こんなはずじゃなかった。恋に落ちるつもりなんてなかった。気づいたら堕ちてた。止まらなかった。
マカロニえんぴつという一風変わった名前のバンドに、それはもう見事にオチた。
好きになる予感は前からあったのだ。ラジオで偶然聴いた『レモンパイ』がどうにも頭から離れなかった。思わず肩を揺らしたくなるようなぐっとくるメロディー、さりげない言葉遊びが光る歌詞、アクセントのごとく差し込まれるラップ、PVの色合いすらも好きだった。
でもしばらくは 「気になるバンド」 止まりだった。遠くから眺めるだけで満足していた。PVを漁り、CDを借り、ツイートを遡るうちにみるみる魅力されていってもまだ、「好きなバンド」 と呼ぶにはひと押し足りずにいた。
私を本格的に沼に突き落としたのはラジオで聴いた『ブルーベリー・ナイツ』だった。Love music にマカロニえんぴつが出ることを知り、わくわくしたのも束の間、北海道は放送日が違うということに気づく。
あーあ、新曲聴きたかったな。なんとなくラジコを起動して、検索欄に 「マカロニえんぴつ」 と打ち込んだ。1件ヒットしたTOKYO FMを再生する。曲のタイトルは、はっとりさんの元カノが好きだった 「マイ・ブルーベリー・ナイツ」 という映画からきていると知り、俄然興味が湧く。
結論からいえば、私は『ブルーベリー・ナイツ』に恋に落ちた。イントロのピアノが流れてから4分ちょっと、痺れたように動けなかった。マイヘアの『幻』を初めて聴いたときにも似た圧倒的な衝撃に貫かれた。
だって冒頭からして「傷つかないための気付かないふりばかりだ」 と始まるのだ。この時点でもう、せつない失恋ソングがタイプの俺、一目惚れ。
「合鍵は返してね 愛がないならもう会えないよ」。こんなキラーフレーズのなかにもしれっと韻を織り交ぜてくるのか、巧いなあもう、なんて思ってたらサビの 「冷めないで 消えないで そう願ったって遅いのに」 で全部もってかれた。
直前まで もう会えないよ なんて言ってたのに、切実すぎる 「行かないで 棄てないで もう縋ったって遅いけど」 という詞に、本当は全部強がりだったことを知る。
「なんてもう、馬鹿だよな」 「おとぎ話にすらならないね」 と時折我に返る主人公は、この恋がもうどうにもならないことをわかってる。わかってて叫ばずにいられない。せつない。究極にせつない……。
男性がうたう女性目線の失恋ソングが異様に好きなのもあるけれど、頭から離れないメロディーもせつなさを増幅させる歌声も考え抜かれた歌詞も、全部ドンピシャに好きで、私はまんまとマカロニえんぴつにオチたのでした。めでたしめでたし。
そしてフラゲした 「LiKE」。5曲とも毛並みが全然違う。どれもすばらしい。マカロニえんぴつの織り成すアソートにすっかりトリコになってしまった。『ワンルームデイト』から漂う初期ミスチル感と、つい横揺れしたくなる『働く女』が特に好き。タワレコ特典のアコースティック音源も、大胆なアレンジが効いてて癖になる。
あと、PVにはっとりさん本人が出演しているのだけど、手持ち花火のシーンでうっかりまた恋に落ちそうになった。死ぬほど悶えた。こんな映画みたいなキスシーンある……??
ブルーベリーよりも甘酸っぱい史上最強のキスシーンを見てくれ→ 【2/13 ON SALE!!】マカロニえんぴつ「ブルーベリー・ナイツ」MV - YouTube
あおでした。