あおいろ濃縮還元

虎視眈々、日々のあれこれ

温度

朝、寝ぼけまなこで止めたアラーム、枕元に外れて落ちたホットアイマスク、窓を開けると案外寒くて着ようと思っていたワンピースはベンチに降格、今季初めて袖を通した薄手のリブニット、引いた口紅からはバニラの香りがして、外の空気はすっかり秋だけれど北海道に生まれ育った私は金木犀の匂いを知らないからきっと本当の秋の匂いはまだ知らないわけだ、地下鉄、改札、私らしさをディスプレイした履歴書、偉そうに英文なんかタイピングしていたって頭のなかでは家にあるほうじ茶でどうにかほうじ茶タピオカティーラテが錬成できないかと馬鹿なことを考えているのだ、また地下鉄、音楽、駅のキオスクで買ったジャスミン茶、逃避行を1曲リピートしていたらいつの間にか眠っていて、気がついたら家路、落ち葉、ナナカマド、それらを湿らせていく夕立、まだ誰も帰ってきていない食卓には栗ごはんの素が置いてあって、すこし微笑みながらワインレッド色した靴下を洗濯機へ放り込んだ、そろそろペディキュアも深いオレンジに変えようか、なんてったって秋だから。

 

 

 

秋エモい

秋エモい