あおいろ濃縮還元

虎視眈々、日々のあれこれ

冬と春の隙間に

路肩にはまだ雪が残っていても、食卓にはみずみずしいアスパラが出るし、スーパーの和菓子コーナーには桜餅が並ぶ。白いコンバースのハイカットを履きたいけれど、泥にまみれた雪解け水が染み込むのは嫌だなあと思って今日も黒いブーツを装着した。冬と春の隙間はむずかしい。ところでブーツは「履く」よりも「装着」という響きが似合う気がする。スニーカーは履く。パンプスも履く。ブーツは、装着。なんとなく重厚な感じが増してよい。冬はあたたかくて春はさみしい感じがするから、冬と春の隙間、この暖流と寒流がぶつかりあう季節のことを好きになりきれずにいるけど、マフラーに顎を埋めながら並んでホットコーヒーを飲んだベンチの冷たさなんかを忘れたくないと思っている。邪魔だからと取り外したカップのスリーブがバッグから出てきて少し笑った。