あおいろ濃縮還元

虎視眈々、日々のあれこれ

大雨のあとで

川が程近いせいか、大雨が降ったあとの街は、駅に着いた瞬間から硫黄のような匂いがした。電車で数駅のこの街へは数ヶ月に一度、婦人科へ漢方薬をもらいに行くときだけ降り立つ。私の住んでいるところよりもほんの少しだけ栄えていて、道行く高校生も心なしか洗練された出で立ちにみえる。田舎に似つかわしくないフラペチーノなんか携えている。

婦人科は曜日ごとに先生が違って、どうやら受付や看護師さんのシフトもやや曜日で固定されているような気がする。院長は腕がいいけれど、なぜか院長のいる日に行くと不要なたらい回しに遭う確率が多い。火曜と木曜は、先生は少し横柄だけど受付と看護師さんの連携がてきぱき取れていて、比較的スムーズに診てもらえることがわかってきた。三連休の翌日だからか、待合室は笑っちゃうぐらいにガラガラで、すんなり薬をもらうことができた。

茶店に寄る。常連のマダムたちがころころと笑いながら井戸端会議をしており、時折お洒落な洋楽を上回って笑い声が響いていた。とても幸せそうで和んだ。アイスコーヒーをのみながら「坊っちゃん」を40ページほど読み進める。文豪の作品はもっと読みづらいイメージがあったけれど、流れるようにテンポの良い文章でするする読めた。当時用いていた漢字などを読みやすいよう平仮名にひらいてあるような気がする。アイスコーヒーにはシロップではなく黒蜜のようなものがついてきた。ところで私は1時間にきっかり100ページくらいのペースで本を読むのだけど、これって人より少し早いかもしれない、ということに最近気づいてきた。どうなんだろう。

次の電車まで少し時間があったから、ミスドでお土産を買うことにした。私の好きなチョコファッションと、彼氏の好きなゴールデンチョコレートハニーチュロを1個ずつ。ミスドのなかで1番と言っていいほど私はハニーチュロが好きなのだが、好きなドーナツ談義をしたとき彼氏も全く同じことを言っていたのがなんか嬉しくて、ミスドに寄るといそいそとハニーチュロを選んでしまう。私にはそういう可愛い一面がある。いつの間にか、ドーナツをトレーに取るスタイルじゃなく、持ち帰りたい人は自分でテイクアウト用の袋に詰める方式になっていて、すごくいいなと思った。店員さんが袋に詰める従来のやり方だと、「お土産にしたいからこれとこれは同じ袋で!こっちは別でお願い!」みたいな注文に対応する必要もないし、時間削減になるだろう。良い。

外に出ると、文章が泉のようにこんこんと湧いてくる。頭のなかで、小説の地の文みたいに、あるいは洋画の字幕みたいに、完成した文章がすらすらと流れてくる。昔からこうだけど、これって特殊なことなのかもしれない。ブログにおいてはそれをそのまま書きつけて、どんどん調整して読めるものにしていくことが多い。小説もそうやって最初から最後まで湧いてきたらいいのにな。出てくるのはブログの文章ばかりである。