あおいろ濃縮還元

虎視眈々、日々のあれこれ

魔法を塗る

不格好でエイリアンみたいな足の指がたまらなく嫌いだからいつも真っ赤なペディキュアをしている。そうすると指よりも派手な爪に目がいく。誰に見られなくともいい。湯船で足を伸ばしたときふと目につく冴えた赤色で、私はほんのちょっとだけ私を好きになれる。

 

男みたいに骨ばった華奢な手も、好きだけど嫌い。こういう手をしている男の人は好きだけど、女の手にしては無愛想すぎて嫌い。血色がよく見えるようにピンクのマニキュアを塗る。シルバーのリングもたくさんつける。着飾った指で、ようやく私は私を好きになれる。

 

イヤリングをつけると痛む小さな耳たぶも嫌いで、一時期ピアスを開けたけど、炎症が治らなくて塞いでしまった。あの頃つけてた輪っかピアスも好きだったけど、耳たぶに微かに刻まれたピアスホールの名残りがいまは好き。

 

コンプレックスに色を塗って生きることは悪いことじゃない。そんな小さなことで救われるんだったらいいじゃん、馬鹿げてても。自分ひとりしか救わない安っぽい魔法をかけて、私は私を好きになりたい。嫌いなところも愛せたら人生もっと楽しいよ。たぶん。

あおでした。