あおいろ濃縮還元

虎視眈々、日々のあれこれ

2020-01-01から1年間の記事一覧

犬の模様のブランケット

おでんにからしを付けるとうまいという世の摂理に齢23にもなってようやく辿り着く。時折おじいちゃんが作ってくれる鍋いっぱいのおでんこそがおでんだと思っているから、コンビニのそれはいちども食べたことがない、そういえば。大根とさつま揚げとはんぺん…

なんでもない日

治安の悪い柄した柄シャツでスーパーへ行き乳酸菌を買う。最初は免疫力アップのために飲んでいたR-1が、免疫どうこうより便秘に効くためなんとなく手放せなくなった。昨日の夜はぶ厚いスウェットにブランケットに毛布の重装備でも震えていたのに、今日は嘘み…

しょうゆ味

適当に前髪を巻いて、ちゃちゃっと眉毛を描き、手と顔のマスクから出る部分に日焼け止めを塗るだけ、が近頃の外出スタイルになっている。マスクをしてしまえば万事なんとかなる。前も書いたけれど最近は彼氏に贈られたワンピースをこれでもかと着倒している…

御守

昔、吃音持ちの私は苛められるのがこわくて話すことができなかった。苛められることはなかったけど、誰とも話せなかったし笑うこともなかった。無愛想でかわいげのない自分のことが嫌いだった。五年生のころ、教育実習の先生がクラスひとりひとりに宛ててく…

まどろみと覚醒

テキストに青いマーカーを引きながら『重要と書かれた文字を写してく なぜ重要かわからないまま』という加藤千恵の短歌を思い出していた。夕飯に食べた餃子とビールの味は、歯を磨いても牛乳をのんでも口蓋に張り付いているような気がしてならない。ゴールデ…

チョコミント

外に出たのは1週間ぐらいぶりだろうか、日付の感覚すら麻痺してきたのでわからないけど。ここ最近は徒歩数分のスーパーにすら行っていなかった。誕生日にLINEギフトで貰ったプレミアムロールケーキをいい加減引き換えたかったのと、買い置きしていた2リット…

へらない紅

誕生日だからと妹がくれたブラウンのリップは貰ったそばから塗らなくなった。バイトから帰るバスの中で更新するのが常だったブログは、一時休業になってしまったから自然と書かなくなった。たまに必要に駆られてスーパーや郵便局へ出向くぐらいじゃメイクも…

春宵、一等星

時勢の煽りを受けて近所のパン屋はすべてのパンをビニールで覆っていた、少人数で回しているこの店にとってビニールを被せていく何気ない作業がどれだけの負担であるのだろうと思いながら、タイムセールで半額になったチーズフランスを買う。181円、端数を切…

振り返らない

別れ際、私は振り返らない。ポリシーとして。半年ぶりに会う友人と飲み会をした帰り道でも、初めて会う遠方のフォロワーと解散するときも、デートのあとでも、後ろは向かずスタスタ歩き出す。バイバイしたあと姿が見えなくなるまで手を振り続ける女の子が可…

まくらもとに筆

2週間ぶりのバイトは暇で暇で仕方なかったのに、久々に働いたから疲れてしまった。家にずっといたせいで、身体にガタがきていたことを思い知る。日頃ライブハウスでしか汗を流さない私はライブがないとすぐ不健康体になってしまうけど、きっと、そんなことじ…

井戸と刃

スカイツリーの展望台でも鳥取砂丘でもちょっと小高い山の上やだだっ広い草原の真ん中でもなんだっていいけどそういったスケールの大きな場所に行ったとき「地球の大きさに比べたら自分の悩みなんてちっぽけに思えた」ということが生まれてこの方一度もない…

冬と春の隙間に

路肩にはまだ雪が残っていても、食卓にはみずみずしいアスパラが出るし、スーパーの和菓子コーナーには桜餅が並ぶ。白いコンバースのハイカットを履きたいけれど、泥にまみれた雪解け水が染み込むのは嫌だなあと思って今日も黒いブーツを装着した。冬と春の…

眼差す

まなざし、という言葉はそういえば「眼差し」と書くのだったなと、ジャズの流れる喫茶店で思い知る。 向かいでコーヒーを啜る先輩の傍らに、湯気で曇るからと折り畳まれた眼鏡が置いてある。私たちは長いこと先輩と後輩の関係性をやってきたけれど、数十分前…

2月は耳元を過ぎる風

気付いたら2週間ほどもブログを更新していなかったことに今しがた気がついた。お元気ですか、とは言えない情勢だけど、これを読んでいるような物好きなあなたには元気でいてほしい。 2月は目まぐるしく、風のように私の耳元を掠めていった。こないだ投下した…

幻じゃなかった

赤、水色、また赤、すぐに水色。鮮やかな照明がステージを目まぐるしく駆けめぐった。飛び跳ねる観客の背中と、熱をもって高く上がった拳のむこうで、軽やかにベースをさばくマイケルさんの姿が妖しく明滅している。頭の丸いシルエット、降り注ぐ赤、水色、…

喫茶記

美術館にいこうと思ったが億劫になったのでずっと気になっていた喫茶店へ赴く。店内は満員で、そういえば三連休の初日だったかと気づいた。学校よりもバイトに行く日数のほうが多い大学四年生は曜日の感覚がどうもない。案内された窓際の席には、ランプや置…

おすすめ本/おすすめしない本10選

万人におすすめしたい本と、万人には絶対おすすめしないけど私の大好きな本を5冊ずつ集めました。厳しい冬を過ごすお供にどうぞ。 ◎おすすめ本5選 「容疑者Xの献身」東野圭吾 ミステリー/サスペンス好きなあなたにとにかく読んでほしい、私の人生の1冊。ガ…

生産性なく過ごす、が年末年始の目標である。年が明けてすぐ夜にロックを聴いてしまったら編のライブDVDを流して、明け方まで気が済むまで酒を飲んだ。クリスマスに買ったきり残っていた桃のワイン、やけに親しみのある味だと思ったら、チューペットのあの甘…