あおいろ濃縮還元

虎視眈々、日々のあれこれ

指に沈むビーツ

はじめてビーツを買った。存在だけは知っていたビーツ。いつか出会うことがあったら是非ともボルシチにしてやろう、と意気込んでいたビーツに、田舎の八百屋でばったり出会った。なんとなく硬い野菜であると思いこんでいたが、手に取ると思いのほかやわらかく指に沈んで、戸惑う。こんな頼りない手触りの野菜が、あんなに生命力にあふれていそうな真っ赤なスープになるものなのか。あしたはボルシチにしよう。赤色のスープをぐつぐつ煮込んで魔女の気分になろう。

 

 

三連休のまんなか、夕飯を食べ終えるとスタバへ出掛けた。混んでいるところには行きたくないけれど、どこかへは行きたい。田舎の夜のスタバは空いているから、そんな矛盾した要望を満たしてくれる。とっておきのイヤリングをつけていく。私はイヤリングをすぐなくすが、これはうっかりなくしてもいい値段ではないので、短時間の穏やかなお出掛けにしかつけない。シンプルだけどひと癖あり、何年も大切にしていけそうで大層気に入っている。年に1、2度しかつけないけれど、最強の気持ちになる。もっとつける頻度増やそう。いっぱい最強になりたいから。

 

涼しくなりはじめた秋の気配を味わうように、テラス席はびっしりと満員だった。中はガラ空きで、ヨーロッパのカフェテラスみたいだ、と思う。頼もうかなと思っていたパンプキンスパイスラテを夫が注文していて、なんとなくオーツミルクのブロンドラテにした。分け合うことを前提としているため、同じものを頼むと損するような気がする。

 

ただ本を読んで過ごす。心地よいBGMが流れるカフェで、心地よい椅子に座って本を読むと、家よりよほど読書に集中できる。雑念の入りこむ余地がない。だからみんなカフェでパソコンを広げるのだろう。おしゃべりを楽しむ人々はテラスで風を浴び、店内にいる者はパソコンを叩いているか静かに本など読んでいる。スタバには、はっきりと明暗がある。