気圧なのか、満月が近いせいか、季節の変わり目か、あるいはその全てにやられて、この頃ゾンビみたいに唸って過ごしていた。頭痛か微熱のどちらかがよくなった頃に起き、家事を疎かにしてまでパソコンに向かう日々。一度、シンクの排水溝をドロドロにして夫にかなり叱られた。
久々という言葉では遠すぎるほど久しぶりに、ちょっと長い小説を完成させた。日の目を見るかはわからないけれどとにかく、完成させたということ自体が偉業だ。お祝いにシュークリームを買ってきてほしいと夫に頼むと、まずカスタードクリームのワッフルが、それを食べ終えるとダブルシューが、最後にプチシューが、フルコースのように続々と出てきた。大掛かりではないこういうサプライズがいちばん嬉しい。
物心ついた頃から小説を書いていた私は、16歳で一度ぽっきりと筆を折った。そのあと細々と短編小説を書いたりZINEを作ったりはしたけれど、ちょっと長い小説となると、ほんとうに10年振りくらいに書いたかもしれない。
ひとつの大きな山を越え、燃え尽きるかと思ったけれど、こんなんじゃまだ燃え足りない。次はもっと大きな山を目指す。26歳、同級生は家を買ったり海外で働いたり二人目を育てたりしているけれど、まあ、私はこうやってしか生きられないから比べても仕方ない。虚勢でなく、私は自分のどうしようもなく不器用な人生を愛している。お祝いだからとかこつけて、明日はスタバの黒いフラペチーノを飲む。そうやって図太く生きていく。夜明けはまだだが遠くはない。