あおいろ濃縮還元

虎視眈々、日々のあれこれ

電車の窓に

バレンタイン当日に届くようガトーショコラを郵送しようとしたら、コロナの影響で遅れていて15日になると言われ、疫病ごときが人の恋を何でもかんでも邪魔してくるんじゃないよと哀しくなったけれど「バレンタインって16日ぐらいまであるから大丈夫!」と快活にうそぶく彼氏のばかばかしい明るさに救われたりなんかしている。

 

それはそれとして、初恋の人がこないだ久々に夢に現れた。もう10年も前に好きだった人のことをまだ持ち続けている自分の未練がましさに呆れてしまった。女の恋は上書き保存とはいえ、初恋だけはデスクトップ保存だ。口説くとはいかずともモーションを掛けられることが最近多くて、もし本気でだれかに口説かれてもずっとこの人のことをまっすぐ好きであれるのかと考えていたからかもしれない。結果としては考えれば考えるほどに、私たちはほかの人とでもひとりでも幸せになれるけど、ふたりでいれば120%楽しいんだろうなと思えて、きっとそれが答えだった。

 

 

 

来月末に引越しを控え、バイトと教習所に忙殺されていてまあ引越し支度はなにもしていないんだけど、どこに行ってなにをするにしても「これが最後の〇〇か……」としみじみしてしまう。この人に会えるのもこれが最後か。配属店舗が変わっても指名していた美容師のお姉さんにショートカットにしてもらえるのも、次で最後か。女友達と恋バナばっかしてたこのカフェで、やたらめったらに安いパフェを食べるのも。告白の返事をしたこの前衛的なデザインのベンチに座るのも、あーあ、きっとこれが最後。

 

私はこの町のことを憎んでいて、はやく出ていかないと駄目になると強く思っているけれど、でもそれと同じくらい愛してもいるのだ。出ていける嬉しさと戻ってこれない悲しさはない混ぜになって、妙にやるせなく切ない。この町を包む冷たすぎる風と深すぎる雪が私は嫌いで、でも離れたらどうしようもなく恋しくなってしまうんだと思う。