あおいろ濃縮還元

虎視眈々、日々のあれこれ

ぼくらのTOGENKYO

2017年11月19日、札幌ファクトリーホールにてフレデリックを観た。

この夏、フェスで3回もフレデリックを見る機会があった。初めてのワンマン。どきどき。

 

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物販付近にどどーーんとあった。

 

 

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マーブルラババンごっつかわいい。わかりづらいけどこのTシャツは例のUT。確か康司さんが着用してたほう。

 

 

 

【11/19 セットリスト】

  1. オンリーワンダー
  2. KITAKU BEATS
  3. オワラセナイト
  4. 愛の迷惑
  5. うわさのケムリの女の子
  6. ミッドナイトグライダー
  7. まちがいさがしの国
  8. みつめるみつあみ
  9. ナイトステップ
  10. スローリーダンス
  11. ディスコプール
  12. パラレルロール
  13. かなしいうれしい
  14. シンクロック
  15. リリリピート
  16. オドループ
  17. TOGENKYO

En1. FUTURE ICE CREAM

En2. たりないeye

 

 

グイグイいったら3列目まで来れた。康司さんがばっちり拝めるベストポジション。

勘のいい方は既に察しているだろうが、私は、双子の弟であり作詞作曲を担うベーシスト、三原康司をもっとも推している。

 

 

 

フェスでのステージがそのバンドのいい所をぎゅっと凝縮したダイジェストならば、余すことなく魅力を堪能できるワンマンライブはノーカット版であると思う。

 

ホールという大きな箱のなかに、一夜限りの桃源郷が現れる。2時間ちょっとの楽園にいざなわれる私たち観客は、今宵、共犯者だ。

 

 

 

フレデリック、はじめます」。

お馴染みのアナウンスとともに火蓋が切られる。11月の北海道はすっかり冬だけれど、ライブが始まればすぐ、Tシャツ1枚でも暑く感じるほどあたたまっていく。

 

 

初っ端からかまされる『オンリーワンダー』。自分は自分でしかないことを、誰もがオンリーワンであることを教えてくれる。

扉を開くのは君じゃないのか」 と突き放すように背中を押してくれる、甘やかさない優しさ。 「みんなちがってみんな優勝」 と歌うときに健司さんがいつもする、左手を振り上げるような仕草にぐっとくる。

 

 

 

いきなりだけど、私は推しの 「女の影」 に弱い。キュンとくる。推しの結婚指輪とか、のろけ話とか、萌えない?

その観点からみると『KITAKU BEATS』はたまらなすぎる。

 

僕の隣でそっとささやきあったり マスカラ塗っちゃったりしていて」。ここ。マスカラって、男性のボキャブラリーからは出てこないと思う。化粧品なら、普通は口紅やファンデーションが先に浮かぶだろう。実際に彼女がマスカラ塗り直してるところを観察していないとまず出てこないと思う。女の影。たまらん。

 

変な考察挟んでしまったけど、ライブで聴く『KITAKU BEATS』はほんとに格別。「だから今夜は帰りたくないBeat 帰りたくないMid Night」。わかる。始まって2曲目なのにもう帰りたくない。

 

 

『愛の迷惑』も好き。

あなたに出会えて私はとっても迷惑なんです とっても迷惑なんです 心ゆらゆら迷惑なんです」。ここでいう 「迷惑」 って、言い換えれば 「有り余るほどの幸せ」 みたいなことだと解釈してる。「幸せなら手を叩こう」 というところで頭上に掲げた両手を叩くお客さんがちらほらいた。愛のある光景。

 

 

『ミッドナイトグライダー』の、「こないだこんなことがくだらなかったとか話したいんだ」 「どんな夜もくだらなかったとか笑いたいんだ」 って所も。

歳を重ねるにつれ、くだらない、ってことがどれだけ貴重で大事なのか身に染みるようになってきた。くだらないことで笑っている瞬間や、それを共有できる人って本当に大事だ。

 

 

 

 

ここらでメンバー紹介の様子も記しておく。

 

「大空と大地、の北海道に合わせて草生やしてきました。ボーカル三原健司です」

緑に染めた毛先を見せびらかしたくて仕方ないらしい健司さん。ややウケていた。

 

向かって右側にいる康司さんを示し、

フレデリックの作詞作曲と、グッズのデザイン……デザインって監修じゃないで?イチから全部作ってくれてるベーシスト三原康司です」

 

「俺、寒さに弱いんですけど」 と、紹介を受けた康司さん。

「そうなん?」 兄は知らなかった模様。

「北海道ってもう来るたびに寒いんですけど (笑)、最近、北海道に来て寒さを感じるたびに今までのライブのこととか思い出せるようになってきて」

拍手が沸き起こり、健司さんはニッと笑って 「俺の弟ええこと言うやろ」 と誰よりも嬉しそうだった。兄弟愛たまらん……!

 

お次は、「もうすぐクリスマスやんな?北海道ではじめて初雪見たんやけど」 とギターの隆児さん。

「俺らにとっても初雪やけど?……隆児のプライベート知らんしな」 健司さんがぽつりとこぼす。

「クリスマスにちなんで髭を生やしてきました」 

「それ言えばよかったわ……クリスマスにちなんで毛先を緑にしました~」

 

ドラムの武さんは、「北海道のみんな、ほんとにこの曲ライブで聞くの初めて?初めてとは思えないほど盛り上がりがすごいんだけど」 と笑っていた。

 

 

 

 

 

ライブ中、にこにこベースを弾く康司さんをひたすら眺めていたのだけど、健司さんから漂う色気にもちらほら目を奪われた。健司さんのまわりだけ湿度高そう。霧のような色気。

 

『みつめるみつあみ』という曲。サビの歌詞は 「みつあみをほどいて 湖を泳いで わしゃわしゃの髪にトリートメント染み込ませといて」 となっている。ここ歌う時の健司さん色気すごかった。艶っぽい歌詞なわけでもないのに、なんでこんな色気たっぷりに歌い上げられるんだろうか。

それとこの曲にも女の影を感じる。三つ編みをほどいたあとの髪のうねり具合なんて、見たことないとわざわざ出てこない。

 

 

 

ミニアルバム 「TOGENKYO」 に収録されている7曲のうち、なんと4曲に 「踊る」 「ダンス」 といったフレーズが含まれている。

その次に多く含まれているのが 「雨」 という言葉で、3曲に登場する。

(ちなみに 「泳ぐ」 という言葉が出てくる曲も3曲ある)

 

雨の中で踊ることに喜びを知る意味がある」 と歌う『スローリーダンス』には、「踊る」 「ダンス」 「雨」 といったTOGENKYOのなかでも象徴的なフレーズが散りばめられている。逆境を乗り越えることで本当の喜びを噛み締められる、みたいなことだと思ってる。「せかされてもあせらないで踊りたい時踊ればいい」っていうとこも好きだな。

 

 

 

 

 

シンクロック』という曲。健司さんは 「たった2時間ちょっとのワンマンの為に 君はどれくらい心揺らしてくれんの」 と詞を歌い替えた。後半はうろ覚えだけど、「たった6文字のこのバンドで 僕はずっと思い描いていたんだよ」 みたいに続ける。

今この日をこの瞬間を待ち望んでいた」 という歌詞は、フレデリックから観客に向けたメッセージのようにも、観客からフレデリックに宛てたメッセージのようにも思えた。

 

 

『オドループ』は言わずもがな真骨頂。「カスタネットがほらタンタン」 のくだり、ハンドクラップの揃いようが半端ない。『かなしいうれしい』のも相当すごかったけど。

 

 

 

本編ラストは『TOGENKYO』。

この頃、大学生活に疲れていた。死ぬ気で受験してまで、なんでこんな地獄みたいな場所にいるんだろうと思っていた。

 

天国だって地獄だって 楽園は君にあったんだ」と健司さんが歌った時、なんだかハッとした。ライブで直接聴いてはじめて心に来るものがあった。

自分で選んで勝ち取った地獄みたいなこの場所が、私にとっては楽園だし、桃源郷なんだな。夢にまで見た理想郷が天国のような場所だとは限らなくて。今いる場所をきちんと大事にしたいと思った。

 

 

 

 

 

本編が終わり、アンコール1曲目は『FUTURE ICECREAM』。フロアに染み渡るバラードのあとは、健司さんがこのツアーにかける想いを語ってくれた。

 

「夢がひとつあるねん。聞いてくれる?」

 

「このバンドを始めたのは、弟の康司が作った曲を歌いたいと思ったからで。康司の才能に嫉妬もした。いろんな音楽を聞いてきた中で、康司の作る音楽は本当にすごいと思った。康司の作った曲を歌えるのは俺しかいないと思うんよ」

そう話す健司さんと、それを目を潤ませながら真剣に聞く康司さんと、同じく耳を傾ける隆児さんと武さんと客席と。すべてが胸に迫って涙腺が熱くなった。

 

このツアーは、2018年、フレデリックの地元神戸でのアリーナ公演に向けたものであると健司さんは続ける。

「まだもっともっと連れていきたい。アリーナ公演っていうのは距離も遠くなるけど、心の距離は絶対に近くありたいと思ってて。北海道で見たこの景色を絶対に忘れない。この景色を神戸ワールド記念ホールまで持っていきます」

 

「このツアーのテーマに、足りないものを補う、っていうのがあって。正直俺ひとりでも弾き語りはできるし、2時間ワンマンだってできるねん、俺プロのミュージシャンやからさ。でも俺はベースは弾けないし、ギターだってうまくもない、ドラムだって叩けない」 康司と隆児と武くんと、みんながいないと成り立たない、といったようなことを言っていた。

 

「みんなが、じゃなくて、あなたが足りないんです。あなたひとりが、あなたの意志が足りないんです」

「もっともっとあなたの声を聞かせて。みんなの、じゃなくて、あなたひとりの声を聞かせて」

 

そうして始まった『たりないeye』。このツアーは、この曲を届けるためだけに用意された舞台なのだと思う。

 

僕らの景色が映った」 という箇所に差しかかって、そういえばツアータイトルは 「ぼくらのTOGENKYO」 だったなと思い出す。

 

2018年4月30日、神戸ワールド記念ホール。故郷での初アリーナ公演。

新たなスタートを切るための、助走。それがこの全国ツアーだった。今日フレデリックが作り出した光景は、きっと初アリーナ公演を形作る一部になる。私は神戸までは行けないけれど、この景色をどうか神戸まで連れていってほしいと思った。

 

 

 

 

 

屋内ライブならではの美しい照明だとか、『うわさのケムリの女の子』のスモークや 『ディスコプール』前のレーザービームといった演出、ミニアルバムツアーなのに『RAINY CHINA GIRL』を演らないという攻め攻めのセトリ、どれもが素晴らしかった。本当に来てよかった。

 

最後に会場写真の撮影があった。カメラを構えた健司さんがやって来て、「はい、とーげんきょー!!」 という掛け声で撮って帰っていった。かわいい……。

 

 

このブログ、あまりにまとめられなくてお蔵入りにしかけたんだけど、神戸ワールド記念ホール公演の前に上げておこうかと。長くなってしまいました。学校で書くレポートの1.5倍は分量あるぞこれ。

あおでした。

 

エイプリル、1日前

3月31日、mol-74のライブを観た。

 

夜から朝へ、冬から春へ。そんなコンセプトを見事になぞる美しいライブだった。

 

 

 

mol-74、読みはモルカルマイナスナナジュウヨン。愛称モルカル。なぜこんな読み方をするのかについてはボーカル武市さんの固定ツイートを参照していただきたい。

 

札幌SOUND CRUEという150人収容のライブハウス、その最前列に陣取った。柵からステージまでは、ありえない近さ。たぶん手伸ばしたら届くぐらい。

 

モルカルの曲をあまり知らない状態で行ったので、何歌ったかそんなに覚えていない。ただ、知らなくても何も問題ないぐらい引き込まれるステージだった。

 

 

 

ボーカル武市さんは、ギターはもちろんキーボードも弾く。ギターのとぅんさんはエレキからボウイング奏法まで自在にこなし、時に小さなドラムも叩く。高橋さんはベースを置いてコーラスに徹することもあるし、坂東さんはエゴサしまくるし、まあとにかく、4人が4人ともひとりぶん以上の働きをする。

 

ボウイング奏法、というのがある。バイオリンの弓のようなものでギターの弦を弾くと、バイオリンのような音色を生み出すことができる。ギターからあんな音が出るなんて初めて知った。

 

4人編成のバンドでありながら、キーボードやバイオリンの音色をも奏でられるから、こんなにも音に深みがあるんだろうな。

 

 

ライブ中、音の波に心地よく飲まれるような、不思議な感覚にずっと包まれていた。

夜明けのつめたい静けさ、冬の厳しさが徐々に明けて、雪が融けていく。朝の陽射しがやわらかく差し、花が芽吹いていくような。そんな季節の息吹を感じる音が目の前で紡がれていく。

 

 

 

 

 

前述の通り、このライブは3月31日に行われた。4月という新しい月、エイプリルの1日前。

 

『エイプリル』という曲がある。なんの変哲もない4月の街並みの中で、奇跡のように始まって必然のように終わった恋のことを静かに思い返す歌。私は失恋ソングが大好物なので、どうしてもこの曲を聴きたかった。

 

綺麗な映画を観たあとにふと君を思い出した」 という歌い出しから胸がキュッとなる。楽しい映画でも切ない映画でもなくて、綺麗な映画。君といて楽しかったとか別れて悲しかったとかじゃなくて、もう既に君とのことは綺麗な思い出になっているのだ。

 

ねえ

エイプリル

僕は変わった?

エイプリル

君は変わった?

いつもいつまでも続いていくような気がしていた午後

 

 

私は失恋ソングが好きだけど、自己投影して聴くことはない。back number の『幸せ』とか、My Hair is Bad の『真赤』とか、そうした体験がなくても感情移入して切なくなってしまうような、思わず心を動かされてしまう曲が、優れた作品として好きだ。

 

『エイプリル』のような失恋もしたことないから自己投影ももちろんしない (できない) のだけど、この曲を聴いているあいだ、2年前の3月31日のことを思い出した。4月、翌日から始まる大学生活を目前にしていた時のこと。

 

颯爽と街を歩く人たちのなかで、自分だけが浮いている気がした。私だけ取り残されている気がした。混み合う街のなかで強烈に感じた孤独を、息もできないほどの不安を、覚えている。

 

2年後、奇しくも3月31日、あの日から今日まで私は何を手に入れた?どう変わった?また明日から新学期が始まる。これから何ができる?どう変われる?そんなことを思った。切ない歌声に揺さぶられて、気づいたら手を振っていた。今日この曲が聴けてほんとうによかったな、と思った。

 

 

 

いつかは Zepp Sapporoで、という武市さんの言葉を忘れない。いつかZeppで演る日を楽しみにしてる。『%』で2000人がハンドクラップする光景を見たいし、その中のひとりになりたい。また北海道へお越しください。

 

 

 

1曲1曲が切なくてあたたかくて美しくて、1時間40分ほどのステージを観終えたあとには、頭のてっぺんから爪先まで幸福感で満ちていた。親しい友人とお酒を飲んだ帰りみたいな、ふわふわした気分。

 

 

エイプリルの1日前、こんなに美しいライブを観られてよかったな。明日からがんばろ、と素直に思えた。

 

 

 

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リストバンドはソーダ色。サクラと2色展開だったのだけど、札幌ではどちらも完売してたっぽい。かわいいもんね。あとこのステッカー、なんと200円。最高。モルカルはグッズまで最高。

 

今月いっぱいは『エイプリル』聴き倒そうと思います。あおでした。

ギャラクシーホームランツアー

My Hair is Bad の初ホールツアーを観た。

今回のツアーでは電子チケットが導入されていた。入場する際、紙でできた 「思い出チケット」 なるものを貰える。

 

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栞サイズでかわい~

 

 

マイヘアがホールツアーをすると聞いたとき、素直には喜べなかった。全席指定のホールでは、ライブハウスに比べて距離も遠くなるだろう。モッシュはもちろん、手上げたり飛んだり、そういう盛り上がり方もできなくなるかもしれない。

 

でも。会場に入った途端、息が止まった。ステージがおそろしく近い…………

 

 

 

 

 

3/16 セットリスト

  1. 復讐
  2. 熱狂を終え
  3. グッバイ・マイマリー
  4. ドラマみたいだ
  5. 18歳よ
  6. 関白宣言
  7. 白熱灯、焼ける朝
  8. 彼氏として
  9. 悪い癖
  10. 運命
  11. 卒業
  12. 真赤
  13. クリサンセマム
  14. ディアウェンディ
  15. 元彼氏として
  16. 燃える偉人たち
  17. フロムナウオン
  18. 戦争を知らない大人たち
  19. 永遠の夏休み
  20. シャトルに乗って
  21. ふたり
  22. いつか結婚しても
  23. アフターアワー

En1. 音楽家になりたくて

En2. 告白

 

 

 

 

 

近い。すっっごく近い。

椎木さんもバヤさんもやまじゅんも全身はっきり見える。表情もプレイもぜんぶ、照明を浴びて輝いていた。あまりにもきらきらして見えて、しばらく身動きが取れなかった。ホールだから遠くなるなんて思ってごめん。

 

 

2年前を思い出す。Zeppのそばにある小さなライブハウス。煙草の匂いがたちこめる狭いハコを突き破る勢いで、全力で歌って吼える椎木さんを見て、鳥肌が立ったのを覚えている。

絶対にこんな所で終わるバンドじゃないと思った。270人ほどしか入らないライブハウスなんかじゃなく。隣にあるZeppでも、ホールでも、いつかはアリーナでも演れる。そう思った。

(当時のライブレポ→ 桃白白ナイト - あおいろ濃縮還元 )

 

 

実際、翌年には初Zeppを成功させ、またその1年後にこうしてホールを回っている。

大きなステージで、照明を受けて堂々と『熱狂を終え』を歌ってる姿なんて見たらもう、感慨深すぎてダメだった。

 

 

 

僕は言う「そばにいて」 君は言う「あなたでいて」」 って歌詞は何度聞いてもすごい。

そばにいてほしいと思っている僕 (=椎木さん) と、自分との恋愛よりも夢を追いかけていてほしいと思っている君 (=元カノ)。あなたでいて、って切ねえ……。夜の校舎の前で手を握るシーンよりも、この台詞のほうがよっぽどドラマみたいだ。

 

 

 

『18歳よ』『白熱灯、焼ける朝』だとか、昔の曲も聴けて嬉しかった。

 

 

 

「どっか行こうか って僕が言うと君は首を横に振って ベッドに横になる 僕にキスをして すぐに僕もそれに合わせた 朝のニュースの音と二人のキスの音だけが残って 僕はそれを幸せと呼んだ」

「……悪い癖、という曲を」

 

悪い癖→運命→卒業→真赤と、キラーチューンが続く。

時にスクリーンに映し出される歌詞が、より切なく胸に迫る。3人の生み出す音が、よりダイレクトに心に響く。ライブというより1本の映画を観ているような気分になる。

 

‪「電話の向こうから好きな人が出てきたら。本から文字がばらばら飛び出してきたら。ホールツアー、そんなライブにしたいと思います」‬ と椎木さんは言った。

 

受話器から出てくるような、写真の向こうから笑いかけてくるような、映画や本の世界から飛び出してくるような。触れない作品の垣根を飛び越えて、作り手の熱を感じるような。

 

今までの、全力で噛みついてくるようなライブとは訳が違った。売れたい、男になりたい、本物になりたいとがむしゃらに吼える若者ではもうなかった。全打席フルスイングでなくてもホームランが飛ばせることを知ったマイヘアは、なんていうか無敵だった。

 

ライブという完成された作品が、激しくも優しくも語りかけてくる。そんなステージを観ていた。My Hair is Bad という物語を魅せられていた。

 

 

 

 

スクリーンの文字を追いながら聴いた『卒業』。

でも 君が好きだった」 という箇所のあと、椎木さんは 「笑えるぜ ねえ笑っておくれよ」 とスクリーンには載らない詞を歌う。歌詞カードにも書かれていないこのフレーズが、切なさに拍車をかける。

もっと可愛くていい子なんているのに、それでも君がよかったなんて笑えるよな?って無理やり笑って。ほんとに馬鹿みたいだねって君に笑い飛ばしてほしいけれど、それが叶わないと知っている。切ない。

 

 

 

 

MC、なかなかゆるかった。「カニ食べたー?」 と問いかける客に 「モスバーガーを食べました」 なんてしれっと答える椎木さん。前回札幌に来たときも北海道グルメそっちのけで銀だこ食べてたし、全国チェーンの恩恵受けすぎでしょ。

コカコーラゼロばかり飲んでいた椎木さんは、健康によくないとあちこちで書き込まれたので最近は炭酸水を飲んでいるらしい。


 

 

 

‪「干支が一周して俺は26になる。30まであと4年」 25冊目の小説を読み終えて26冊目に差しかかる、30歳になるまでに何ができるか、といったようなことを言っていたと思う。

 

あとは、成長するに従って責任が伴ってくるといったことも。

「‪俺がやりたいって言い出して始まったホールツアーにもたくさんの人が関わってきて‬。会場、照明、PA、そしてお客さんみんなの協力が必要‬です‬」 

2年前、今は自分たちで運転して機材を運んでいるけれどいつかスタッフさんに運んでもらえるようになりたいと叫んでたマイヘアはこんなところまで来たんだなって感慨深くなった。しかもこんなのまだまだ通過点でしかなくて。

 

 

「映画が好きでいい 本が好きでいい ゲームが好きでいい 非凡でいい 凡人でいい それはそれでいい それはそれでいいんだ 逆に言えば それはそれでいい と言えるようなことしかこの世にはない それはそれでいい」

 

 

「夢を持てとかステージで散々言ってきたけど 俺はロックバンドをやってて それが仕事で だからカッコいいとこ見せにきました」

 

 

 

 

『燃える偉人たち』最高だったな。ロックバンドの可能性に気づかされた。「俺の吐いた唾なんか飲んで美味いすか?」 なんか椎木さんにしか歌えないと思う。最高。

 

 

 

 

‪「楽なことして楽しいか それが?‬」 そう椎木さんが言ったのは、フロムナウオンに入る前だったろうか。息ができなくなりそうだった。

「苦悩 不安 それを超えた先にある 楽しい 嬉しい が俺は好きだ‬」

びっくりした、私がいつも心の奥底でたぎらせていること、椎木さんが熱く吼えてくれたから驚いた。

 

楽しいこと、って、難しい。私はラクして得られる生ぬるい幸せなんて欲しくないから、いつだって険しいほうの道を、より楽しいほうを選んでは苦しんできた。大変そうだねって言ってくるラクな道を歩く人たちが羨ましくて、でも楽しいよって傷を隠しながらやってきた。

 

楽しいことをやり続けるためには代償がいる。私は死ぬまで傷だらけでいるんだろうかと、それならラクなほうに流されるのも悪くないのだろうかと思ったりもした。

 

でも、私なんかには想像もつかない苦渋を舐めてきたロックバンドが、それでも不安や苦悩に潰されずに、その先の楽しさを追い求めていられるのだから。こんなとこで潰れてちゃもったいねえなって、心から思えた。

 

 

 

 

 

『戦争を知らない大人たち』からの5曲は、着席して見た。身じろぎせずにただ、音を紡ぐ3人と、スクリーンを流れていく歌詞を見ていた。

手も上げず体も揺らさずに聴くバラードはいつもより何倍も染みた。すごいものを目撃していると思った。椎木さんがホールツアーにこだわった理由がわかる。

 

 

 


‪「夢でよかったな 夢がよかったな‬」 静かに歌い出すと会場の空気が静かに張りつめる。


‪「あなたがよかったな‬」 そこで星空が現れた。

照明が暗く落とされ、そのなかに点々と小さな明かりが灯っている。ほんとうに星空みたいだった。『幻』。「そういえばもう朝だ」 というところで星空は明け、朝を思わせる光が差す。

 

 

ゆったり座って曲を聴かせる。照明ひとつにストーリーを込める。こんなこと普通ロックバンドにはできない。

拳突き上げてなんぼみたいな客層を抱えてるマイヘアが、急激にこんな進歩を遂げていることに驚いた。自分たちの魅せかた、めちゃくちゃよくわかってる。

 

勢いだけでどんどん潰れていくバンドが多いなかで、がむしゃらに進みつつも最良の形態を探し求め続けるマイヘアならば絶対に生き残れると思った。

 

 

 

 

 

高校生のときに作ったという『ふたり』。未熟なところもあるけどこんな歌はもう作れないと思う‬、と言っていたこの曲がいちばん染みた。

 

君じゃなきゃダメなんてことはない 君より綺麗な人だっているし」 と歌った直後に 「君じゃなきゃダメなんて馬鹿みたいだよ」 と歌詞は続く。君より綺麗な人もいるのに君じゃなきゃダメなんて馬鹿みたい、っていうこのぐちゃぐちゃした感じがリアルで大好き。

 

 

 

『アフターアワー』の間奏で叫ぶ 「ドキドキしようぜ!」 もすっごく好き。『噂』であっという間に本編が終わり、アンコールを求める手拍子が響く。

 

真っ先に椎木さんが登場した。手にはサッポロクラシックの350ml缶。とーやま校長に頂いたというビールを豪快に一気飲みする。

 

バヤさんとやまじゅんが全然出てこなくて 「バヤちゃんこないの?なに?やまじゅん待ってんの?ニコイチかよ……そりゃ俺が上越にきたの小6の頃だったけど。東京もんみたいな感じで見られてたけど~」 ってうじうじいじけてた。

 

 

『音楽家になりたくて』『告白』の歌詞がアンコールにふさわしくてぐっときた。

マイヘア初ホールツアー、場外ホームランやられたなあ。完封勝利ですよ。野球のこと全然わからんけど。

 

 

 

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終演後のみ撮影OKでした。

 

最高だったなあ。今まで観てきたライブのなかでも絶対ベストスリーに入る。すごかった。

言いたいことがありすぎて、まとめようと1ヶ月近く格闘したけど無理だったので、とにかくバーーッと書き殴りました。すっげえ読みづらいね。

 

 

これまで何度かマイヘアのライブの感想したためてきたのでよければ合わせてどうぞ。

 

・2016/8/13 ライジングサン→http://bloomsky.hatenablog.com/entry/2016/08/30/114528

・2016/10/12 桃白白ナイト→http://bloomsky.hatenablog.com/entry/2016/10/23/234950

・2017/8/13 ライジングサン→http://bloomsky.hatenablog.com/entry/2017/09/21/004155

 

あおでした。

 

21

春には21になる。

 

成人してからの1年、いろんなことがあった。19歳の私に話しても信じてもらえないようなことが起きたり、自分で起こしたりした。数え切れないファインプレーやどでかい失敗、この世のものとは思えない絶景も地獄も見た。たくさん見て聞いて食べて話して、目まぐるしく駆け抜けた。

 

同年代の人がきらきらして見える。きちんと就職して自分の力だけで暮らしている友達や、1年間海外へワーホリに行った同級生が眩しく見える。でも、ひたすら好きな勉強をしている私のことを眩しいと思っている人だっているのかもしれない、と最近は思う。

 

まだ未熟で大人には程遠いけれど、ひとつだけ誇れることがある。これまで下してきた決断に、ひとつも後悔がないということ。失敗も回り道も多かったけど、間違った道なんてひとつもなかった。最短ルートではなくても、いちばん正しい道を常に歩んでいる自信がある。

 

不安や焦りに負けないくらい、20年間ちゃんと積んできたものだってあるんだから。人のこと羨ましがってる暇はない。指くわえて羨ましがられるような人に私がなればいい。それだけだろ。

 

春には21になる。子どもの頃思い描いていた立派な大人にはまだなれそうもないけど、つまらない大人には絶対ならないから安心してよ。あいつはバカだけどかっこいいよねって言われるような大人になりたい、いつか。

 

あおでした。

 

スペースシャワー列伝2018 札幌

スペースシャワー列伝 JAPAN TOUR 2018。2月28日、札幌 cube garden にて行われた公演はツアー4本目だった。

 

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アイビー、ラウンジ、サウシー、リーガルリリー。期待の若手バンド詰め合わせみたいな最高のメンツ。これでチケット3300円って破格。6000円くらい払っても全然いい。

 

トリのバンドを観れずに帰ったので、ほかの3バンドについて書きます。MCは完全にうろ覚えなため、言い回しけっこう違うと思われます。ニュアンスだけ感じとって。

 

 

 

 

 

列伝には、強い憧れがあった。

 

きっかけはフレデリックだ。そもそも私がフレデリックにハマったのも、無料で放送していた列伝アジアツアー2017を観たのが発端で。

現地の言葉で会場を沸かせる姿や、圧倒的なステージング。そのすべてに惹かれたのは、スペシャ列伝という素晴らしいイベントがあったからだった。

 

憧れの列伝を地元・北海道で観られるとあって、期待値マックス。

cube gardenはすごく小さい。Zeppでいえば、柵ひとつかふたつぶんで終わりな感じ。350キャパでこのメンツって贅沢。ドリンク交換のとき、小さめのハリボーグミをもらった。

 

 

 

 

【1番手・Ivy to fraudulent game】

  1. she see sea
  2. 革命
  3. 青写真
  4. アイドル
  5. 青二

 

「かっこいい若手バンド」 ということ以外、アイビーについて何も知らずに行った。そして実際その通りだった。

 

「1番手だけど準備運動させるつもりはないんで」 、早々に言い放ったこの言葉に心を掴まれた。なんだこのバンド、かっこいいじゃないか……。

ちなみに私がよく言う 「かっこいい」 とはルックスのことではなく、「どれだけかっこ悪くてもがむしゃらにやれるか」 のことを指す。しかしお顔もかっこよかった。

 

振る舞いや曲の世界観、ロックンロールに酔いしれるようなプレイ、バキバキに男らしくてかっこいい。初めて観たアイビーにばっちり痺れた。アイビーのテイストとか実は好みではなかったんだけど、それを飛び越えるかっこよさにねじ伏せられた。

 

「男も女も関係ない、俺はお前と話がしたい」 

「4バンドとも当たり前にかっこいいんで最後までここにいてください。そして、思うがままにいればいい。俺もお前も」

 

バンドマンが観客のこと 「お前ら」 って呼ぶのあまり好きじゃなかったけど、観客に対する愛が込められた 「お前」 呼びにぐっときた。「1バンド30分なんて短いよな、みんなで文句言おうぜ」 と笑っていたアイビーは、自分たちの音楽と、それを受け止めてくれる観客のこともまっすぐ愛し抜いてるバンドなのかな、という印象を受けた。

 

うろ覚えで申し訳ないのだけど、もう23になるから正直焦りのようなものもあって、休日になると不安を感じたりする、といった感じのことを話していたと思う。でも、だからこそ、その不安だとかを全部ライブに変えると。

ライブという場所は、音楽は、最高だと。

(本当にかすかな記憶だから言ってたの他のバンドだったらごめん)

 

音楽って最高だろ!ってことを言葉だけじゃなく歌や演奏でも体現してくれるから、観てるこっちにまで熱が伝播していく。最高だった。

 

文句なしのトップバッター。しかも、これから続く3バンドとも負けじと打ち返してくるのだ。なんてものすごいツアーだろう、スペシャ列伝。

 

 

 

 

 

 

【2番手・Saucy Dog】

  1. いつか
  2. グッバイ
  3. 真昼の月
  4. 新曲
  5. イトクロージング

 

近頃気になりはじめていたサウシーに、完全に恋に落ちた。どの曲も、雷に打たれたような衝撃が走った。甘い電流が全身を駆け巡るようだった。本当に、すごかった。

 

1曲目の『いつか』から声めちゃくちゃ出てて、半端なくエモーショナルで、この熱量で30分演られたら私はどうなってしまうんだ……と真剣に思った。

 

サウシーは歌詞がすごい。back number と My Hair is Bad 以来だ、こんなにも心揺さぶられる失恋ソングの作り手に出会ったのは。けれどそれ以上にライブがものすごかった。詞の切なさを増幅させる、切ない歌声。あんなん泣く。どう転んでも泣く。

 

『煙』なんて、冒頭の歌詞だけで泣きそうになった。「私達ね、もう大人だからね 好きなだけじゃ一緒にいられないのはもう分かってるよね?」 歌い出しのこの部分でほろりときて、息をするのも忘れて、まるごと一曲聴き入った。「やだやだ」 と声を荒らげるように歌ったところでぎゅうっと切なくなった。

 

涙腺干上がる勢いでライブするくせに、MCになると急にマイナスイオン全開になるの、ちょっといい加減にしてほしい。話し口調がやわらかくて一気に和んだ。それ以上好感度上げてどうするつもり。

 

サウシーはしっとりした曲のイメージが強かったけれど、曲のすばらしさにみんな心を掴まれていて、最後はめちゃくちゃ盛り上がっていた。ぐっとワンマン行きたくなった。CDも、レンタルじゃなくてちゃんと買って、歌詞カード熟読したい。

 

これを書いてる今、列伝から2週間近くが経とうとしているのだけど、いまだに『煙』を聴いたときの衝撃が頭から離れない。完全に恋してしまっている、これは。

 

 

 

 

 

 【3番手・SIX LOUNGE】

  1. 10号線
  2. 僕を撃て
  3. STARSHIP
  4. プラマイゼロ
  5. トラッシュ
  6. 俺のロックンロール

 

大本命、シックスラウンジ。これがもう猛烈にかっこよかった。1番手のアイビーがバッキバキにかっこいいロックの担い手だとするならば、シックスラウンジは正統派ロックンロール街道のど真ん中をゆく、由緒正しきロックバンドだ。

 

ロックがなんであるのかよくわかっていないけど、それでもマイヘアとラウンジのライブを観た時だけは、これこそがロックンロールだと思う。骨の髄まで溶かされるような熱量。演奏だけで、歌だけで、ガツンと揺さぶられるような。なんなんだろう、わからないけど、理屈抜きにアツくなれるんだよなあ。

 

「30分間俺たちのもの!好き勝手やってやる札幌ー!ロックンロールで雪溶かす!」

 

どの曲も痺れるほどかっこよくて、「俺はね、いいライブを観ると気づいたら拳を上げてるんですよ」 と優盛さんが言っていたように、気づいたら拳を振り上げていた。

それまでは、前方にいるそのバンドのファンばかりが手を上げていたけれど、ライブハウスのほとんどが手を上げ始めていて、じんときた。

 

「いいライブをやる!いいライブって誰が決めるのかというと、お客さんが決めるわけでもなくて。俺たちが最高にかっこいいと思えるライブをする!いいライブじゃなくても、俺たちがかっこいいと思うライブにする!」

 

すごく、すごくいいライブだった。たった30分で自分たちの持ちうる120%出し切るなんて、ベテランだって難しい。それを見事にやり切った。ラウンジだけじゃない、アイビーもサウシーも。

 

 

 

なんてすごい夜を目撃してしまったのだろうと思った。やっぱり8000円ぐらい払ったほうがいいのではないだろうか。スペシャ列伝、期待値以上だった。

 

トリのリーガルリリーは観れずに帰らざるを得なかったので、ライブレポは以上です。

 

 

 

 

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ドリンク交換のときにもらったミニハリボー

と、なんとこのデカいステッカーシートを、帰り際にビニールのナップザックとフライヤーと一緒にくれた。左端の 「列伝2018」 っていうステッカーがちょうどiPhoneくらいの大きさ。太っ腹すぎん??

 

帰り道、コンビニであったかいココアを買ってしまったの、私だけじゃないと思う。

あおでした。

 

 

 

終わり、を迎え撃つ

しょうもない酒の席で喉を湿らすファジーネーブルよりも、気の合う友達と爆笑しながら飲む特売の生茶のほうがずっと美味しい。

 

真っ昼間からくだらない話で笑い転げる、過去も今も未来もすべての不安を忘れ去れるような時間を、それを与えてくれる人たちを、大切にしなきゃいかんな~~と思う。『同じ窓から見てた空』じゃないけど。

 

中学生までに好きになったものは一生続く、みたいな話、あながち嘘じゃなかった。あの頃好きでいた音楽も小説も友達も、卒業して5年以上経った今でも好きでいる。多分これからも。

 

 

 

恐らくMUSICAの2017年12月号に載っていたマイヘアインタビュー。出典は書いていなかったのだけど、あまりに心に刺さったので日記に引用してあった椎木さんの言葉。

「どうせこれは必ず終わると思ってるし、終わりを悟っちゃうんですよね。音楽とか抜きにして、すべてに対してすごくそう思います。恋人にもそうだし、お客さんにも。それは僕の中のシーンのひとつです。だから、全然安心できない。どんどん怖くなる」

 

猛烈にわかる。「これはいつか絶対に終わる」 と常に意識している。ライブの開始を待つときや、飛行機の離陸音をききながら目をつむるとき、なにか楽しいことが始まる前に、 「おなかすいたな」 とふと思うのと似た感じで、ごく自然に思う。

 

いつも終わりを意識しているくせに、終わりは怖い。中学最後の文化祭や卒業式で柄でもなく泣いたのは、合唱で金賞を取れなくて悔しかったからでも卒業が寂しかったからでもなくて、楽しかった時間が終わってしまうことが怖かったから。

 

卒業して、仲のいい友達と学校が離れたら、お互いほかの友達を作って、もうその子のことを思い出しもしなくなることが怖かった。お互いの人生にお互いが必要じゃなくなることが怖くて泣いていたけど、そんなこと考えるのは友達に失礼だと思って、でもやめられなくて、涙が止まらなかった。

 

このよくわかんない強迫観念みたいなもの、物心ついてから現在に至るまで悩まされているわけだけど、永遠はなくても半永久はあるんじゃないかなって最近は思う。

 

卒業したら疎遠になると思っていた中学や高校の友達とバリバリ仲いいし。小1から好きなコブクロは未だに大好きだし。大学卒業したら今の友達とも会わなくなるのかなと思っていたけど、会わなくなったら友達じゃなくなる、なんてことはないのだ。

 

永遠は信じないけど、半永久を信じたい。コブクロの『信呼吸』という曲に出てくる 「限りある永遠を一瞬で刻めば 果てしない数の物語が生まれる 君となら」 って歌詞。

その、「限りある永遠」 を信じたい。

 

親友と遊んだ帰りにどうしようもなく悲しくなるのとか、すごく楽しいのに 「この瞬間もいつか終わるんだな」 ってふと思うのとか、ライブの最中にふと我に返って寂しくなるあの感じ、もうやめたい。終わるのなんて当たり前で、いちいち悲しんでちゃキリがない。半永久的に続く幸せを、一瞬も逃さずに楽しみたい。

 

これを今年の目標とします。恐れない、なんてのはまだできないと思うから、いっそ開き直ってでも楽しむ。そんな時期あったね~若かったね~って梅酒ロックでも飲みながら笑ってこのブログを読み返す日が一刻も早く来ればいい。

 

あおでした。

 

ビビッと

自分の直感をものすごく信頼しているから、「突然ビビッときたから」 という理由だけで重大な物事を決めることが多い。高校も大学もバイトもゼミも進路もぜーんぶ直感で決めた。

 

私の直感は本当に当たる。

重大な選択をしなければいけないとき、悩みすぎてどうしようもなくなっていると、稲妻のように新たな選択肢が降りてくる。これまでの人生で培ったパズルのピースが全て嵌まっていく。あのとき失敗したことも昔好きだったことも全部この選択のためだったとしか思えない、道しるべのようなものが節目で必ず訪れる。本当に。

 

だけど何故なのか聞かれても 「突然降ってきたから」 としか言いようがないので、何も考えていないアホか、もしくは寒い女だと思われてるだろう。

 

「好きになるのに理由はいらない」 なんて言葉は美化されてありがたがられるのに、重大なことを決めるのには理由がいるの?一目惚れはアリなのに、直感で将来の夢決めるのはダメなの?なんで?ってずっと思ってた。

 

ニゾンの新譜、『Dizzy Trickster』を聴いたときにそんな疑問もキレイに吹っ切れた。

 

理由なんか適当でいい 震えちゃったのならそれを合図にして

 

あ~~~それだ~~~~!!!!そうだよね、心が震えたっていうだけで突き進んでも全然いいよね。外野にやいやい言われるぐらいで立ち止まってちゃ何もできないし。他人の許可がいるわけじゃなし。

 

 

そういえばユニゾンは『リニアブルーを聴きながら』でも同じようなことを言っていた。

 

ちょっとやそっとの逆境に倒れるのはもったいない 「だって本気なんだから」 理由はそれだけで

 

そうだよね~~~???もう好きなようにやる。理由とかどうでもいい。いい選択をしたなって思えればいい。実際、違う道を選んでおけばよかったと思ったことが一度もないんだから、きっとこれからもない。大丈夫。

 

 

 

そういえば新しいバイトが決まりました。直前まで違うところに応募しようとしていたのだけど、絶対ここしかないと急にビビビビッと来ちゃったので。絶対これも導かれてると思う。がんばります。

 

あおでした。