あおいろ濃縮還元

虎視眈々、日々のあれこれ

パック牛乳とサングリア

中学時代の友達とお酒を飲む、という、不思議な感覚を味わった。

 

同じ教室で、机をくっつけて給食を食べていたあのころ。くだらない話をしながらパックの牛乳を飲んでいた私たちは、6年後、ワンルームのアパートでわいわいご飯を作りながら自家製のサングリアを飲んだりしている。

 

中二で仲良くなった友人たちが大好きで、でも進学したら疎遠になってしまうと思っていて、だから一緒にお酒を飲める日が来るなんて思ってもなかった。

 

だけど成人したって、ノリも話の内容も中学生のまま変わっていなくて。それなのに一丁前にサングリアを炭酸水で割ったりアイスに垂らしたりしていて、なんだかすっごく不思議な感じがしたのだった。

 

友達のアパートに集まってからも、夕飯の買い出しをしているときも、ご飯を食べているときも、後片付けをしているときも、太陽が昇りはじめるまでずーーーっと、中学生のころと同じようなくだらない話をいつまでも交わした。

 

くだらない話だけを延々とし続けられる人、っていうのがすごく貴重な存在だということを、この年になって実感している。お金を自分で稼げるようになっても、眉毛をきちんと描けるようになっても、みんな中身は中学生のまんまで、ものすごく愛おしかった。誰も変わっていなくて嬉しかった。

 

職場や学校のグチとか恋バナとか進路とか、ありきたりな話はしなかった。後片付けの分担でモメる茶番をしたり、布団の敷き方について真剣に話したり、テレビ番組にツッコんだり、目の前にあることをひたすら指さして笑っていられた。

 

ただ、「帰りたくない~」 「また泊まりたいから歯ブラシ置いてっちゃおっかな~」 なんて言えても、「もう1日泊めて」 なんて誰も言わなかった。仕事やバイトや課題をどうしてもやらねばならないとわかっていて、実現できないことを冗談でも口に出さないほどには、みんな大人になった。

 

いつかもっと大人になって、転勤なんかして、年1回ほどしか集まれなくなるんだろう。でももう、会えなくなっても疎遠にならない自信がある。そしてまた会えたときだけ、笑い転げているときだけ、私たちは中学生に戻れるんだろう。

 

ものすごく楽しくて、少し寂しくなった。サングリアがシャンパンや日本酒に変わっても、白髪染めを使うようになっても入れ歯になっても、くだらないことで笑っていたいよねえ。

 

 

もちろん友達にこのブログ書いてることは言ってないんだけど、見つけたら黙ってないですぐLINEしてね。見つからないと思うし、見つかっても笑い飛ばしてくれるだろうし、心配してないけどね。

あおでした。

フレデリバリー

フレデリックによるポストカードお渡し会、その名も 「フレデリバリー」 に行ってきた。

 

ミニアルバム 「TOGENKYO」 の発売日である10/18は、渋谷に康司さんと武さん、札幌には健司さんと隆児さんが、それぞれ二手に分かれて来る。私は札幌に参加した。

 

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(TOGENKYO、ばっちり前日にフラゲしておきました。MUSICAもいっしょに。)

 

30分前に着くと、既にブースはファンで溢れていた。程なくして整理番号順に整列がはじまる。思っていたよりも前のほうだった。心臓飛び出そう。

 

 

「無言で待っていただくのもなんなので、爆音でフレデリック流しますね」 とスタッフさんが 「TOGENKYO」 を再生してくれる。

「拍手の練習しておきましょうか」 と、スタッフさんをメンバーに見立てて拍手を贈る練習をしたり、いろいろ和ませてくれたので、待ち時間も苦に感じなかった。プレゼントボックスもあるらしい。スタッフさんまで温かい良いイベントだなぁ。

 

 

 

18:30、タワレコの黒いエプロンをまとった健司さんと隆児さんがステージに現れた。北海道だからか、やけにもこもこした帽子を被っている健司さんが可愛らしい。隆児さんは写真や映像でもかっこいいけど、実物のほうがずっとハンサムですね。

 

「いやあ皆さん、遠路はるばるお越しいただきまして」 「俺らのほうが遠路はるばるやけどな」 間合いぴったりのゆるいトークが心地いい。

 

健司さんが 「なにか一言お願いしますよ」 と振り、「北海道、思ってたより寒くて凍えてます」 と話し出す隆児さん。8度とかだったからね。

隆 「なので皆さんの力であっためてください」

健 「……俺らどんどん距離開いていってるけど大丈夫?(ドン引いたように後ずさる) これ以上後ろ行くとステージから落ちるんやけど」

 

 

軽いトークのあと、記念写真の撮影にうつる。

隆 「(手前のお客さんに向かって) どこから来たん?」

客 「札幌です」

健 「そらそうやんな」

 

イベントブースが、いやそもそもタワレコ店内自体が狭いだけあって、とにかくメンバーとお客さんとの距離が近くて。

隆児さん二重くっきりしてるなぁとか、健司さん意外と肩の線が細いなぁとか、すぐ近くで確認できて、現実のこととは思えなかった。桃源郷に迷い込んでしまったのではないか。

 

 

撮影も済むと、いよいよポストカードのお渡し会がはじまる。レジにて手渡してくれるという。

タワレコのエプロン付けた好きなバンドマンとレジ越しに話せる、ってなんなんだ。この夢の詰まりまくったイベント、なんなんだ。最高じゃないか。楽園はタワレコにあったんだ。

 

 

新譜の発売日が重なっているため、レジ付近にはお客さんの列ができている。混雑を避けるため、メンバーの待機するいちばん端のレジに5人くらいずつ呼ばれる。

 

様子を見る限りでは、ポストカードを受け取ったあと、少しだけふたりと話す時間が与えられているみたいだった。話が長引きそうになると、隆児さんがにこにこ笑いながら、レジ横にあるレストランの呼び鈴みたいなのを 「チリーン」 と鳴らして強制終了させていた。

 

話したいことはたくさんあった。こんなに遠くまで、リリイベのためだけに来てくれたふたりに、伝えたいことがたくさんあった。

 

番号が呼ばれる。列に並ぶ。並んでいる段階から、ふたりはもうレジカウンターを隔てたすぐそばにいる。どうしよう、と強烈に思った。頭が真っ白になる。気の利いたことなど何も言えない。

 

あっという間に私の番が来て、レジの前に立った。柔らかく微笑んでいる健司さんと隆児さんがすぐ目の前にいる。すごい……いつも通学中に聴いている音楽を奏でている人たちが目の前にいる……タワレコのエプロン付けてる…………。

 

緊張しまくって 「あぁあ~~😭」 みたいな情けない声出してしまったのだけど、健司さんが 「ふふっ」 て目見て笑ってくれて。一瞬で撃ち抜かれた。少し緊張もほぐれた。

 

ポストカードを直々に受け取り、意を決して話しはじめる。肝心なアルバムの感想は伝え漏れてしまったし、小さな声しか出なかったけれどふたりとも真剣に聞いてくれて、伝えたかったことは最低限言えた。

 

去り際も、緊張しすぎてアワアワする私にまた健司さんが 「ふふっ」 と笑ってくれて、きっちりもう一度撃ち抜かれた。

 

 

 

整理番号が早かったので、私の番が終わってもまだイベントブース内で待機している人がたくさんいた。自分の番が終わったあともブースで待機していてもいいらしかった。

戻るかな、でも戻って待っててもすることないし、タワレコの隣の雑貨屋さんでもいくかなあ、あそこかわいい文房具たくさん売ってて好きなんだよな……ん?文房具?

 

いまレターセット買って、手紙書いて、プレゼントボックスに入れたらいいのでは?

 

時間は充分にあった。さっそく雑貨屋に飛び込んで、とうもろこし柄のポストカードを選ぶ。

 

人通りのない階段に座ってメッセージを書いた。普段は人並みに字が書けるんだけど、手が震えまくって、ありえない悪筆だった。Twitterで流行りの「頭が悪い人」みたいな。「ばなな」 みたいな、ヤバめの字。

 

それでも、北海道に来てくれて本当に嬉しかったことや、フェスで初めて見たフレデリックのパフォーマンスに感動したこと、ヨレヨレの悪筆でなんとか詰めこんだ。出来より気持ちが大事だろ、と自分に言い聞かせる。

 

スタッフさんらしき方にプレゼントボックスの場所を尋ねると、イベントブースの奥に置いてあるけれど持っていきますよと言ってくださった。お言葉に甘えてポストカードを託す。フレデリックの周りの人たちは最後まであたたかい。素敵だな~~。

 

TOGENKYOを聞きながら帰って、家に着いても、まだ頭がふわふわしていた。1日経ち、これを書いているいまも、思い出してはふわふわ浮かれている。

 

全国ツアーですら省かれがちな北海道に足を運んでくれて、すごく嬉しかった。

すぐに終わる握手会やサイン会ではなく、ポストカードを直に渡して話す時間を取ってくれたことも嬉しかった。

なにより、フレデリックの音楽に救われているのだと直接伝えられる機会を作ってくれたことが、本当に嬉しかった。

 

ああ~~~余韻抜けそうにないなあ。TOGENKYOめちゃくちゃ聴いて過ごそ。

 

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もらったポストカード、裏がめちゃくちゃかわいいんですよ。切手貼るとこね。さすが凝ってますね。もちろん表も最高。

 

 

自分用の備忘録として書きました。自己満です。あと絵文字使っちゃったんだけど、機種によっては文字化けしちゃうのかな?なんかあったら書き換えますね。

あおでした。 

週間・読書感想文

本を読もうと思う。

 

もともと読書は大好きで、鬼のように読み漁っていたのだけれど、大学受験を前にしてぱったりとやめてしまい。大学に入って、さあ読むぞ~!!と意気込んだものの、忙しすぎて時間も取れず。

 

あんまり暇でもないけど、口実でも作ってしまわないと何も読めないので、むりやり時間を取ろうと思う。

 

 

 

図書館の貸し出し期間は2週間。

2週間で1冊読むのをとりあえずノルマとする。それだけあれば読み切れるでしょ。たぶん。

 

このノルマが 「楽しみ」 から 「使命感」 に変わってしまったら、またルールを改めるなりして、快適な読書ライフを送りたい。

 

 

私はほっとくと好きな作家の本しか読まない。視野を広げるためにも、有名だったり前から読んでみたいと思ってるけど読んだことがない本とか、誰かが勧めてくれたものだとかを重点的に読みたい。

 

ということで、よかったら何かおすすめ教えてください。コメントでもリプでも何でもいいので。

 

強いていえばガッチガチのホラーと、文章があまりに平坦なやつは苦手ですが、ミステリーも恋愛小説もなんでもイケるクチです。グロいのも分厚いのもむしろ好きです。よろしくお願いします。

 

 

 

さて。読書週間 (といっても2週ずつ) をはじめるにあたって、前からやってみたかった読書アカウントを、インスタにて開設しました。

 

最初は 「好きな本ベスト3」 ということで、「桐島、部活やめるってよ」 「少女」 「容疑者Xの献身」 について。

 

よかったら覗いてみてください。

 

   アカウント→【ao_bookeater】

 

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あおでした。

 

花柄の便箋とサカナのシールと

小学5年生のとき、1ヶ月ちょっとの間、クラスに教育実習生が付いてくれたことがある。

 

服装こそぴしっとしていたけれど、先生にしては少し長めの髪は、ふわりとワックスで整えられていて、「先生」 というより 「親戚のお兄ちゃん」 って感じだった。仮にT先生と呼ぶことにする。

 

私はほんっっとうに地味で暗い子どもで、休み時間は黙々とハリーポッター東野圭吾を読んでいた。友達もいなかったし、先生も嫌いだったので、学校で笑うことなんて滅多になかった。

 

 

 

さて、教育実習最後の日、T先生はなんとクラス全員に直筆の手紙をくれた。1クラス20人ほどしかいない過疎学級だから出来たことだと思うけど、単純にすごい。

 

当時の私は、大人なんて何もわかってくれない馬鹿な生き物だと本気で思いこんでいたので (人間不信がすげえや……) T先生もその一員なのかな、と心のどこかで思っていた。

 

だから、手紙を開いて戸惑った。

 

ざっくり要約すると、「あおちゃんは頑張り屋さんで、笑顔が素敵ですよね」 といったことが綴られていた。あまり笑わなかった私が唯一笑ったときのことを、T先生は覚えてくれていた。

 

他にも 「廊下ですれ違うときいつも挨拶してくれたから、つらいことがあっても頑張れました」 とか色々。こんな奴のことをちゃんと見てくれてる人もいるんだ、って初めてわかって、ぼろぼろ泣けてきたのを覚えている。

 

 

 

 

つらくなると今でも、T先生がくれた手紙を読み返すことがある。毎回ちょっと涙ぐんでしまう。まっすぐな言葉にいつでも励まされる。

 

内容もそうだし、便箋を選んで、もしかするとルーズリーフに下書きなんかして、封がわりに留めてあるサカナのシールはちょっと意味わかんないけど、たくさん頑張って準備してくれたんだろうなあ。そう思ってじんとくる。

 

教育実習生ってことは、当時のT先生は、今の私とそう変わらない年齢だったはず。

 

こんな、何年経っても心に残るような言葉を、誰かのために紡げる人でありたい。

 

 

 

T先生の手紙や、中学の担任が卒業するとき一人ひとりに宛てた手書きのメッセージを、ずっと大切に心に留めている。自分では気づけなかった長所をちゃんと見てくれる大人もいるんだな。ああいう人間性のカッコいい大人になりたい。

 

あれから9年も経っていることに驚いた。T先生、多分めちゃめちゃいい先生になってると思うな!そうだといいな!

 

 

ライジングサン (マイヘア) とミスチルのレポが滞ってるのでそのうち完成させますね……。あおでした。

RISING SUN 2017 ⑤

My Hair is Bad


誰にとっても100点満点のライブなんてない。


だけど、30分のステージでも2時間のワンマンでも、小さなライブハウスでも大きなフェスのステージでも、いつだって200%の熱量でやりきるのが My Hair is Bad だと思う。

 

 



本編に入る前に。このレポは記憶と主観だけで書いているので、流れや言い回しは不正確です。違った意味に解釈してしまっていることもありえます。

 

だから、こんな文章なんて信用しないで、自分の目で本当のライブを確かめにいってほしい。何が起こったかを伝えることはできても、あの熱量を文字に起こすことは絶対にできない。


マイヘアの本当のライブを知りたくなる手助けになりますように。 

 

(MC=句読点アリ、イントロに乗せて語り出すやつ&曲中にアドリブで喋り出すやつ=句読点ナシ、で一応分けています)

 

 

 

 

 

リハ

ドラマみたいだ

 

深夜にもかかわらず観客はまだ熱気に溢れていて、リハが始まったとたん、待ってました!とばかりに飛び跳ねだす。

 

僕は言う『そばにいて』 君は言う『あなたでいて』」 という歌詞はいつ聞いてもすごいなあと思う。

それと 「裏切って会ってヤッてもう切るとこないから表も切って」 ってとこ。裏を切りすぎて切るとこなくなったから表まで切る、って、どんだけ裏切ってんだって。

 

 

 

00:40~ EARTH TENTにて、My Hair is Bad

 

セットリスト

真赤

アフターアワー

接吻とフレンド

悪い癖

告白

元彼氏として

クリサンセマム

フロムナウオン

夏が過ぎてく

 

 

1曲目は『真赤』。間奏かどこかで、「君の匂いがする」 と言っていたのが印象的だった。まるで歌詞の一節であるかのように。

 


「この時間に集まってくれてありがとう。寝かせねえぞ」 と椎木さんは言う。

 

「俺は各所で嫌われてる。メンヘラとか女々しいとか。嫌いな人は俺のこと嫌いだ。だけど優しい人もいる。太ももの内側に、しいきともみ、ってマッキーで書いて送ってくる女子高生もいる」

いいなー!という観客の声に 「いいだろー!」 と答え、笑いが起こる。

「メンヘラとか女々しいとか、みんな勝手に俺を判断する。自分を他人が決める。他人を自分が決める。……自分を決めるのは、自分だ」

 

マイヘアのライブって、鈍器で殴られたような衝撃だし、毎回毎回200%でやりきるの凄いし、本人が言うように嫌いな人は嫌いなんだろうけど、私はもう抜け出せない。

正直、音源を聴くだけじゃマイヘアの2%ぐらいしか知れないと思う。ライブを見てガツンと殴られてほしい。

 

 

 

「ドキドキしようぜ」 と椎木さんが叫んだのは、『アフターアワー』のときだったろうか。

 

荒波のような激しいモッシュに呑まれながら、私は、ライブのときにだけ陥るあの感じに襲われた。

酸素が薄くて、暑くて苦しいのに、ずっと待ち焦がれていた音を目の当たりにして、嬉しくて嬉しくて、どうしようもなく跳ねたり笑ったり泣いたりしてしまう、あの感じ。

そうか、これを 「ドキドキ」 と呼ぶのか。

それならば、私は。

 

「俺はお前らをアツくするために来てんじゃねえ!そんなの知らねえよ!」

ひとたびステージに立つと、椎木さんは怒鳴るとも吠えるともつかないような、剥き出しの尖った言葉をめいっぱい叫ぶ。

「踊りたいとか踊らせたいとか、アツくなりたいとかなりたくないとか、知らねえよ!俺はお前らやこのステージをアツくしに来てるわけじゃねえ!……俺がアツくなりに来た!」

私は、どうしようもなく My Hair is Bad にドキドキしていた。

 

 

 

 


「どっか行こうか そういうと君は首を横に振って」、ゆっくりとギターの音に乗せて語り始める『悪い癖』。

 

「テレビのついた部屋に 朝のニュースとキスの音だけが響いて 俺はそれを幸せと呼んだ」

「夏はやっぱりビールだって君は言うが 冬は冬で鍋にはビールだねって言ってなかったっけそう言うと君は怒って『どっちでもいいじゃん!』って」

「『ああそうだ、アイスボックスにハイボール入れるやつやってみようよ、美味しいらしいし』……幸せかい?」


最後に 「エンドロールが流れて 俺たちは向かい合って座った 明かりが灯った」 みたいなことを言っていた。

最後の最後は喫茶店 あの、六文字、が流れて」 の 「あの六文字」 って、「エンドロール」 だろうか。後日リリースされた『運命』にも、喫茶店でエンドロールが流れる描写があるし。

 

 

 

「ビビってんじゃねえよ!」 と椎木さんはしきりに吼えていた。自分に言い聞かせているように見えた。


「ビビってんじゃねえよおい!やるかやらないか それしかねえんだよ!ビビってんじゃねえよ!」 どこか『告白』の歌詞にも通ずることを何度も叫んでいた。




「俺らの中で最も最低な曲をやります」 から始まる『元彼氏として』。

「お前の彼氏まじカッコイイな!お前の彼氏ほんといい男だな!…前の彼氏の俺はどうだ?タバコ吸わないし背も高いし 収入もぐんと上がった」

収入上がった!ってステージ上で言うバンドがどこにいるんだ。そういうとこ好き。

 

 

 

 

「真夜中のライジングサン 寝かせねえとは言ったが これから夢の中に連れていく」 「目を閉じて 指の先まで力が入っているのがわかって 眠りに落ちていく」

 

絞られた照明のなかで、ゆっくり爪弾くギターに乗せて、言葉が紡がれてゆく。熱狂していたファンが一様に、しん、と動きを止める。

 

「優しくなりたい 優しく 優しくなりたい優しく 優しくなりたい 優しく 優しく 優しくなりたい優しく 優しくなりたい 優しく」

壊れたレコードのように椎木さんは繰り返す。

 

アサガオの観察日記をつけていたあの頃 俺は電柱に登りたいと思っていた いま俺の友達は電柱より高いところで作業する仕事をしている でも俺はもっともっと高いところまで行きたいんだ」

 

「身じろぎしない」 というのと、「身じろぎできない」 というのは違う。椎木さんの言葉を目の当たりにするとき、首に掛けたタオルの端を両手で握りしめたまま、動けなくなる。時に荒々しく、時に流れるように語られる言葉にがっちり捉えられて、動けなくなる。


「テレビでも雑誌でもねえ 俺らは今ここにいる!ツイッターもインスタも知らねえよ 俺らは今ここにいるんだ」

 

声が、荒々しさをはらむ。ギターを掻き鳴らす右手に力がこもる。

 

「140字のTwitter 250円の牛丼 1円にもならなかったなんて言わせねえ」

 

『フロムナウオン』。

音源化されていない曲でありながら、私はこの曲こそが My Hair is Bad の真骨頂だと思っている。

 

音源化されていない、というか、音源化できるわけがないのだ。

サビ以外のAメロやBメロの部分は、歌というより叫びのようなものを椎木さんが即興で乗せていく。サビすら即興のこともある。

AメロやBメロの伴奏に乗せ、椎木さんは時に元カノのことを、バンドのことを、アツく叫ぶ。ライブの数だけ違った『フロムナウオン』があり、型にはめることはできない。


「占い師でも医者でもいい ロックバンドでもいい やりたいことはやれ 遊ぶのを我慢して頑張ることも必要だ」

「正解なんてない ただ一つ正しいことを言うなら 水はウォーター ウォーターは水 ……ウォーターは水ってなんだよ 正しいだけじゃ面白くねえんだよ」

「正しいだけじゃ面白くない 正しいよりカッコよく生きたい 俺は男になりたい」

 



 


ライジングサンに出場して2年 バンド始めて10年 当時から何が変わって何が変わってないかも分かってねえ」

去年のライジングサンで 「俺は本物 (のロックバンド) になりたい」 と何度も言っていた椎木さんが、今年は 「俺は本物だ 俺らは本物だ」 と叫んでいたのが感慨深かった。

ライジングサンでは21時に花火が上がる。そのことになぞらえて、「ライジングサンの花火になる」 とも言っていた。



「この時間に来てくれてありがとう。サチモスより俺らを選んでくれてありがとう。いつかこのステージを見て良かったって自慢出来るようなバンドになります。また来年」

 

来年もライジングに出たいと思ってくれていることが嬉しかった。来年か再来年か、近い将来、SUN STAGEを湧かせるマイヘアを観てみたい。ライジングサンに足を運ぶ理由がまたひとつできた。

 


最後は、『夏が過ぎてく』。

「夏はまだ残ってる 今年の夏は何をする?」 間奏に乗せて、柔らかくそう言う。

 

今年の夏は忙しくて何もできないけど、ライジングに来れて、マイヘアを観られて、それだけでいいと本当に思った。

夏祭りも海も行けなかったけど、ここに来れた。200%の熱量に揺さぶられた、最高の夏だった。

 

 

 

起こったことを少しでも多く覚えていたい、という気持ちでレポを書いているけれど、こんなもので伝えられると思っていない。炎の熱さは手をかざさないとわからない。これを読んだ人がひとりでも、あのヒリついた空間に行ってみたいと思いますように。

 

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長々と引き延ばしてしまったライジングサンレポ、最後までお付き合いくださってありがとうございました。あおでした。

RISING SUN 2017 ④

【[Alexandros]】

いったん帰宅し、体力フル充電して、いざ後半戦。

道はぬかるみまくっていて、田んぼ通り越して沼だった。長靴とレインパンツ履いて大正解。

 

ギタリストの白井眞輝氏を熱烈に推している私は、右側に陣取った。前から2列目。推しのためならモッシュも怖くない。

 

ライジングサンでは21時に花火が上がる。

私のいた所からは、ステージに被って花火が全く見えなかった。ひときわ大きな花火が打ち上がった時、ちょこっとだけステージ上に花火らしきものが見え、大歓声と拍手まで起きた。

 

21:00~ SUN STAGE にて [Alexandros]。

 

セットリスト

謎曲

ワタリドリ

Kaiju

Girl A

Kick&Spin

ムーンソング

starrrrrrr

Waitress, Waitress!

Adventure

新曲  (明日、また)

 

 

花火と拍手の消えていった暗がりに、スクリーンに映し出された 「[Alexandros]」 の文字が光を差し、4人が現れた。

 

洋平さんの 「この時間に集まってくれてありがとう!大人の時間始めてもいいですかー!!」 との声に、歓声が爆発する。それを聞いて楽しそうに笑い出す白井さん、愛おしっ。

 

 

1曲目は『謎曲』と呼ばれる新曲。大型フェスのメインステージに初っ端から新曲持ってくるって、いきなり攻めるな~~!好き!

  

謎曲の冒頭、「日が昇って沈んでいく」みたいな英詞を聞き取れた。それしか覚えていないけど、好きなテイストだったからリリースが待ち遠しい。

 

 

 

次にいきなり『ワタリドリ』かましてくる所からしても、今宵のドロスは攻めの姿勢みたいだ。初っ端から新曲と代表曲やるなんて。

 

メインステージとなると、ガチガチに 「間違いなくノレる代表曲」 で固めるバンドも少なくない。ドロスはそれがない。客に媚びない。そこがいい。

 

 

 

ところで洋平さんは、客が英語わからないと思ってるのか、英語だと開放的になるのか知らないけど、なかなか際どい言葉を使うよね。

 

Thank you so much (どうもありがとう)、という代わりに 「Thank you fucking much (クソ感謝してるぜ)」 と言ったり、「Mother-Fucker RISING SUN」 なんて言ってみたり。良い子は真似しないでください。

 

聞き間違えでなければ 「Everybody fucking with [Alexandros]!」 なんてことも言っていたような…。私の拙い語学力で洋平さんっぽく意訳すると、お前ら全員まとめて抱いてやるよ的なニュアンスです。わーお。

 

 

 

『Kaiju』『Girl A』『Kick&Spin』とバリバリのロックチューンで揉みくちゃになったあとは、『ムーンソング』でクールダウンを挟む。夜風の涼しい野外でこの曲を聴けるなんて、ものすごい贅沢。

 

 

『Starrrrrrr』は、フェスで生まれた曲というだけあって、広いステージによく映える。個人的には、ドロスにのめり込むきっかけになった曲であり、いちばん好きな曲でもある。

 

他のバンドは観客を 「北海道~!」 やら 「蝦夷~!」 などと煽りがちだけど、洋平さんは 「石狩ーー!!!」 「まだまだイケるか石狩ィ!!!」 とがっつり会場の地名出してくれた。道産子としてはめちゃめちゃ嬉しい。

 

 

 

『Waitress, Waitress!』のイントロが始まると、白井さんが両手で客席を煽りはじめた。すぐさま上がる 「オイ!オイ!」 という歓声に、「聞こえねえぞオラ」 みたいな顔で両耳に手を当ててまた煽って。声がいちだんと大きくなると、満足そうに笑った。ご機嫌だなあ……。

 

洋平さんの歌う 「ストロ…ング キーース」 の部分がエロかったことをくっきり覚えている。それと曲の最後、バンドの音が消えて 「you tonight」 という声だけが響き渡ったのには鳥肌が立った。

 

 

『Adventure』の歌詞、 「晴れ渡る8月の 亜麻色に染まった石狩は」 って替えて歌ってくれたのも嬉しかった。やたら石狩推し。

きょう雨だからアドベ聴きたいね~って話してた人をちらほら見かけたし、私もそう思っていたので、前々から決まっていたとしても嬉しかったな。

 

 

 

 

初っ端から新曲を持ってきたドロスは、最後の最後にも新曲を持ってきた。しかも、本邦初公開のやつ。

 

(※RSR時点で本邦初公開だったこの曲は、先日クロレッツとタイアップの決まった『明日、また』です)

 

「北の大地にお土産持ってきました、新曲です!昔から知ってたかのように楽しんでください」 とのこと。

心地よく鳴るメロディに、メッセージ性の強い歌詞が乗り、思い思いに観客がノッていく。というか、勝手に体が動く。ノせられる。

 

まず思ったのは、「この曲は間違いなくドロスの代表曲になるな」 ということ。

『ワタリドリ』のような代名詞や、『city』のようにバンドやファンにとっても大切な曲とはまた違った、新しいターニングポイントに。

 

初見でこれなら、これから物凄い成長を遂げるんだろうなあ。新しいはじまりを感じさせるフレッシュな曲だと思った。

 

新曲とは思えないほどの盛り上がりに、洋平さんもメンバーもご満悦のようだった。道産子愛してるぜ的なニュアンスのことを言っていた気がする。

 

究極に攻めの姿勢をみせたステージは、大成功のうちに幕を閉じた。最高でしたほんとに。

 

 

 

 

 

ところで私は、前述のとおり白井眞輝氏の大ファンなので、ライブ中の98%は白井さんを見ていた。

みんなが、ステージ前に設けられたお立ち台のようなところに移動した洋平さんのほうを向く中、私はまっすぐ白井さんを見つめていた (気色悪いファンでごめんなさい)。

 

気まぐれか、私があまりにガン見しすぎていたせいかわからないけど、滅多に客のほうを見ない白井さんが顔を上げた。そして2秒ほどこちらを見ていた。

 

暗かったし目が合ったかはわからないんだけど、明らかに一瞬コンタクト取った気がするんだよなあ……だってみんな洋平さんのほう向いてたし。勘違いしておくことにします。

 

一応言っておくと、目立つようなことは何もしてません。名前呼んだり手振ってアピったりとか、何もしてないです。

純粋にガン見しまくってただけです。こんな近くで推しを見れる機会なんてなかなか無いんだから、それぐらい許してくれ。ガン見といってもちゃんとノッてもいたよ。悪しからず。

 

さて次回⑤は、My Hair is Bad。気長にお待ちください。

あおでした。

 

RISING SUN 2017 ③

【back number】

の前に、一瞬だけバニラズを観た。「蝦夷ロッカー!歌おうぜ~!」 という牧さんの煽りから始まる『おはようカルチャー』。

EARTH TENTの場外に溢れだした人たちが、楽しそうに体を揺らしていて最高だったけど、心を鬼にしてSUN STAGEへ向かう。

back number を観るために。 

 

 

back number は、初出場の2011年から1年おきにライジングサンに出場している。

私が参加しはじめたのは2015年からなので、それ以前の年はファンや本人のブログを探って、各年の依与吏さん語録を集めてみた。

 

2011年 「北海道、帰ってくるよ。もっともっとでっかくなって」

2013年 「次は2年後ぐらいに SUN STAGE で会いましょう」

2015年 「あの時 back number 観たんだって、いつか自慢してもらえるようなバンドになります」

 

言葉には言霊が宿るというけれど。どれも見事に叶っている。知名度を上げ、着実にメインステージにまで昇りつめた back number の、いまの姿を見たかった。

 

 

 

 

雨はほぼ止んだものの、観客は一様にレインコートを着ている。無神経なタイミングで雨降りまくってるから『SISTER』聴きたいな。

ぞろぞろと依与吏さん以外のメンバーが現れ、音を確認しはじめる。

 

リハ

日曜日

 

イントロに会場が沸いた。ボーカル不在のまま行われる演奏に、コーラスのそうたさんの声だけが乗っていて、貴重なものを聴けたな~~と嬉しくなった。

 

 

 

メンバーが袖に引っ込んでゆき、開演を待つ。

と、「ゥオイッ!!!」 という掛け声と 「ダンッ!!!」 と足を踏み鳴らす、円陣の音が客席にまで響いてきた。うっわ~~バンドの醍醐味なやつ~~!

 

 

16:30~ SUN STAGE、back number。

セットリスト

半透明人間

SISTER

わたがし

光の街

高嶺の花子さん

ヒロイン

ハッピーエンド

003

青い春

スーパースターになったら

 

 

 

 

モニター前、和也さん側前方に陣取る。丈の長い黒ジャケットを羽織ってニコニコ登場した和也さんにさっそく撃ち抜かれる宝。(※宝=小島和也ファンのこと)

 

 

1曲目『半透明人間』では煽られるがままに跳びまくって、2曲目は『SISTER』。雨降りにぴったりな歌。 

 

 

『光の街』流れたときに 「この曲知らない」 って声が聞こえて、知らないなら知らないで黙っとけよ、本人に聞こえるかもしれないこんな前方で言うなよって思った。

でも、それなら、この5分ちょっとで恋に落ちろよ。あの曲知らないけど1番良かったって帰ってから検索するぐらい。

 

実際、私がこの曲を溺愛してることを抜きにしても『光の街』はめちゃくちゃ良かった。

 

依与吏さんだけがゆっくり、ゆっくりギターを弾く。いつもよりスローテンポなギターに乗せ、1音1音を噛みしめるように、しっとりとそれでいて魅せるように。

 

「君は…知って、いるのだろうか、こんなにも 救われている僕を」 といったふうに。ゆっくり。君のおかげで僕がこんなに救われてること、ねえ、知ってる?とでも優しく語りかけるように。歌声だけで鳥肌が立った。

 

1番の最後あたりから村田さんのキーボードが乗り、2番でバンドが加わった。こんなに感動的なアレンジがなされた『光の街』を、フェスで聴けるなんて。知らなかった人みんなまとめて恋に落ちればいい。

 

  

 

ちょくちょくMCも挟む。

自分たちのステージングが地味なんじゃないかと急に不安に駆られたらしく、「なんかもっと、バーン!っていうかドーン!っていうか、ダンサーとか出てきたら良かったんだけどね。そんなこと (ステージにダンサーを呼ぶ演出なんて) 今まで話し合ったことないけどね」 などと笑っていた。

あんな繊細な詞書いてるくせに擬音レベルが小学生か。好き。

 

 

 

『高嶺の花子さん』で盛り上がり、『ヒロイン』『ハッピーエンド』とバラードが続く。こってりした曲の並び。 

『光の街』のときも思ったのだけど、バラードの時の歌い方が、初期のそれに近かったというか。あの、わけもなく悲しくなるような、むちゃくちゃに切ない声。グッとくるものがあった。

 

 

ボリューミーな曲たちを立て続けに歌った依与吏さんは、かなりお疲れだった。

「ハアッ……ちょ、ちょっと……MCとか挟めばよかったな……花子さんのあとにヒロインとかちょっとヤバかった」 と息を切らす依与吏さんを見て爆笑していた和也さんも、顔じゅうタオルでわしゃわしゃ拭いていたからやっぱり疲れていたのだろう。(寿さんはよく見えなかった。)

 

「みんな暑いでしょ?レインコート蒸れてるよね?」 雨の心配をしてくれるアーティストはたくさんいるけど、レインコートが蒸れることにまで言及していたのは依与吏さんぐらいだった。よく気が付くなあ。

 

「そんななか『雪が綺麗と笑うのは君がいい』なんて、みんなどんな感情で聴いたらいいんだよって歌いながらちょっと思った」 たしかにね。それね。

 

 

 

最後は『003』『青い春』 『スーパースターになったら』と怒涛のキラーチューン祭り。

 

時に激しくベースを掻き鳴らし、時にこぼれんばかりの笑顔で楽しそうにジャンプする和也さん。これ。これが観たかったんですよ私は。

 

モニター前という端っこにもかかわらず、和也さんはわりと私らへんがいるエリアを煽ったりニコニコ眺めたりしていた、ように思う。

 

で。跳ねまくっていたら前の人の陰に半分隠れてしまって。ちょっと見づらくなったな~と思っていたら、こちらを向いていた和也さんが隙間から顔を出すようにひょこっ、と首を横に傾げて。

え?これ、え?……え、明らかにこっちに顔向けてるよね?ひょこってしたよね?隙間から顔出したよね?え?勘違いしてもいい?

 

ニコニコ目を細めてたんで目が合っていたかは分からないけど、完全にこっち向いてはいたし……というわけで勝手に勘違いしておくことにします。ありがとうございました。

 

 

 

キラーチューンあり、渾身のバラードあり、半ば弾き語りのようだった『光の街』もあり、2017年現在の back number のすべてを魅せてくれたようなステージだった。

 

いちばん最後に依与吏さんが、残った力使い果たす勢いで 「愛してるぜーー!!!」って。女々しい歌詞書くくせにサラッとそうやって叫んじゃうんだもんなあ。ずるいよ。

 

 

 

 

 

さて、ほんとはもっと観たいバンドたくさんあったのですが、雨で体力やられまくったので諦めていったん帰宅することに。ビーバーもぼくりりも観てみたかったな~~!また今度!

 

次回 ④は、 [Alexandros] 編です。濃密な大人の時間でございました。お楽しみに。

あおでした。