに行くこともなくなった、惰性で続くような関係性に "君" はきっぱり終止符を打つ。

 

告げられた別れを飲み込めないと思いながら、そんな言い方ずるいって思いながらも 「好きじゃなくなったら、すぐに言ってね なんて冗談半分で、言うんじゃなかったなぁ」 「その瞳にはもう僕は写っていないんでしょう?きっと、ずっと 分かってたよ」 と、目を逸らしてきたけれど目前にあった別れを少しずつ、少しずつ受け入れていく。

 

切ない。あまりに切ない。『煙』を聴いたひとたちの涙を固めて作ったふりかけで白飯20杯掻き込みます。

 

煙

  • Saucy Dog
  • ロック
  • ¥250

 

 

 

 

5. 「運命」 「幻」 My Hair is Bad

5選と銘打っているくせになんで6曲?と思っているかと思いますが。両A面シングルとしてリリースされたこの2曲は、どちらか一方だけでは語れない。アンサーソングなんて生ぬるいものじゃない、2曲揃ってようやく本領を発揮する、ひび割れた合わせ鏡みたいな対の歌なのだ。

 

『運命』は、別れ話のシーンが男性目線から描かれる。見慣れない短い髪をした君。気まずい沈黙の流れる喫茶店。いつもすぐに泣いてしまう君は、怒鳴っても睨んでも泣かなかった。どうしようもなく、僕は終わりを悟る。

 

立ち上がる僕の手を掴んで その拍子にグラスが落ちた」。触れるだけで胸が痛んでなにも言えなくなった "僕" は、「指に触れるだけで胸が高鳴ってた そんな二人はいつが最後だったろう」 とふと想いを馳せる。

 

振り返りもせず店をあとにした "僕" は、この別れは必然だと受け入れながらもひとつだけ気にかかったことがある。「最後の最後で本当はね聞きたかったよ 硝子の破片を拾いながら床を拭く君の手に目を疑ってた どうして指輪外してなかったの?」。

 

 

転じて『幻』は、恋人と別れた女性目線で綴られる。「「もしもあの時泣いてたらどうしてた?」」。そう、『運命』に出てくる "僕" の相手は『幻』の主人公だ。

 

髪を短く切って、泣かずにきっぱり別れ話をしたこの女性は、それでも別れたあとも夢に見たり、「怒ってよ 振り向いてよ 嘘をつかないで傷付けてよ」 「「でも、もしもあの日に戻れたら」ちゃんとわかってあげるから」 とまだ未練を握りしめている。

 

ここで。さりげなく差し込まれる 「指輪に気付いてくれなかったね」 という歌詞で、背筋が凍る。別れ話をするとき嵌めていった指輪に、気付かれなかったと思っている、ということが2曲を並べて聴いているリスナーにだけわかる。

 

別れてしまったのは必然でも運命でもない。ただひとこと伝えれば変わっていたのかもしれないことを、必然だと諦めて怠った積み重ねの結果だ。その指輪、と声を掛けていれば何かが変わったのかもしれない。いや、別れ話に発展するずっと前から、もっと対話をしていれば、エンディングは変わっていたかもしれない。

 

『運命』『幻』を重ねて聴けば、切なさで米俵ごと炊けちゃう。しんどい。

 

運命

運命

幻



 

 

 

ここまで読んでくださったらわかる通り、私は切ない、もしくはエグいラブソングが大好物なもので、たいへん偏った選曲になっておりますがご了承ください。甘々なラブソングやバキバキの応援歌も好きだけど白飯は食えないので。

 

好きな曲めいっぱい語れて楽しかった!あおでした。