あおいろ濃縮還元

虎視眈々、日々のあれこれ

覚悟はいい?

友達の友達が失踪してまったく消息が掴めないという。生きている可能性は非常に薄いとのことだった。

同い年のひとたちが結婚して家庭を持つことはさして珍しくもなくなってきたけれど、失踪だとかましてや亡くなるなんてことがあるなんて。

 

私の友人にも、ふらっといなくなってしまいそうなひと、いっぱいいる。病弱だったり度を越した不健康さだったり自ら命を絶ってしまいそうだったり変な男に襲われそうだったり、いろいろだけれど、大好きな友人たちには一人たりともそんな事になってほしくない。だけど私だって例外じゃない。私も、あなたも、いついなくなってしまうかなんてわからない。

 

私はかなり生き急いでるから、そんなに長生きはできないんじゃないかと思ってる。好きなひとたちにはめいっぱいその旨を伝えたいし、会いたいひとにはできる限り会いたいし、そしたらまた生き急いでるって言われるんだろうけどそれでいいよ。好きなものを愛し抜けなくてなにが人生だ。

 

何が言いたいんだかわからなくなってきたけど、私の大好きなひとたちみんないなくならないでよ、私かあなたたちのどちらかが死ぬまで愛し抜いてやるから覚悟しとけよ、って思ってるよ。よく食べてよく寝て好きなことして、心も体も健康でいてね。私もがんばる。

 

存分におやすみなさい。あおでした。

 

駆け込み開花

平成最後の日に畳みかけるように隣の家の桜が咲いており、いじらしくて愛おしいと思った。どうしても間に合わせたかったんだね。あまりに暖かいのでスポーツサンダル突っかけて近所のスーパーまで歩いていった。さすがに寒いかと思ったら案外ちょうど良くて拍子抜けする。200円の値引きPOPが付いていたハーゲンダッツを買ったら300円以上して(おそらく期限切れのPOPを外し忘れてそのままにしてた)いやスーパーカップもう1個買えるやんけと思ったけど、連休で忙しい店員さんへのチップだと思うことにしたら心穏やかになった。春の陽気にわかりやすく当てられている。そうそう、ブログで細かく平成の振り返りでもしてみようとは思ったんだけど、なんか特に思い浮かばないからやめた。大好きな音楽と本をひたすら愛し抜いたし、常に今この瞬間がいちばん幸せなのでなにも悔いはないです。おわり。

 

Cagayake! BOYS

ハンブレッダーズの初ワンマンツアー 「Cagayake! BOYS」 札幌公演を観た。

 

昨年、夢チカライブで初めてハンブレッダーズを観て一目惚れした。いつかまた北海道で、できればワンマンが観たいと思っていたのがこんなにも早く実現するとは。

 

 

札幌SOUND CRUEは満員御礼。会場BGM、ミスチルの『NOT FOUND』が流れてテンション上がった。

 

この日の公演は15:30という健全な時間に始まった。ベースのでらしさんが出てきた時だけ物凄い歓声が上がって、最後に現れたムツムロさんに 「でらしの歓声なんか凄くなかった?」 と笑われた。

 

 

 

 

【セットリスト】

  1. 口笛を吹くように
  2. スクールマジシャンガール
  3. フェイクファー
  4. 常識の範疇
  5. ユーモアセンス
  6. エンドレスヘイト
  7. 席替え
  8. 付き合ってないけどお互いに
  9. チェリーボーイ・シンドローム
  10. ミッドナイトフリクションベイビー
  11. CRYING BABY
  12. DAY DREAM BEAT
  13. 弱者の為の騒音を

En1. ファイナルボーイフレンド

En2. ファーストラブレター(新曲)

En3. 逃避行

 

 

 

 

北海道初ワンマンは『口笛を吹くように』でゆるやかに幕を開ける。「ぐしゃぐしゃに泣きじゃくった君がイヤホンを取って 少し笑えちゃうような歌が歌えたらいいな」 という詞、ライブで聴くことでよりグッときた。

 

 

『スクールマジシャンガール』が始まるとライブハウスが熱を帯びる。「歌にしちゃうくらい君が好き」 って、バンドマンにとっては最上級の愛情表現だよなと思う。好き、大好き、歌にしちゃうくらい好き、の順でクレッシェンド。

 

 

キジマさんのワンツーカウントから『フェイクファー』。「まだ青くもない春の匂いがした君のフェイクファー」 と歌うムツムロさんを青いライトがやさしく照らす。

この曲、よく聞けば昔好きだった子の名前をグーグル検索するくだりが出てきてパンチ強いけど、「本当馬鹿みたいだけど 嘘みたいだけど 君が好きだったんだ」 とエモーショナルに歌い上げられると涙腺にくる。

 

 

『常識の範疇』、「くだらない日々に乾杯 まともに生きるなんて論外」 の 「乾杯」 「論外」 に合わせて拳を振り上げるひとがたくさんいて、なんか微笑ましかった。私もした。楽しかった。

 

 

前方の端っこでライブを観ることが多いのだけど、この日はドセンター後方にいた。サビで手が上がると辛うじて見えていたムツムロさんの頭すら見えなくなる。

 

でも、力のこもった拳やその手首で跳ねるラバーバンド、幸福に満ちた観客の背中を見ていたらなんだか、これも悪くないどころか絶景だと思った。大阪発のバンドに魅せられてきたひとたちがこんなにもいて、同じ空間で同じ音楽に胸を熱くしていることが奇跡みたいに美しく思えた。

 

 

 

「僕は外見より中身よりユーモアセンスでその人を好きになることがあります」 との言葉で息をのんだ。小春日和を思わせるピンクのライトが射しこむ。『ユーモアセンス』。

ラブソングを聴いて 「いいな~こんなふうに想われてみた~い」 と思うことはほぼないのだけど、この曲だけは別。「ユーモアセンスが印象的で恋をしたんだ」 なんて思われてみたすぎる。

 

 

曲のあいまに 「自由に楽しんでってね」 って言ってくれるの好き。チューニングしながら 「俺らチューニングしてるけどみんな自由にしてて。なんか、隣の人とライン交換でもしてて」 なんて適当なこと言うムツムロさんに 「俺らそういうバンドじゃなくない?」 とすかさずツッコむ吉野さん。

 

 

初ワンマンツアー、当初は東名阪だけ抑えており、売れ行きやメンバーのメンタルを考慮して札幌・福岡の追加を見計らっていたらしい。チケットさばけないことで有名な札幌でもいけると判断してくれて嬉しい。

ただ札幌だけなかなか即完しなかったと。

 

ムツムロ 「札幌キャンペーンでラジオ出させてもらったとき、普段こんなこと言わないけどあと7枚どうしても買ってくださいって。売れたと思ったら払い忘れでまた7枚に戻るんですよ!不動の7枚が長いことあって」

吉野 「マジックセブンですね」

ムツムロ 「は?」

間合いキレッキレで笑った。

 

 

 

『付き合ってないけどお互いに』のせつなく染み入る歌い方、良かった。曲で描かれる 「付き合ってないけどお互いに意識してる女の子」 との関係性が甘酸っぱくてもどかしい。

君と遊んだ帰り道にひとりきりで聴く音楽は 全部無性に切なくてラブソングみたいに聴こえるんだ」 って、相手をラブソングのヒロインに重ねてしまうよりも究極だと思う。好き。

 

 

盛り上がりながらも器用に自分のスペースは保ち、モッシュもなしに長らくきていたけれど、『チェリーボーイシンドローム』が始まった瞬間わっと軽い圧縮が起こった。

童貞だってどうってことないぜ どうしようもないぜ どうだっていいぜ 君のすべてを抱きしめるんだ こんなにこんなに愛してるんだ」 の部分、みんなで歌った。最高だった。この曲で盛り上がれるの、「ネバーエンディング思春期」 を掲げてるだけある。どうしようもなくカッコよかった。

 

 

MCでは 「北海道は何食べても美味しい」 という話に。「みんな北海道から出たことないからわかんないかもしれないけど!ほんとに!北海道から出ない方がいいよ!」 と言われて笑った。

下北沢のお洒落なスープカレーにはピンとこなかったでらしさんは、前に北海道で初めて 「Suage+」 のスープカレーを食べて大感銘を受けたという。

 

ムツムロ 「吉野は何食べた?」

吉野 「昨日は4食食べたんですけど」

ムツムロ 「おかしくない?」

吉野 「それでウニの美味しさに感動して。このあと2分ぐらい長いギターソロがあるんですけど、ウニのために弾きます」

 

 

『ミッドナイトフリクションベイビー』。この曲だけ知らなかったけどいちばんカッコよかった。弾きながらすぐじゃれる吉野&でらしと、その度に気になってチラッと横目で見るムツムロさんが微笑ましい(キジマさんは見えなかったごめん)。

「はい。吉野エクスプロージョン、ギターソロを北海道のウニに捧げます。業務連絡でした」 「打ち合わせは事前に済ませとけ」 というやり取りを経て、ウニに捧ぐギターソロが唸る。吉野さんの、憑依されているようなプレイ、本当に気持ちよさそうで見ているだけでボルテージ上がる。

 

ソロが終わったあともムツムロさんの歌に被せて 「ウニ!!ウニ!!ウニ!!!」 と叫び、曲を締め終えてから 「ライブをなんだと思ってんねん」 と叱られていた。

 

でらし 「ウニ、喜んでた?」

吉野 (満面の笑顔でウンウン頷く)

でらし 「それはよかった。笑」

吉野 「ウニが ありがとう~!って言って消えてった(無邪気な笑顔)」

ムツムロ 「何言ってるかわからなすぎて怖い」

 

 

 

ひとしきり笑ったあと、「君が涙を流さなきゃいけないなんてクソ食らえだよ」 と『CRYING BABY』が始まって涙腺殺された。温度差ずるい。リスナーを励ますタイプの曲には、背中押してくれる感じとか手を引っ張ってくれる感じとか色々あって、この曲は泣いていたら隣に座って気が済むまで一緒にいてくれるような安堵感がある。

想像通りじゃなくたって臆病風が吹いたってもう戻れはしないけど 変わらない日々に魔法がある ノンフィクションで夢を描く 痛みを光を」。高校1年からバンドを続けてきたという話を受けて聴くと、この箇所にグッとこずにはいられなかった。

 

 

 

 

「初めてギターを持った時も、初めてバンドを組んだ時も、わかりやすく運命が変わった感じはしなくて」 と話すムツムロさん。

 

音楽で世界が変わったことなんて数えるほどしかないけれど、どうしようもなくなって何もかも駄目だと思った時に、ヘッドフォンから流れた音楽が救ってくれた。というようなことを時折つっかえながらも真剣に伝えようとする姿に心打たれて、気圧されて、身じろぎもできなかった。

 

感極まってよく覚えていないけど 「ロックミュージックは、ロックンロールは、本当に数えるほどしかないけれど救ってくれた。ヘッドフォンの中の宇宙が皆さんにもありますように」 みたいなことを言ってくれたと思う。『DAY DREAM BEAT』。

 

小さなライブハウスに響きわたる 「ひとり登下校中 ヘッドフォンの中は宇宙 唇だけで歌う」 の合唱を忘れられない。やけに世界がキラキラして見えた、こんな瞬間があるから、好きな音楽を追うのはやめられない。

 

 

震えるような一体感に包まれたまま『弱者の為の騒音を』に突入し、あっという間に本編終了。

 

 

 

 

アンコールを受けてまずキジマさんが登場する。緊張しつつグッズ紹介をする姿を見かねてでらしさんも加わるけれど、微笑ましいぐらいたどたどしかった。

 

ようやく全員が揃い、ムツムロさんが北海道にいる知り合いの話をする。知り合いの甥っ子が失恋した時にずっと聴いていたハンブレッダーズの曲を、セットリストを変更して北海道でやってくれるという。

 

『ファイナルボーイフレンド』のイントロで叫びそうになった。この曲、いつか結婚式で流したいと心に決めているぐらい好き。

「好き」って伝えたら 「どこが?」って言う癖 鬱陶しいけど治さないでね」 みたいな愛に溢れた歌詞がたまんない。

そっと畳みかけるような 「息継ぎもなしに口づけを 前触れもなしに手を繋ごう 「ただいま」の度に恋をしよう 不安ごと君を抱きしめよう」 のところでなぜだかいつも泣きそうになってしまう。聴けてよかった~~!

 

 

新曲『ファーストラブレター』、タイトルからちょっと切ない感じかなとイメージしたけれど、明るいとカッコイイを混ぜたようなわくわくする曲調(急に著しく表現力低下してごめん)だった。でらしさんのコーラスが映える。

 

 

 

よかったら歌ってください、と始まったアンコールラストは『逃避行』。

 

ロックンロールは魔法なんかじゃないけど なんだかちょびっとワクワクするんだ」。

 

ロックンロールは魔法じゃないけれど、世界を大きくは変えられないかもしれないけど。こうして好きなバンドが痺れるようなロックンロールを鳴らしていてくれるから、毎日が色づくし、心から救われる時もあって。

 

日常を色づけてくれたハンブレッダーズの音楽を、同じように魅入られてきたひとたちと共有できること。当たり前じゃない。ライブってすごい。ライブハウスという小さな空間が、4人の音でたちまち宇宙に変わる。そんな瞬間を目の当たりにできてよかった。

 

北海道での初ワンマン、最高だった。また観たい。またスープカレー食べに来てください。

 

 

 

 

 

ライブが終わって外に出るとまだ明るかった。17時半にも達していない。

素晴らしくカッコいいライブを観て、ほとばしるままに感想を話しながら歩いた帰り道は、なんだかちょびっと輝いて見えた。

 

 

 

 

 

 

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バッジガチャ3回まわしてムツムロさん以外揃った。ちなみに私の推しはムツムロさんでした。ありがとうございました。

 

あおでした。

 

人間集会

パノラマパナマタウンの初全国ワンマンツアー 「HUMAN PARTY」、通称 「人間集会」 の札幌公演を観た。

 

予定が怪しくて諦めていたのだけど、奇跡的にスケジュールが空き、さらに当日券が出ると知り。徹夜明けで帰宅した1時間後にはライブハウスに向かっていた。めちゃめちゃ衝動で生きてる。

 


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バンTとラババン完備しててよかった~~

 

 

 

札幌は SPIRITUAL LOUNGE、120人収容のどミニマムなライブハウス。岩渕さんの愛してやまない狸小路商店街がすぐ近くにあり、このハコ岩渕さんのために建ってるような立地だな……と思ったら案の定行ってらした。

 

ここからがっつりネタバレするので、セトリ知りたくないかたは回れ右お願いします。

 

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入り口にどでかいサイン入りポスターあって照れた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【セットリスト】

Top of the Head

$UJI

マジカルケミカル

SHINKAICHI

Sick boy

月の裏側

シェルター

Gaffe

真夜中の虹

Waterfront

Who am I??

distopia

くだらnation

PPT

ロールプレイング

フカンショウ

MOMO 

めちゃめちゃ生きてる

 

【アンコール】

俺ism

世界最後になる歌は

 

【ダブルアンコール】

いい趣味してるね

 

 

(セトリ見つけられなかったので、別公演のセトリを参照&記憶を頼りに仕上げました。曲順ミス、記入漏れご了承ください)

 

 

 

 

『Top of the Head』、歌詞が刺さりまくった。「駆け出していけ何回でも この単調な毎日を変えて 最高潮イメージを積み重ねて それを人生と呼び叫ぶだけさ」 と全力振り絞ってうたう岩渕さんを目の当たりにして、雷に打たれたように痺れた。

 

私の人生これからどうなるんだろう。生きるってなんだろう。人生ってなんだろう?最近そんなことばかり考えていた。考えすぎては眠れなくなって、悶々と夜を明かす日々が続いていた。

 

だから 「駆け出してく何回でも 単調な毎日を変えてく それを人生と呼び叫べばいい」 なんて、いきなり答えで殴られた気がして、感動だとか安堵感だとかいろんなものがいっしょくたに込み上げて、まだ1曲目だったけどここに来れて本当によかったと思った。

 

 

 

と、真面目にそんなことを考えていたのもここまでで『$UJI』からはずっと激しく動いていたので記憶ぶっ飛んでる。それぐらいアツかった。

 

 

ニューアルバム 「情熱とユーモア」 からの新曲はもちろん、これやってくれるんだ!これも聴けるの?!という曲もたくさんあった。新曲も昔からの曲も、4人の手にかかれば違和感なくひと繋ぎの物語になる。

 

 

言葉の波を自由に泳いでいく、岩渕さんの歌詞とボーカルが好き。複雑に絡みあうリリックを難なく編み上げたかと思えば、魂の叫びをこれでもかとぶつける。それを柔軟に受け止めては、何倍にもアツく増幅させる演奏。かっこいい。かなわない。

 

パノラマパナマタウンのライブに行くと、最高に生きてるって感じがする。音楽も生き様もめちゃめちゃかっこいいから。

 

「なにか夢を、夢と呼べるものでなくてもいいから、なにかひとつを大事にしろ。道がなければ自分で作ればいい。自分の人生を生きろ」 といったニュアンスのMCが、泣きそうなぐらい響いた。

祖父の家が北海道にある岩渕さんの地元愛に溢れたMCではたくさん笑った(ウケたという意味じゃなく、わかる~!あるある~!って終始ニコニコしてた)。

 

涙腺も表情筋もフル稼働して、このところ錆びついていた感情が柔らかに解きほぐされていくようだった。ああ、生きてるなあ、って思った。

 

 

『Waterfront』音源でもよかったけど、生で聴くとことさら染みた。曲に入る前に言っていた 「俺たちは水際」 みたいな、韻踏んでたやつ、すごく感動したのに忘れてしまった……。

 

 

『PPT』の歌詞がガラッと変わっててびっくりした。パノラマパナマタウン、略してPPTの4人についてそれぞれラップで紹介していく曲。音源のも良いけどこっちのバージョンのほうが笑えて好きかも。

 

 

『ロールプレイング』『フカンショウ』『MOMO』『めちゃめちゃ生きてる』と、新旧の名曲が交互に繰り出される流れがあまりに美しくて舌を巻く。どの曲も引けを取らないほど爆発的に盛り上がる。

 

 

パノパナのライブで『フカンショウ』を聴いているとき、生きている感じが脈々とする。跳んで、ノッて、「ほっといてくれ!」 に合わせて拳突き上げて、「知らねえよ」 って声張り上げて、音楽とぐちゃぐちゃに混ざりあうあの感じ。あの気持ちよさは一度知ったら抜け出せない。

 

『めちゃめちゃ生きてる』も然り。動きすぎてほぼ記憶ないけど、「遊園地よりも映画より ここで生きてる それが幸せ」 って歌詞に顔がほころんだ。遊園地より映画より、ここで、ライブハウスで汗だくで好きなバンド観てるのがいちばん幸せだから。

 

 

 

 

本編、2秒くらいで終わった気がする。体感。そのぐらい最高だった。

 

アンコール1曲目は『俺ism』。「いつまで経っても悩んでるのは 君が誰とも似てないからだぜ」 って歌詞が特に好き。

 

 

そしてアンコールラスト『世界最後になる歌は』。この曲、岩渕さんが客席のど真ん中に降り立って合唱を煽るパフォーマンスがある。岩渕さんが客席に降りたったとき、ちょうど目の前、拳が触れ合いそうな距離まで来て頭が真っ白になった。汗が飛んでくるぐらい近かった。

 

客席ど真ん中で歌っていた岩渕さんは、おもむろにドリンクカウンターのほうへ向かったかと思うと、足をかけてよじ登り始めた。天井に手が届く。尋常じゃなく舞った埃をモロに吸い込んでしまい、本気でむせていた。ドリンクカウンターによじ登って天井の埃吸ってむせるボーカル、岩渕さんしか知らない。好きだ。

 

そのまま煽られて歌った 「世界最後になる歌はこんなもんでは伝わらないかもしれない 世界最後になる歌はこんなもんでは伝わらない」、最高に楽しかったな。

 

 

 

 

 

完全燃焼して袖にはけていく4人。なんと、再度アンコールを求める手拍子が間髪入れずに響いた。

 

綺麗な大団円だってわかってた。でも足りなかった。まだまだ熱狂の渦のなかにいたかった。

 

どんどん大きくなっていく手拍子を受け、4人がまた姿を現した。お前らなあ、とでも言いたそうな笑顔を浮かべて。こんなの想定外だったらしい。撤収準備を始めようとしていたスタッフさんにもうちょっとやってもいいかガチで聞いてた。

 

「欲しがるなぁ~!!」 ってすごく嬉しそうに笑う。初ワンマンやる土地でダブルアンコールまで呼ばれたらそりゃ嬉しいだろうなあ。

 

岩 「じゃあ や~ろっかなーー!!」

客 「イエーーー!!!」

岩 「や~~ろっかなー!!」

客 「イエエーー!!!」

岩 「や~んないっかな~?」

客 「えええーーーー??!!!」

岩 「や~ろっかなー!!」

客 「イエエエーーーーイ!!!!」

 

このくだり超楽しかった。一体感すごかった。

 

 

北海道でライブをするどのバンドも、「北海道の盛り上がりはすごい」  と必ず言う。正確にはちょっと違う。北海道の客はとても素直だ。良くないものにはそれなりの反応しか返せない。その代わり、良いものを見たときの爆発力が凄まじい。心から楽しんでることがわかる盛り上がり方をする。

 

この日のライブはその最たるものだった。現に熱烈なダブルアンコールに成功したわけで。

 



「こんなの(ダブルアンコールするの)本当にここだけだぜ」 と笑い、

「いい趣味してるね」。

 

 

ラクラした。まさにその曲振りで『いい趣味してるね』をいつか聴いてみたいと思っていたから。本来ありえなかったダブルアンコール。やるはずのなかった曲。

 

今度こそ最後のナンバーは、やっぱり尋常じゃなく盛り上がって終わった。

 

 

 

 

 

これで初ワンマンツアーだなんて行く末が恐ろしい。こんなにもアツいバンド、もっともっといろんな人に目撃してほしいと思う。

 

 

 

 

終演後、岩渕さんが物販に立ってくれていた。私もラババンを手渡しで買い、お話することができた。あんなに圧倒的なライブしてた人が、ステージ降りると気さくな優しい兄ちゃんなのずるくない?あと背高くてスタイルもいいのに顔はちっちゃいのもずるくない……?

 

 

 

楽しかったな、って何回言っても足りないくらい楽しかったな~~~!!!

また行くからまた来てね。めちゃめちゃ待ってる。

 

あおでした。

 

吸い殻のルージュ

たとえば写真。今の時期ならば桜の花。元から美しく在るものを、ことさら美しく切り取ることはそれでいて素晴らしいのだけど、私は薄汚れたものの中に光る埃まみれの美しさを拾いたい。灰皿に打ち棄てられた真っ赤なルージュのついた吸い殻の写真、みたいな。わかりやすく写真に例えたけれど、私は文章でそれをやりたい。

 

 

高校のころ1年だけ、文芸部で短歌やら短編小説やらを書いていた。大会に出した、後味の悪すぎる血みどろのミステリーは、「高校生らしくなくて審査員受けしない」 という理由でろくに読んでもらえなかった。

 

それを差し引いても未熟だったのだと今ならわかるけど、文章と伏線には自信があって、審査員にベタ褒めされて受賞した 「高校生らしいだけ」 の作品と比べてどこが駄目なのか、どうしても納得できなかった。

 

"高校生らしい" ハートフルでお涙頂戴なサクセスストーリーだから何だというんだろう。「1年生にしては上手いけど……」 の、「けど」 の後に続く言葉は何なんだろう。明らかに審査員受けを狙った、美しいだけの媚びた物語になんか負けたくなかった。

 

1年生にしては上手いとか、でも筋書きが高校生らしくないとか、そんなのどうでもいいから生身剥き出しで書いた醜い物語を読んでくれよと思った。受賞するには下手だとか後味が悪くて好みじゃないから賞はあげられない、みたいに、はっきりしっかり傷つけてほしかった。

 

だけどその話を好きだと言ってくれる人もいた。伏線に気づいてから何度も読み返してくれた先輩や、目を輝かせて感想を言ってくれたクラスメイトや後輩の顔を、ずっと忘れられない。100人に刺さる綺麗事で塗り固められたおとぎ話より、99人に気味悪がられても1人にだけ刺さるものが書きたいと思った。

 

 

これから、卒業制作(のようなもの)で長編小説を書く。あのとき噛み締めた悔しさの味をいまでも覚えている。教授受けなんてどうでもいい。お行儀のいい綺麗なフィクションなんて書かない。ドロドロに汚い感情を、自分の血肉を切り売りした醜い話を、私なりの美学をもって美しく書きたい。

 

それで認められたら、あるいは認められなくても自分で納得できるものを作れたなら、私はぶじに復讐を果たせるだろう。悔しくて涙もでなかった16歳の私のかわりに、あれから虎視眈々と言葉のナイフを研ぎ澄ませてきた。心臓をひと突きする準備ならできてる。待ってろ。

 

空想委員会を結んだ日

3/16、空想委員会のラストワンマンツアーを観た。

 

空想委員会はこのラストワンマンツアー 「結び」、およびツアー番外編である4/1の 「〆」 をもって現体制での活動を終了する。

 

札幌 Sound Lab mole、空想委員会が初めて札幌でワンマンをした、商店街の中にあるライブハウス。私が初めて彼らを観たライブハウスでもある。感慨深い。

 

 

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偶然うつりこんだ光がなんかいいかんじ

 

 

開演10分前にすべり込む。最後だからといって湿っぽいムードが漂っているでもなく、みんな思い思いのグッズを身につけてそわそわ開演を待っていた。

 

空想のライブは2度見たことがある。ワンマンとサーキットイベントで1回ずつ。どちらも素晴らしくて大満足だった。でも、終わってしまう前にどうしても聴きたい曲があって、それを生で聴かなければ私は空想委員会をきちんと結べないと思った。

 

 

 

 

【セットリスト】

  1. エンペラータイム
  2. 切illing Me Softly
  3. 難攻不落ガール
  4. カオス力学
  5. 八方塞がり美人
  6. 僕が雪を嫌うわけ
  7. 桜色の暗転幕
  8. 知る権利
  9. ドッペルゲンガーだらけ
  10. 純愛、故に性悪説
  11. 劇的夏革命
  12. 透明少女(NUMBER GIRLカバー)
  13. 波動砲ガールフレンド
  14. 美女眼鏡
  15. 千里眼
  16. 完全犯罪彼女
  17. 春恋、覚醒
  18. 空想ディスコ
  19. マフラー少女

En. エール

 

 

 

 

一曲目、『エンペラータイム』(歌詞に 「札幌」 と組み込んでくれた)から盛り上がりまくった。最後列でゆったり観ようと思っていたのに、気づいたらぴょんぴょん跳んでた。

 

三浦委員長の心なしかいつもより気合いの入ったボーカル、ニコニコ楽しそうにベースを弾く岡田さん、全力でギターを鳴らす直也さんと、メンバーの後ろで時折口ずさみながらドラムを叩くテディさん。

 

一音一音に応えるように、手を挙げたり跳んだりクラップしたり固唾をのんだり歓声をあげたり、すべて受け止めて打ち返す観客。長い時間をかけて積み上げてきた信頼関係の集大成を、はやくも垣間見てグッときた。

 

 

『難攻不落ガール』の間奏で 「ハッ!!!」 みたいな気合十分の声出すところとか、『美女眼鏡』冒頭の 「学校じゃ目立たないメタルフレームのあの子が 本当は綺麗な大きな目をしていること」 で眼鏡をバッと外してみせるところだとか、ライブでしか味わえないパフォーマンスに心躍る。来てよかった~!!

 

 

イントロで息をのんだのは、一番大好きな『八方塞がり美人』という曲。この歌を聴いて何度頬を濡らしたかわからない。私は自他ともに認める "八方塞がり" な女なので。

 

羽を休めに帰る場所などどこにもない」 「君は何度も呼んだろう 素顔でいられる人 何度も呼んだろう 憩いの場所」、あの頃はこの歌詞がどうにも刺さって、痛くて、だけど同時に 「僕は何度も呼んだよ 帰る場所はここだよ」 と歌う三浦委員長の声にひどく救われてもいた。

 

何度も泣きながら再生した曲をいま、イヤホン越しではない、大好きなバンドが目の前で演奏している。あの頃見つけられなかった私の居場所はここに、ライブハウスにあった。これで私は空想委員会をきちんと結べる。そう思えた。

 

 

 

MCについても。北海道は美味しいものが多いよね、肉も魚も野菜もぜんぶ美味しい、さっき食べたクレープもケーキも美味しかった、と列挙していく岡田さん。とうとう 「逆に北海道に美味しくないものってある?」 と言い出す。結局、客席からあがった 「ジンギスカンキャラメル」 という意見が採用された。

 

次に直也さんが空想委員会で初めて札幌に来たときのことを振り返る。その日はスープカレーを食べて、と思い返す直也さんの話をぶった切る脳天気なトーンで 「カレーもいいね」 とぶちかます岡田さん。しかもオンマイク。いやもう食べ物の話終わったし、という感じに笑いが起きて和やかな空気に包まれる。

 

 

 

ラストツアーだなんて、札幌でのライブが最後だなんて忘れそうになるほど楽しかった。知らなかった曲も好きな曲も、同じように心から楽しめた。口パクしながら見ていたら何度か直也さんと目が合って、嬉しくてほほえみ返すたびに私の倍ぐらいニッと笑ってくれた。

 

 

『桜色の暗転幕』や『純愛、故に性悪説』は胸にくるものがあった。

外は春の風 香った 別れの季節が迫った」 と始まる『桜色~』は、「きっと桜色の幕降りて 場面は切り替わった 新たな舞台に立つ」 と希望をもって締めくくられる。『純愛~』では 「サヨナラ」 というコーラスに合わせて、バイバイするように手をゆっくり左右に振った。ちょっとだけ、泣きそうになった。

 

 

湿っぽくなんて終わらせない、とばかりに繰り出される『劇的夏革命』。

「そう、それが例えば透明少女」 と三浦委員長が告げて始まった次の曲は、なんとNUMBER GIRLの『透明少女』であった。YouTubeのリンクをツイッターに貼ったり、ライジングサンの話題にも触れていたのでまさかとは思っていたけれど。しびれた。

 

 

 

岡田さん、「飛行機乗ったのは空想委員会で来た北海道が初めてだから、北海道は特別。一生忘れないと思う」 といった旨のすごくいいことを言ってくれたんだけど、なにしろ噛みすぎてた。

 

「なんで俺ら(岡田&佐々木)が喋るとこういう感じになっちゃうんだろうね?」 と首を傾げる岡田さんに、「人生の重みが違う」 「ごはん食べたいな~とかゲームしたいな~っていう世界で生きてない」 って委員長がぴしゃりと言い放ってて笑った。

 

 

 

『春恋、覚醒』でひとしきり盛り上がったあとは、コールアンドレスポンスを求められた。「僕が何か言ったら、あとに続いて "ディスコ" と言ってください」 とのこと。

 

三浦 「チョコレイト!」

客 「ディスコ!」

三浦 「チョコレイト!」

客 「ディスコ!」

佐々木 「ウルトラソウル!」

客 「ヘイ!!!」

 

文字に起こすととんでもないけど、めっっちゃ楽しかった。偏差値2のコールアンドレスポンスから幕を開けた『空想ディスコ』で、moleがダンスフロアに変わる。テディさんがスティック代わりに持った空のペットボトルふたつで、完璧にドラムを叩きこなしていたのがカッコよかった。

 

 

3月の北海道によく似合う『マフラー少女』。

寒さはじきに薄れていくだろう 知らぬ間に 君のマフラーなびいているよ 手を振るように」 という歌詞が、やさしく切ないバラードが、じんわりしみる。

 

 

ずっと楽しくて、気づいたら本編が終わっていた。メンバーが袖に消えてすぐ、観客が手拍子をしながら 「いーのこり、いーのこり」 と "居残りコール" をする。空想委員会ならではのこの独特なアンコール、好きだなあ、でももうできないのか、あれ、最後なのか、って急に終わりを実感してしまって、

 

メンバーがふたたびステージに現れたとき、嬉しさと寂しさが同時に押し寄せてきた。

 

ぐちゃぐちゃな気分を拭ってくれたのは、自分のために歌をうたっていた三浦委員長が唯一聴いてくれるお客さんたちのことを思い浮かべて書いたという『エール』。

 

最後の一音が止み、今度こそ袖に消えていく空想委員会をめいっぱいの笑顔と手拍子で見送って。

 

思ったのは、「この人たちを好きになってよかった」 ということだった。私の青春の一ページに、空想委員会の音楽があってよかった。

 

 

手拍子して居残りコールすればまた笑顔で袖から出てくるんじゃないかって、そんな気がした。ずっと好きで追いかけていたドラマの最終回を見終えたときのような気分だった。満たされているのに寂しい、不思議な感じ。でも湿っぽくなくてよかった。固く築いてきた絆を仕上げにぎゅっと締めあげる、最高の結びだった。

 

 

 

 

 

 

 

大好きなバンドの結びに立ち会えて幸せでした。ありがとうございました。

あおでした。

 

ハイウェイ染める

人生ってなんなんだろう、って考えすぎては眠れなくなっていた。春休みの間じゅうそんな思いが拭えなかった。すべてやめてしまいたかった。春休みに終止符を打つように、駆け込むみたいに予定を入れたここ数日が、灰色がかっていたメンタルに一気に色をつけた。

 

バイト先の同期たちと遠方までドライブしたこと。バイト終わりにそのまま飲むことが多かったから、昼に待ち合わせて出掛けるのは初めてだった。たくさん話して笑った、その内容は忘れても、夜の高速道路で聴いたソラニンをずっと忘れられない気がする。カーステレオに被せるように合唱した小さな恋のうたも。

 

当日券で見たパノラマパナマタウンのライブ。人生に悩む私に、なにを迷うことがあるんだってやさしく叱り飛ばしてくれるような熱いステージを、いま見ることができて本当に良かった。120人収容のライブハウスは頬に汗が飛んでくるくらい狭くて、4人と観客の生み出す熱狂をダイレクトに感じられた。あまりにも最高だった。

 

大好きな友達と酌み交わした安酒。学校と就活のことは禁句にしようと決め、やたら濃いサワー片手にくだらない話をし続けた。中学を卒業して以来、腫れ物を扱うように避けていた当時の恋の話もした。ずっと聞きたいことも話したいこともあったのに、切り出すまでに7年を要した。簡単に答え合わせをして終えたこの話を、次にするのはいつになるだろうか。

 

とりあえず、日付け変わって今日から学校に行かねばならないこと、壮大なエイプリルフールだったらいいなと思いながら寝る。

あおでした。