あおいろ濃縮還元

虎視眈々、日々のあれこれ

『プログラムcontinued』のプログラム解析

UNISON SQUARE GARDENが15周年を迎えた。

 

さほど大々的なお祝いムードでもなかった10周年とは打って変わり、15周年である今年は舞洲での野外ワンマンをはじめとして、B面アルバムやそれに伴った全国ツアー、親交の深いアーティストたちによるトリビュートアルバムなど、クラッカーがいくつあっても足りないぐらいお祝いイベント乱発中である。

 

ニゾン10周年を祝うために作られた 『プログラムcontinued』という曲も、5年後を迎えたいま、歌詞にマイナーチェンジを加えた『プログラムcontinued (15th style)』なるバージョンが発表された。

 

UNISON SQUARE GARDEN「プログラムcontinued(15th style)」Music Video - YouTube

 

祝われモード満点のユニゾンが、この曲に込めた5年間の軌跡を解析していきたい。

 

 

オリジナルの歌詞→

15th styleの歌詞→

で表記していきます。先にことわっておくと、オリジナルの『プログラムcontinued』が発表されたのが2015年、15th styleは2019年です。念頭に置いといて。

 

 

 

 

 

 

さも当然のように悲しみは今日もやって来て

また当然のように悲しみは今日もやって来て

あれから5年が経っても悲しみはまた当然のようにやって来るみたいです。人生の真理。

 

ひょっとしたら日増しに ほら 大きくなって 重たくなってしまう?

乗り越えてもすり抜けても 形を変えて 襲いかかってしまう?

『ラディアルナイトチェイサー』(2018) 「皮肉に縛られても 乗り越えちゃえば楽になれる Oh No」

 

ああ 焦りそうな東京ジャングル 足をとられてしまいそうだよ

ああ ノイズが舞う東京ジャングル 油断したら迷っちゃいそうだよ

『Silent Libre Mirage』(2018) 「純粋さを保たなくちゃ派手にやるフェーズになって ノイズが邪魔になる」

ジャングルに踏み入るだけで足をとられそうになっていた、おぼつかない5年前と比べて、油断しなければ迷わず進めるぐらいには足取り勇ましくなったっぽい。成長。

 

でも当然のようにって心の奥が疼いてる

でも当然のようにって体は今日も疼いてる

心の奥だけにひっそり留まっていたものが表に出せるようになってきたんだろうか。

 

あの日に見た虹みたいな音楽だって変わらず鳴ってるよ

あの日に見た虹みたいな音楽だって 褪せずにページを舞う

『春が来てぼくら』(2018) 「また春が来て僕らは新しいページに絵の具を落とす」

いつか夢見たフルカラーの音楽は5年経っても色褪せないままのよう。

 

あれは流星が降り注ぐ前夜 確かそんな日の出来事で

それが生きてく理由ってことなんでしょう 映し出して 助走をつけて

シュガーソングとビターステップ』(2016) 「死ねない理由をそこに映し出せ

流星の降る前夜を越えて、生きていく理由を見つけたようです。

 

現時まで進行形

跳ね回れ進行形

 

 

一見に関係ないことを大声で歌ってきたんだ

一聴じゃ難解なんてこと 盛大に鳴らしてきたんだ

『mix juiceのいうとおり』(2016) 「一聴ではわからないならそれこそが贅沢な暇つぶしって思いはしないかしら」

一度聴いただけじゃ難しくて理解できない歌詞はユニゾンの得意技。「歌ってきた」 とボーカルだけに向いていた表現が、「鳴らしてきた」 に変わることで、15年間難解な曲を鳴らし続けてきたスリーピースバンドを照らす。

 

沢山の人が首をかしげてきたけれど

贅沢に思うだろう? 思わないなら別にいいけど

上の引用箇所に同じ。一度聴いただけじゃわからないことを贅沢だと思うならば付いてくればいいし、思わないなら別に付いてこなくていいっていう昔から変わらないスタンス。

 

ああ それでもまだちっぽけな夢を見てる

目立たない路地裏で超新星アクシデントみたいな事

何気ない歌で何気ない記念日をお祝いしたら

ああ 気ままに行こうじゃない きっと何も変わらないけれど

多分 continued

サビはひとつも変更なし。

 

 

耳を塞いだあの日から4000日くらい歩いてて

耳を塞いだあの日から5000日ちょっとくらい歩いてて

あれからまた1000日ちょっと歩いてきたんですね。

 

ふと振り返り 立ち止まれば 随分 遠く 遠くまで来たみたい

今は ちゃんと世界の音もちょっとは聞こえてるよ 聞こえてるけど

 

時々は聞いていないフリ

大事なものはもっとある

聞いていないフリをしてごまかしていたのが、聞こえてるけどそれはそれとしてもっと大事なものがある、って一旦飲み込んだうえで自分たちのスタイルを貫き通すようになった強さ。

 

 

乱暴な真相めいたこと 頑固意固地ってきたんだ

残酷な現実なんてもの 隠さずに鳴らしてきたんだ

Invisible Sensation』(2018) 「どうしても消えないままの残酷時計は 真実を指してるから厳しくも見えるだろう」

 

あんなやつらには気づけそうもないだろう

目をこらしてもわからないなら、ざまみろ!

『春が来てぼくら』(2018) 「「わからない」って言うなら「ざまみろ」って舌を出そう」

ざまみろ、っていうワードチョイス、あまりにも田淵さんらしすぎる。

 

それでもまだ消えそうな声を聞いてる

泣きたくて泣けなくて無理やり笑っちゃう君の声を

だけどストレンジャー 味方になんかはなれないけれど

ねえ 挫けていいんだよ 秘密基地で会う約束をしよう

2番のサビも変更点なし。

 

 

未来保証のサイコロを投げたけど きっと何もわからないまま

優しくなくても 正しくなくても 今日ぐらいは祝ってくれないかな

『Catch up, latency』(2018)  「敬具、結んでくれ 僕たちが正しくなくても

15周年に際して、ブログやインタビューなど至るところで田淵智也は 「祝ってくれ」 という言葉を多用している。今までそんなこと言ったことないけど、15周年くらいは盛大に祝ってくれ、と豪語する田淵さんの姿が透けて見える。

 

一瞬も飽きちゃいないからさ 人生を譲る気がないんだ

行けるところまで行こう 小さく明日のベルが鳴る

ところでこの 「一瞬も飽きちゃいないからさ」 という歌詞。いつか田淵さんが 「バンドは飽きたらやめる」 と言っていたことに対するセルフアンサーです。飽きたらやめるけど一瞬も飽きたことないよって、5年経っても変わらずに言ってくれるひねくれたロックバンド、これだから愛してる。

 

ああ それでもまだちっぽけな夢を見てる

くだらなくて 蹴っ飛ばしていいけど、君に言ってるんだ。

 

それでもまだちっぽけな夢を見てる

目立たない路地裏で超新星アクシデントみたいな事

何気ない歌で何気ない記念日をお祝いしたら

ああ 星も降るから 派手なやつを歌っていこう

ふざけろ!続けフルカラー きっと大して変わらないけれど

依然 continued

ここも全て変更なしで。一瞬たりとも飽きることなく続けてきたロックバンドは、15年経ってもまだ to be continued で突っ走り続けてくれるみたい。

 

 

 

多分まだ拾いきれていない箇所もあると思うけど、現時点で引用した歌詞すべて、2015~2019年の間に発表された曲からとっていることは明らか。完全に狙い済ましてる。

 

最初にちらっと 「マイナーチェンジ」 という表現をしたのだけど、見ればわかる通りサビは全く変更点がない。変えるところは粋に変え、変わらない部分はそのまま残す。

 

5年のあいだに進んだ道のりと、5年経っても変わらない信念のどちらもが映し出されていて、それをそのまま映像で体現したような『プログラムcontinued (15th style)』の完全版フルMVは涙なしには観られない。いまのところ完全版はトリビュートアルバムの特典DVDでチェックできます。Check it outしてね。

 

 

 

最後の小ネタに笑ってくれたあなたとはいい酒が酌み交わせそうです。あおでした。