あおいろ濃縮還元

虎視眈々、日々のあれこれ

引火

中高生のころは、ライバルのおかげでがんばれていた。ライバルといっても一方的に目標にしていただけで、相手にならないぐらい弱っちかったんだけど。

 

 

中学時代、クラスメイトに片想いしていた。勉強のできる人だった。天才型じゃなく、淡々と努力を重ねて結果を出す秀才タイプ。いつも学年5位以内をキープしていて、20位あたりでじたばたもがいていた私は勝手にライバル心燃やしていた。足元にも及ばないのが悔しかった。

ここで 「〇〇くん頭いいんだ~!かっこいい~!」 じゃなく 「絶対いつか負かす…」 となっていたあたり我ながらクソ可愛げない。

 

あるとき、別のクラスメイトがその人に、テスト期間どのくらい勉強しているか尋ねていた。自慢したりイキる感じでもなく 「休日は8時間くらい」 となんでもないことのように答えていて、クソ可愛げのない私は 「えっ努力家~!かっこいい~!」 なんて思うはずもなく 「じゃあ私は9時間やって期末テスト勝とう」 とクソ可愛げのない決意を固めた。

 

さすがに9時間は厳しかったものの8時間ノルマをなんとかこなし、めきめき点数を伸ばした。好きな人に勝ちたいという、不純だか純粋なんだかわかんないガソリンで突っ走り続けられた。

 

1度だけ社会のテストで勝ったことがある。といっても5点差くらいではあったけど。いつも冷静沈着なその人が、ちょっと動揺するような表情を浮かべたのをいまでも覚えている。

 

 

 

 

 

高校時代の親友も、やっぱりベスト5に食い込むぐらい頭がよかった。天才型であり努力型でもある強敵。

 

ここでもまた私は、彼女に1度でいいから勝ってみたい、と敵対心をむくむく燃やすことになる。ただ秀才と違って天才に勝つにはかなりの努力がいる。ノートをまとめ、教科書を熟読し、問題集を何周もした。ほかにもいろいろやった。それでも適わなかった。あと少しのところまで近づけたと思えば、しれっと大差をつけて引き離していく。

 

どうしても届かない彼女の背中を3年間追いかけて、ついに追い越すことはなかったけど、私にしてはなかなかの結果を打ち出すことはできた。いつか勝ってやるって無謀にも意気込むことがなければ、到底行けなかったところまで来れた。

 

 

 

 

私の場合、手が届かないほど高い目標に向かって背伸びし続けると、とんでもない伸びしろが生まれることがある。だから、高い目標や手強いライバルを設定することでモチベーションを高めていた。のだけど。

 

大学に入ってからはこれという目標もライバルもなく、燃え尽き気味に日々を消化していた。心の底から目指したいというものもなく、切磋琢磨どころか周りの人はいかに楽に単位を取るかしか考えておらず、つまんなかった。ずっとなにかが欠けていた。

 

 

 

嫌いな先生がいる。たとえるなら『獣になれない私たち』に出てくる怖い上司に似ている。見た目じゃなくてあのイライラ怒鳴りつけてくる感じが。『セッション』の鬼指揮者にも似てる。すぐ怒鳴るし口悪い。

 

こんなのもわかんないのはお前らが全然勉強してねーからだよ、って毎回のように教室ごと叱り飛ばす。大声をあげられるのも嫌だし、ほんとうになにも勉強してない人たちとひと括りに怒鳴りつけられるのも嫌だしで、いつも怖いの通り越して腹が立つ。すっっごいむかつく。生徒のためを思って言ってくれてることはわかるけど。

 

そんな感じだから、受講者はみるみる減っていく。そりゃ私もやめたいけど、絶対やめてなんかやらない。理不尽ならまだしも、正当な理由で叱られているのに逃げるようなことはしたくない。所詮その程度だってあの先生に切り捨てられるのは我慢ならない。

 

勉強してないやつと一緒にされたくなくて、でも胸を張れるほど私もがんばれてはいなくて、すごい悔しくて、ああわっかんねえちくしょうって感じで、ぐちゃぐちゃで。でもそれが刺激になってることに薄々気づいてた。ずっとくすぶっていた火が、音を立てて燃えはじめたような気がしていた。

 

あー、これかも。ずっと足りなかったもの。憧れと悔しさとじゃ全くベクトルは違えど、「こうなりたい」 「こうしたい」 と強く思える、という点では同じだ。

 

鼻をあかしたい。ぎゃふんと言わせたい。絶対に屈したくない。負けたくない。かつて 「勝ちたい」 「追い越したい」 と思ったときと同じくらい強い願望が芽生えていた。ようやく長いスランプを抜けた気がした。まだとっかかりを見つけただけで、ここからが長いんだけど。

 

ライバルってよりかはラスボスだけどさ。ライバルを追い越すより、ラスボスを倒すほうがやり甲斐があっていいじゃん。燃える。

 

いつか寝首掻っ切るからせいぜい油断して待ってろよ、という気持ちでいっぱいです。あおでした。