あおいろ濃縮還元

虎視眈々、日々のあれこれ

伊勢志摩めぐり

コロナ禍にあって、旅行エッセイやブログを読み漁ることが増えた。旅行に出かけたくてたまらない気持ちを、文章で疑似体験することでやり込めている。私みたいな人もいるだろうと思うので、こないだ初めて行った三重でのできごとを書く。

 

伊勢神宮は5時から参拝できる、と知ったのは最近のこと。行ってみたいけど人多そうだしこの状況じゃ無理だよね~なんて勝手に諦めていたのだけど、早朝だと人の入りも少ないらしい。それでは夜明け前に家を出て、早朝参拝して、早めに引き上げられるならいけるのでは?ということで三重への小旅行が決まった。せっかくなので伊勢志摩エリアを巡ることにする。

 

なんでも伊勢神宮の内宮には、日本の総氏神である天照大御神が祀られているという。かなり噛み砕いて言うと、総司令官・天照大御神にいきなり会いにいくのは失礼にあたるので、まずは別の神社から徐々に段階を踏む、挨拶回りみたいなことをするのがマナーらしい。いかにも日本的である。

 

二見興玉神社伊勢神宮外宮→伊勢神宮内宮、の順に行くのがベスト。同じ伊勢神宮といえども外宮と内宮ではそれぞれ祀られている神様も違い、行き来するのにも車で片道10分ほどかかる。本当はすべて回りたかったが、二見興玉神社が朝7時オープン(※2022年7月現在)だったため、人が増える前に帰ることを考えて泣く泣く外宮を飛ばすことにした。片参りといってあんまりよろしくないんだけど、時勢柄大目にみていただきたい。

 

 

 

出発は4時のつもりだったけど、4時までに高速道路に乗ると割引になるというのを当日の支度中に知り、3時50分に大急ぎで家を出た。マンションの階段を静かに降りきり、外に出た瞬間めいっぱい車めがけて走った。なんか青春っぽくて楽しかった。この日のドライブ用に作ったプレイリスト1曲目が「夜に駆ける」だったの、我ながら天才的だと思う。

夜に駆ける

夜に駆ける

  • YOASOBI
  • J-Pop
  • ¥255

 

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サービスエリアから見た空、よすぎる

 

休憩を挟み、二見興玉神社に到着したのは7時半頃。二見浦がとても綺麗に澄んでいて心躍った。朝の時点でもう30度近くあったのだけど、頬に受ける風が気持ちいい。

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水辺、サイコ~

 

朝のわりに意外と人はいた。でもみんな日傘を差していて、自然とソーシャルディスタンスが取れる。道は狭く、立ち止まってじっくり見るようなメチャ映えスポットがたくさんある訳でもないので、回転よく混まずに参拝ができた。

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私が最も見たかった夫婦岩夫婦岩って日本中にたくさんない?と思うだろうけど、伊勢の夫婦岩を見たかったのには理由がある。江戸時代に空前のおかげ参り(=伊勢神宮に集団参詣すること)ブームが巻き起こったため、伊勢は当時の激アツスポットだった。そういうわけで二見興玉神社から見える夫婦岩はしばしば浮世絵に描かれていた。浮世絵好きとしては、ひとめ見ておきたい。


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鳥居の形になっている看板、こういうの大好き


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かの夫婦岩。男岩と女岩を大注連縄が結んでいるところと、男岩の上に鳥居が設置されているのがポイント。この写真を撮ったあと、鳥居のそばにカラスがとまっているのを見て、この鳥居はカラスがちょうど下をくぐれるぐらいの大きさだということがわかった。

 

 

カエルのモチーフが至るところにあり、どういう関係があるのだろうと思ってあとから調べたら「無事に帰る」と掛けているらしい。これは私が勝手に思ったことだからそういう意味かはわからないが、江戸時代に大流行していたおかげ参りは、確かに行くのもだけど帰るのも大変だったろうなと思う。

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カエルの口から出る水で手を清めるストロングスタイル

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たくさんのカエル

 

 

二見興玉神社をあとにし、伊勢神宮内宮へ向かう(本当は外宮にも行きたかった)。やはり朝だからか、休日のわりに人は少ない。境内がだだっ広いこともあり、ここでもしっかりソーシャルディスタンスを取って参拝することができた。

 

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8時半時点。

 

もうかなり暑かったが、立ち並ぶ樹木によって木陰ができ、境内は心なしか涼しい。入口には五十鈴川が流れ、そこに架かる宇治橋を渡っていく。日常の世界と、神聖な世界とを結ぶ架け橋であるらしい。千と千尋の神隠しをなんとなく思い出した。五十鈴川には手を浸して清めることもできた。ひんやり冷たくて気持ちいい。

 

内宮は落ち着いた色味の建物が多かった。朱塗り!豪華!派手!みたいな神社を今まで見ることが多かったから、ここまで素朴な色合いかつシンプルな造りなのに、ここまで圧倒されるのはなぜだろう……としみじみ不思議に思った。風格が違った。

 

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朝10時頃のおはらい町。混みはじめる前に、すいている店をササッと巡って食べ歩きをする。

 

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赤福本店はなんと5時から開いている。できたての赤福と、赤福氷。氷にまるごと赤福が突っ込んであるわけではなく、ふわふわの抹茶かき氷の中に餡と餅とが別々に入っている。甘いものをたくさん食べられなくなってきたアラサーカップルには、ふたりでひとつでちょうど良かった。

 

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伊勢うどん。スタンダードなのにしようと思ったのにとろろが載ったものを頼んでしまった。とろろに目がないので。コシがなく餅のような麺と、甘みのあるたまり醤油ベースであることが特徴。


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でっっかい牡蠣!今まで食べてきた厚岸の牡蠣をはるかに凌ぐ美味しさだった。生臭くなくてプリプリ。生と焼きと蒸しが選べて、これはだし醤油のかかった焼き牡蠣。すごい端っこのほうにある「魚福」というお店、人目につかないからすいてるしものすごく穴場です。おすすめ。サザエもおいしかった。

 

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混んでる土産屋を極限まで避け続けた結果、自分用に買ったお土産が酒しかない。ビール2種とゆずにごり酒、「作」という日本酒の伊勢神宮限定版。左のビールは春菊の香りでしっかりと苦い。右はスッキリ爽やかで飲みやすい。右の「ヒメホワイト」、サッポロクラシック並に飲みやすいビールだと思う。

 

「豚捨」のコロッケとミンチカツも食べた。前者はじゃがいもの甘みが、後者は牛肉の旨みが効いていてどちらもおいしい。固く成形して揚げられており、食べ歩きをしても崩れづらくするための工夫なのかなと思った。揚げ物ボロボロこぼす民としては非常にありがたい。

 

 

 

 

次は近場にある横山展望台でリアス式海岸を眺める予定だったけれど、暑くてバテてきたので飛ばすことに。臨機応変も旅のコツ。40分ほど車を走らせ、エアコンで充分にクールダウンしてから志摩地中海村へ。

 

スペインを模した地中海ふうの街並みが楽しめる宿泊施設で、日帰りで見て回ることもできる。ちなみに志摩スペイン村とはまったく別の施設(スペイン村は遊園地)である。

 

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ヨーロッパに来たみたい!!!!!


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建物はもちろん、この石畳とか植物の感じが!ヨーロッパ!!!!すてき!!!!!

 

 

映えることで有名になったスポットでもあり、スペインっぽい街並みの中を歩いて楽しむだけではあるので、彼氏はかなり退屈そうだった。旅情に飢えていてふんわりと異国の雰囲気を楽しみたい私のような人や、写真大好きな人にはおすすめ。お土産屋さんがかなり海外っぽくてよかった。かつてイタリアやイギリスで買ったお菓子が売られていて、ヨーロッパフリーク女はひとりで興奮していた。

 


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行ったことないけどかなり想像の中の地中海っぽい


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ライオンの噴水、よかった

 

 

 

 

次の目的地、VISON(ヴィソン)へは車で1時間。マルシェがあって新鮮な野菜や手作りのアクセサリーを売っていたり、ミナペルホネンのミュージアムがあったり、味噌や醤油や出汁の専門店がずらりと軒を連ねていたり、温泉があったり、宿泊することもできたりして、つまるところ大人の好きそうなものはなんでもある。大人のテーマパークって感じ。

 

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め~っちゃ広い!東京ドーム24個分、ディズニーランドとシーを合わせてもまだ広い。

 

近いから寄ってみよ~という軽い気持ちで入ったのだが、素敵な良いものがたくさんあって、ここが一番楽しかった。夕方に駆け込むんじゃなくて朝からじっくり時間をとって回りたかった。

 

日本全国のあらゆる味噌が売られている店で、3種類の味噌を買った。グラム数も指定できて、とりあえずそれぞれ200グラムずつ。ジェラートのようなディスプレイで米味噌やら麹味噌やらがずらりと並んでいて、見ているだけでわくわくした。味噌汁飲み比べパーティーでもしようと思う。

 

お目当ては本草湯。天然の温泉ではなく、薬草湯らしい。炎天下を歩き回ったあとに浸かる温泉はとんでもなく沁みた。足を伸ばして座ったり寝転がれる休憩スペースや、ゆったりした一人用の椅子が並び、本を読んだりクラフトコーラを買って飲んだりできるコーナーもある。何気なく頼んだソフトクリームがすごくおいしかった。本草湯のシャンプーが髪質に合っていたと帰ったあとで気付いて、通販で買おうか現在かなり悩んでいる。

 

 

 

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ヴィソンをあとにし、居酒屋で海鮮をたらふく食べて帰路へ。これはデカすぎたサワラ。

 

 

朝の3時50分に家を出て、帰り着いたのは夜の12時半。トータル8時間以上運転した彼氏も、前日&翌日普通にめちゃくちゃ仕事だった私も、相当よくやった。大人の小旅行、すごく楽しかった。今度は内宮もヴィソンも、もっとゆっくり見たいな。

 

 

 

 

 

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最後に二見興玉神社で引いた「愛」のおみくじを見せてあげます