小学5年生のとき、1ヶ月ちょっとの間、クラスに教育実習生が付いてくれたことがある。
服装こそぴしっとしていたけれど、先生にしては少し長めの髪は、ふわりとワックスで整えられていて、「先生」 というより 「親戚のお兄ちゃん」 って感じだった。仮にT先生と呼ぶことにする。
私はほんっっとうに地味で暗い子どもで、休み時間は黙々とハリーポッターや東野圭吾を読んでいた。友達もいなかったし、先生も嫌いだったので、学校で笑うことなんて滅多になかった。
さて、教育実習最後の日、T先生はなんとクラス全員に直筆の手紙をくれた。1クラス20人ほどしかいない過疎学級だから出来たことだと思うけど、単純にすごい。
当時の私は、大人なんて何もわかってくれない馬鹿な生き物だと本気で思いこんでいたので (人間不信がすげえや……) T先生もその一員なのかな、と心のどこかで思っていた。
だから、手紙を開いて戸惑った。
ざっくり要約すると、「あおちゃんは頑張り屋さんで、笑顔が素敵ですよね」 といったことが綴られていた。あまり笑わなかった私が唯一笑ったときのことを、T先生は覚えてくれていた。
他にも 「廊下ですれ違うときいつも挨拶してくれたから、つらいことがあっても頑張れました」 とか色々。こんな奴のことをちゃんと見てくれてる人もいるんだ、って初めてわかって、ぼろぼろ泣けてきたのを覚えている。
つらくなると今でも、T先生がくれた手紙を読み返すことがある。毎回ちょっと涙ぐんでしまう。まっすぐな言葉にいつでも励まされる。
内容もそうだし、便箋を選んで、もしかするとルーズリーフに下書きなんかして、封がわりに留めてあるサカナのシールはちょっと意味わかんないけど、たくさん頑張って準備してくれたんだろうなあ。そう思ってじんとくる。
教育実習生ってことは、当時のT先生は、今の私とそう変わらない年齢だったはず。
こんな、何年経っても心に残るような言葉を、誰かのために紡げる人でありたい。
T先生の手紙や、中学の担任が卒業するとき一人ひとりに宛てた手書きのメッセージを、ずっと大切に心に留めている。自分では気づけなかった長所をちゃんと見てくれる大人もいるんだな。ああいう人間性のカッコいい大人になりたい。
あれから9年も経っていることに驚いた。T先生、多分めちゃめちゃいい先生になってると思うな!そうだといいな!
ライジングサン (マイヘア) とミスチルのレポが滞ってるのでそのうち完成させますね……。あおでした。