あおいろ濃縮還元

虎視眈々、日々のあれこれ

人間集会

パノラマパナマタウンの初全国ワンマンツアー 「HUMAN PARTY」、通称 「人間集会」 の札幌公演を観た。

 

予定が怪しくて諦めていたのだけど、奇跡的にスケジュールが空き、さらに当日券が出ると知り。徹夜明けで帰宅した1時間後にはライブハウスに向かっていた。めちゃめちゃ衝動で生きてる。

 


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バンTとラババン完備しててよかった~~

 

 

 

札幌は SPIRITUAL LOUNGE、120人収容のどミニマムなライブハウス。岩渕さんの愛してやまない狸小路商店街がすぐ近くにあり、このハコ岩渕さんのために建ってるような立地だな……と思ったら案の定行ってらした。

 

ここからがっつりネタバレするので、セトリ知りたくないかたは回れ右お願いします。

 

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入り口にどでかいサイン入りポスターあって照れた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【セットリスト】

Top of the Head

$UJI

マジカルケミカル

SHINKAICHI

Sick boy

月の裏側

シェルター

Gaffe

真夜中の虹

Waterfront

Who am I??

distopia

くだらnation

PPT

ロールプレイング

フカンショウ

MOMO 

めちゃめちゃ生きてる

 

【アンコール】

俺ism

世界最後になる歌は

 

【ダブルアンコール】

いい趣味してるね

 

 

(セトリ見つけられなかったので、別公演のセトリを参照&記憶を頼りに仕上げました。曲順ミス、記入漏れご了承ください)

 

 

 

 

『Top of the Head』、歌詞が刺さりまくった。「駆け出していけ何回でも この単調な毎日を変えて 最高潮イメージを積み重ねて それを人生と呼び叫ぶだけさ」 と全力振り絞ってうたう岩渕さんを目の当たりにして、雷に打たれたように痺れた。

 

私の人生これからどうなるんだろう。生きるってなんだろう。人生ってなんだろう?最近そんなことばかり考えていた。考えすぎては眠れなくなって、悶々と夜を明かす日々が続いていた。

 

だから 「駆け出してく何回でも 単調な毎日を変えてく それを人生と呼び叫べばいい」 なんて、いきなり答えで殴られた気がして、感動だとか安堵感だとかいろんなものがいっしょくたに込み上げて、まだ1曲目だったけどここに来れて本当によかったと思った。

 

 

 

と、真面目にそんなことを考えていたのもここまでで『$UJI』からはずっと激しく動いていたので記憶ぶっ飛んでる。それぐらいアツかった。

 

 

ニューアルバム 「情熱とユーモア」 からの新曲はもちろん、これやってくれるんだ!これも聴けるの?!という曲もたくさんあった。新曲も昔からの曲も、4人の手にかかれば違和感なくひと繋ぎの物語になる。

 

 

言葉の波を自由に泳いでいく、岩渕さんの歌詞とボーカルが好き。複雑に絡みあうリリックを難なく編み上げたかと思えば、魂の叫びをこれでもかとぶつける。それを柔軟に受け止めては、何倍にもアツく増幅させる演奏。かっこいい。かなわない。

 

パノラマパナマタウンのライブに行くと、最高に生きてるって感じがする。音楽も生き様もめちゃめちゃかっこいいから。

 

「なにか夢を、夢と呼べるものでなくてもいいから、なにかひとつを大事にしろ。道がなければ自分で作ればいい。自分の人生を生きろ」 といったニュアンスのMCが、泣きそうなぐらい響いた。

祖父の家が北海道にある岩渕さんの地元愛に溢れたMCではたくさん笑った(ウケたという意味じゃなく、わかる~!あるある~!って終始ニコニコしてた)。

 

涙腺も表情筋もフル稼働して、このところ錆びついていた感情が柔らかに解きほぐされていくようだった。ああ、生きてるなあ、って思った。

 

 

『Waterfront』音源でもよかったけど、生で聴くとことさら染みた。曲に入る前に言っていた 「俺たちは水際」 みたいな、韻踏んでたやつ、すごく感動したのに忘れてしまった……。

 

 

『PPT』の歌詞がガラッと変わっててびっくりした。パノラマパナマタウン、略してPPTの4人についてそれぞれラップで紹介していく曲。音源のも良いけどこっちのバージョンのほうが笑えて好きかも。

 

 

『ロールプレイング』『フカンショウ』『MOMO』『めちゃめちゃ生きてる』と、新旧の名曲が交互に繰り出される流れがあまりに美しくて舌を巻く。どの曲も引けを取らないほど爆発的に盛り上がる。

 

 

パノパナのライブで『フカンショウ』を聴いているとき、生きている感じが脈々とする。跳んで、ノッて、「ほっといてくれ!」 に合わせて拳突き上げて、「知らねえよ」 って声張り上げて、音楽とぐちゃぐちゃに混ざりあうあの感じ。あの気持ちよさは一度知ったら抜け出せない。

 

『めちゃめちゃ生きてる』も然り。動きすぎてほぼ記憶ないけど、「遊園地よりも映画より ここで生きてる それが幸せ」 って歌詞に顔がほころんだ。遊園地より映画より、ここで、ライブハウスで汗だくで好きなバンド観てるのがいちばん幸せだから。

 

 

 

 

本編、2秒くらいで終わった気がする。体感。そのぐらい最高だった。

 

アンコール1曲目は『俺ism』。「いつまで経っても悩んでるのは 君が誰とも似てないからだぜ」 って歌詞が特に好き。

 

 

そしてアンコールラスト『世界最後になる歌は』。この曲、岩渕さんが客席のど真ん中に降り立って合唱を煽るパフォーマンスがある。岩渕さんが客席に降りたったとき、ちょうど目の前、拳が触れ合いそうな距離まで来て頭が真っ白になった。汗が飛んでくるぐらい近かった。

 

客席ど真ん中で歌っていた岩渕さんは、おもむろにドリンクカウンターのほうへ向かったかと思うと、足をかけてよじ登り始めた。天井に手が届く。尋常じゃなく舞った埃をモロに吸い込んでしまい、本気でむせていた。ドリンクカウンターによじ登って天井の埃吸ってむせるボーカル、岩渕さんしか知らない。好きだ。

 

そのまま煽られて歌った 「世界最後になる歌はこんなもんでは伝わらないかもしれない 世界最後になる歌はこんなもんでは伝わらない」、最高に楽しかったな。

 

 

 

 

 

完全燃焼して袖にはけていく4人。なんと、再度アンコールを求める手拍子が間髪入れずに響いた。

 

綺麗な大団円だってわかってた。でも足りなかった。まだまだ熱狂の渦のなかにいたかった。

 

どんどん大きくなっていく手拍子を受け、4人がまた姿を現した。お前らなあ、とでも言いたそうな笑顔を浮かべて。こんなの想定外だったらしい。撤収準備を始めようとしていたスタッフさんにもうちょっとやってもいいかガチで聞いてた。

 

「欲しがるなぁ~!!」 ってすごく嬉しそうに笑う。初ワンマンやる土地でダブルアンコールまで呼ばれたらそりゃ嬉しいだろうなあ。

 

岩 「じゃあ や~ろっかなーー!!」

客 「イエーーー!!!」

岩 「や~~ろっかなー!!」

客 「イエエーー!!!」

岩 「や~んないっかな~?」

客 「えええーーーー??!!!」

岩 「や~ろっかなー!!」

客 「イエエエーーーーイ!!!!」

 

このくだり超楽しかった。一体感すごかった。

 

 

北海道でライブをするどのバンドも、「北海道の盛り上がりはすごい」  と必ず言う。正確にはちょっと違う。北海道の客はとても素直だ。良くないものにはそれなりの反応しか返せない。その代わり、良いものを見たときの爆発力が凄まじい。心から楽しんでることがわかる盛り上がり方をする。

 

この日のライブはその最たるものだった。現に熱烈なダブルアンコールに成功したわけで。

 



「こんなの(ダブルアンコールするの)本当にここだけだぜ」 と笑い、

「いい趣味してるね」。

 

 

ラクラした。まさにその曲振りで『いい趣味してるね』をいつか聴いてみたいと思っていたから。本来ありえなかったダブルアンコール。やるはずのなかった曲。

 

今度こそ最後のナンバーは、やっぱり尋常じゃなく盛り上がって終わった。

 

 

 

 

 

これで初ワンマンツアーだなんて行く末が恐ろしい。こんなにもアツいバンド、もっともっといろんな人に目撃してほしいと思う。

 

 

 

 

終演後、岩渕さんが物販に立ってくれていた。私もラババンを手渡しで買い、お話することができた。あんなに圧倒的なライブしてた人が、ステージ降りると気さくな優しい兄ちゃんなのずるくない?あと背高くてスタイルもいいのに顔はちっちゃいのもずるくない……?

 

 

 

楽しかったな、って何回言っても足りないくらい楽しかったな~~~!!!

また行くからまた来てね。めちゃめちゃ待ってる。

 

あおでした。

 

吸い殻のルージュ

たとえば写真。今の時期ならば桜の花。元から美しく在るものを、ことさら美しく切り取ることはそれでいて素晴らしいのだけど、私は薄汚れたものの中に光る埃まみれの美しさを拾いたい。灰皿に打ち棄てられた真っ赤なルージュのついた吸い殻の写真、みたいな。わかりやすく写真に例えたけれど、私は文章でそれをやりたい。

 

 

高校のころ1年だけ、文芸部で短歌やら短編小説やらを書いていた。大会に出した、後味の悪すぎる血みどろのミステリーは、「高校生らしくなくて審査員受けしない」 という理由でろくに読んでもらえなかった。

 

それを差し引いても未熟だったのだと今ならわかるけど、文章と伏線には自信があって、審査員にベタ褒めされて受賞した 「高校生らしいだけ」 の作品と比べてどこが駄目なのか、どうしても納得できなかった。

 

"高校生らしい" ハートフルでお涙頂戴なサクセスストーリーだから何だというんだろう。「1年生にしては上手いけど……」 の、「けど」 の後に続く言葉は何なんだろう。明らかに審査員受けを狙った、美しいだけの媚びた物語になんか負けたくなかった。

 

1年生にしては上手いとか、でも筋書きが高校生らしくないとか、そんなのどうでもいいから生身剥き出しで書いた醜い物語を読んでくれよと思った。受賞するには下手だとか後味が悪くて好みじゃないから賞はあげられない、みたいに、はっきりしっかり傷つけてほしかった。

 

だけどその話を好きだと言ってくれる人もいた。伏線に気づいてから何度も読み返してくれた先輩や、目を輝かせて感想を言ってくれたクラスメイトや後輩の顔を、ずっと忘れられない。100人に刺さる綺麗事で塗り固められたおとぎ話より、99人に気味悪がられても1人にだけ刺さるものが書きたいと思った。

 

 

これから、卒業制作(のようなもの)で長編小説を書く。あのとき噛み締めた悔しさの味をいまでも覚えている。教授受けなんてどうでもいい。お行儀のいい綺麗なフィクションなんて書かない。ドロドロに汚い感情を、自分の血肉を切り売りした醜い話を、私なりの美学をもって美しく書きたい。

 

それで認められたら、あるいは認められなくても自分で納得できるものを作れたなら、私はぶじに復讐を果たせるだろう。悔しくて涙もでなかった16歳の私のかわりに、あれから虎視眈々と言葉のナイフを研ぎ澄ませてきた。心臓をひと突きする準備ならできてる。待ってろ。

 

空想委員会を結んだ日

3/16、空想委員会のラストワンマンツアーを観た。

 

空想委員会はこのラストワンマンツアー 「結び」、およびツアー番外編である4/1の 「〆」 をもって現体制での活動を終了する。

 

札幌 Sound Lab mole、空想委員会が初めて札幌でワンマンをした、商店街の中にあるライブハウス。私が初めて彼らを観たライブハウスでもある。感慨深い。

 

 

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偶然うつりこんだ光がなんかいいかんじ

 

 

開演10分前にすべり込む。最後だからといって湿っぽいムードが漂っているでもなく、みんな思い思いのグッズを身につけてそわそわ開演を待っていた。

 

空想のライブは2度見たことがある。ワンマンとサーキットイベントで1回ずつ。どちらも素晴らしくて大満足だった。でも、終わってしまう前にどうしても聴きたい曲があって、それを生で聴かなければ私は空想委員会をきちんと結べないと思った。

 

 

 

 

【セットリスト】

  1. エンペラータイム
  2. 切illing Me Softly
  3. 難攻不落ガール
  4. カオス力学
  5. 八方塞がり美人
  6. 僕が雪を嫌うわけ
  7. 桜色の暗転幕
  8. 知る権利
  9. ドッペルゲンガーだらけ
  10. 純愛、故に性悪説
  11. 劇的夏革命
  12. 透明少女(NUMBER GIRLカバー)
  13. 波動砲ガールフレンド
  14. 美女眼鏡
  15. 千里眼
  16. 完全犯罪彼女
  17. 春恋、覚醒
  18. 空想ディスコ
  19. マフラー少女

En. エール

 

 

 

 

一曲目、『エンペラータイム』(歌詞に 「札幌」 と組み込んでくれた)から盛り上がりまくった。最後列でゆったり観ようと思っていたのに、気づいたらぴょんぴょん跳んでた。

 

三浦委員長の心なしかいつもより気合いの入ったボーカル、ニコニコ楽しそうにベースを弾く岡田さん、全力でギターを鳴らす直也さんと、メンバーの後ろで時折口ずさみながらドラムを叩くテディさん。

 

一音一音に応えるように、手を挙げたり跳んだりクラップしたり固唾をのんだり歓声をあげたり、すべて受け止めて打ち返す観客。長い時間をかけて積み上げてきた信頼関係の集大成を、はやくも垣間見てグッときた。

 

 

『難攻不落ガール』の間奏で 「ハッ!!!」 みたいな気合十分の声出すところとか、『美女眼鏡』冒頭の 「学校じゃ目立たないメタルフレームのあの子が 本当は綺麗な大きな目をしていること」 で眼鏡をバッと外してみせるところだとか、ライブでしか味わえないパフォーマンスに心躍る。来てよかった~!!

 

 

イントロで息をのんだのは、一番大好きな『八方塞がり美人』という曲。この歌を聴いて何度頬を濡らしたかわからない。私は自他ともに認める "八方塞がり" な女なので。

 

羽を休めに帰る場所などどこにもない」 「君は何度も呼んだろう 素顔でいられる人 何度も呼んだろう 憩いの場所」、あの頃はこの歌詞がどうにも刺さって、痛くて、だけど同時に 「僕は何度も呼んだよ 帰る場所はここだよ」 と歌う三浦委員長の声にひどく救われてもいた。

 

何度も泣きながら再生した曲をいま、イヤホン越しではない、大好きなバンドが目の前で演奏している。あの頃見つけられなかった私の居場所はここに、ライブハウスにあった。これで私は空想委員会をきちんと結べる。そう思えた。

 

 

 

MCについても。北海道は美味しいものが多いよね、肉も魚も野菜もぜんぶ美味しい、さっき食べたクレープもケーキも美味しかった、と列挙していく岡田さん。とうとう 「逆に北海道に美味しくないものってある?」 と言い出す。結局、客席からあがった 「ジンギスカンキャラメル」 という意見が採用された。

 

次に直也さんが空想委員会で初めて札幌に来たときのことを振り返る。その日はスープカレーを食べて、と思い返す直也さんの話をぶった切る脳天気なトーンで 「カレーもいいね」 とぶちかます岡田さん。しかもオンマイク。いやもう食べ物の話終わったし、という感じに笑いが起きて和やかな空気に包まれる。

 

 

 

ラストツアーだなんて、札幌でのライブが最後だなんて忘れそうになるほど楽しかった。知らなかった曲も好きな曲も、同じように心から楽しめた。口パクしながら見ていたら何度か直也さんと目が合って、嬉しくてほほえみ返すたびに私の倍ぐらいニッと笑ってくれた。

 

 

『桜色の暗転幕』や『純愛、故に性悪説』は胸にくるものがあった。

外は春の風 香った 別れの季節が迫った」 と始まる『桜色~』は、「きっと桜色の幕降りて 場面は切り替わった 新たな舞台に立つ」 と希望をもって締めくくられる。『純愛~』では 「サヨナラ」 というコーラスに合わせて、バイバイするように手をゆっくり左右に振った。ちょっとだけ、泣きそうになった。

 

 

湿っぽくなんて終わらせない、とばかりに繰り出される『劇的夏革命』。

「そう、それが例えば透明少女」 と三浦委員長が告げて始まった次の曲は、なんとNUMBER GIRLの『透明少女』であった。YouTubeのリンクをツイッターに貼ったり、ライジングサンの話題にも触れていたのでまさかとは思っていたけれど。しびれた。

 

 

 

岡田さん、「飛行機乗ったのは空想委員会で来た北海道が初めてだから、北海道は特別。一生忘れないと思う」 といった旨のすごくいいことを言ってくれたんだけど、なにしろ噛みすぎてた。

 

「なんで俺ら(岡田&佐々木)が喋るとこういう感じになっちゃうんだろうね?」 と首を傾げる岡田さんに、「人生の重みが違う」 「ごはん食べたいな~とかゲームしたいな~っていう世界で生きてない」 って委員長がぴしゃりと言い放ってて笑った。

 

 

 

『春恋、覚醒』でひとしきり盛り上がったあとは、コールアンドレスポンスを求められた。「僕が何か言ったら、あとに続いて "ディスコ" と言ってください」 とのこと。

 

三浦 「チョコレイト!」

客 「ディスコ!」

三浦 「チョコレイト!」

客 「ディスコ!」

佐々木 「ウルトラソウル!」

客 「ヘイ!!!」

 

文字に起こすととんでもないけど、めっっちゃ楽しかった。偏差値2のコールアンドレスポンスから幕を開けた『空想ディスコ』で、moleがダンスフロアに変わる。テディさんがスティック代わりに持った空のペットボトルふたつで、完璧にドラムを叩きこなしていたのがカッコよかった。

 

 

3月の北海道によく似合う『マフラー少女』。

寒さはじきに薄れていくだろう 知らぬ間に 君のマフラーなびいているよ 手を振るように」 という歌詞が、やさしく切ないバラードが、じんわりしみる。

 

 

ずっと楽しくて、気づいたら本編が終わっていた。メンバーが袖に消えてすぐ、観客が手拍子をしながら 「いーのこり、いーのこり」 と "居残りコール" をする。空想委員会ならではのこの独特なアンコール、好きだなあ、でももうできないのか、あれ、最後なのか、って急に終わりを実感してしまって、

 

メンバーがふたたびステージに現れたとき、嬉しさと寂しさが同時に押し寄せてきた。

 

ぐちゃぐちゃな気分を拭ってくれたのは、自分のために歌をうたっていた三浦委員長が唯一聴いてくれるお客さんたちのことを思い浮かべて書いたという『エール』。

 

最後の一音が止み、今度こそ袖に消えていく空想委員会をめいっぱいの笑顔と手拍子で見送って。

 

思ったのは、「この人たちを好きになってよかった」 ということだった。私の青春の一ページに、空想委員会の音楽があってよかった。

 

 

手拍子して居残りコールすればまた笑顔で袖から出てくるんじゃないかって、そんな気がした。ずっと好きで追いかけていたドラマの最終回を見終えたときのような気分だった。満たされているのに寂しい、不思議な感じ。でも湿っぽくなくてよかった。固く築いてきた絆を仕上げにぎゅっと締めあげる、最高の結びだった。

 

 

 

 

 

 

 

大好きなバンドの結びに立ち会えて幸せでした。ありがとうございました。

あおでした。

 

ハイウェイ染める

人生ってなんなんだろう、って考えすぎては眠れなくなっていた。春休みの間じゅうそんな思いが拭えなかった。すべてやめてしまいたかった。春休みに終止符を打つように、駆け込むみたいに予定を入れたここ数日が、灰色がかっていたメンタルに一気に色をつけた。

 

バイト先の同期たちと遠方までドライブしたこと。バイト終わりにそのまま飲むことが多かったから、昼に待ち合わせて出掛けるのは初めてだった。たくさん話して笑った、その内容は忘れても、夜の高速道路で聴いたソラニンをずっと忘れられない気がする。カーステレオに被せるように合唱した小さな恋のうたも。

 

当日券で見たパノラマパナマタウンのライブ。人生に悩む私に、なにを迷うことがあるんだってやさしく叱り飛ばしてくれるような熱いステージを、いま見ることができて本当に良かった。120人収容のライブハウスは頬に汗が飛んでくるくらい狭くて、4人と観客の生み出す熱狂をダイレクトに感じられた。あまりにも最高だった。

 

大好きな友達と酌み交わした安酒。学校と就活のことは禁句にしようと決め、やたら濃いサワー片手にくだらない話をし続けた。中学を卒業して以来、腫れ物を扱うように避けていた当時の恋の話もした。ずっと聞きたいことも話したいこともあったのに、切り出すまでに7年を要した。簡単に答え合わせをして終えたこの話を、次にするのはいつになるだろうか。

 

とりあえず、日付け変わって今日から学校に行かねばならないこと、壮大なエイプリルフールだったらいいなと思いながら寝る。

あおでした。

 

 

納豆巻きとミルクティー

いい感じに飲んだ日の帰り道はなぜか必ず自販機であったかいミルクティーを買ってしまうし、朝までベロベロに飲み明かしたときは絶対コンビニの納豆巻きを買って帰る。なんなんだろう、あれ。酔ってるときに欲するものが本当に欲しいものなんだろうとは思うけれど、それにしても納豆巻きはなくない?どんな深層心理してんだろう私。

 

今年のはじめ、フェスでプラスチックのカップに入ったビールで乾杯してみたいから今年こそビール飲めるようになりたいって息巻いていた。そしたら一月中にまんまと飲めるようになり、早々に今年のちいさな目標を達成してしまった。もう普通に飲める。大きな目標としては、毎年掲げ続けてる 「いい女になる」 もしくは 「かっこいい人間になる」 っていうのがあるんですけど、こっちはいささか難しすぎる。自分じゃあんまり変われてるのかわからないし。中ぐらいの目標も立てておこうかな。なにがいいかな。

 

あーあ、眠たい。慢性的に眠たいのに不眠症こじらせてるのどうにかならない?なにも得しない。冬眠できたら幸せなのに。なぜ私はクマに生まれなかったのか。もう何言ってんだかわからなくなってきたので寝ます。美味しいお酒飲んでちょっぴり酔ってる。あおでした。

 

深淵を

地震速報のアラームを聞きながら思い出したのは9月のことだった。北海道で起きた大きな地震、被災という被災をしたわけでもないけれど、あのときのことは一生忘れないと思う。

 

 

 

明日の朝は目覚めないかもしれない。知らぬ間に津波の濁流に飲み込まれるかもしれない。瓦礫の下敷きになっているかもしれない。絶対に生きてやるという気持ちと、明日死んでも一切の悔いがないようにしようという相反する思いを強く抱えたまま過ごした数日間を忘れない。

 

もっと生きたい。でもいつでも幸せに死ねる。そう思って遺体確認のために特徴的なピアスと指輪をつけて過ごしたことを。私はあのとき、ほんとうに、死ぬ覚悟を決めたのだ。

 

 

 

昨夜、街灯の少ない夜道をひとり歩いていた。ポケットのなかで音が爆発した。取り出したスマートフォンが、地震速報です強い地震にご注意くださいとけたたましく叫ぶ。なにが起こったか把握する隙も与えずに、街路樹が強く枝を揺らしはじめた。あ、死ぬかもしれない、と思った。木と街灯が倒れてこないように気をつけながら、家までの道をひた走った。

 

結果からいうとなにもなかった。倒壊も怪我もない。無事だったけれど、こないだの地震がわりとトラウマになっていると気づいた。警報音を聞いたとき、心から死を覚悟したあのときのことがまざまざと蘇ってきた。

 

このまま何事もなければいい。そう思いながらも寝つけなかった。死について考えた。もし私があっさり亡くなったとしても、SNSで繋がっている友人たちにそのことを知らせる術はない。なんか呆気なくてさみしい。

 

ただ、もしいま死んだとしても悔いはないと思った。やりたいことはまだ無限にあって、せめて還暦までは生きるつもりだけど。でも。環境や人間関係にすごく恵まれて、好きな音楽に夢中でいられて、好きなことに打ち込んでいられて、もしこのまま目覚めなくても特に悔いもなく幸せに終われると思った。そのことに気づけたのは大きい気がする。

 

 

まだ怖いことに変わりはないけど、精一杯やるから。幸せだから心配すんな。ね。自分でもなにが言いたいかよくわからないけど。あいつのことだからどうせしぶとくやってるだろ、って思っといてもらえれば嬉しいです。

あおでした。

 

フレデリズム2

2月20日、三原兄弟の誕生日にリリースされた13曲入りフルアルバム 「フレデリズム2」。

 

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お洒落ぶってるけどマニキュアはみ出てるの内緒

 

 

たくさん聴いて噛みしめていくうちに見える景色も変わってくるだろうから、リリースしたてのいま、新鮮な気持ちで聴いた印象を書き留めておこうと思う。

 

フレデリックのCDで好きなのは、初回盤が紙ジャケットなところ。歌詞カードにも遊び心があって楽しい。CDのいいところって、音楽を文字通り手に取って、目でも手でも楽しめるところだと思うから。

 

 

01. LIGHT

フレデリック第2章、その幕開けにふさわしい曲。持ち味を残しながらも新しく進化した研ぎ澄まされたダンスミュージック。身も心も踊らざるを得ない、こんな格別のサウンド

フレデリック「LIGHT」Music Video / frederic “LIGHT” -2nd Full Album「フレデリズム2」2019/2/20 Release- - YouTube

 

 

02. かなしいうれしい

フレデリックの曲はイントロでわくわくすることが多くて、『かなしいうれしい』はその代表格。

私が本格的にファンになったのがこの曲をリリースする少し前だったので、フレデリックを好きになりたての頃の気持ちとか、ライブハウスで力いっぱいハンドクラップしたこと、その熱気、いろんなことを思い出す。

<TVアニメ「恋と嘘」OPテーマ>フレデリック「かなしいうれしい」Music Video -2nd Full Album「フレデリズム2」2019/2/20 Release- - YouTube

 

 

03. エンドレスメーデー

これもイントロでオチた。演奏めちゃくちゃかっこいい。疾走感。

夏の最後」 と 「夏の太陽」 で韻踏んでるところ気持ちいい。「想像しないで表面掬って簡単な言葉言ってませんか」 とハッとする歌詞が急に出てきたり、あ~やっぱり演奏かっこいい、声がいい、って目まぐるしく思う間にバシッと痺れるラストが訪れる。エンドレスに聴いていられる。

 

 

04. 対価

いきなり 「間違ってたんだな」 と始まり、一瞬で引き込まれる。フレデリックは、というか康司さんは、冒頭からぐっと惹きつけていく音作りが巧すぎる。ゆっくりフェードアウトしていく最後まで耳が離せない。

初見ではメロディーの心地良さに惹かれたけれど、じっくり歌詞を噛みしめて何度も聴くうちにまた違った色がみえるんだろうな。経年変化してく革製品ばりに。楽しみ。

 

 

05. 逃避行

トレーラーで一目惚れした。歌いかたもメロディも歌詞も演奏も世界観も、まるごと好き。デレレレレ、デレレレレ、っていうギターの音が好き。「君と逃避行」 で終わるのほんとうに好き。好きすぎて『逃避行』と結婚したい。私とばっくれてくれません?

君とばっくれたいのさ」 「退屈をしらばっくれたいのさ」 みたいに、どちらかといえばネガティブなワードをポジティブに変換するの巧い。ポジティブ変圧器。

ところでMVのお兄さん方がチャーリーとチョコレート工場ウンパルンパ人にしか見えない。"ネオ・チョコレートファクトリー" って感じ。MV好きすぎて毎朝2度は見てる。

フレデリック「逃避行」Music Video / frederic “Tohiko” -2nd Full Album「フレデリズム2」2019/2/20 Release- - YouTube

 

 

06. スキライズム

最初の一音から色濃くにじみ出るフレデリック感。スキとキライ、目まぐるしく移り変わる感情は表裏一体なのだなと気づかされる。

純情 感情 論争 あなたのそういうところが嫌いです」 というメロディが、歌詞のインパクトも相まって一度聴けばもう離れない。

「Talking Rock!」 3月号読んで、そんな時期からあったんだこの曲!?とびっくりした。即リードトラック張れるこの曲をここまで温めておくの半端ない。詳しくは買って読んでください。インタビュー凄くいいので。

フレデリック「スキライズム」Music Video / frederic “Sukiraism” -2nd Full Album「フレデリズム2」2019/2/20 Release- - YouTube

 

 

07. 他所のピラニ

インディーズの匂いが強くてニヤッとした。歌い方も昔の感じに寄せてます?

詰め込まれている音のひとつひとつ、不穏でゾクゾクする。ピラニアが暗い水底を泳ぎ、歯をカチカチさせているような音がクセになる。耳のなかをピラニアが泳いでるみたい。

ラニアとラザニアで韻を踏むのも好き。「投げつけたラザニア ドロドロのテラス」、彼氏にアボカド投げつけるyonigeよりタチが悪い。好き。

 

 

 

08. TOGENKYO

聴くたびに泣きそうになるんですよ。いまだに。大切すぎて。このアルバムでは光と影、かなしいとうれしい、スキとキライの二面性を歌っていると話していたけれど、私はこの曲に出てくる 「天国と地獄」 の対比も好きで。

天国だろうと地獄だろうと、追い求めてきたこの場所こそが自分にとっては楽園であり桃源郷なんだって気づかされて以来、この曲は私の人生のバイブルです。

フレデリック「TOGENKYO」Music Video / frederic“TOGENKYO” -2nd Full Album「フレデリズム2」 2019/2/20 Release- - YouTube

 

 

09. YELLOW

夜よ」 とゆったり始まったかと思えば、いきなりEDM感を帯びたり、留まることなく表情を変えながら、夜が明けて朝のひかりが差す情景を思わせるように終わる。

最後まで掴みどころがなくて、アルバムのなかでもすごく気になる存在。めったに笑わないミステリアスな同級生みたいな。近所のスーパーで偶然見かけて好きになっちゃうパターンじゃん。知らんけど。

 

 

10. CLIMAX NUMBER

好き!キラキラ感からしてクリスマスソングかと思ってたけど、大晦日から元旦にかけての夜を描いているのだろうか。

歌詞、いろいろ解釈の余地はあるけども私は失恋ソングとして聴いた。「今はどこで何をしてるかなんて ほんと興味は無いし 興味は無いけど」 って、わざわざ2回言うってことは完全に興味あるやつ。

このコーラス早くライブで聴いてみたい。リビングで流していたら、母に 「サービスナーバスっぽいね」 と言われた。似てるかどうかはともかくやけに詳しいな。

 

 

11. 夜にロックを聴いてしまったら

パッと曲名を見たとき(夜にロックを聴いてしまったらどうなるんだろう…)といちばん惹かれたのがこの曲。

トレーラーで初めて 「夜にロックを聴いてしまったら 春がはじまった」 というサビを知ったとき、凄まじく衝撃を受けた。さらにフルで聴いて衝撃。「僕がバンドを組んでしまったら 春がはじまった」、抽象的な描写の多かった康司さんがここまで直接的にバンドのことをうたうとは。

ロックを聴いたら春がはじまる、って凄くいい表現だなあ。いい音楽を耳にしたときのあの高揚感、自然と口もとがほころんで喜びが芽吹くあの感じを 「春」 というの、良いなあ。とても文学的にはなり切れない、なんて言ってたひとの口からこんな文学的なキラーフレーズ出てくる?

 

 

12. シンセンス

言うまでもなく演奏がかっこいいですね。「歯向かって向き合ってゆけNEW SCENE」 って、フレデリックのスタイルそのものだな。歯向かいながらも向き合うって正反対だけど、それをこなしながら、昔ながらの良さを持ったまま常に新しいことに挑むバンドだから大好きなんです。

MVいっぱい貼ってるけど『シンセンス』のライブ映像ほんとうにかっこいいから、これだけは見て。ライブで化けるバンドなので。

フレデリック「シンセンス」Live at 神戸 ワールド記念ホール2018/frederic「Shinsense」 - YouTube

 

 

13. 飄々とエモーション

全曲通して聴いたとき、『飄々とエモーション』のもつパワーって凄まじいなって。バチバチに風格がある。毛並みの違う曲たちが、この曲の存在によってキリッと締まってる。

フレデリック「飄々とエモーション」Music Video -2nd Full Album「フレデリズム2」2019/2/20 Release- - YouTube

 

 

 

 

13曲とも雰囲気がまるで違い、それに合わせて歌い方もサウンドも変えてある。でも13曲並べたときにどの個性が飛び出すこともなく、ひとつの絵画のように完成している。モザイクアートみたいな物凄いアルバムだと思った。

 

ところで、とあるFCコンテンツ見たときから思ってたんですけど、四季を感じるこのアルバムに 「秋」 のモチーフが出てこないのって 「飽き」 がこないようにって意味ですかね……。

 

現時点では『逃避行』『他所のピラニア』『CLIMAX NUMBER』がすごく好き。何度でも言うけど逃避行と結婚したいよ私は。最高のアルバムをありがとうございます。

 

 

 

 

 

 

 

 

余談。タワレコ特典のステッカーシートの話。

 

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ステッカーシートを

 

 

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ていねいに切り取れば

 

 

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日替わりスマホケース一丁出来

 

 

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右端のロゴもちゃっかり利用してくスタイル

 

 

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対価の色味すき

 

 

アルバムや初回盤付属DVDはもちろんのこと、特典もどっぷり愛していくのでよろしくお願いします。大好きなバンドの新譜、登下校中にいっぱい聴いて骨の髄まで愛したい。

 

 

 

 

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勢い余ってさっそく破いてしまったんだけど、ピラニアにかじられたみたいでかわいくない?

 

長くなりました。あおでした。