あおいろ濃縮還元

虎視眈々、日々のあれこれ

あまい泡

どうしようもなくなったのでカフェに駆け込んだ。

 

学校にいたくなかったし、家にも帰りたくなかったし人にも会いたくなくて、かといってひとりにもなりたくなかった。周りに人はいるけどひとり、みたいなのがよくて、前から気になっていたブックカフェに寄る。

 

なんていうか、ずたぼろだった。カフェじゃなくて私の話。こないだ無理がたたって1週間寝込んだ。野菜と睡眠をとるようにしてちょっと健康になったけど、忙しさの質量が変わるわけでもない。朝から晩まで学校で過ごし、残業帰りのサラリーマンに混じって電車に揺られ、家でも机にかじりつく。次から次へとタスクが積み上がる。もうずっと限界だ。

 

とある授業で失敗した。準備とコミュニケーション能力と、ほかにもいろいろ、あらゆるものが足りなかった。私のことを嫌いな男子(被害妄想とかじゃなくマジで嫌いらしい)に呆れた顔をされて、それが引き金になって、芋づる式にトラウマだった記憶がずるずる掘り起こされた。幼稚園のころのトラウマまで一気に蘇ってしまって、なんだかもう無理だと思った。

 

無理になってしまったとき、機嫌をとるパターンがいくつかある。音楽を聴く、本を読む、ライブDVDを観る、ひたすら寝る、お菓子を食べる、あったかい湯船に浸かる。それと、あったかくて甘い飲み物をのむ。今回はあったかい飲み物がほしかった。

 

 

 

私の前に、注文し慣れていないと思われる男子高校生が並んでいて、カフェオレとカフェラテのどっちがいいか小声で相談していた。ふたりがオーダーを決めるのを店員さんも微笑ましそうに見守っており、この時点でちょっと気分がほぐれた。

 

ブックカフェなので本がたくさん並んでいる。美味しい食べ物に関する本、旅行エッセイ。さらっと読めるものが多くて嬉しい。パンの写真がいっぱい載った本を手に取る横で、先ほどの高校生が 「すっげえ……」「本すげえ……」 と興奮気味に呟いていた。どこまでも微笑ましい。

 

カフェオレだかカフェラテだかよくわかんないまま頼んだコーヒーは、ふわふわした泡がいっぱい載ってた。砂糖じゃなくて牛乳の甘みがする。美味しい。嫌なこと全部どうでもよく、はならないけど、これでまた立ち直れる。私はたぶん人よりストレスに弱いけど、立ち直るスピードはめちゃくちゃ早い。

 

パンの本も、次に選んだ旅行エッセイもおもしろい。暖房もちょうどいい。空いててうるさくなくていい。カフェにありがちの大人しいBGMじゃなく、パワフルな洋楽が小さくかかってるのもいい。高校生がひとことも交わさず真剣に本を読んでいるのも併せていい。全てがちょうどよかった。また来よう、じゃなくて、絶対また来るだろうな、と思った。またこんなどうしようもなくなった日に。

 

がんばる。あおでした。