あおいろ濃縮還元

虎視眈々、日々のあれこれ

箱庭罵詈雑言辞典

UNISON SQUARE GARDENの、口の悪い歌詞がめちゃくちゃ好きだ。

 

ニゾンの歌詞は 「日本一見切れるベーシスト」 こと田淵智也氏がそのほとんどを手がけている。

 

田淵さんは以前、ラジオで 「斎藤くんが うるせえ黙れ とか乱暴な歌詞を歌うのたまんないよね」 といった旨のことを言っていた。

 

これ、むっっっちゃくちゃわかる。斎藤さんがあの爽やかな顔面とハイトーンボイスで、乱暴な歌詞を歌わされている構図がたまんないのだ。「乱暴な歌詞」 自体が好きなのではない。 「田淵智也に乱暴な歌詞を歌わされている斎藤宏介」 が好きなのだ。パッと見優等生タイプの斎藤さんみたいな人にこそ、ワルい/艶っぽい曲が似合うと思う。

 

田淵さんと私の性癖が歪みきっているんだろうか。でも、わかってくれる人もいるって信じてる。

 

ので、今回は 「UNISON SQUARE GARDENの口の悪い/乱暴なフレーズ」 を集めてみた。斎藤さんの歌い方なども含め、私の性癖にクリーンヒットしたものだけを選りすぐったので、これはどう?などといった意見は受け付けません。悪しからず。見落としたものがあれば順次追加していきたい所存。では。

 

 

 

 

  • 23:25 「続いてんだよ わかんねぇかな」

 

  • BUSTER DICE MISERY 「気安くしゃべるな」

 

  • Catch up, latency 「疼くのも面倒だな 背負うものも邪魔なんだよなってさ」

 

  • Cheap Cheap Endroll 「っていちいち聞くんじゃねえ」 「ってうるせえ」

 

  • cody beats 「夜が明けないのを誰かのせいにしてるやつは もうどっか行ってしまえ」

 

  • crazy birthday 「バカじゃないならわかるでしょうに」 「当たり前と思うな素人!」 「(せーの、バカ!)」

 

  • fake town baby 「君が持ってる常識なんかガラクタなんだよ」 「神様はいない 要らない いても要らない」 「うるせえ 黙れ」

 

  • Invisible Sensation 「出しゃばってヘラついたその自意識が気になっちゃう いらついちゃう」

 

  • kid, I like quartet 「お涙頂戴彷彿ってふざけんなよ」 

 

  • MIDNIGHT JUNGLE 「心の溝にワンパンチかますぞ」

 

  • mix juiceのいうとおり 「エゴイズムで邪魔すんなら いの一着で去っちまえ」

 

  • Own Civilization (nano mile met) 「馴れ合いならば他所で頼むぜ」

 

  • Silent Libre Mirage 「ズカズカ土足でさ 上がりこんで何様ってやつだ」 「外野はごみくず」

 

  • to the CIDER ROAD 「お前が容易く決め付けるなよバカ野郎」

 

  • WINDOW開ける 「嫌いなんだよ 媚びんの」

 

  • エアリアルエイリアン 「覚悟もない癖にへらへらするな」

 

  • オトノバ中間試験 「いくらなんでも都合良すぎるから あんたなんかと踊れない」

 

 

  • ラクリカルカレ「どうすんだよ、めちゃくちゃだぞ」

 

  • キライ=キライ 「その他大勢黙ってよ」 「キライキライキライキライ」

 

  • ここで会ったがけもの道 「そこで寝ぼけてやがれグッナイ」

 

  • コーヒーカップシンドローム 「晴れの日が続いても どの道ひとりぼっちだったぞ」 「バカにつける薬を今日も考案中」

 

  • 桜のあと (all quartets lead to the?) 「ありえない不条理はぶっ蹴飛ばしていけ」

 

  • さよなら第九惑星 「嫌いだ、こんな世界は」

 

  • サンポサキマイライフ 「全知全能神様も知ったもんか」 「誰が買うか知らんけど、必要ないんです」

 

 

  • シュゲイザースピーカー 「あなたのバランスなんて聞いてない そうでしょう」

 

  • セク×カラ×シソンズール 「言い訳して逃げ出しちゃうなら最初からやるなよ」 「誰かが不幸せになるようなビートなら鳴るなよ」

 

 

  • ため息 shooting the MOON 「ハーレムの準備していつまで待ってんの?」

 

  • デイライ協奏楽団 「ああ 帰りてぇ」 「バカタレ!二度と言わないって言ってんじゃん!」

 

  • 等身大の地球 「迎える報道陣も急に優しくなりやがった」

 

  • 流れ星を撃ち落せ 「好き勝手やる君はマジでヤバイ」

 

  • パンデミックサドンデス 「どっか行ってくんないかな」 「ああ全部全部意味わかんない 君のその哲学がわかんない」 「少し静かにしてもらえますか」 「容赦ない、邪魔くさい、おめでたい、蹴りたい、殴りたい…stop!」

 

  • ピストルギャラクシー 「その他大勢はうざいからしゃべるな」

 

  • フィクションフリーククライシス 「エンディング向かおうとしてんじゃねえよ」

 

  • マスターボリューム 「「泣いてる、また泣いてる」って知らん顔しやがって」

 

  • メッセンジャーフロム全世界 「少しチヤホヤされたぐらいで 何で有頂天になってんの?」 「急に偉そうになりやがって それはどういうシステムなんですか?」

 

  • 夜が揺れている 「春の桜と君が嫌いだよ」

 

  • ライドオンタイム 「勝手にほざいてろよ」 「黙って眺めてろよ」 「見逃したらざまぁみろ」

 

  • ラディアルナイトチェイサー 「その判別はお前がダサいだけ」

 

  • ワールドワイド・スーパーガール 「今世紀最大のってあおってる割にはちっとも 俺には期待はずれだな」

 

 

 

 

いかがでしょうか。なんか仰々しいタイトルつけたわりには、ただの私の性癖の博覧会みたいなもんなんですが。自己満足。

 

fake town baby」 と 「パンデミックサドンデス」 はもう歌詞丸ごとコピペして貼りつけたいぐらい全部好き。歌い方も好き。

 

あと 「田淵智也に乱暴な歌詞を歌わされている斎藤宏介」 と同じくらい 「天使みたいな顔して実の兄に乱暴な歌詞を歌わせている三原康司」 もどちゃくそツボなので、またの機会にそれもまとめたいと思います。

 

あおでした。

 

 

夜明け

思えば北海道で地震があったあの日から、豆電球をつけていないと眠れなくなった。夢をたくさん見るくせに、起きたら全部忘れているようになった。遺体の本人確認ができるように特徴的な指輪を嵌める癖も抜けない。

 

こないだ久々に同級生で集まって、地震の話題が上がったときみんな星が綺麗だったとか道産子は逞しいよねって明るく結んで、それで簡単に話は終わった。みんな本当にそのぐらいにしか思っていないのか、私みたいに言わないだけなのかわからなくてモヤモヤした。大した実害があったわけでもないのに、自分のメンタルはもっと丈夫だと思っていたのに、なんでまだこんなにも胸がざわめくんだろう。

 

12月30日の夜明け前、数ヶ月ぶりに震度3~4の地震があった。本棚のカタカタ揺れる音と振動で目が覚めて、あのときのことを一気に思い出した。翌朝には死んでいるかもしれないという恐怖を抱きながら、死んでたまるかと思いながら、でもいつそうなってもいいように死ぬ準備を整えながら、ただならぬ覚悟を決めて眠った数日間のことをきっと忘れられないし、忘れちゃいけない。「明日死んでも悔いが残らないように」 という言葉の重みをこの歳で知れてラッキーだったと思いたい。

 

年も明けたことだし、今日から電気を消して寝ようと思う。おやすみなさい。いい夢が見れるといいな。

あおでした。

 

2018年総集編

2018年に読んだ本・観た映画・行ったライブをまとめました。

(ちなみに去年はこういった感じ→ 明けまして、2018 - あおいろ濃縮還元

 

 

【本】

伊坂幸太郎 「砂漠」

石田衣良 「美丘」

歌野晶午 「世界の終わり、あるいは始まり」

江國香織 「泣かない子供」

F 「真夜中乙女戦争」

大山卓也 「ナタリーってこうなってたのか」

小川洋子博士の愛した数式

尾崎世界観 「苦渋200%」

小野美由紀 「傷口から人生。メンヘラが就活して失敗したら生きるのが面白くなった」

恩田陸まひるの月を追いかけて」

加藤シゲアキ 「傘をもたない蟻たちは」

窪美澄 「さよなら、ニルヴァーナ

辻村深月スロウハイツの神様 上下」

東野圭吾 「魔球」

益田ミリ 「美しいものを見に行くツアーひとり参加」 「キュンとしちゃだめですか?」

又吉直樹 「劇場」

三浦しをん 「きみはポラリス

三島由紀夫 「夏子の冒険」

湊かなえ 「リバース」

山田悠介 「配信せずにはいられない」

ウィリアム・シェイクスピア 「夏の夜の夢・あらし」

エドガー・アラン・ポー 「黒猫/アッシャー家の崩壊」

トルーマン・カポーティティファニーで朝食を

 

 

計25冊、単純計算で月2冊ペース。上出来。

 

いちばん衝撃を受けたのは 「世界の終わり、あるいは始まり」。普段からミステリーによく親しんでる人ほど足元すくわれるはず。歌野晶午、万人にオススメはしないけど大好き。

 

ダークめな湊かなえが好きなので 「リバース」 ドンピシャでした。いちばんお気に入りの 「少女」 の次に好きかもしれない。

 

ニゾンの田淵さんがいろんな人にプレゼントして回るくらい好きだという 「スロウハイツの神様」、上巻までピンとこなかったんだけど、下巻ですべての伏線が一気に回収されていくのがすごすぎてボロボロ泣いた。

 

 

 

 

【映画】

うさぎドロップ

セッション

二重生活

ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使い

 

 

なんとなく観た 「うさぎドロップ」 がめちゃくちゃ良くて普通に泣いた。母子家庭/父子家庭で仕事しながら育児をこなすことがこんなにも大変だなんて。ちょっと前の映画だけど、いま見ても全然色褪せないというか、10年20年経っても遜色なく見られると思った。

 

ファンタビは普通に大好き。時間とお金があればあと5億回見たかった。ニュートかわいすぎない?

 

 

 

 

【ライブ】

2/3 mol-74

2/28 スペシャ列伝(Ivy to fraudulent game、Saucy Dog、SIX LOUNGE、リーガルリリー)

3/16 My Hair is Bad

3/31 mol-74

6/2,3 コブクロ

6/9 My Hair is Bad

6/16 UNISON SQUARE GARDEN

6/28 ASIAN KUNG-FU GENERATION(Nick Moon)

7/8 THE BOYS&GIRLS

8/10-12 RISING SUN ROCK FESTIVAL岡崎体育、Saucy Dog、ASIAN KUNG-FU GENERATIONパノラマパナマタウン04 Limited SazabysUNISON SQUARE GARDENクリープハイプsumikathe pillowsキュウソネコカミ

9/29 PIA MUSIC COMLEX 2018UNISON SQUARE GARDEN岡崎体育、SHE'S、フレデリック

11/24 夢チカライブvol.133(Sunrise In My Attache Case、アルクリコール、ドミコ、パノラマパナマタウン、ハンブレッダーズ)

12/20 sooogood! (The Synical Store、プルモライト、GOMESS、アリスムカイデ)

 

 

 

今年初めて観てオチたのはパノラマパナマタウンsumika、ハンブレッダーズ。ハンブレなんて数曲しか知らずに行ったのに、まんまとハマってしまった。

 

いちばんかっこよかったのはぴあフェスで観たフレデリックで、次点で夢チカライブのパノパナ。アウェイな状況すら巻き込んですべて自分たちのモノにしていくバンドが根本的に好きなのかもしれない。

 

心の底から楽しかったのはUNISON SQUARE GARDEN。ワンマンもフェスも異様に楽しかった。

 

コブクロ横アリ2日目は一生忘れないと思います。大好きな 「どんな空でも」 聴けたので。

 

行きたかった新木場にも行けたし、聴きたい曲もいーっぱい聴けた。エイプリル、煙、幻、YOU、どんな空でも、サンタクロースは渋滞中、無限グライダー、フカンショウ、nem…、栞、流れ星を撃ち落せ、ライドオンタイム、ディスコプール、多分ほかにもたくさん。

 

 

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あといろんなとこにも行った。これはフェス遠征ついでに行ったクリープハイプのすべ展。

 


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今年は手帳のフリーページに、行ったライブのセトリと感想ちまちま書き溜めてた。これは列伝。


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コブクロ横アリ2日目。永遠に智則、いつ見てもじわじわくる。

 

 

 

2018年楽しかったな~!でも来年ももっといい年にする、今年を越えていくので、今後ともよろしくお願いします。あおでした。

 

ヘーゼルナッツ

年内最後の授業を終える。なんとなく友人と別れるのが惜しくて、構内にある自販機でセブンティーンアイスを買って食べた。2018年、色々あったような気も、なにもなかったような気もする。今年はたぶん起承転結のどれでもなく、ひたすら蓄える年だったのだと思う。新章が始まる幕開けの、それよりも前の段階。エピソードゼロみたいな。もう3年生終わっちゃうんだね、体感はまだ2年生の前期ぐらいな感じだよね、なんて言いながらコーンをかじる。きっとまたあっという間に1年が過ぎ、慌ただしく卒業し、大学の友達と会うことも、自販機のアイスを食べることもなくなっていく。こんな瞬間ひとつ取ったって、ものすごく貴重なんだってわかってる。だからってどうもしないけど、こういうくだらない瞬間だってちゃんと覚えていたい。くだらない思い出ほど光るから。

あまい泡

どうしようもなくなったのでカフェに駆け込んだ。

 

学校にいたくなかったし、家にも帰りたくなかったし人にも会いたくなくて、かといってひとりにもなりたくなかった。周りに人はいるけどひとり、みたいなのがよくて、前から気になっていたブックカフェに寄る。

 

なんていうか、ずたぼろだった。カフェじゃなくて私の話。こないだ無理がたたって1週間寝込んだ。野菜と睡眠をとるようにしてちょっと健康になったけど、忙しさの質量が変わるわけでもない。朝から晩まで学校で過ごし、残業帰りのサラリーマンに混じって電車に揺られ、家でも机にかじりつく。次から次へとタスクが積み上がる。もうずっと限界だ。

 

とある授業で失敗した。準備とコミュニケーション能力と、ほかにもいろいろ、あらゆるものが足りなかった。私のことを嫌いな男子(被害妄想とかじゃなくマジで嫌いらしい)に呆れた顔をされて、それが引き金になって、芋づる式にトラウマだった記憶がずるずる掘り起こされた。幼稚園のころのトラウマまで一気に蘇ってしまって、なんだかもう無理だと思った。

 

無理になってしまったとき、機嫌をとるパターンがいくつかある。音楽を聴く、本を読む、ライブDVDを観る、ひたすら寝る、お菓子を食べる、あったかい湯船に浸かる。それと、あったかくて甘い飲み物をのむ。今回はあったかい飲み物がほしかった。

 

 

 

私の前に、注文し慣れていないと思われる男子高校生が並んでいて、カフェオレとカフェラテのどっちがいいか小声で相談していた。ふたりがオーダーを決めるのを店員さんも微笑ましそうに見守っており、この時点でちょっと気分がほぐれた。

 

ブックカフェなので本がたくさん並んでいる。美味しい食べ物に関する本、旅行エッセイ。さらっと読めるものが多くて嬉しい。パンの写真がいっぱい載った本を手に取る横で、先ほどの高校生が 「すっげえ……」「本すげえ……」 と興奮気味に呟いていた。どこまでも微笑ましい。

 

カフェオレだかカフェラテだかよくわかんないまま頼んだコーヒーは、ふわふわした泡がいっぱい載ってた。砂糖じゃなくて牛乳の甘みがする。美味しい。嫌なこと全部どうでもよく、はならないけど、これでまた立ち直れる。私はたぶん人よりストレスに弱いけど、立ち直るスピードはめちゃくちゃ早い。

 

パンの本も、次に選んだ旅行エッセイもおもしろい。暖房もちょうどいい。空いててうるさくなくていい。カフェにありがちの大人しいBGMじゃなく、パワフルな洋楽が小さくかかってるのもいい。高校生がひとことも交わさず真剣に本を読んでいるのも併せていい。全てがちょうどよかった。また来よう、じゃなくて、絶対また来るだろうな、と思った。またこんなどうしようもなくなった日に。

 

がんばる。あおでした。

 

蛇口

除雪車の唸る音で目が覚める。カーテンの向こうに明けきらない空。インスタントのコーンスープの湯気、頬を裂くようなつめたい空気が沁みる朝。もう冬だ。土曜なのに平日よりよっぽど忙しいの、笑うしかないけど、こういう朝を過ごせるなら悪くないかもしれないって思いたい。

 

 

 

綺麗なものをめいっぱい映えさせるより、なにげない美しさを切り取ることのほうが難しくて、好きだ。高校のとき写真部に入っていた友人が撮った一枚を忘れられない。早朝の校庭、まどろむ朝日に照らされて宝石みたいな雫をたらしている蛇口の写真。ありふれたワンシーンのなかで輝くその美しさ。

 

友人は写真でそれをしたけれど、私は言葉で同じことをしたい。日常に埋もれているハッとするような美しさを言葉で掘り起こしたい。

 

 

 

昔は本を読んでいるあいだだけ、違う世界に飛びこんでいられた。あまり読書に時間が割けない今、現実とそうでない世界とを隔てるのは音楽だ。『DAY DREAM BEAT』を聴きながらそんなことを考えていた。

 

先日ライブを初めて観てから、ハンブレッダーズが頭にこびりついて離れない。ライブには手を挙げたりいろんな楽しみ方があるけど、音楽っていうのはバンドとお客さんひとりひとり、1対1の世界を作るもの、みたいなことを言っていたのが忘れられない。音楽を聴いているときにだけ生まれる1対1の世界。"ヘッドフォンの中の宇宙" を大事にしたい。

 

 

まとまらなくなってきたのでこのへんで。あおでした。

 

セーフティバントツアー

6/9、ロックの日My Hair is Badを観た。

 

「〇〇ホームランツアー」 と冠したライブをやってきたマイヘアが次に繰り出したのは 「セーフティバントツアー」。急に守りにきた。

東名阪+札幌を巡るゼップツアー。チケットをさばくのが難しいことで有名なゼップのなかでも、Zepp Sapporoは最も売り切るのが難しい。そんなハコを東名阪にプラスしてくれて嬉しいし、そんなツアーを "セーフティバント" だと言ってのけるの度胸あるなあ。

 

 

【6/9 セットリスト】

  1. アフターアワー
  2. グッバイ・マイマリー
  3. 革命はいつも
  4. 接吻とフレンド
  5. 復讐
  6. 元彼女として
  7. 最愛の果て
  8. 真赤
  9. 運命
  10. 悪い癖
  11. 彼氏として
  12. 卒業
  13. 告白
  14. mendo_931
  15. ディアウェンディ
  16. 元彼氏として
  17. 燃える偉人たち
  18. フロムナウオン
  19. 戦争を知らない大人たち
  20. いつか結婚しても
  21. 夏が過ぎてく

En1. ドラマみたいだ

En2. 熱狂を終え

En3. クリサンセマム

 

 

 

 

 

『アフターアワー』で開幕。いきなり全開だ、マイヘアも観客も。あっという間に熱狂が沸き起こる。Zeppのよく似合うバンドだなあ、と思った。青臭さが削げ落ち、研ぎ澄まされている。前までは飢えるようなギラついた感じだったけど、程よく落ち着いたというか。

 

かと思えば前列の女の子を 「ん?化粧落ちたって?いいよいいよかわいいから」 とたらしこんだり。「痴漢はだめですよ、ありえない」 と強く言い切ったかと思えば 「俺がラブソング歌ってる目の前で女の子触るなんて許さないからな!むしろ触れるべきは俺だから!」 と結んで笑いを誘う。

 

ライブハウス初めてな人ー?と聞くと、前列真ん中のひとたちが一斉に手を挙げる。さすがに椎木さんも 「え、大丈夫?…いや、いいけどね、大丈夫じゃなかったら言ってね」 と驚いていた。案の定将棋倒しがひどかったけど 「具合大丈夫じゃなかったら言って」 「大丈夫?じゃない顔してるね?通してあげて」 と全力でフォローしていて、ぐっときた。

 

「ライブハウスに楽しみ方なんてない 俺らにだってやり方なんてない 弾き方だってあるようでない‬」 と "自由に楽しめ" ってことを暗に示してくれる。「俺が手上げろって言ったら上げるの?」 と問いかけてたやつすごく良かった、「自分次第だ」 って。

 


‪爪弾くギターに乗せて 「まだ少し春の残る札幌で‬」 とつぶやく。6月になっても涼しいこの街は、確かにまだ春の面影を残している。「春と夏のあいだ 赤と青のあいだ‬」、そう言って始まる『真赤』。

 

春、恋に落ちて」 というサビが印象的だけれど、「夏の匂いがした」 とも言っているから、この曲って初夏の歌なんだなと思った。春と夏のあいだの。ちょうど今ぐらいの。

 

『悪い癖』の冒頭部分、いつもは 「朝のニュースとキスの音だけが響いて それを幸せと呼んだ」 とけだるい幸福感に満ちた描写をするけれど、今回は 「寝ぼけながら引き寄せてキスをした」 みたいなことを言っていて、独りよがりな印象を受けた。

 

ステージで元カノのことあんまり吼えなくなったと思ってたけど、今日は 「恋人から友達には戻れないと俺は思う‬ 恥ずかしいけど‬」「ごめんね 戻れない‬」 「忘れてくれよ」 ってなんかすごい引きずってた。

 

でもマイヘアのそういう人間くさいところが私は好きで。「この感じ久しぶりだ」 と椎木さんも言ってたように。がむしゃらに元カノやロックバンドについて吼えてるこの感じが観たかったのだ。

 

「収入上がったし 好きな服が買えて好きなことができて 金を払えば風俗にも行ける‬」 「音楽と酒と女‬のことしか考えてない」 だとかさらっと言っちゃうあたりも。

 

「先頭を切っていきたいと思うこともあったけど 俺はヒーローでもロックスターでもなくて My Hair is Badの椎木知仁だ」 と言っていたのにもしびれた。売れてもてはやされ出すこの時期にも、きちんと地に足ついている。

 

『mendo_931』、「女の子の日? 先に言え!もう払っちゃってるんですよこっちは」 と歌ったあとに言った 「タクシー代出すから!別日で!‬」 が最高にクズすぎて笑った。ガチでドン引きしてるバヤさんの表情も含めて好き、このくだり。

 

そういえば下手のほぼ最前列で観ていたんだけど、バヤさんのベースプレイかっこよかった。客席にお尻向けてフリフリしたり、キュートでもあった。

 

椎木さんが男の子から 「ずっとそばにいたいです」 とDMをもらって満更でもなかったって話(もっとそばにいたいです、だったかな?)。一緒にしゃべってたバヤさんに 「俺はずっと(もっと?)お前のそばにいたいよ」 と言って黄色い悲鳴を浴びていた。

 

銀に染めてばしっと上げていたやまじゅんのヘアスタイル、椎木さんが 「田舎のヤンキー」 とか茶化すからそれにしか見えなくなった。深夜のドンキにいそう。とにかくこの3人、馴れ合いすぎるでも冷めすぎでもなく、ちょうどよく仲いいな。

 

 

「奇しくも6月9日 ロックの日 92年3月19日に生まれた俺は 恥ずかしながらミュージックの日に生まれた」、そう言ったのは『フロムナウオン』あたりだったろうか。

「でも ロックってなんだ?ロックバンドってなんだ?」

 

「ロックはわがままで従順だ」、「ロックは自分勝手で人ったらしだ」。だとしたらロックって椎木さんにちょっと似てる。

 

「ロックは、生き様だ」

 

「ロックバンドを透かして何が見える?」

 

ロックの日にマイヘア観れてよかった、と思った。がむしゃらな泥臭いかっこよさを、私はいつもMy Hair is Badに透かして見てる。ロックが何かなんてわかんないけど、マイヘアが正真正銘のロックバンドだってことはライブを観ればわかる。

 

 

この日に聴いた『戦争を知らない大人たち』を、一生忘れられないと思う。「俺らはいつか終わる。来年にだって終わるかもしれない」 そう椎木さんが言って、照明が落ちて、演奏も止んで、

 

あんなにも熱に包まれていたライブハウスが静止する。光も音もなく。たった一筋のライトが椎木さんを照らし、


「だから、今だけだ」

だれもが息をのんだ。一筋照らす光の下で、張りつめた静寂に放たれた言葉を、その重みを、忘れない。

 

ああ、私の好きな音楽は、こんなふうにいつ鳴り止んでもおかしくないのだ。心の中ではわかってた。だけど実際にどういうことか見せられて初めてゾッとした。音も光も熱も、いきなり止むということ。熱狂の渦が一瞬で消え去ることが、こんなにも恐ろしいと。

 

ほんとうに、今しかないんだ、と強く思った。今。6月9日、Zepp Sapporo、今この瞬間は二度と訪れない。今後ものすごく売れてチケットが手に入らなくなるかもしれない。突然辞めてしまうかもしれない。人波に揉まれながら拳を突き上げていられるこの瞬間が、どんなにかけがえのないものであるか。

 

解散を考えているとかそういう話ではない。「27、28、29、30、40になってもこの歌を歌い続けたい」 とも言ってたから。この先何が起こるか誰にもわからない、というニュアンスだったのだろう。それこそ戦争のように。だから、何が起こるかわからないから、今を全力で生きるしかない。


私の好きな音楽はいつ終わってもおかしくない、ということを、最前線を走り続けるバンドに突きつけられてハッとした。今この瞬間も、次のライブも、ひとつひとつ大事にしたい。

 


‪「夢でよかったな 夢がよかったな‬」 とゆっくり歌いだす。「あなたがよかったな そんなふうに思える あなたでよかったな‬」。しんと凪いだ空気をほどく 「真夜中に目覚めちゃった なぜか泣いてしまった」 という優しい歌声。『幻』。


‪「あの日みたいに笑ってた‬ あの時みたいに話してた」 って歌詞を 「あたしはあなたが好きだった‬ あなたはあたしが好きだった?‬」 と歌い替えていたの、ずるかった。椎木さんが女性目線で歌う曲って、生々しすぎて苦しい。なんでこんなに女性のこと "わかってる"んだろうって怖くすらある。

 

「北海道ではこの曲するの初めてかもしれない‬。この曲があったから俺たちがあるんだと思う‬」 と始まった『声』。最後の一滴まで絞りだすように力をこめて歌う 「声は届くか」 のところ、胸に迫った。

 

 

あっという間に本編が終わる。

 

バヤさんのTシャツが筋肉でピチピチだって話。「俺、ツアTならMサイズでもいけるからね?!」 なんて言ってたけど、普通にLでいいと思う。腕モリモリじゃん……

 

『熱狂を終え』、ライブで聴くとじんとくる。「巨大迷路を彷徨え 揺れる決断を楽しめ ここからが面白い ここからだ」。岐路に立たされたとき、どうしようって立ちすくむんじゃなくて、これは面白くなってきたなって笑える人間になりたいな。

 

エモーショナルな空気を一瞬で変える『クリサンセマム』。みんなパッと笑顔になって、全力で飛び跳ねる。「君がなんか嬉しそうで 僕は嫌だった」 で締めくくるのニクい。

 

長い長いセーフティバントは、マイヘア史上もっとも短いラブソングで終幕を告げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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電子チケで入場する際にもらえる思い出チケット。お洒落なグッズを売りさばくバンドのものとは思えないクレイジーな絵柄、最高。

 

 

 

書きたいことがありすぎて、まとめらずにいたら半年もかかった……。これでもだいぶ絞ったけど4000字超えです。ちょっとしたレポート。

 

椎木さんが言ったことなんかは一字一句同じなわけじゃないし、私の捉え方がそもそも間違ってることもありうるので、大体こういうこと言ってたんだな~ぐらいに軽く読み流してください。

 

ロックの日に聴いた『戦争を知らない大人たち』と、あのときの雷に撃ち抜かれたみたいな衝撃は一生忘れられないです。よいものを観た。

 

あおでした。