あおいろ濃縮還元

虎視眈々、日々のあれこれ

エイプリル、1日前

3月31日、mol-74のライブを観た。

 

夜から朝へ、冬から春へ。そんなコンセプトを見事になぞる美しいライブだった。

 

 

 

mol-74、読みはモルカルマイナスナナジュウヨン。愛称モルカル。なぜこんな読み方をするのかについてはボーカル武市さんの固定ツイートを参照していただきたい。

 

札幌SOUND CRUEという150人収容のライブハウス、その最前列に陣取った。柵からステージまでは、ありえない近さ。たぶん手伸ばしたら届くぐらい。

 

モルカルの曲をあまり知らない状態で行ったので、何歌ったかそんなに覚えていない。ただ、知らなくても何も問題ないぐらい引き込まれるステージだった。

 

 

 

ボーカル武市さんは、ギターはもちろんキーボードも弾く。ギターのとぅんさんはエレキからボウイング奏法まで自在にこなし、時に小さなドラムも叩く。高橋さんはベースを置いてコーラスに徹することもあるし、坂東さんはエゴサしまくるし、まあとにかく、4人が4人ともひとりぶん以上の働きをする。

 

ボウイング奏法、というのがある。バイオリンの弓のようなものでギターの弦を弾くと、バイオリンのような音色を生み出すことができる。ギターからあんな音が出るなんて初めて知った。

 

4人編成のバンドでありながら、キーボードやバイオリンの音色をも奏でられるから、こんなにも音に深みがあるんだろうな。

 

 

ライブ中、音の波に心地よく飲まれるような、不思議な感覚にずっと包まれていた。

夜明けのつめたい静けさ、冬の厳しさが徐々に明けて、雪が融けていく。朝の陽射しがやわらかく差し、花が芽吹いていくような。そんな季節の息吹を感じる音が目の前で紡がれていく。

 

 

 

 

 

前述の通り、このライブは3月31日に行われた。4月という新しい月、エイプリルの1日前。

 

『エイプリル』という曲がある。なんの変哲もない4月の街並みの中で、奇跡のように始まって必然のように終わった恋のことを静かに思い返す歌。私は失恋ソングが大好物なので、どうしてもこの曲を聴きたかった。

 

綺麗な映画を観たあとにふと君を思い出した」 という歌い出しから胸がキュッとなる。楽しい映画でも切ない映画でもなくて、綺麗な映画。君といて楽しかったとか別れて悲しかったとかじゃなくて、もう既に君とのことは綺麗な思い出になっているのだ。

 

ねえ

エイプリル

僕は変わった?

エイプリル

君は変わった?

いつもいつまでも続いていくような気がしていた午後

 

 

私は失恋ソングが好きだけど、自己投影して聴くことはない。back number の『幸せ』とか、My Hair is Bad の『真赤』とか、そうした体験がなくても感情移入して切なくなってしまうような、思わず心を動かされてしまう曲が、優れた作品として好きだ。

 

『エイプリル』のような失恋もしたことないから自己投影ももちろんしない (できない) のだけど、この曲を聴いているあいだ、2年前の3月31日のことを思い出した。4月、翌日から始まる大学生活を目前にしていた時のこと。

 

颯爽と街を歩く人たちのなかで、自分だけが浮いている気がした。私だけ取り残されている気がした。混み合う街のなかで強烈に感じた孤独を、息もできないほどの不安を、覚えている。

 

2年後、奇しくも3月31日、あの日から今日まで私は何を手に入れた?どう変わった?また明日から新学期が始まる。これから何ができる?どう変われる?そんなことを思った。切ない歌声に揺さぶられて、気づいたら手を振っていた。今日この曲が聴けてほんとうによかったな、と思った。

 

 

 

いつかは Zepp Sapporoで、という武市さんの言葉を忘れない。いつかZeppで演る日を楽しみにしてる。『%』で2000人がハンドクラップする光景を見たいし、その中のひとりになりたい。また北海道へお越しください。

 

 

 

1曲1曲が切なくてあたたかくて美しくて、1時間40分ほどのステージを観終えたあとには、頭のてっぺんから爪先まで幸福感で満ちていた。親しい友人とお酒を飲んだ帰りみたいな、ふわふわした気分。

 

 

エイプリルの1日前、こんなに美しいライブを観られてよかったな。明日からがんばろ、と素直に思えた。

 

 

 

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リストバンドはソーダ色。サクラと2色展開だったのだけど、札幌ではどちらも完売してたっぽい。かわいいもんね。あとこのステッカー、なんと200円。最高。モルカルはグッズまで最高。

 

今月いっぱいは『エイプリル』聴き倒そうと思います。あおでした。