スイカバーを手に歩けば、駅から海までの寂れた道にだって夏の魔法がかかる。気が済むまで海に足をひたして、砂浜でお喋りしつつ自然乾燥させる。お祭りの出店の安っぽいフランクフルトと、プラスチックカップに入ったモヒートを昼間からキメた。大人になってよかったことがあるとすれば、野外でお酒を飲めることだ。
街に戻り、コラボカフェにて出来たてよりちょっと冷めてるアップルパイを食べ、東京の夕焼けを飲んだ。初めて知った時は名前すら知られていなかった彼らの、アリーナライブの映像が店内で流れていて、曲名を冠したコラボメニューをみんなが頼んでいる。その光景が不思議で、感慨深くてなんだかぐっときた。そんな昨日は一部の隙もなく完璧な夏の日だった。
夏が好き。暑いのは嫌いだけど。週末には手持ち花火をする。レポートを提出し終えてついさっき夏休みに突入したので図書館で加藤千恵を借りた。駅を出たらぬるい風がおでこにまとわりついてきて、だって暑いもんって夏のせいにして缶ビールを買った。今日はふたつぐらい早いバス停で降りて、『夏夜のマジック』でも聴きながら歩いて帰ろう。