様々な体調不良に耐え抜いているご褒美に5000円のファンデーションを買うつもりだったけど、その代わりにずっとほしかった3000円のリップと、2000円の募金をすることにした。私とそう歳の変わらない女性たちですら銃を手にし、火炎瓶を作っているというのに、歯石取りごときで怯えきっている自分が心底情けなかった。こないだ「風に舞いあがるビニールシート」を読んだ影響も大きかったかもしれない。子どもたちへの水や教育の提供、何よりメンタルケアに充てているのが良いと思って、ユニセフのウクライナ緊急募金を選んだ。この小金で、子どもたちが将来戦禍のトラウマに苦しめられなくなるのかは分からないけど、1日でも悪い夢をみなくなる日が増えればいいと思う。
ところで付き合って2年が経った。当時、1ヶ月後には就職で遠い地へ行く先輩と、これから就活が待ち受けている私とでうまくやっていけるのか自信がなくて、周りの人たちにどうしよう~とひたすら泣きついていた。学生の遠距離恋愛と社会人のそれとでは全く違う。そもそも恋愛感情があるのか分からなかった。長いことバイトで接していて、うざいけど可愛らしいところあるよなーとか、引っ越したらきっと一生会わなそうだけどそれはちょっと寂しいかもなーだとかは思ったけど、「人として好き」と「恋愛対象として好き」はこれもまた全く違う。なんとなくで手を出して、やっぱり好きになれませんでしたごめんなさい、はしたくなかった。それがどれだけ傷つくことか知っていたし、そんな思いをさせたくないと願うほどにはどうでもよくなかった。先輩は冷静に考えると、距離のことを除けば、私の求めていた恋人像にこれ以上ないほど当てはまる人だった。食い気味にNOを突きつけるしかないほど合わない/どう考えてもうまくいかない人にしか好かれてこなかった私が、この人を距離なんてもののために手放していいのか?と思った瞬間に腹が決まって、今に至る。サラダの盛り方やチーズの切り方ひとつとっても鬼のように厳しかった男が、2年経って恥ずかしそうに花束を差し出してくるようになって、嬉しいやら面白いやらずいぶん遠いところまでふたりで流れ着いてきたなとしみじみするやらで、なんだか込み上げるものがあった。