6/20、THE BOYS&GIRLSの 「明転」 ツアー、札幌初日を観た。
THE BOYS&GIRLS、通称ボイガルは、ボーカルのワタナベシンゴ氏以外のメンバーが脱退したばかりだ。サポートメンバーを迎えた今回のツアーは、言わば新生ボイガルのお披露目ツアーである。
対バンに迎えるは札幌の-KARMA-、大阪から空きっ腹に酒。350人収容の札幌cube gardenはソフトドリンク交換時にちいさなハリボーグミをもらえるんだけど、ビールと交換してしまい今回はもらいそびれた。嫌な大人になってしまった。
恥ずかしながら3バンドともドにわかで、ふわっとした感想しか書けないけど、どうかあたたかく見守ってほしい。
【-KARMA-】
〇セットリスト
少年から
SORA
バンド
クラスメート
新曲
イノセント・デイズ
僕たちの唄
カルマに関しては、むしろ曲を全く知らない状態で行ったほうが楽しめるんじゃないか?と思い、弱冠18歳だということ以外前情報を入れずに行った。のが大正解だった。ライブがかっこよくてあっさり、すとんとオチてしまった。
『SORA』の 「この歌でいつかあなたを泣かせたい」 という歌詞や、『バンド』の 「君の好きな人じゃなくて好きなバンドになりたい」 というフレーズにやられて、カルマの生み出すステージにぐんぐん惹き込まれていく。上がる手は少なかったけど、1曲終わるごとに送られる拍手が力強くなっていった。
若いから価値があるとか瑞々しい感性とか、そういうことあんまり引き合いに出したくないけど、それでも高校を卒業したての彼らにしか歌えない歌があって、それが刹那的ですごく眩しくて刺さった。
「夢がある人ならわかってくれると思います」 と初披露された新曲も、「このままがいい 大人になりたくない」 と歌う『イノセント・デイズ』も。子供でもない、大人でもない狭間の期間に流れる鬱屈を、この時期じゃないと歌えないものを、カルマはきちんと曲に昇華している。
『僕たちの唄』での合唱を経て、カルマのステージはきっちり40分で終幕を遂げた。変に青臭すぎず、無駄にキラキラしすぎず、本当にちょうどよくアツくかっこよかった。またライブ観たい!
-KARMA-(カルマ) 僕たちの唄【MV】 - YouTube
【空きっ腹に酒】
〇うろ覚えセットリスト(曲順曖昧)
?
愛されたいピーポー
正常な脳
夢の裾
?(1人でいたくない~的なバラード)
?
Have a nice day!!
夜のベイビー
ボーカルゆきてるさんは『Have a nice day!!』のMVで着用していたシャツ、ベースのシンディさんはグッズのチャイナシャツで登場した。
SEが止み 「俺らが空きっ腹に酒だ」 とゆきてるさんが言い放ったとき、意図してかせずか全員バキバキにキメ顔で、カッコつけてんのが最強に様になってて、シビれて膝から崩れ落ちそうになった。何そのかっこいいやつ。アベンジャーズか?
大大大好きな『愛されたいピーポー』を生で聴けただけでも溶けそうなのに、続いて繰り出される『正常な脳』で完全にガンギマリした。脳みそ沸騰するわこんなの。
ビートに五十音を載せて自在に操るゆきてるさんの歌い回しもさることながら、生演奏もバッキバキにかっこよくて。圧倒的なステージングを見せつけてきたかと思えば、「どうもBUMP OF CHICKENです」 「藤くんやで~」 とテキトーなこと言って観客の心をどんどん掴んでいく。フロム大阪も伊達じゃない。
ツアータイトル 「明転」 にかこつけて、「今日はボイガルよりも明転って言おうと思う」 とゆきてるさん。「俺が明って言ったら転って言ってな」 とのフリから始まる謎のコールアンドレスポンス。
ゆ 「明!」
客 「転!」
ゆ 「明!」
客 「転!」
ゆ 「空きっ腹にー!」
客 「酒ーー!」
楽しかった。「(転!って言うときに)手もつけたらかわいいよ」 と斬新な切り口で拳突き上げるのを促してくるのかわいかった。
空きっ腹に酒が北海道で初めてライブをしたのは、THE BOYS&GIRLSとの対バンであったという。
ゆ 「打ち上げで空きっ腹のメンバー内で本気で喧嘩してな…(隣の西田さんに向かって)聞いてる?」
西 「チューニングしてて全然聞いてへん」
ゆ 「昨日食べたサーモン美味しかったなって話」
西 「ああ、美味しかったな」
ゆ 「本当に聞いてない…(笑)初対バンの打ち上げで喧嘩したって話。そんで止めてくれたのがTHE BOYS&GIRLSでした。『まあまあ、仲良くしようぜ』みたいな感じで全然止めれてなかったけど。でも友達の門出を祝うのは当然だろってことで大阪からわざわざ来ました」
わざわざ、としきりに強調するのは空きっ腹なりの祝辞なんだろうな。
シンゴが好きな曲を2曲やりますと言って始まった『夢の裾』。バキバキの演奏とリリック大連射のABメロを乗りこなし、耳馴染みのいいサビへ導く曲の流れは空きっ腹の得意技なんだろうなと思った。「僕ら夢の裾にしがみつく 今が全てさ」 という歌詞が染みる。
フリースタイルラップも披露する。大阪から来た空きっ腹に酒です、札幌のノリ方最高、みたいな内容をきちんとかっこよくラップにしてくれた。わっと起こる拍手に、「次バラードなんやけどな」 と笑う。
(次の曲、ラップで始まって、1人でいたくない~的なサビのバラードだったと思うんですけど、タイトルわかる方いたら追記しておくので教えてください)
「僕がインザハウス!って言ったらインザハウス!って返してください。インザハウスっていうのは主役って意味です。今日の主役はカルマでも、空きっ腹でもボイガルでもなくて、お前らだよ」 そう言って始まった『夜のベイビー』。
心地いいリズムに乗り、煽られるがまま手を上下させていると、ゆきてるさんが客席に降りてきた。「二階席(の対バン相手や関係者)には見せん!」 と言ってフロアど真ん中、柵の上に腰掛ける。
私はちょうど柵のあたりにいたもので、すぐ目の前にゆきてるさんの背中があって、何がなんだかわからなかった。手を伸ばせばたやすく届く距離だった。手を上下させながら、インザハウス!と歌いながら、シャツの模様と髪の毛を交互に眺めていた。あんなに近いと顔とか見れないよ。
初めて見た空きっ腹に酒のライブ、めっっっちゃ良かった。あまりにかっこよくて、開演する前空腹に流しこんだビールが雲散霧消してしまった。ご馳走様でした。
【THE BOYS&GIRLS】
〇うろ覚えセットリスト(なにもかも曖昧)
?
24
一炊の夢
少年が歌うメロディー
ただの一日
階段に座って
陽炎
すべてはここから
パレードは続く
陽炎
いざTHE BOYS&GIRLS。サポートメンバーには Gt.ふるした、Ba.三角、Dr.ポルノ大岡の御三方を迎えた今回の布陣。
ボイガルがステージに登場した瞬間、炎が吹き出すように観客のボルテージが一気に上がった。鳴らす1音目から力強く拳が突きあがる。
ボイガルの歌詞からは、札幌の情景が薫る。『24』の 「4プラ近くをぷらぷら」 は大通にある4丁目プラザというファッションビルのことだし、4プラ近くにはTSUTAYAやピヴォ(タワレコの入ってるビル)だとか本当になんでもある。「階段降りたらただの地下街」 はポールタウンのことだろう。
『階段に座って』の 「新川通りを一人進む」 もそうだし、『パレードは続く』の 「雪虫が飛ぶ街を歩いた」 なんて道民が聴いたらゾッとする歌詞もある。
「明転」 ツアーに込められた意味を『少年が歌うメロディー』に垣間見る。照明の落とされたステージで、ピンスポットのみがシンゴさんを照らした。
「ゆづき見てると、いいとこ見せなきゃなって思う。空きっ腹見てると、もっと頑張らないとって思う。ふるした三角ポルノ見てると、お前ら最高だよ、いいやつやろうぜって思う」
暗さを知っているからこそ光が際立つ、みたいな、ツアーテーマの確信に触れるようなことを言う。初めてのライブの時からやっている曲を、と告げて歌い始めた。「あれからどれくらい経ったかな」。ゆっくりと零される 「大人になるってなんだろね 確かなことってなんだろね」 という歌詞ひとつひとつが雨粒のように沁みていく。
最初はシンゴさんのみを照らしていた照明が徐々にステージを照らし、間奏で強い明かりが灯りはじめたとき、明転していくTHE BOYS&GIRLSの姿を目の当たりにした気がして泣きそうになった。
『階段に座って』が始まると客席はさらに沸騰した。「ボロボロと涙が止まらないのは カーテンの向こうで強く歌い続ける あなたがやってるロックバンドが優しかったから」 という熱いサビで居てもたってもいられなくなったダイバーたちが、続々とリフトしては頭上を飛び交う。突きあがる拳の合間から、シンゴさんが 「あなたがやってるロックバンドがいてくれてよかった」 と歌っているのを見たとき、胸が熱くなった。
ツアーの核となる新曲、『陽炎』。最初の一音から会場の雰囲気が変わるのがわかった。「揺らめきながら 煌めきながら 儚くも美しく 頼んだよ陽炎」。この歌の存在感に、熱量にぐんぐん引っ張られて一体感が強まっていく。ダイバーも転がってはシンゴさんと拳を突き合わせてまたも飛ぶ。
根室ハイワットホールという、パチンコ屋を改造して作った北海道の端にあるライブハウス。その店長をしているカズマという友人が、若くして癌になったのだとシンゴさんは話す。
「そのこと俺の誕生日に告げられて、誕生日になんて発表してくれたんだと思ったけど…(笑)俺は金もないし治してやることはできないけど、ノートを持ってきてるので、頑張れとかなにかひと言書いてくれたらあいつも喜ぶと思います。全員書いてたら4時までかかっちゃうから、並んでたら気持ち込めるだけでもいいし」 とのことで。道民とはいえ根室なんて異国の地みたいに遠いけど、良くなるといいな、伝わるといいなって思った。
確か『すべてはここから』で本編が終了した。はず。アンコールを求める手拍子でまた4人が現れる。
「そういえばツアーファイナルの発表ってしてないですよね?」 とシンゴさんが言い出し、会場がきょとんとする。「あ、いま発表されてる最後の公演は仙台、マイヘアとの対バンだけど、実はあれがファイナルじゃないんですよ。……ツアーファイナルは、12月13日金曜日、ペニーレーン24でのワンマンです」
「バンドメンバーが辞めるってなった最後のツアー。ペニーレーン550席のチケットに1000通を越える応募がありました。ああ、最後って凄いんだ、あいつらって凄いんだって思った。今日のチケットは完売しなかった(※350キャパ)けど、ファイナルは絶対に!最速チケットは本日の物販から手売りで買えます、ボイガルは手売りを大事にするバンドだから!予定なんてわかんないかもしれないけど、半年後には知らない曲だらけになってるかもしれないけど、来てほしい!」
そしてアンコール。一体感をもってじんわりと染みていく『パレードは続く』のあとは、なんと二度目の『陽炎』。曲が始まった瞬間、今日イチで会場のボルテージが高まった。全身全霊をかけたステージは、それこそ陽炎が揺らめいてしまいそうに熱かった。
THE BOYS&GIRLS - 「パレードは続く」 MUSIC VIDEO - YouTube
最高の音楽体験だった。どのバンドも三者三様にかっこよかった。どのバンドも違うベクトルのアツさがあって、そのどれもに痺れた。カルマは手持ち花火、空きっ腹はジッポーライター、ボイガルは焚き火みたいな熱さ。新生ボイガルのお披露目として、こんなにもアツい火蓋の落とし方がある?
3バンドともまた絶対に観たい~~!
あおでした。