あおいろ濃縮還元

虎視眈々、日々のあれこれ

東京美術館はしごログ

こないだ、アーティゾン美術館と国立西洋美術館へ行った。アーティゾン美術館では、フランシス・ピカビアの「アニメーション」という絵につよく惹かれた。ここでいうアニメーションって日本のアニメのことではなく、多分ラテン語のアニマ(生命みたいな意味)から来ているはず。デザインも色彩も絵の具のかすれ具合も完璧に美しくて、既に1回行ったミュージアムショップにまた舞い戻って追加でポストカードを買った。

ロダンの「考える人」は思ったよりもかなり小さいサイズで、一瞬レプリカかと思ったがそんな訳はない。本物の考える人は、平均的な身長の女である私が抱きしめたらすっぽり包みきれてしまいそうなサイズだった。小柄な人間ぐらいはあるかと思っていた。

 

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「アニメーション」。絵の具の掠れすら計算されている気がする。我が家の本棚の一等地に置きました

 

 

 

国立西洋美術館の屋外にはこれまたロダンの「地獄の門」が置かれていた。こっちは笑っちゃうぐらい大きい。ゼミ旅行といった感じの学生たちが門の前で集合写真を撮っていたのだけど、十何人が集ってもまだ全然デカかった。彫刻家って、彫刻のサイズをどういう基準で決めて作っているんだろう。

モネの「睡蓮」がものすごく鮮やかで、大きくて、実際の池を眺めているような感覚があった。これを飾っている部屋自体も、ほかの部屋より少し特別な感じがした。暑さに脳をやられてうろ覚えなんだけど、壁が真っ白で余白が広々と取られていたような。オランジュリーを意識したのかなと思ったけど覚え違いだったらごめん。「舟遊び」も思っていたより相当大きなサイズの絵画で、写真で見るのとではやはり迫力が違った。写真ではなんとなく曖昧にみえる筆の塗りも、実際だとちゃんと揺らめく水面に見える。

ゴッホの「刈り入れ」「ばら」や、ルドン「至る所に瞳が燃えさかる」も鑑賞できて嬉しかった。「Everywhere Eyeball are Aflame」の訳し方、天才すぎないか?

とくに吸い込まれるように魅せられた絵が、ヴィルヘルム・ハンマースホイの「ピアノを弾く妻イーダのいる室内」。ピアノを弾いている絵なのに、ものすごい静寂を感じて鳥肌が立った。しんと静まり返り、冷えた空気の満ちる室内で、時計の秒針と妻の弾くもの哀しげなピアノの調べが混ざりあって響いている。そんな印象。帰ってから調べたら、北欧のフェルメールと呼ばれる彼の絵は、しばしば「静寂」という形容詞で語られることが多いらしい。絵を見て衝撃が走ったのは久しぶりだった。ほかの絵を調べて思ったが、私はハンマースホイと女性の趣味が似ていると思う。だから好きなのかも。

 

(写真撮影もだいたいOKだったけど、個人利用の範囲というのにブログが含まれるかは微妙なので、気になった作品があったら各自調べてみてください。)

 

 

 

それと、どちらの美術館も建築がすごく美しかった。オフィス街にいきなり現れるアーティゾン美術館のビルは、最初にエレベーターで最上階まで上がってそこからどんどんエスカレーターで降りて展示を見て回る方式だった。じっくり展示室を歩き回ったあとに階段をのぼったりすると地味に消耗するので、これはありがたい。吹き抜けから別の階の展示がさりげなくチラ見えしたりしていて、それもたのしい。建築についてのこだわりをイラストでわかりやすく示した小冊子も置いてあった。


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オフィス街にいきなり現れる都会のオアシス

 

 

国立西洋美術館ル・コルビュジエの設計によるもので、世界文化遺産にも登録されている。ちょうどル・コルビュジエの手がけた絵画やタペストリーに関する展示が組まれていたのだけど、ル・コルビュジエ、おっぱい好きすぎるんじゃないか?と思った。なんだかどの絵にも豊満なおっぱいが出てくるような気がして笑ってしまった。建物とのギャップがあってよかった。

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ロゴ好き


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右にみえる彫刻も作品。おもむろにありすぎ

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建物の使い方がスゲーー

 

 

 

あ、あとアーティゾン美術館ミュージアムカフェのウニパスタが美味しかった。洗練されたTOKYOの紳士淑女の皆さまがいるなか、お土産でリュックパンッパンにした汗だくの独り者にも優しくしてくださってありがとうございました。ひとりでコースランチ初めて食べた。

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マッシュルームとチーズとの兼ね合いが最高なウニパスタをもって締めとさせていただきます