あおいろ濃縮還元

虎視眈々、日々のあれこれ

白いあじさいが欲しい

スーパーの花屋で白いあじさいと目が合って、とたんに一目惚れした。キュン通り越してギュンときた。淡い水色や紫色をしたノーマルなあじさいですら清楚なのに、白いあじさいは輪をかけて清楚だ。アイドルに例えるなら乃木坂。いまダイニングテーブルに飾っている花たちが盛りを終えたら買おうと思う。とはいえ道の駅で手に入れた3色のスターチスもたいそう気に入っている。くすんだ紫とピンク、アクセントに光る黄色があまりに可憐で、生まれて初めて花を買った。家に花を飾ってみたかったんだと彼氏が嬉しそうに言っていて、少なくとも半年同棲していたという前の彼女は花を飾る女ではなかったのだなと思った。なんか少しほっとした。

 

彼氏が定時で退勤できる日は、最寄り駅で待ち合わせていっしょに帰る。たいていは手を繋ぐ。呼吸のように繋ぐ。重くて持てなそうだからと買い物袋を持ってくれて、狭すぎる路側帯で私が轢かれないように車道側を歩いてくれる。女の子扱い由来のエスコートは吐きそうなほど苦手だけど、人間扱い由来のエスコートはかなり好き。前者は「女の子だから荷物を持ってあげなきゃ」「女の子には歩道側を譲ってあげなきゃ」みたいな感じで、これをしてくる人ってエスコートできる俺カッコいいと言わんばかりのドヤ顔をしてきて冷める。そうではなく、「重そうだから荷物持ちを代わる」「危なっかしいから歩道側を譲る」という、女性としての私じゃなくて人間としての私を思いやってくれるエスコートが好きなのだ。手厚くまもられながら家まで歩くたった十数分が愛おしい。光の街の、「橋から見える川の流れは今日も穏やかで日差しを反射してキラキラと海へ向かってゆく」という冒頭の歌詞をそのまま焼き付けたような日々を歩んでいることに、幸福でめまいがする。