夢物語が打ち鳴らされる瞬間、に立ち合った。
11/12 Zepp Sapporoにて行われた 「JFL presents LIVE FOR THE NEXT」。
ネクストジェネレーションをテーマに、アジカンと次世代のバンドが全国5ヶ所を回る。
札幌はASIAN KUNG-FU GENERATIONとKANA-BOONのツーマン。こんなにアツい対戦カード、初めて見た。
KANA-BOONは結成した高校生当時、ほぼアジカンのコピバンだった。大好きなアジカンに似てしまわないようオリジナルを作るのにも苦労した。
優勝者はアジカンのオープニングアクトを務められるというオーディションで優勝し、憧れのアジカンと同じレーベルでデビューする。
KANA-BOONがアジカンと同じステージで共演するのは、オープニングアクトを務めて以来この日が2度目。
伝説のライブになるのはもう、間違いなかった。
そして実際、とんでもなかった。
前編ではKANA-BOONについてネタバレたっぷりでお届けします。
では。セトリ。
2016 11/12 セットリスト
1.2.step to you
なんでもねだり
机上、綴る、思想
A.oh!!
結晶星
ないものねだり
フルドライブ
Wake up
シルエット
オープニングアクトのプルモライト出演後、KANA-BOONが登場。
私は左の前から2列目、めしださんの真ん前に陣取っていたので、首を向ければ鮪さんが見え、古賀さんとこいちゃんはよく見えないという配置。
近くで観て初めて気づいたのは、いつもほんわかしてるめしださんが、演奏中だと色気出まくりなこと。マイナスイオンのかわりに色気が出るわ出るわ。振り乱されたボブの合間から時折覗く不敵な笑みにノックアウトされてしまった。不覚。
「北海道寒いね!でも北海道で今1番アツい場所はここじゃないですか?」 と鮪さん。
「今日札幌ドームでは嵐がコンサートやってるね。俺らが皆にとっての嵐になります!(笑)……まあ、俺らにとっての嵐はアジカンやけど(笑)」
客席からあがった「嵐よりかっこいいー!」との声を、「眼科行け(鮪)」「そういうの人前で言わないほうがいいで(めしだ)」 とばっさり一蹴してたのツボ。
「眼科」のアクセントが完全に関西のそれだったので、耳慣れない発音にざわつく道産子たち。
『机上、綴る、思想』の間奏。鮪さんはにやっと笑って 「芽生えてた感情 切って泣いて」と、『リライト』の一節を口ずさんだ。何そのニクイ演出!!ここで歌おうってずっと決めてたでしょ!!
その他にも、オーディション時に演奏した『A.oh!!』を披露したりと、今日のアジカンとのライブにどれだけ想いを込めてきたかがひしひし伝わってくる。
キラキラと輝いているその姿が
欲しいと願った欲望星
『結晶星』。バンドを始めた高校時代から、デビューして今日この日に至るまでの軌跡を想った。
キラキラと輝いているその光を
まとった僕らは結晶星
未来をどうにか変えていこう
僕らの何かの結晶で
オーディションから4年後、再び同じステージに立てるのも、KANA-BOONの努力の結晶でしかない。もし今ほど売れていなかったら2度と叶わなかったかもしれない夜をKANA-BOONは掴み取っていて、叶わなかったかもしれない夜に私たちはいて。
照明を受けてきらめく楽器、汗、お客さんが振りかざす手首に巻かれたラバーバンド。何もかもがキラキラ、していた。眩しかった。
「俺ね、メンバーにも言ってなかったことがあって」
ライブ終盤、鮪さんの言葉にお客さんだけでなくメンバーまでもざわつく。
「ゴッチさん(なんて呼んでたかうろ覚え)からDMが来て!『Wake up、いいね。売れるかはわかんないけど』って」
後輩を褒めつつ釘も刺しておくとこ素敵だなあ。それもDMで、ってとこが素敵だなあ。素敵な先輩だなあ!泣ける!
あっという間に最後の曲。鮪さん「ずっとアジカンの話しかしてないけど」 と、今日何度目かになる決意を語る。
「アジカンはもう、好きなだけのバンドじゃなくて、勝ちたいバンドです。こうして一緒に演らせてもらえることは嬉しいけど、それだけじゃダメで。勝たないといけない」
ネクストジェネレーション。このライブのテーマが頭をよぎる。憧れの人に勝ちにいくと宣言するのはどれほど勇気がいっただろう。後を継ぐ、くらいの覚悟を込めて、KANA-BOONは今日のステージに挑んでいる。
「勝ちにいきます」
そして、『シルエット』。
かつてNARUTO主題歌だった『君という花』をこよなく愛した谷口少年は、やがてアジカンと同じレーベルでデビューし、同じくNARUTO主題歌を任されることになる。その曲こそが『シルエット』。
大事にしたいもの 持って大人になるんだ
どんな時も離さずに 守り続けよう
そしたらいつの日にか
何もかもを 笑えるさ
KANA-BOON=アジカンのコピーバンド と認識されるほど、アジカンばかり演奏していた高校時代。
その高校生が、いつかアジカンのオープニングアクトを務めるなんて、いつかアジカンとツーマンを果たすなんて、誰が思っただろう。
どんな時も握りしめていた憧れが、この日、実を結んだ。憧れたシルエットを追いかけて追いかけて、ここまで来た。そして追い抜こうとしている。
絶賛・現在進行形の夢物語に、もうめちゃくちゃに感動した。心の中ではダダ泣きだったけど、圧倒されすぎて、泣き笑いみたいな変な顔をしていたと思う。
共演できる嬉しさを噛み締めて、それでも打ち負かす覚悟を持って、これがKANA-BOONだと見事に証明してみせた。すごくカッコよかった。濃密だった。
まだ余韻の色濃く残るステージ上、着々と楽器が入れ替わっていく。酸素の薄さにくらくらした。だけどへたばるわけにはいかなかった。次はいよいよアジカンなのだ。
後編ではいよいよアジカンレポをお届けします。あおでした。