3/16、空想委員会のラストワンマンツアーを観た。
空想委員会はこのラストワンマンツアー 「結び」、およびツアー番外編である4/1の 「〆」 をもって現体制での活動を終了する。
札幌 Sound Lab mole、空想委員会が初めて札幌でワンマンをした、商店街の中にあるライブハウス。私が初めて彼らを観たライブハウスでもある。感慨深い。
偶然うつりこんだ光がなんかいいかんじ
開演10分前にすべり込む。最後だからといって湿っぽいムードが漂っているでもなく、みんな思い思いのグッズを身につけてそわそわ開演を待っていた。
空想のライブは2度見たことがある。ワンマンとサーキットイベントで1回ずつ。どちらも素晴らしくて大満足だった。でも、終わってしまう前にどうしても聴きたい曲があって、それを生で聴かなければ私は空想委員会をきちんと結べないと思った。
【セットリスト】
- エンペラータイム
- 切illing Me Softly
- 難攻不落ガール
- カオス力学
- 八方塞がり美人
- 僕が雪を嫌うわけ
- 桜色の暗転幕
- 知る権利
- ドッペルゲンガーだらけ
- 純愛、故に性悪説
- 劇的夏革命
- 透明少女(NUMBER GIRLカバー)
- 波動砲ガールフレンド
- 美女眼鏡
- 千里眼
- 完全犯罪彼女
- 春恋、覚醒
- 空想ディスコ
- マフラー少女
En. エール
一曲目、『エンペラータイム』(歌詞に 「札幌」 と組み込んでくれた)から盛り上がりまくった。最後列でゆったり観ようと思っていたのに、気づいたらぴょんぴょん跳んでた。
三浦委員長の心なしかいつもより気合いの入ったボーカル、ニコニコ楽しそうにベースを弾く岡田さん、全力でギターを鳴らす直也さんと、メンバーの後ろで時折口ずさみながらドラムを叩くテディさん。
一音一音に応えるように、手を挙げたり跳んだりクラップしたり固唾をのんだり歓声をあげたり、すべて受け止めて打ち返す観客。長い時間をかけて積み上げてきた信頼関係の集大成を、はやくも垣間見てグッときた。
『難攻不落ガール』の間奏で 「ハッ!!!」 みたいな気合十分の声出すところとか、『美女眼鏡』冒頭の 「学校じゃ目立たないメタルフレームのあの子が 本当は綺麗な大きな目をしていること」 で眼鏡をバッと外してみせるところだとか、ライブでしか味わえないパフォーマンスに心躍る。来てよかった~!!
イントロで息をのんだのは、一番大好きな『八方塞がり美人』という曲。この歌を聴いて何度頬を濡らしたかわからない。私は自他ともに認める "八方塞がり" な女なので。
「羽を休めに帰る場所などどこにもない」 「君は何度も呼んだろう 素顔でいられる人 何度も呼んだろう 憩いの場所」、あの頃はこの歌詞がどうにも刺さって、痛くて、だけど同時に 「僕は何度も呼んだよ 帰る場所はここだよ」 と歌う三浦委員長の声にひどく救われてもいた。
何度も泣きながら再生した曲をいま、イヤホン越しではない、大好きなバンドが目の前で演奏している。あの頃見つけられなかった私の居場所はここに、ライブハウスにあった。これで私は空想委員会をきちんと結べる。そう思えた。
MCについても。北海道は美味しいものが多いよね、肉も魚も野菜もぜんぶ美味しい、さっき食べたクレープもケーキも美味しかった、と列挙していく岡田さん。とうとう 「逆に北海道に美味しくないものってある?」 と言い出す。結局、客席からあがった 「ジンギスカンキャラメル」 という意見が採用された。
次に直也さんが空想委員会で初めて札幌に来たときのことを振り返る。その日はスープカレーを食べて、と思い返す直也さんの話をぶった切る脳天気なトーンで 「カレーもいいね」 とぶちかます岡田さん。しかもオンマイク。いやもう食べ物の話終わったし、という感じに笑いが起きて和やかな空気に包まれる。
ラストツアーだなんて、札幌でのライブが最後だなんて忘れそうになるほど楽しかった。知らなかった曲も好きな曲も、同じように心から楽しめた。口パクしながら見ていたら何度か直也さんと目が合って、嬉しくてほほえみ返すたびに私の倍ぐらいニッと笑ってくれた。
『桜色の暗転幕』や『純愛、故に性悪説』は胸にくるものがあった。
「外は春の風 香った 別れの季節が迫った」 と始まる『桜色~』は、「きっと桜色の幕降りて 場面は切り替わった 新たな舞台に立つ」 と希望をもって締めくくられる。『純愛~』では 「サヨナラ」 というコーラスに合わせて、バイバイするように手をゆっくり左右に振った。ちょっとだけ、泣きそうになった。
湿っぽくなんて終わらせない、とばかりに繰り出される『劇的夏革命』。
「そう、それが例えば透明少女」 と三浦委員長が告げて始まった次の曲は、なんとNUMBER GIRLの『透明少女』であった。YouTubeのリンクをツイッターに貼ったり、ライジングサンの話題にも触れていたのでまさかとは思っていたけれど。しびれた。
岡田さん、「飛行機乗ったのは空想委員会で来た北海道が初めてだから、北海道は特別。一生忘れないと思う」 といった旨のすごくいいことを言ってくれたんだけど、なにしろ噛みすぎてた。
「なんで俺ら(岡田&佐々木)が喋るとこういう感じになっちゃうんだろうね?」 と首を傾げる岡田さんに、「人生の重みが違う」 「ごはん食べたいな~とかゲームしたいな~っていう世界で生きてない」 って委員長がぴしゃりと言い放ってて笑った。
『春恋、覚醒』でひとしきり盛り上がったあとは、コールアンドレスポンスを求められた。「僕が何か言ったら、あとに続いて "ディスコ" と言ってください」 とのこと。
三浦 「チョコレイト!」
客 「ディスコ!」
三浦 「チョコレイト!」
客 「ディスコ!」
佐々木 「ウルトラソウル!」
客 「ヘイ!!!」
文字に起こすととんでもないけど、めっっちゃ楽しかった。偏差値2のコールアンドレスポンスから幕を開けた『空想ディスコ』で、moleがダンスフロアに変わる。テディさんがスティック代わりに持った空のペットボトルふたつで、完璧にドラムを叩きこなしていたのがカッコよかった。
3月の北海道によく似合う『マフラー少女』。
「寒さはじきに薄れていくだろう 知らぬ間に 君のマフラーなびいているよ 手を振るように」 という歌詞が、やさしく切ないバラードが、じんわりしみる。
ずっと楽しくて、気づいたら本編が終わっていた。メンバーが袖に消えてすぐ、観客が手拍子をしながら 「いーのこり、いーのこり」 と "居残りコール" をする。空想委員会ならではのこの独特なアンコール、好きだなあ、でももうできないのか、あれ、最後なのか、って急に終わりを実感してしまって、
メンバーがふたたびステージに現れたとき、嬉しさと寂しさが同時に押し寄せてきた。
ぐちゃぐちゃな気分を拭ってくれたのは、自分のために歌をうたっていた三浦委員長が唯一聴いてくれるお客さんたちのことを思い浮かべて書いたという『エール』。
最後の一音が止み、今度こそ袖に消えていく空想委員会をめいっぱいの笑顔と手拍子で見送って。
思ったのは、「この人たちを好きになってよかった」 ということだった。私の青春の一ページに、空想委員会の音楽があってよかった。
手拍子して居残りコールすればまた笑顔で袖から出てくるんじゃないかって、そんな気がした。ずっと好きで追いかけていたドラマの最終回を見終えたときのような気分だった。満たされているのに寂しい、不思議な感じ。でも湿っぽくなくてよかった。固く築いてきた絆を仕上げにぎゅっと締めあげる、最高の結びだった。
大好きなバンドの結びに立ち会えて幸せでした。ありがとうございました。
あおでした。