あおいろ濃縮還元

虎視眈々、日々のあれこれ

ライジングサン'16 ⑦

My Hair is Bad

23:10~def garageにて、My Hair is Bad

 

def garageはメインステージから程近い (ゆえにメインステージまでここの音が聴こえてくることも) 場所にある、即席ライブハウスのようなテント。若手の登竜門。

 

CDを買うとサイン入りカードがもらえるということで、「一目惚れe.p.」ゲット。あまりの可愛さにツアT×2と、ここには写ってないけどタオルも買ってしまった。期待値マックス。

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30分ほど前に着くと、ちょうどサウンドチェックが始まるところだった。メンバー全員普通に出てきてジャカジャカやりだしたもんで、え?まじで本人?スタッフさんじゃなく??と一瞬思った。だけど黒いウインドブレーカーのフードをすっぽり被ってるのは、間違いなくボーカルの椎木さんで。リハから見れるなんて贅沢な。ガン見してたら目が合った気がした。おめでたい錯覚。

 

サウンドチェックに対して、ペンギンみたいに両手広げて「すごくいいと思いまーす」って言ったり、後ろ向いたときにTシャツのタグがぴよんっと出てるの見えたり、椎木さんのこのあざとさがツボにハマって抜け出せなくなる女性ファン多そうだな~と思った。私もいずれ危ない。

 

2016 8/13 セットリスト

真赤

アフターアワー

元彼氏として

フロムナウオン

戦争を知らない大人たち

夏が過ぎてく

 

 

リハは確か『マイハッピーウエディング』→『ドラマみたいだ』→『彼氏として』。

 

『ドラマみたいだ』の間奏で「リハでーす!」と叫んだこと、『彼氏として』を演る前に「何がいい?月に群雲?彼氏?……彼氏がいっか。彼氏やりまーす」と意見を仰いでいたこと、リハ終えたあと「今何分?残り5分?4分?……やったるぞ。笑」と意気込んでいたことなどを覚えている。

 

 

熱量。とにかくそれに尽きた。

語りがとにかくすごくて。アツくて。しびれた。

 

椎木さんがしきりに叫んでいたのは、本物になりたい、という想い。

 

以下、うろ覚えのMCです。完全に記憶だけで書いてるのでニュアンスだけ掴んでもらえたら。

 

「仕事や学校で成功したいよな?やれることはやりたいよな?俺だってかわいい女の子とヤりたい。電話で女の子をホテルに呼びたい。あの子と結婚したい。いつか妻と子どもを連れて夏フェスに来たい!」

 

「……でも、ただひとつだけ強く思ってることがあって。俺は、本物になりたい」

 

「1999年、第1回目のライジングサンロックフェスティバル。俺はbloodthirsty butchersの映像を擦り切れるほど見た。本物のロックバンドを見たと思った」

 

「2016年、夏。新潟県上越市出身のクソガキがライジングサンのステージに立っている。ライジングサンで1番いいステージになんてできるわけない。でも俺は本物になりたい。若手なめんな、若手なめんじゃねぇ!本物のロックバンド見て帰ってくれ。あの時マイヘア見たんだぜって10年後言ってくれ」

 

25のクソガキ、若手、ということを言っていたけど、マイヘアは今年で結成10年になる。バンド活動とバイト (今もやってるのかはわからない) に明け暮れるマイヘアが望むのは、「売れたい」というシンプルな願い。今でも機材は自分たちで運ぶらしい。機材を他のスタッフに運ばせられるようになりたい、売れたい、と。

 

変にカッコつけるより、素直に売れたいと叫ぶバンドが私は好きだ。じゃんじゃん売ってくれ、どんどん買うから。キュウソ然りマイヘア然り、4大フェスのひとつに出演してもなお満足せず「売れたい」と言う。飽き足らない向上心が、ハングリー精神が、なによりも「本物」のバンドを育てていくのだと思う。

 

 

 

「今は誰の番だ?なあ、今は誰の番だ?でけぇ声で言ってみろ!」

誰もなにも言わない。語気の強さに、その場にいるみんなが息を呑んでいるみたいだった。

 

「もちろんブルーハーツでも、ここにいる俺らでもない。今は誰の番だ?でけぇ声で言ってみろ!」

圧倒されて、動けなかった。何も言えなかった。熱を帯びていくボーカルから目が離せなかった。ただ、次の言葉を待った。

 

「てめえの番だ!!1999年でも、2020年でも30年でもない、俺たちは今を生きてんだよ!……フロムナウオン」

そんな語りから始まった『フロムナウオン』。じんときて、ああこのバンド大好きだって思って、夢中で飛び跳ねた。

 

 

あまりにMCが印象的で、曲中のことはほぼ覚えていない。「元君の彼氏より」と歌うところを 「元お前の彼氏より」 などと替えて歌っていたことぐらい。

 

曲がすごくなかったという意味ではもちろんない。刺さって抜けなくなるくらい鋭い等身大の歌詞も、熱いプレイも、とにかくすごかった。本物のロックバンドを見た、と思った。私の中では、間違いなく今年のベストアクトだ。たった30分ほどのステージだけど、こんなにも濃密でヒリヒリする30分は他にない。

 

「いいと思ったらCD買ってください。よくないと思ったら買わなくていい。そういう形で応援してください」という言葉通りに、帰りにタワレコブースに寄った。アルバム「narimi」を選ぶ。

ライブで拍手や歓声を送るのもそうなんだけど、CDを買うことがいちばん目に見える貢献だと思ってる。年中金欠だからレンタルで済ませがちだけどね。歌詞カード読むの好きだし、なるべくちゃんと買いたいなあ。

 

 

 

余韻に包まれながらメインステージへ歩いていくと、『私以外私じゃないの』が聴こえてきた。母の手を引いて走る。

 

次回、⑧はゲスの極み乙女。ライジングサンで観たステージとしてはこれが最後です。⑨でまとめ書いて終わりかなーと考えてます。あと2回、お付き合いくださいませ。

あおでした。