あおいろ濃縮還元

虎視眈々、日々のあれこれ

ライジングサン2019 ⑦

1:30、フレデリック

本来0時スタートのはずが、タイムテーブル変更によりさらに深夜へ。UVERworldの真裏になってしまったけれど、逆境すら演出に変える、よりディープな夜のフレデリックを観られる期待に胸は高鳴った。

 

マイヘアを途中離脱し、ROTTENGRAFFTYのステージ(客席との一体感すごかった!)をしばし楽しむ。下手最前をゲットし、そわそわ柵にもたれる。

 

ステージに隆児さんがヌルッと現れる。あまりに自然に登場したのでびっくりした。音を確認しにきた武さんが、先にドラムセットに座ってチェックしていたスタッフさんの後ろで、気づくまで軽く微笑みながら待っていた。人柄の良さ出ちゃってる。健司さんの羽織っていた黒いロングベンチコートがかわいかった。

 

お察しのとおり、私は康司さんばかり見ていた。短パンのセットアップに蛍光イエローのシャツと、同じく蛍光の靴下を合わせている。髪やヒゲもさっぱりと切っていた。あかるい照明を受け、横顔の美しいラインがくっきりと際立っていて、まだ曲も始まっていないのにどきどきした。

 

4人でしっかり顔を見合わせ、始まったのは『逃避行』。リハということで、いつもは大きく被さる合唱が起きず、コーラスがクリアに聞こえた。レアで良い。1番を歌い終えたあと健司さんが言った 「もう1回やろうか」 という声をマイクが拾う。また来るとわかっていても、大好きなイントロを聴くと心臓が跳ねた。

 

2回めの『逃避行』を終えるとはけていく。リハと本番のあいだの時間、ずーっとどきどきしていた。今年はフェスでも北海道に戻ってきたい、と言っていた1月のワンマンから、ずっとこの日を楽しみにしていたから。

 

袖から 「オイ゛ッ!!!!」 と野太い声が聞こえる。スタイリッシュな見た目に反して体育会系すぎる円陣の掛け声、が聞けるのもフェスの醍醐味である。

 

『シンセンス』をアレンジしたSEが流れる。そして告げられる 「フレデリック、はじめます」。幕開けだ。

 

 

 

フレデリック

リハ 逃避行(1番×2回)

  1. オドループ
  2. シンセンス
  3. KITAKU BEATS
  4. VISION
  5. NEON PICNIC
  6. ナイトステップ
  7. かなしいうれしい
  8. スキライズム
  9. イマジネーション

 

 

 

最大のキラーチューン『オドループ』で、会場の空気をぐっとわしづかむ。EARTH TENTごと、場外に溢れだす客までもを踊らせていく。深夜のダンスホールは格別に気持ちいい。「色を塗って生きるのはあなた あなた」 の少し前のところから、俺の出番だと言わんばかりにいそいそ出しゃばってくる隆児さんがかわいらしい。

 

 

続く『シンセンス』に脳内麻薬はフル充満していく。この曲のときかは忘れたけど、「北海道いけるよな?」 「そんなもんですか?」 「もっと来いよ!」 と、いつもの丁寧な煽りとは違う、血に飢えた獣のような煽り方をしていた。夜成分たっぷり。サビで真上に飛ぶ兄と、横に独特なステップを踏みながら飛ぶ弟が対照的だった。

 

 

『KITAKU BEATS』のイントロに沸き、「遊ぶ?遊ばない?遊ぶ?遊ばない?」 という煽りに高まっていくボルテージは、「……遊ぶよなあ」 で臨界点に達する。深夜2時前に聴く『KITAKU BEATS』はあまりにも骨身に沁みた。「だから今夜は帰りたくないBeat 帰りたくないMidnight」 というフレーズがこんなに切実に響いたの、初めて。

 

 

温まりきったフロアに投じられる新曲『VISION』。10月リリースのこの曲は、MASHROOMなどでお披露目されはじめたばかりで、私は初のお目見えだった。あ、フレデリックの音だ、とわかるイントロからしてもう好きだと思った。新しい "これから" を見据えるような歌詞と、ディスコプールを思わせるようなサビの構成にわくわくした。

 

今宵は同じ月が見えますか」 という歌詞があったけど。野外フェスとはいえ、ここEARTH TENTは屋内ステージのため、月出てたのに見えなかったんだよね。いつか、来年にでも、夜のSUN STAGEで月をバックに『VISION』を歌うフレデリックが見たいと思った。

 

 

来るとは思ってたけど『NEON PICNIC』が始まった瞬間息が止まった。「君はなぜ あの星に触れたこともないくせに」 と艶っぽく健司さんが歌えば、「ネオンライトが巡り巡る夜を ただの思い出にしないで」 と康司さんの透き通る甘やかな声が折り重なる。双子ツインボーカルのこの曲は、霧の摩周湖も驚くほど色気の濃度が高い。

 

離さないで そらさないで このまま」 と健司さんが歌いあげたとき、会場の空気がじれったくゆるやかに流れた。抱き寄せられる1秒前、永遠にも思えるあの、時間の流れかたのような。あの瞬間、EARTH TENTにいた全員が NEON PICNICに抱かれていた気がする。

 

最後に 「夜明け前の 向かい風の中」 とロングトーンが響くと、大きな拍手が起こった。曲中、手が挙がるでもなかったけれど、みんなじっと耳を傾けていたからなんだとわかった。オドループで踊りにきている観客も多いフェスのステージで、フレデリックが体だけでなく心をも踊らせた瞬間を目の当たりにして、震えた。

 

 

間髪入れず、拍手から繋ぐようにすぐ『ナイトステップ』に入ったのも鳥肌だった。夜フレデリックの真髄、極まれり。ここから『かなしいうれしい』が終わるまで、あまりに楽しすぎて記憶まるごと飛んでるためレポ割愛。

 

 

『スキライズム』のイントロでわっと沸いた客席を見て、4人が嬉しそうに笑う。そういえばMVになっているとはいえ、アルバム曲だった。アルバム曲のイントロで盛り上がるの嬉しいだろうなあ。

好きと嫌いの取っ組み合い」 で握った両手を戦わせてみたり、自分の頬をつまみながら 「狐につままれたら気づけって」 と歌ったり、健司さんの手の動き方がいつにも増してイキイキしていた。

(※ライジングの『スキライズム』は、GYAO! にて9/19まで無料で観られるのでぜひあの手つきを見てください)

 

 

あっという間にラスト。「音楽好きな人は両手上げて!」 と煽る健司さんの横で、にこにこ両手上げてる康司さん、の図がたまらなく好き。

「音楽好きなら新曲でも盛り上がれますよね?『イマジネーション』」。

 

結論からいうと『イマジネーション』があまりに凄すぎて、圧倒的にパワフルすぎて、いままでの余韻根こそぎ全部持っていかれた。

 

まちがいさがしの国を彷彿とさせるイントロや、耳に残るサビにニヤリとしたのも束の間、どんどん力強さを増していく声量の爆風で立っていられなくなりそうだった。声量おばけみたいなイメージあまりなかったんだけど、この時ばかりは男版Superflyかと思った。

 

さらに 「新曲だけど歌えるよね?」 とバチバチに煽られ、「イマジネーション イマジネーション」 と繰り返されるサビをその場で覚えて歌った。リリースすらされていないド新曲で合唱を求めるフレデリックも、完璧に応える観客も、なんかもう最高だった。新曲をレギュラーラジオで解禁、みたいな楽しみ方はなくなってしまったけど、全国各地のイベントやフェスでこうやって解禁していくのも伝聞みたいで粋だなあ。

 

 

オドループ始まり新曲締め、というサディスティック極まりない50分一本勝負を終え、健司さんは 「いつになるかわからないけど、またライジングサンでお会いしましょう」 と言った。次回はSUN STAGEで会えるといいな。

 

 

 

前にフレデリックを観たのが7月。たった1ヶ月の間に、とんでもない進化を遂げていてびっくりした。見るたびに何倍にもカッコよく進化してるバンド、これだから目が離せない。

 

 

 

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フレデリズムキャップ爆裂かわいいでしょ、自撮りだから反転してるけど

 

 

 

さて!これにて ①~⑦ まで続いたライジングサン2019のレポは終わりです。お付き合いありがとうございました。

 

 

スキライズム

スキライズム

フレデリック「シンセンス」Live at 神戸 ワールド記念ホール2018/frederic「Shinsense」 - YouTube

 

 

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