配信リリースされたばかりの、フレデリックの「PEEK A BOO」という曲には、今までのフレデリックの曲に出てくる歌詞がたくさん散りばめられている。FCツアーで初めて完成前のこの曲を聴いたときは、手癖で書いたら偶然そうなったものだと思ったのだが、聞けば聞くほどそうではない気がした。わざとだとしたら、意図的だとしたら。それを前提に置いた、怖い仮説をどうか聞いていって。
まず「PEEK A BOO」は、英語でいないいないばあという意味。一般的には親が子どもにやる微笑ましいジェスチャーのことだけど、この曲はお化けがテーマの歌であり、お化けが「ばあ!」って脅かしてくるあれの方を指していると思われる。
また、お化けといえば、フレデリックには「峠の幽霊」という曲がある。「恨めしや 恨めしや」から始まるあたりのメロディの感じとか、そもそも曲の雰囲気とか、似ていると思う(似ているというかわざと寄せたのかもしれないと思っている。この記事はそういう前提の話だ)。
前述の通り、歌詞も似通っている。私が思いつく限りの箇所をまとめた。
- 一生戯れあっていこうぜ→midnight creative drive「じゃれあってハイウェイ」+「洒落きってこうぜ」
- にっちもさっちもどうにもこうにもなんねーわ→愛の迷惑「にっちもさっちもどうにもこうにもいかない噂にバイバイ」、どうにもこうにも「どうにもこうにもなりません」
- ちゃんちゃらちゃんちゃらおかしい話よ→熱帯夜「ちゃんちゃらおかしいや」
- 散々化かしあっちゃって→ジャンキー「なぜ化かしあってんだ」、スパークルダンサー「この気持ち化かしていけ」
おわかりいただけただろうか。似てる歌詞が異様に多い。意図的に似せたのか。三原康司さんの意図はわからないけど、意図的だということで仮説を進める。
人の声を真似して誘う化け物、というのはホラーでよくある。愛する人の声に誘われてついていったら、声真似をしているだけの化け物がいて……というやつ。
こうやって、馴染みのある歌詞がいくつもあることで、「PEEK A BOO」自体が "人の声を真似る化け物がフレデリックを取り込んで作った、人間をいざなうための曲" という感じがして、ゾクゾクする。
つまり、「PEEK A BOO」とは "化け物がフレデリックをサンプリングして作った罠の曲" なのでは。というのが私の思いついた恐ろしい仮説。
フレデリックっぽい歌詞、というものはある。三原康司さんの辞書からいかにも出てきそうな言葉というか。それでも、こんなに多くの表現が被っているのは、偶然というよりは狙ってやっているような気がしてならない。そういうことをわざとしかねない人だと思う。(本当にただの偶然ならすみません)
初めてこれを聴いたとき、過去のフレデリックのごった煮を現在のフレデリックが味付けしたような歌だな、と思ったのを覚えている。手癖全開なのかなと。でもこうして一つひとつ取り出して見ると、すべて意図的なのではないか、という気すらしてくる。フレデリックを取り込んだ怪異が、峠の幽霊をベースに作った曲、のように聞こえてくる。
フレデリックの4人に導かれるようについていったら、人の姿を真似した怪異がにっこりと裂けた口を開けて待っているのかもしれない。私やあなたのことを。
狙われているのかもしれない、私もあなたも。