あおいろ濃縮還元

虎視眈々、日々のあれこれ

砕けろ

夢と呼べるほど綺麗なものじゃない、「執着」 としか呼べないような目標みたいなものを昔から持っていて。大人になっていくうちに忘れられるものだと思っていた。でも忘れたくないと思っていた。だから、大人に足を踏み入れかけている今になってもやっぱり忘れられなかったりする。本気で成し遂げるスタミナも覚悟もないんだけど、だからってぼんやりフェードアウトしていくのも寂しい話だ。どうしても叶えたい夢、なんてものじゃない。昔から握り続けてきたからじっとり執着しているだけの、このまま手放すのが惜しいだけの、そんなものだ。とっくに必要はないのに、愛着が湧いて捨てられないぬいぐるみのような。でも猛烈に悔しいと思った。泣きたくなるくらい嫉妬心が芽生えて、自分のなかにまだこんなものが残っていたことに戸惑った。どうしたらいいんだろうね。一つしかない答えをずっと見ないふりしてきた。忙しいことを盾にした。忙しくしていれば忘れられると思っていた。でも、寝る暇がないほど忙しくても、生きているのがやっとな時だって、忘れられなかった。ご立派な言い訳を振りかざして逃げようとする自分が嫌いだと思った。余計に悔しかった。忘れたり逃げきれるもんじゃないと思った。ねえ、全力でぶつかってみたらさ、全力で弾け飛んでくれるかな。こんなに頑張っても駄目なら仕方ないねって、真正面から諦められるのかな。諦めるために頑張ることが私には出来るのかな。なにかを賭けてまで手に入れる度胸は私にはない。どんとぶつかって、きっぱり諦めて、あの頃はなんか苦しかったけど楽しかったなあっていつか笑えるような大人になりたいと思ってるんだよ、ちゃんと。区切りっていうかけじめっていうか、そろそろ付けないと、みんなとっくに捨ててるお子ちゃまみたいな理想を持ったまま大人にはなりたくないんだよ。わざわざエイプリルフールなんて半端な日にこんなお経みたいな、おどろおどろしいブログを書かないとやってられないような、このままじゃ駄目なんですよ。執着なんて苦しいだけのこと本当はしたくないんですよ。こんな読み切れもしないような葛藤を持ち続けるのはもうやめて楽になりたいんですよ。だからさ、当たって砕ける覚悟を決めろよいい加減。

清水依与吏を褒めたたえる回

「back number 大好き~💞 わたしも彼氏にこんなふうに想われたい💞」 なんて言葉も聞き飽きたあなたへ。

 

今回は 「セフレ曲書かせたら最強」 「依与吏さん作詞うますぎ」 というマニアックなテーマ2本立てでお送りします。

 

 

 

back number にはなぜか、セフレの心情を歌った曲が多い。『助演女優症』『助演女優症2』は確実にそうで、『アーバンライフ』も怪しい。

 

アーバンライフ』は男性目線で書かれたこんな曲。

 

  触れたいだけ 深い意味はない

  お互い何を望む訳じゃない

 

  名前を持たない関係に君はいない

  僕もいないんだ

 

 

次は、女性目線で描かれる『助演女優症』。

 

  都合が良くって頭の悪い女を演じてあげる

 

  私の望んだものはもう全部

  あなたの心以外 今ここにあるから

 

 

今や 「back number まじ泣ける胸キュン~😭💗」 と中高生に言わしめているback number ですが、胸キュンする曲よりもこういう切ない歌詞のほうが得意。

 

満たされているのに空しい『アーバンライフ』。都合の良い女を演じる『助演女優症』。聴いたあとしばらく気分が落ち込んでしまう、妙にリアルな独特の空気感。

 

色に例えるなら白でも黒でもない。雨雲のような、どんよりした不穏なグレー。この色は依与吏さんにしか出せない。

 

セフレ題材の歌を3曲も作るアーティスト、そうそういない。セフレいたことある人か、よっぽどの想像力がある人にしか、こんなん書けないよなあ。依与吏さんがどっちかはわからないけど相当度胸あるなあ。

 

 

ここからは完全に私の憶測ですが。

もし『アーバンライフ』の主人公の相手が『助演女優症』の女性だったら、救いようがなさすぎる。

 

お互いこの薄暗い関係を了承していると思いこんでいる男性。恋心を隠して都合のいい女に徹する女性。あくまで想像だけど、もしそういう狙いがあるとしたら背筋が凍ります。

 

その場合『助演女優症』の女性は、"都合がよくて頭の悪い女" を見事に演じきってる名女優ってことにもなりますね。皮肉にも。

 

 

 

 

 

 

依与吏さんは作詞がめちゃくちゃうまい。誰にでもわかる簡単な言葉を使う、というのが実はいちばん難しい。シンプルな言葉で深みを持たせる技に関しては、一級品だと思う。

 

『幸せ』という、タイトルに反してアンハッピーな曲。主人公がひそかに好意を寄せている男友達には、好きな女の子がいます。主人公は自分の気持ちを隠して男友達の恋を応援するが、心の底では…。という感じ。あらすじだけで既に切ない。

 

切なすぎる歌詞の素晴らしさについては語るまでもないので、今回は 「歌詞の組み立て方めっちゃすごい」 という点に着目します。

 

でも私があなたを好きなくらい あなたも想っているなら 私じゃやっぱりダメだね」 という1節。

 

歌詞の組み立てがそこまで上手くないアーティストなら 「私があなたを好きなくらい あなたもあの子が好きなら」 としがちだと思う。音数は一緒だし、パッと見違和感もない。

 

でもこれだと 「あの子が」の部分は省略できるし、「好き」 ってワードが重複しちゃうんですよね。だから「想う」 というワードに差し替えてる。

 

無意識か意識したのかはわからないけど、実は陳腐な言い回しを避けてるあたり、依与吏さん作詞うまいな~たまらんな~と思う。瞬時にいらない言葉を削り、表現を差し替えて、「あなたも想っているなら」 ってすんなり織り交ぜてくるのはすごい。

 

あなたも (あの子を) 想っているなら」、というふうに、依与吏さんは省略すべき箇所をスパッと省略する技に長けている。

 

ちなみにベストオブ省略は、『西藤公園』の 「私は冬が好き 僕は君が」 だと思う。僕は君が好き、とは曲中で言わない美しさ。余白の美学。

 

 

 

中高生に人気だからって敬遠しないでほしいんです。back number の歌詞はシンプルでイマドキなのに、超深みがあるし美しい。ほんとはもっともっと語りたいけど、今日はこのへんで。

 

あおでした。

 

 

鳴り止む

どんな音楽もいつか鳴り止む。

 

グッドモーニングアメリカの金廣さんが、ポリープ手術に伴い、3ヶ月間ライブ活動を休止するという。

 

ヒヤッとした。ポリープ自体も心配ではあるけれど、筋金入りのコブクロファンである私は 「活動休止」 という言葉に過剰反応してしまう。それはおいおい話すとして、グドモのブログを読んだとき、無理してでもライブ行っておけばよかったなあと心から思った。マイヘアのときも同じことを思った。

 

バイトと金欠が重なり、今回の全国ツアーは断念したのだけど、頑張れば休みはもらえたしお金もなんとかなった。「また今度でいいや」 と見送ったライブが、もしかしたらラストライブになるかもしれないのだ。

 

 

 

信じていた音楽が二度と鳴らなくなることなんて、掃いて捨てるほど、ある。

 

あまり聴いたことはなかったけど、Galileo Galilei や WHITE ASH が解散したときも、BOOM BOOM SATELLITES の川島さんが亡くなったときも、それなりにショックだった。SMAPに関してもまだ受け止めきれていない。

 

カラスは真っ白、というバンドの解散ライブに先日行った。近頃聴いていなかったのにも関わらず、解散はショックだった。インストアライブにもフリーライブにも行ったことはあるし、"フラゲ日にタワレコにCDを買いに行く" なんてことをしたのはカラスは真っ白が最初だった。

 

解散ライブツアーの千秋楽は、湿っぽい感じもなく、トリプルアンコールまできっちりやって終わった。MCでは腹の底から笑えたし、骨の髄まであたたまるようなアツいライブだったのに、明るい幕引きだったのに、どうしようもなく寂しかった。

 

千秋楽が行われた 札幌 Sound Lab mole というライブハウスには、フリーライブで来たことがある。「次はここにワンマンを見に来よう」 と思っていたその 「次」 が、解散ライブになってしまうなんて。

 

行こうと思えば機会はいくらでもあった。なんで行かなかったんだろう? ものすごく後悔した。終わりに立ち会えたことは幸せだけど、終わってしまうまで、どうして追い続けなかったんだろう?

 

 

 

 

「活動休止」「解散」 をこんなに怖いと思う原因は、私の愛してやまないコブクロにある。

 

コブクロは 『蕾』『流星』のヒットから一転、2011年に活動休止をする。小渕さんが喉の病気にかかったためだった。翌年には復帰を果たしているものの、最近になってようやくふたりは "充電期間" の心境を明かしている。

 

コブクロは、活動休止を発表した札幌でのライブを最後に、やめる覚悟でいたという。4年越しに知った事実に尋常じゃなく鳥肌が立った。休止どころか、コブクロそのものをやめるつもりでいたという。実際、やめようとさえ言えば簡単に終わる状況だったらしい。最終的には復帰に至るわけなのだけど。

 

大好きなアーティストが急に活動休止をして、復帰するどころかそのまま音楽自体をやめてしまったら?

 

 

休止中の心境を知って以来、そんなことを考えてしまう。

 

「また次でいいや」 と見送ったその 「次」 が、もう二度と来ないかもしれない。どんな形であれ、私の好きな音楽は、いつか鳴り止む。

 

鳴り止んでしまうその時に、後悔しないように。だからなるべく行けるライブには足を運びたい。歓声を、拍手を送りたい。一瞬一瞬を焼きつけておきたい。そう思う。

 

 

 

だからね、友人たちに言いたいのは、バカみたいにチケット代に貢ぐ私の悪癖を許してくれよということ。「行きすぎじゃない?また来るんでしょ?」 と言われたって、そんなのわかんねえんだよ誰にも!

 

いまブログに書いたみたいな理由を語り散らしたらドン引かれると思って、「え~でもさ~ライブは私のライフワークだし~」 とヘラヘラ笑うことしかできない私を許してくれよ。ブログ見てないだろうけど。読まれてたらめちゃくちゃ嫌だけど。

 

あおでした。

 

卒業

母校前のバス停から、続々と卒業式を終えた後輩たちが乗りこんできた。

 

口もとを覆い隠すチェックのマフラーと、コートの隙間からちらりと覗く、見慣れた制服のリボン。毎朝、学校行きたくないなあって思いながら3年間留め続けてきたリボン。私も、いま乗りこんできた後輩たちも、おそらくもう留めることのないリボン。

 

1年前は私もまだ高校生だったんだなあ。

 

卒業式では1ミリも泣かなかった。特に思い入れはなかった。親友と離れることだけが悲しかったけど、いつも通りくだらない話をして、いつも通りに別れた。

 

早く卒業したいと思っていた。高校が好きではなかったというより、まあそれもあるけど、早く大学に行って好きな勉強をしたかった。だから考えていたよりなんの感慨もなくあっさり卒業できた。

 

ずーーっと前だけを見つめ続けてきたおかげで第一志望に合格することはできたけど、未来を待ち望むあまり、高校生活を楽しもうとしていなかったと思う。陰キャだったし。JKライフ無縁だったし。

 

あの頃の自分に、顔向けできるのかなあ。もしかしたら全力で楽しめたはずの3年間を食い潰して、やっとここまで来たのに。この1年何してた?頑張った?なにを?というか、頑張っても成果がなくちゃ意味なくない?打ち捨てたJKライフの代償がこれ?味気なくない?

 

 

これから地元を離れて東京に進学するという男子や、専門学校で彼氏ができるか色めき立つ女子の話を聞きながら、私は、1年前の私が思い描いていた自分に少しでも近づけたのかな、と苦い思いになった。

 

過去の自分に恥じない自分になりたい、初心や童心を忘れたくない。いつも心に留めていることだけど、ちゃんとできているかといえば、ノーだ。食い気味にノー。

 

やりたいことは無限にあるし、こんなとこでぬくぬく立ち止まってる場合じゃない。全速力でもまだ足りない。小さな幸せに目を向けられるような人でありたいけど、それだけで満足してるような人には絶対になりたくない。私はもっと飢えたい。

 

昔思い描いていた自分には全然足りないけど、卒業までにはもっとマシであれるように、浪費したJKライフが無駄にならないように、せめて春休みの間はしばらく足掻いていたいと思うのです。

 

大好きなライブもちょっとは我慢します。もう決まっちゃったやつは勘弁して。ひと段落するまでなるべく増やさないようにするから。

 

 

いきなり試験があるみたいで憂鬱だとか、春服をどのくらい買ったほうがいいのか、楽しそうに話している高校生たちの笑顔の奥に、「こんな時間もこれで最後だな」 という感情がどうしても透けて見えてしまって、もらいセンチメンタルしてしまった次第。卒業おめでとうございます。

 

あおでした。

 

これまでの、すべての日々に

All Our Yesterdays Tour 2017、略称AOYツアーがとうとう幕を開けましたね。

 

今回のツアー、高校時代の親友 (と私は思ってる) と参加します。彼女は特に音楽がなくても生きていける人種で、特に back number が好きというわけでもないと思うんだけど、連番快諾してくれて。しかもライブはこれが人生初みたい。

 

ぶっちゃけ私は、ひとりでもどこへでもライブ行けます。遠征もぼっちフェスも余裕です。連番も大好きだけど、好きなだけ暴れ倒せるぼっち参戦めっちゃ好き。

 

でも今回のツアーは、ぼっち参戦でも、もはや私のライブ友達と化している母を巻き込むでも、これまた何度もライブに連れ込んでいる邦ロック好きな友人を誘うでもなく、大してライブに興味のなさそうなあの子と絶対に行きたいと思った。絶対に。

 

ベストアルバム出した直後のツアーだから、セットリストが初心者にも優しそう (知らないから憶測だけど) ってのもある。だけどそれだけが理由じゃなくて。

 

 

 

 

高校時代、私にとって人生初ライブであるラブストーリーツアーに当選してはしゃぐ私を見て、「なんかわかんないけど良かったね」 と言ってくれたのは彼女だった。

「back number って何?バンド名?」 と疑問を浴びせてくるほかの友達と違って、知らないし興味ないけどなんか喜んでるからとりあえずおめでとう、みたいなスタンスが好きだった。

 

私がカラオケで入れた 『花束』『高嶺の花子さん』(その当時は全然知られていなかった) をいい曲だと言って、覚えて歌ってくれたのも彼女だ。

これは純粋にすごく嬉しかった。以降カラオケの度に歌ってくれるのも嬉しかった。

 

back number を見るためだけに、受験期にライジングサンぼっち参戦キメた私を笑い飛ばしてくれたのも彼女だった。

受験期、しかも真夜中の時間帯に、ぼっち参戦。内心では呆れていただろうに、なにも言わないでいてくれたことがありがたく思えた。

 

 

私の青くて苦い高校時代には、いつも back number の曲が寄り添っていて、それを夢中で聴く私の横には、いつも 「よくわかんないけど良かったね」 と興味なさそうな顔をした彼女がいた。

 

当時、back number の心が締めつけられるような歌に私は救われていて、今はまだ無名だけどほんとに凄いんだよ!と熱弁する私を見て 「良かったね」 と言ってくれる親友にもまた救われていた。

 

思い返せば、back number がゆるやかに流れていたこれまでの “すべての昨日たち” の中に、いつだって彼女は居てくれたのだった。

 

All Our Yesterdays Tour 2017、彼女と行く人生最初のライブが、また素晴らしい思い出になりますように。

 

あおでした。

 

 

(ところでこのブログ本人に見られてたら恥ずかしすぎて死にたいんだけど、万が一見ていたら、「もしかしてブログやってる?笑」って聞いてください、お願いします。親友へ。)

 

「女々しさ」 を武器にする 「強さ」

 

back number?あの女子中高生に人気の女々しいバンドでしょ?と思っているあなた。大正解です。

 

ボーカル・清水依与吏 (しみずいより) 氏の作る曲は、そりゃもう女々しい。そこまで言う?ってことまで歌にしちゃう。

 

でも。確かに女々しいけど、女々しさを武器にできる強さが、back numberには備わっていると思うのです。依与吏さんは女々しいけど、弱っちい男じゃないんだよ。ってことを、いちback numberファンとして訴えたい。

 

 

 

たとえば、男子高校生の淡い恋心を歌う『ハイスクールガール』という曲。

 

   ああ明日になったら 君が彼女になってないかな

   そうしたらもう何もいらないのにな

   君がいないとたぶん死んじゃうんだよ

   目の前にいなければこんな簡単に言えるのになぁ

 

女々しさ全開フルスロットル。ある女の子のことが好きでたまらないのに、脈がないから告白する勇気もなく、悩み抜いた挙句 「どうしようどうしよう ああなんか眠くなってきた」 とか言い出す始末。がんばれよ少年!!!

 

これだけで終わるなら、アプローチもせずただ好いてもらおうと思っている、考えナシな男子高校生の戯言です。いちばん最後の歌詞は、こうなっています。

 

   この想いが早く溢れ出してしまえばいいのに

   間違えて口が滑っちゃえばいいのになぁ

 

お分かりでしょうか。この主人公は、ただ何も考えず 「あの子が彼女になってくんないかな~~」 ってバカみたいに嘆いてたわけじゃありません。明日になったって君が彼女になってるはずないことも、想っているだけじゃ何も変わらないことも、おそらく脈がないことも、全部わかったうえで嘆いてるんです。

 

間違えて口が滑っちゃえばいいのになぁ」 と最後に付け加える少年は、間違っても自分の口が滑らないことを、ちゃんとわかってます。どうにもならないから嘆くしかないのです。はい、女々しい自覚アリアリです。

 

 

 

依与吏さんは、自分にひそむ 「女々しさ」 を自覚したうえで、それを客観的に見て、さらに共感のできる名曲に落とし込む 「強さ」 を持っています。

 

女々しいけど、弱っちくなんかない。自分の弱さをさらけ出せる人って、めちゃくちゃ強いと思うんですよ。ましてや弱い部分を売りにするなんて、ものすごいことやってる。

 

女々しさをブランド化して切り売りしてる。しかもバカ売れ。「自分の弱みを商品にしてください」 って言われて、成功させることのできる人がどれだけいるだろうか。

 

そこそこヒットしてきた時期に『ネタンデルタール人』なんて歌を出すのも、相当度胸がないとできないと思います。「僕も天才ってチヤホヤされたいのに」 「オシャレ!大好き!って言われたいのに」 なんて思ってても普通言えない。売れないインディーズバンドのミニアルバムに入ってそうなのを、依与吏さんはCMソングのカップリングに持ってきちゃう。とんだ度胸。

 

 

 

ではもうひとつ。『高嶺の花子さん』の歌詞を、改めておさらいしてみましょう。

 

   会いたいんだ

   今すぐその角から 飛び出してきてくれないか

 

おいおいおい?この主人公、「会いたいんだ」 なんて男前なこと言うと思いきや、「角から飛び出してきてくれないか」 ですよ。どんだけ古典的。会いたきゃLINEしろ。

 

とはいえ私も消極的な人間ですから、気持ちはわかります。相手は超絶キレイなうえに、友達の友達という微妙な関係。連絡をとる口実がない、あるいは連絡先を知らない可能性すらあります。会いたいなんて、心の中でしか言えないわけです。

 

この主人公は 「君を惚れさせる黒魔術は知らないし 海に誘う勇気も 車もない」 のに、「でも見たい となりで目覚めて おはようと笑う君を」 なんてひと足飛びに言っちゃいます。朝に隣にいる関係って……。その妄想ちょっと待った。

 

ただ、こんな言葉が出てきますね。

 

   偶然と夏の魔法とやらの力で 僕のものに

   なるわけないか

 

君がいきなり角から飛び出してこないことも、朝を共に過ごせないことも、僕のものにならないことも、ぜーーーんぶわかってるんです。彼氏の有無や好きなアイスの味は知らなくても、それはちゃんと知ってます。大体タイトルからして 『高嶺の花子さん』です。間違っても手の届かない高嶺の花を好きになっちゃった、てなもんです。

 

僕のものになるわけはない。そのことを前提に置き、それでも好きだってことを5、6分かけて歌いきってる。客観的に自分の女々しさを見つめ、ヒットチューンに落とし込める依与吏さんはなんて強いんだろうか。

 

 

 

たまに有線で、俺たちは別れてしまうけどお前をずっと愛してたぜ、的な歌を耳にします。おそらく振られてるくせに、酔いしれて美談にすり替えようとしていて、しかもそのことに気づいていません。自覚症状がないぶん、そっちのほうがよっぽど女々しいし弱っちいなと思うのです。

 

back numberにも別れたあとの歌は多いけれど、依与吏さんは過去を美化しない。好きだったんだよってうだうだ引きずりながら、でもちゃんと前を向かないといけないことをやっぱり知っている。「それに今君を考えているのだって 引きずっていれば削れてなくなるって計算の上さ」 なんて『あとのうた』で言ってたりします。

 

 

女々しさだって、立派な武器になる。自分が甘ったれてるとも知らずにカッコつける人より、カッコ悪さをさらけ出して商品として売り出せる依与吏さんのほうが、何百倍もカッコよくないですか。back numberは強い。強いよ。女々しいけどね。

 

女々しい女々しいってさんざん言ってきましたが、『SISTER』のように力強く背中を押してくれる曲もあるので、よかったら聴いてみてください。

 

ちなみに私は依与吏さんよりもベースの和也さんが好きです。あおでした。

1月2日、初陣

正月セールに臨むにあたって、「ライブハウスに行くつもりでいこう」 と決意した。いくら大混雑が見込まれる街中のセールとはいえ、モッシュピットに突っ込むよりはマシだろう。

 

でも結論から言うと、モッシュよりセールのほうがキツかった。ほんと。

 

街中は、戦場だった。

特にレディースフロア。弟の付き添いで行ったメンズフロアはそうでもないどころか、朝イチだったためむしろガラ空き。

 

ファストファッションのフロアで弟に冬服を見繕い、アパレルの連なるフロアに移動した途端、様子は一変する。朝10時だというのに既に両手にショッパーをぶら下げた女の子たちが、ぎゅうぎゅうにひしめいている。

 

店内全品半額というショップになんとか飛び込み、お値打ちのスカートや5千円(!)のコートを見つける。でもレジに伸びる行列は、折り返してなお途切れる気配はなく。商品を手に取ることもままならず、さっさと逃げ帰った。わけがわからなかった。

 

 

セールはモッシュよりもキツいんだなあ、と人波をかき分けながら思う。

モッシュは楽しむために身体をぶつけ合いながら飛び跳ねる 「楽しい行為」 だけど、セールは生きるか死ぬかの 「戦い」 でしかない。

 

楽しさ弾けるモッシュとはまったく別物なのだ。セール真っ只中の街は、ただの殺気立った戦場だ。

 

欲しいアイテムを目敏く見つけるスキル、人混みをかき分けて素早くレジに向かう俊敏さ、行列に屈しないタフさ。この3点を磨いた者しかセールという戦場で生き抜けない。

 

女は強い生き物だよなあ。

 

 

 

ちなみに最初の店では逃げ帰ったものの、狙ってたショップでは見事戦利品ゲットいたしました。粘り勝ちです。ビクトリー。

 

どうか皆さんがセールという荒波を無事くぐり抜けられますように。

あおでした。