読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

自分探しの旅、だと?

「新しい自分を探しに」 旅行する、とのたまう人種が私は苦手だ。

 

旅くらいで新しい自分は見つからない。ていうか見つかったことねーよ。物心つく前からあちこち旅して、いまではバイト代を旅費につぎ込んでいる私に言わせれば。

 

「新しい自分」 なんてものが鴨川のほとりに、スカイツリーの展望台に、アンコールワットに、エアーズロックに、無造作に転がっていると思う? 笑わせんな。

 

 

 

旅をすることで見えてくるものは、「自分のありのままの身の丈」 しかない。

 

 

いまの自分に足りないものを見つめなおせるのが、旅だ。計画性のなさ、語学力の未熟さ、そうした色々な甘さ。うまくいかなかった悔しさが未来の自分を育ててくれるということはよくある。

 

逆に、いままで知らなかった長所に出会えるかもしれない。眠っていたリーダーシップが急に目覚める、みたいなこともある。劇場版になったとたん頼もしさを発揮しだすジャイアンのように。

 

旅をするごとに、私は己の身の丈を知る。思ったよりひとりで何でもできるけど、ひとりだとすぐ迷子になること。時間管理が甘っちょろいこと。飛行機は得意だけどJRは苦手なこと。複数人で旅行をすると、いつもよりカリカリしてしまうこと。それと、私は心底旅行が好きだなあということ。旅行に携わる仕事もいいんじゃないかなあということ。

 

 

なかには旅先で出会った光景に感化されて、ひょいっと将来の夢を定める人もいるかもしれない。「決めた!フラダンサーで食べていく!」 みたいな。極端だけど。

 

でもそんなふうに、旅先で新しい自分を見い出せる人はひと握りだと思う。私が旅行に関係する仕事もいいなあとぼんやり思ったのは、旅を通してありのままの自分を見つめた結果だ。

 

夢が、スクランブル交差点にいきなり落ちていたわけじゃない。ずっと握りしめていた地図帳のなかに、これまで見落としていた小さな町に気づいただけ。っていえば伝わるかなあ。

 

新しい自分を見つけるためだけに旅に出るという行為は、とんでもなく燃費が悪い。旅は、新しい自分を見つけるためのものじゃなく、初めから持っていた自分にふと気づかされるものだと思う。

 

良い旅を。あおでした。